ケイに案内されブリーフィングルームにやって来た。そこには、大きなスクリーンがありその前には沢山の生徒たちが座って居た。
「さぁ、着いたわアッキー!結構満席だけど空いている席があったらそこに座ってね、じゃあ私は準備があるから」
「あぁ、ありがとなケイ」
そう言ってケイは、去って行った。残った秋人は、辺りを見回してどこか空いている席を探した。すると、一箇所だけ空いている席があったので、そこに座る事にした。そこで、隣の席の女子生徒に声を掛けようとした。だが、その時秋人は、気付いた。見覚えのある後ろ姿に特徴的なクセのある髪まさか、と思って顔が見える位置まで移動すると
「やっぱり・・・」
それは、サンダースの制服を着た秋山だった。秋人は、そのまま秋山の隣の席の方へと向かう事にした。
「隣、失礼するぞ」
「え!?あ、はい・・・って!?日向殿、どうしてここに?」
「秋山さんの、帰りが遅いし電話しても出ないから、サンダースにとっ捕まったんじゃないかと様子を見に来たんだよ」
「それにしてもどうやってここまで?」
「あぁ、サンダースの子に見学したいと言ったら簡単に通してくれたんだ」
などと話していると、ブリーフィングが始まろうとしていた。
「あ、全体ブリーフィングが始まる様です」
と壇上にケイと先戦車格納庫まで案内してくれた女子生徒(あの子も戦車道の子だったのか)と短めのツインテールでそばかすが特徴的な女子生徒が壇上にやってくると秋山は、ビデオカメラを使って撮影していく。すると、ツインテールの子が出場する車輌を発表する。
「では、一回戦出場車輌を発表する。ファイアフライ一輌、シャーマンA1 76mm砲搭載一輌、75mm砲搭載一輌」
「容赦ない様ですね」
「向こうも本気って事だ」
そう言うと、ケイが
「じゃあ、次はフラッグ車を決めるよ。OK!」
『イエェーイ!!』
とケイがそう言って手を上にかざすと、観客席の生徒達もケイに合わせて手をあげて応える。秋山は、ビデオカメラを自身に向け、
「随分とノリが良いですね。こんな所までアメリカ式です」
「このノリには流石について行けん」
と二人がそんな事を話していると周りの観客席から歓声が上がって来た。
「フラッグ車が決まった様です」
と言うと再びビデオカメラを壇上の方に向ける。
「何か質問は?」
「はい!小隊編成はどうしますか?」
とボーイッシュヘアの子がそう言うと秋山が手を挙げて小隊編成について質問する。すると、ケイは笑い。
「お〜いい質問ね。今回は完全な二個小隊が組めないから3輌で一小隊の一個中隊にするわ!」
「フラッグ車のディフェンスは?」
「ナッシング!」
とフラッグ車に護衛を付けないと言うのだ!?大会規定では、例え全滅しなくてもこのフラッグ車さえ叩いてしまえば勝利なのだ。数に限りのあるチームにとって全車両相手にして殲滅するよりこのフラッグ車を狙えば数が少なくても有利に事が運ぶのだ。
「敵には三突とティーガーがいると思うんですけど?」
「大丈夫!1輌でも全滅させられるわ!」
ケイがそう言うと観客席の生徒達はお〜と声を上げる。そうしているとボーイッシュヘアの子とツインテールの子の顔が険しくなった。
「・・・見慣れない顔ね」
「え!?」
あ〜まずいなこれは流石に、バレたな。これは、そろそろ潮時かもしれん。
「所属と階級は?あと、そこのグレーの服のあんたもどこの所属?」
と 一気に観客の注目を浴びてしまった。
「え!?あ、あの第六機甲師団オッドボール三等軍曹であります!」
と秋山は、そう名乗り秋人は、
「オッドボール三等軍曹の友達のアッキーです」
とそう答える。壇上のツインテールとボーイッシュの子は驚き、ケイは笑うのを堪えている。
「偽物だー!」
とボーイッシュヘアの子がそう叫び、
「ずらかるぞ!秋山さん!」
「はい!!」
「じゃあな、ケイ。今度は試合で会おう!」
二人は、出口に向かって全力疾走する。
「ちょっと待ちなさい!」
「追え!」
そんな制止も聞かず秋人と秋山は、出口の扉をでて通路を駆け走る。
「じゃあね、アッキー!」
「隊長今の男と知り合いなんですか?」
「彼は、私のファンよ」
「は?」
とツインテールの子の質問にケイはそう答え唖然とする。通路に出た秋山は
