大洗女子学園の勝利を伝えるアナウンスが流れた後、秋人のティーガー改は、エンジン部分から黒煙を上げて白旗を上げているⅣ号のいる丘へと向かってった。丘に来るとみほ達がⅣ号から出ていた。
「勝ったよ!みぽりん!」
「西住殿!」
「みほさん、やりました!」
「う、うん・・・・ありがとう華さん」
「みほさんが励ましてくれたお陰です」
「そんな、私は・・・・」
とみほ達あんこうチームは、抱き合ったり喜びを共有し合っていた。秋人は、戦車から降りてみほ達の方へ向かった。
「おめでとう、お前達。一回戦目は俺達の勝利だ」
「秋人さん、やったね」
と秋人は、みほ達を労いっていると、
『『『『『『西住隊長ーー!!日向さーーん!!』』』』
突然声がしたので、声がした方を向くとそこには、磯部達バレーチームと澤達一年チームが撃破されたアヒルさんチームの八九式とウサギさんチームのM3を牽引しているSd kfz6に乗って手を振りながら来た。
『『『『おーーい!!』』』』
すると、反対方向から生き延びたカバさんチーム三突とカメさんチーム38(t)こちらに向かって来た。三突の車体でエルヴィンとカエサルと左衛門佐が手を振り、角谷は38(t)車体の上から満面笑みを浮かべて勝利のVサインをした。
「一同、礼!」
『『『『『『ありがとうございました!!』』』』』』
試合が終了して集合場所に集まった大洗とサンダース両戦車道チームが、お互い並んで礼を交わす。すると、次の瞬間観客席から盛大な拍手が送られる。
「凄い拍手・・・」
「勝った〜」
と五十鈴観客席の拍手に圧倒されながらそう言い、武部は背伸びをして嬉しそうに言う。
「シャーマン相手に勝ってるなんて・・・・感激です!!」
と秋山は、嬉し泣きをする。すると、秋人の携帯が振動したので取り出すと一件のメールが届いた。
『日向さん、一回戦の初勝利おめでとうございます。日向さんは、こんな格言を知っている?勝って兜の緒を締めよ』
とダージリンからのお祝いのメッセージが届いた。そこには、日露戦争の東郷平八郎元帥の格言が添えられていた。戦いに勝っても、油断せず気を引き締めよと言う事だ。
「分かってますよ」
そう言って秋人が携帯を閉じてポケットにしまうと
「秋人さん・・・」
みほが秋人の所に近づいて来た。
「ありがとうございます。あの時、秋人さんが励ましてくれたおかげで勝つことが出来ました」
「俺は、別に励ますなんて大層な事はしていない」
「え?そんな事・・・」
「俺がした事なんて大した事ない。あれは、みほさんがチーム全員を引っ張ったから成し得た事だ。それに、フラッグ車を撃破したのは紛れもないみほさん達あんこうチームだ。堂々と胸を張って誇りに思え」
「ありがとう・・・・」
秋人にそう言われてみほは少し顔を赤くしてお礼を言う。すると、
「ハーイ、アッキー!」
「よう、ケイ」
とケイがやって来た。
「貴女が大洗のキャプテン?」
「え?あ、はい!」
とケイは、みほを見て
「へぇ〜、もしかして貴女がアッキーの彼女かしら?」
「か、か、彼女だなんて・・・そんな」
「あら、違った?だって、貴女屋台料理食べている時アッキーの事10回以上は見つめていたから」
「え?」
「はう////!」
とケイに言われ秋人は、少し驚きみほは顔を赤くして目を回す。
「俺の車長としての強さの秘訣でも観察してたんじゃないか?」
「もぉ〜、アッキーたら鈍感ね。女の子が男の子を見つめるのは、その人の顔に何か付いてるか、その人に恋している時って決まってるんだから」
とケイに言われた秋人は、少し考え込んでみほに向き直る。
「あのさ、みほさん。ちょっと聞きたい事があるんだけどよ」
「は、はい!」
とそう言って秋人は、みほに詰め寄る。みほは、顔を赤くしてドキドキと心臓の鼓動が速くなっていく。そして、秋人から放たれた言葉は、
「・・・・俺の顔に何か付いているのか?」
『・・・は?』
と秋人が放った言葉に周りは唖然とした。あれ?俺何かまずい事言ったか?みんな目を丸くしてシーンとなっちゃたよ。
