『まだ終わってねぇ!!勝手に終わらせてんじゃねぇ!!顔を上げ、前を見ろ!最後まで諦めちゃダメだ!諦めたらそこで試合終了だ。勝利の女神は諦めない方に微笑むんだ!!』
「でも・・・どうしたら・・・」
『勝てる勝てないの問題じゃない!大事なのは最後まで戦おうとする意志だ。やらない理由を見つけんじゃねぇよ!今、やれる可能性に賭けるときだろう!!いいか、進むも地獄、退くも地獄。どっちも地獄ならお前らは進んで地獄を選んだ方がいいに決まっているだろ!それに、シャーマンが安定装置を搭載していない限り走行中での命中は低い。今の隊長は、みほさんアンタだ!俺は、みほさんの指示に従う。隊長は、チーム全体の頭だ、頭がなくなちゃ何もかもお終いだ。こうした時にこそピンチをチャンスに変えるんだ!』
「(そうか、日向さんも軍の隊長だったんだよね。私がしっかりしなきゃ!)そうだよね、秋人さん最後まで諦めちゃダメだよね・・・・みんな落ち着いて!」
と秋人にそう言われたみほは自信を取り戻し無線機を取り大洗戦車に通信を入れる。
「落ち着いて攻撃を続けて下さい!敵も走りながら撃って来ますから、当たる確率は低いです!!フラッグ車を叩く事に集中して下さい!今がチャンスなんです!当てさえすれば勝つんです!諦めたら負けなんです!!」
とみほが無線でみんなにそう言う。
「諦めたら・・・」
「負け・・・・」
それを聞いてカバさんチームのエルヴィンとカメさんチームの柚子がそう呟く。
「いや、もうダメだよ柚子ちゃーん」
「大丈夫、大丈夫」
と河嶋は、泣きながら情けない声をあげ、それを柚子が宥める。
「西住殿の言う通りです」
「はい」
「そうだよね、諦めたら負けなんだもんね!!華、撃って撃って撃ちまくって!!下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって!!恋愛だってそうだもん!!」
と俯くみほに秋山と五十鈴の二人がそっとみほの手を握る。武部が自信を持ってそう言うが、
「いいえ、一発で良い筈です!」
「・・・・え?」
と五十鈴が冷静なツッコミを入れて武部は首を傾げる。五十鈴は、覗いていた照準スコープから小高い丘が見え五十鈴は、
「冷泉さん、丘の上へ」
と冷泉にそう言い五十鈴はみほに顔を向けて
「上から狙います」
その言葉にみほは頷き
「稜線射撃は危険だけど有利に立てる。賭けてみましょう」
「はい」
「行くぞ」
と冷泉はそう言ってⅣ号の速度を上げて丘へと登る。それを見ていた秋人達は、
『秋人さん、私達は丘の上へ行き稜線射撃を行います!』
「了解・・・・成る程、丘の上からフラグ車を狙撃するのか、俺達も丘へと向かう!Ⅳ号をサポートする!!お前ら準備良いか?」
「砲弾の装填も完了済みだぜ!」
「私もいつでも撃てるよ!」
「それじゃあ、行くわよ!」
Ⅳ号の後ろを秋人達のティーガー改も後を追う。それを見たケイは、無線でアリサに連絡する。
「上から来るよアリサ」
とケイにそう言われたアリサは驚き、
「2両はそのままフラグ車を追って!Ⅳ号は、私が相手をするからナオミ、あなたはアッキーの方を食い止めて頂戴!!」
『Yes ma'am』
とケイは、無線でナオミに秋人の相手をする様指示し、残りの戦車は38(t)を追うよう指示してケイのM4A3シャーマンとナオミのファイアフライが2両を追う様に丘へと登る。
「後方からファイアフライとシャーマンの2両が追って来たか・・・みほさん!聴こえるか?」
と秋人は、ファイアフライとシャーマンが追ってくるのを見るや否やみほに無線で連絡する。
『はい!秋人さん、どうしたんですか?』
「後方からファイアフライとシャーマンが接近中だ。俺が相手をするみほさん達は、そのまま丘の頂上に迎え!」
『大丈夫ですか!?』
「大丈夫だ、俺を信じろ」
『・・・・わかりました。気をつけて下さい!」
「あぁ」
そうして、無線を切ると
「車体を旋回させろ!」
秋人は、車体を旋回する様指示する。ティーガー改は、車体を180℃旋回させて、ケイとナオミの戦車の方に向き直る。
「隊長は、このままⅣ号を追ってください」