「有力な情報を入手しました!これでレポート終わります!」
秋山は、そうビデオカメラに向かって言いビデオの電源を切る。
「しかしそれにしても、秋山さん、オッドボール三等軍曹って・・・・」
「いや、咄嗟に出たと言うか、それに日向殿こそアッキーって」
「ケイが付けた俺のアダ名だ」
そんな秋人と秋山がサンダースから脱出をしている頃、大洗では、みほ達は学校での下校途中だった。
「秋山さん、結局練習来ませんでしたね。日向さんも今日の練習に来ませんでしたね」
「メールは、帰って来た?」
「全然、電話掛けても二人共圏外だし、みほは、日向さんと部屋隣同士でしょ。何か聞いてない?」
「うん、紅月さんに聞いたんだけど今朝早くどこかに行くのを見たんだけど、どこに行ったかは知らないみたい」
「どうしたんでしょう?」
二人を心配するみほ達がそんな事を話していると武部が何やら複雑そうな顔をする。
「ねぇ、もしかして学校休んで二人共デートしてたりしてないかな?」
「「「え!?」」」
「また沙織は、直ぐにそっちに持っていくな」
「だって怪しいじゃん!二人共学校来てないし連絡取れないのも納得出来るじゃん!実は、隠れて付き合ってるんじゃない?」
(秋人さんと秋山さんが付き合ってる・・・何だろう、この感覚)
武部がそう話しているとみほは、胸がズキズキする感覚に襲われた。その後、みほ達は、秋山の実家の『秋山理髪店』へとやって来た。
「あれ?秋山さん家床屋さんだったんだ」
武部がそう言って、みほ達が店の中に入って行く。中に入ると椅子に座って新聞を読む秋山父と側の椅子に座っている秋山母がいた。
「いらしゃいませ」
「すみません。あの、優花里さんは居ますか?」
「あんた達は?」
「友達です」
「友達・・・・と、と、友達ぃい!?」
武部が友達だと言うと父親は、慌てて椅子から立ち上がる。
「お父さん落ち着いて!」
「だってお前!優花里の友達だぞ!この前来た日向君以外にも優花里に友達が!!」
「わかってますよ。いつも優花里がお世話になってます」
「お、お世話になっております」
母親が父親を落ち着くように言うとみほ達に、頭を下げ、父親は土下座をする。あまりの光景にみほ達は、唖然としてしまう。
「あ、あの・・・」
「優花里、朝早くうちを出てまだ学校から帰ってないんですよ。どうぞ二階へ」
と秋山の母は、にっこりと笑いみほ達を秋山の部屋に案内する。部屋に通されると部屋には戦車のグッズが並んでおりみほ達は、目移りしていた。
「どうぞ、食べて頂戴」
「あの〜良かったら待っている間に散髪しましょうか?」
「お父さんはいいから!」
「・・・はい」
秋山の母がお菓子を持って来て、父親は、ハサミと櫛を持て秋人と同じ様に客引きしようとするも母に咎められしょんぼりしながら出て行く。
「すみません、優花里のお友達がうちに来たのなんてこの前うちに遊びに来た日向君以外初めてなもんで、何しろずっと戦車、戦車で気の合うお友達が中々出来なかったみたいで、戦車道のお友達が出来て随分喜んでいたんですよ。じゃあ、ごゆっくり」
と秋山の母は、部屋から退室して行った。
「いいご両親ですね」
「つか、日向さん。いつの間にゆかりんの家に来てたの、やっぱり付き合ってるんじゃ!?」
「まだ引っ張るか」
そんな時冷泉は、棚に置かれている秋山の家族写真を見て複雑そうな顔をする。すると、突然部屋の窓が開きそこからコンビニの制服姿の秋山が入って来た。
「ゆかりん!?」
「あれ?皆さんどうしたんですか?」
「秋山さんこそ・・・」
「連絡がないので心配して」
「すみません、電源を切ってました」
「つか!なんで玄関から入って来ないのよ!」
「こんな格好だと父が心配すると思って」
「「「「ああ〜」」」」
とみなが納得の声をする。すると、部屋の扉が開き秋人が入って来た。
「あ、秋人さん」
「何だ?お前達も来てたのか?」
「二人共、学校来ないでどこ行ってたの!?」
「あぁ、その事か、みんな揃っている事だし丁度良いだろ。秋山さん例の物を」
「はい、実は皆さんに是非見て頂きたい物があるんです!」
と秋山は、ポケットからUSBメモリーを取り出して、テレビに繋げサンダースで撮った映像を再生する。
