「恐らくフラッグ車は、ここかここ。それかこの辺りのはず」
とみほは地図を見ながらそう言う。そして、秋山は、箱乗りになりながら双眼鏡で辺りを見回す。
「まだ視認出来ません」
一方、アリサの指示した地点に向かっていたケイ達は、
『何も無いよー!!』
とケイがそう叫ぶ。そこには、大洗の戦車など1両も居なかった。
「そんな筈ありません!!まさか嵌められた?じゃあ、大洗の車両は何処に?」
そうアリサが呟いた時、すぐ側の竹柵を薙ぎ倒して来た八九式中戦車が現れた。
「・・・・あ」
「・・・・うん?」
突然の事に両者は固まる。そして、そのまま時間が停止したかの様に二人は見つめ合った。すると、磯部が八九式の砲塔を軽く叩いて
「右に転換!急げぇー!!」
とそう叫んで、八九式を急発進させる。それを見たアリサは、すぐに我に帰り
「蹂躙してやりなさい!!」
『連絡しますか?』
「するまでも無いわ!!撃てぇ!撃てぇー!!」
M4M1の砲塔を旋回させ八九式に砲身を向けて発砲するも、急いで旋回させた為照準が定まっていなかったので砲弾は逸れた。磯部は、直様無線を入れる。
『此方アヒルさんチーム敵フラッグ車0765地点にて発見しました!!でも、此方も見つかりました!』
「0765地点ですね!逃げ回って敵を引き付けて下さい!0615地点へ全車両前進!!武部さんメールをお願いします!」
「分かった!」
みほがそう言って武部は相手に無線傍受されない為に携帯のメールでチーム全員と連絡とを取る。武部のメールを見た秋人は、
「聞いたなミーナ!敵のフラッグ車は0615地点に向かっている!!直ちに0615地点に急行しろ!!」
「OK!わかったわ!!」
とそう言ってシャーマンが来る0615地点にティーガーを向かわせる。
一方、M4M1を発見したアヒルさんチームは、敵のフラッグ車をみほの指示通りに0615地点へと誘導していた。自分達が誘い出されているとは知らずアリサ達フラッグ車は、アヒルさんチームを砲撃しながら追い掛けていた。そんな時、磯部が発煙筒を取り出してM4M1に向けてフローターサーブを咬ます。そして、発煙筒はM4M1の前で炸裂し、白い煙がシャーマンのスコープの視界を奪う。
「何をやっている!相手は八九式だぞ!」
「視界が!」
「いいから撃て!」
とそう言ってアリサは視界が効かないにも関わらず攻撃を継続させる。だが、発煙筒の煙で視界を暴れ照準が定まらず砲弾は八九式の近くに着弾する。
「キャプテン!激しいスパイクの連続です!」
磯部に発煙筒を渡しながらあけびがそう言って磯部は
「相手のスパイクを絶対受けないで!逆リベロよ!」
「・・・・意味分かりません」
と磯部の言葉にあけびは何とも言えぬ表情でそう言い、アリサ達のシャーマンの車内では、
「早く装填しなさい!」
とアリサは、イラつきながら足踏みして、装填手の子にそう言って急かす。
「すみません、砲弾が遠くて・・・」
装填手の子がそう言うとアリサは
「機銃で撃ちなさい!」
「機銃で撃つなんてかっこ悪いじゃ無いですか!?」
「戦いにかっこいいも悪いもあるか!手段を選ぶな!」
アリサがそう怒鳴り砲手の子は泣く泣く砲塔に搭載されているブローニングM1919機関銃の7.62mmを撃ち始める。7.62mm弾を背後から受けるも弾く八九式は大洗のチームが待ち構えている0615地点へと向かっていく。
「八九式来ました突撃します!但し、カメさんはウサギさんとカバさんで守って下さい!ワシさんチームは、我々あんこうに着いて来てください!!」
とみほがそう言ってⅣ号を前進させる。ティーゲル改もⅣ号に続く、
「来たわ!前方から八九式とシャーマン!!」
「よしそれじゃあ、少し脅してやるか。砲塔10時へ、距離1204!対戦車榴弾装填!」
「了解!」
「装填完了!」
秋人は、照準をシャーマンから少しズラして撃つように指示する。
「車長、煙幕晴れます!」
「うわぁぁーーッ!!タ、タイガーに狙われている!?ストップ!ストップ!後退!!後退!!」
アリサがスコープを覗くとそこには大洗の戦車隊の砲身がこちらに向けられていた。更には左側面にはⅣ号とティーガーがこちらを狙っていたので直ぐに停車して後退したのでⅣ号の放った砲弾は外れた。
「Fire!」
とティーガーから放たれた8.8cm砲弾はシャーマン前方ギリギリのところを通過して行き森林の木に命中して木を薙ぎ倒した。
『大洗女子残り全車両此方に向かってきます!!』
アリサは慌てて無線でケイに連絡する。
「ちょっとちょっと、話が違うじゃ無い!?何で?」
『はい、恐らく無線傍受を逆手に取られたのかと』
とアリサが恐る恐る無線傍受の事をケイに伝えると、
「バカモーン!!」
『申し訳ありません・・・』
「戦いはフェアプレイでって、いつも言ってるでしょ!」
とケイがアリサを怒鳴り付け、アリサは縮こまった声で謝る。ケイが叱る中無線では砲撃音が響く。
「いいからとっとと逃げなさい!Herry up!!」
『Yes.ma'am!!』
そう言いアリサはM4M1を急発進させ全力で離脱する様に指示する。そして、アリサの救援に向かっているケイは、アリサの無線傍受の件に呆れて溜息をついた。
「う〜ん・・・無線傍受しておいて全車両で反撃ってのもアンフェアね。こっちも同じ数で行こうか」
するとケイは、ある案を思いついた。
「敵は6両、4両だけ私に付いて来て、あっちにはアッキーのタイガーいるのよね。それならナオミ出番よ!」
『Yes.ma'am』
とケイは、無線で指示する。ファイアフライの車内ではファイアフライの砲手ナオミがやっと出番かと言わんばかりに微笑んだ。
「それじゃあ、アリサを救助しに行くわよ!全車Go ahad!!」
ケイは、4両のシャーマンを引き連れてアリサの支援に向かう。
そして小高い丘の上では、聖グロリアーナのダージリンとオレンジペコは、
「まさかこんな展開になるとは・・・」
「ふっふっふ・・・まるで鬼ごっこね」
と紅茶を飲みながら微笑むダージリン。また、大会運営側では、
「アッハハハハッ!新鮮でいいわ。こんな追いかけっこ初めて見たわね!!さぉて、日向少佐一体どんな戦いを見せてくれるかしら?」
陸上自衛隊の最新式の10式戦車のキューポラの上で胡座をかいて座る蝶野亜美が豪快に笑いながら言う。