「えぇ、ナオミ!アッキーを頼んだわよ!!」
そう言って二人の横を通り過ぎて行くケイのシャーマン。ティーガー改とファイアフライがお互いに睨み合うと秋人とナオミがお互いキューポラから顔を出すと、
「(ケイを行かせてしまったか・・・・だが、今はファイアフライをどうにかしなければ)潜入偵察の時は世話になったな!改めて自己紹介しよう大洗女子学園戦車道特別助っ人ティーゲル戦車長日向秋人だ。あの時のガムはお気に召しましたか?」
「・・・・サンダース大学付属高校ファイアフライ砲手ナオミだ。あの時君から貰ったガム丁度今頂いているよ。それより、君はフラグ車の守らずに此処に来ていいのかい?ウチのフラグ車を狙うⅣ号も隊長が狙い撃ちにする」
「虎は気高い生き物だ。本来、決して群れることはない。そして、虎は一度狙った獲物を逃さない」
「何!?」
そう互いに自己紹介をすると、秋人は不敵な笑みを浮かべながら両手に嵌めていた白い手袋の片方の左手袋を取り地面に投げ付ける。決闘の申し込みだ。
「決闘ということか、受けて絶とうじゃないか」
「俺とお前の一騎打ちだ」
と互いにそう言って車内に戻る。
「戦車前進!ミーナ突っ込んで行け!!」
「仰せのままに」
とティーガー改は、前進し同時にファイアフライも前進する。
「用意、撃て!」
と秋人は発射指示を出し、綾乃は引き金を引く。
一方のファイアフライのナオミは、
「タイガーの主砲は強力だ、でもファイアフライの17ポンド砲なら例えタイガーの正面装甲でも撃ち抜ける!この一撃で決める!!」
とナオミはティーガー改の車体正面に照準を合わせて引き金を引き発射し、同時にティーガー改からも砲身から煙と爆音が出て放たれた二つの砲弾は両車に向かって飛んで行く。そして、二つの弾頭は接触擦りあった事で少し軌道がずれファイアフライの弾頭はティーガー改の左側面の砲塔を擦って行き車内の秋人達には衝撃と轟音が響いたが戦闘に支障は無かった。一方ティーガー改の弾頭はファイアフライの砲塔と車体の間に命中すると爆発と黒煙を上げるとファイアフライから白旗が上がった。この決闘秋人の勝利だ!
「勝負あり・・・だな。急いでケイのシャーマンを追うぞ!!」
一方、秋人とナオミの決闘にしている頃フラグ車を狙おうと丘の頂上に登っていたみほ達Ⅳ号に、ケイのM4A3シャーマンが狙いを付けて発射する。それに気付いたみほは、
「停車!!」
とみほの指示でⅣ号は急停車してスライドし、放ったらった砲弾はⅣ号の側に着弾した。砲弾が着弾すると直ぐ様Ⅳ号を発進させる。
「シャーマンが次の弾を撃ってくるまでが勝負!」
「分かりました」
とみほの指示に五十鈴はそう言い、Ⅳ号が丘の頂上に辿り着くとⅣ号は、砲塔を旋回や車体をさせてM4M1に照準を合わせようとする。そうしている間にもシャーマンはⅣ号の後ろから迫って来ていた。
「花を生ける時の様に集中して・・・」
と五十鈴は、そう呟きながらスコープを覗いて照準をフラグ車のM4M1に狙いを定める。
「装填完了しました」
「OK」
シャーマンが砲弾の装填を完了してⅣ号にトドメを刺しにかかる。
「華さんお願い・・・」
とみほは小声で念じるように言う。
「発射」
「ファイヤー!」
を合図にⅣ号とシャーマンの砲手が引き金を引き砲弾が発射され、Ⅳ号の放たれた砲弾はフラグ車のM4M1のエンジン部分に命中し爆発した。そして、M4A3シャーマンから放たれた砲弾がⅣ号のエンジンに被弾したのと同時にケイのM4A3シャーマンも突然エンジン部分が爆発ケイのシャーマンも被弾した。この連鎖的に起きた出来事、一体誰が何処からケイのシャーマンを攻撃したのか、それは秋人のティーガー改だった。秋人は、シャーマンがⅣ号に狙いを定めたのを見て直ぐ様、シャーマンに向けて砲撃したのだ。しかし、一歩遅くシャーマンの砲撃前に仕留める事が出来ず、Ⅳ号が撃破されてしまった。そして、撃破された3両から白旗が上がり暫く沈黙が走り、
『大洗女子学園の勝利!!』
と大洗女子学園の勝利を伝えるアナウンスが会場に響き渡り、観客席からも歓声の声が響き渡った。