『実録!突撃!!サンダース⭐️付属高校』
と書かれた題名が最初に映し出される。
「こんな映像があるんですね?」
「どこで手に入れたの?」
「ふふーん」
そして、映し出されたのはサンダース高校の校門前で秋山が潜入する所だった。
『私は今、サンダース大学付属高校に来ています!では、潜入します!』
「どうしたの?」
「帰る途中自分で軽く編集して来ました。テロップもまだ仮なんですけど・・・」
「いや、そうじゃなくて・・・」
『では、無事潜入出来ましたので、サンダースの制服に着替えてたいと思い・・・は!?』
秋山がトイレの個室でコンビニの制服からサンダースの制服に着替えようとしていた時カメラが気付き電源を切る。流石に着替えシーンを放送したら完全な放送事故だよ。
『これで、どこから見てもサンダース高の生徒です』
そして着替え終わった所から再び再開された。
『ハーイ』
『『ハーイ』』
『みんな、フレンドリーです。バレてません!』
と対向する女子生徒たちに手を振って挨拶する。
「つか、最初にコンビニの制服を着ていたのはなんで?」
「コンビニの定期便に乗り込んで学園艦に潜り込んだんです」
「成る程・・・」
と納得していると戦車格納庫の映像に切り替わった。
『凄いです!シャーマンがズラりあれは、M4A1型、あっちはM4無印、あ!僅か75輌しか作られなかったA6があります!あ、一回戦頑張って下さーい!!』
とシャーマンの軍団を見て興奮していた。そして、戦車道の生徒にエールを送り生徒達はグッドサインで応える。
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『有力な情報を入手しました!これでレポート終わります!』
と言ってエンディングに入る。
「なんと言う無茶を・・・」
「頑張りました!」
「いいの?こんな事して?」
「試合前の偵察行為は承認されています」
そして、秋山はみほにUSBメモリーを渡す。
「西住殿、オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさって下さい」
「ありがとう。秋山さんのおかげでフラッグ車も分かったし、頑張って戦術立ててみる!!」
みほは、そう言ってUSBメモリーを受け取る。
「それにしても、日向さんっていつの間に相手の隊長と知り合いになったの?」
「あぁ、そう言えばサンダースの隊長からアッキーって呼ばれてましたね」
「あぁ、戦車格納庫でシャーマンを見ていた時に、ケイに見つかったんだ」
「大丈夫だったの!?」
「捕まると思ったが寧ろ歓迎された」
と秋人とケイが親しくしていたのに気付いた武部と秋山が聞いて来たので、秋人はそのままあった事を話した。
「取り敢えず、無事で良かったよ二人共」
「怪我は無いのか?」
「ドキドキしました」
とみんなが二人を心配する言葉を送り秋山は、照れる、
「心配して頂いて恐縮です!わざわざ家まで来てもらって」
「いいえ、おかげで秋山さんの部屋も見れましたし」
「あの、部屋に来てくれたのは日向殿以外で皆さんが初めてです。わたし、ずっと戦車が友達だったので・・・・」
と秋山が嬉しそうに言ってると武部が側に置いてあったアルバムを開いて中を見る。
「本当だ、アルバムの中殆ど戦車の写真」
(勝手に人のアルバム見ていいのか?)
と人のアルバムを見る武部にツッコミを入れる秋人も気になってちゃっかり覗き込む。
「(なんでパンチパーマ?)」
「くせ毛が嫌だったし、父がしてるのを見てかっこいいと思って、中学からはパーマ禁止だったので元に戻したんですけど」
「いや、友達出来なかったの戦車じゃなくてこの髪型のせいじゃ・・・」
「え?」
普通の子供はあの様な髪型をしないからな、多分みんな怖がって近寄って来なかったんだろう。
「そうか?おれは、かわいいと思うぞ」
「えっ・・・!か、かわいい!?」
と秋人が言うと秋山は顔を赤くした。皆は、秋人をジーッと見つめてくる。
「ま、なんにせよ。一回戦を突破せねば」
「頑張りましょう!」
「一番頑張んなきゃいけないのは麻子でしょ?」
「なんで?」
「明日から朝練始まるよ」
「え?」
と武部から朝練が始まると聞いて冷泉が固まった。