「はっはっはっ。ま、まぁ、アッキーは天然みたいね」
「俺は病院で産まれたが?」
『そういう所だよ!』
と秋人の言葉にみんな苦笑いを浮かべてそう言い、もうこいつ天然記念物に認定しても良いと思っていた。
「それより貴女達の戦いだけど、エキサイティング!!こんな試合が出来るとは思わなかったわ!!」
「はわわわっ!?」
「ほぇ?」
とケイは、笑みを浮かべてみほと秋人を同時に抱き着いてきた。嬉しかったのか抱き締める力が強くなる。
「あ、あの・・・」
「何?」
みほが話しかけるとケイは、抱き締めていた腕を離す。
「あの、5両しか来なかったのは?」
「貴女達と同じ車両数だけ使ったの」
「どうして?」
みほが理由を聞くと、ケイは微笑み腕を広げて高らかに言った。
「戦車道、これは戦争じゃない!道を外れたら戦車が泣くでしょ?」
そうケイが戦車道について説くとみほは、嬉しそうな顔をする。戦車道は戦争じゃない、か。と秋人は複雑そうな顔をする。すると、ケイの顔がばつが悪そうになる。
「無線傍受で盗み聴きなんて、つまんない事して悪かったわね」
とそう言ってケイは、後頭部を掻きながら無線傍受の件について謝罪する。
「いえ、もし全車両で来られたら間違いなく私達が負けてました」
そう言ってみほが謙遜するとケイが手を差し出して来た。
「でも、勝ったのは貴女達」
「ありがとうございます!!」
ケイが差し出した右手をみほは、両手で取って握手をする。そして、手を離すとケイは、秋人にも握手を求めて来たので、秋人はそれに応える。
「それにしても、アッキーには驚かされてばかりだわ。サンダースでも指折りの実力の砲手のナオミが倒されるなんて思わなかったわ」
「俺はそんな大層なものじゃない。偶々、ファイアフライに勝てただけだ」
「アッキーは、自分を謙遜し過ぎよ。今回は負けちゃったけど次は勝つわ。ナオミもアッキーとのリベンジを望んでみたいだし」
「あぁ、俺はいつでも相手になってやるぜ」
と握手をしながら秋人とケイはお互いにリベンジする事を誓い合う。すると、ケイは、ニヤと笑いながら
「えいっ!」
「ほぇ!?」
『あー!!』
ケイは、秋人の頬にキスをした。秋人は目を丸くして間抜けな声を出して周りにいたみほ達あんこうチームは顔を赤くしていた。
「それじゃあ、大洗のキャプテン、アッキー」
とケイはサンダースの仲間の元へと帰って行った。そして、ケイは待たせているアリサの肩に手を置き『反省会』と言うとアリサの顔が青ざめ、ナオミが仕方がないと言うように肩を軽くポンポンと叩いていた。まぁ、自業自得だな。
その後、夕方になり辺りは夕陽に染まり、みほ達は学園艦へと引き上げて赤くサンダースのシャーマンを見送っていた。
「さぁ、こっちも引き上げるよ!お祝いに特大パフェでも食べに行く?」
「行く」
「どうせだったら日向さんも一緒に行こうよ」
「まぁ、いいけど」
と武部がそう言い、冷泉は即答する。武部に誘われたので秋人も行く事になったが、もう晩飯前だってのに君達よくそんなの重いの食べられるなぁ。しかも、俺はあまり食べいのに財布の中身が軽くなる。そんな事をしていると、にゃーにゃーと携帯の着信音が鳴っていた。
「麻子鳴ってるよ携帯?」
武部にそう言われて冷泉は携帯を取る。
「誰?」
「知らない番号だ」
と冷泉は、自分も知らない番号だと言って通話ボタンを押す。
「はい・・・・えっ?・・・・はい」
すると、突然冷泉の顔色が変わって動揺し始める。そして、冷泉が電話を切ると武部が
「どうしたの?」
と聞いて来たが
「いや・・・なんでもない」
と冷泉は、そう言うが手が震えていて手に持っていた携帯を落とした。明らかにただ事ではない。
「何でも無いわけないでしょ!」
「取り敢えず話してみろよ」
と武部と秋人が心配そうに冷泉に問いただす。冷泉は、悲しそうな顔でポツリと
「おばあが倒れて・・・病院に・・・」
「「「「!?」」」」
その言葉に皆驚き緊張が走る。
「麻子大丈夫!?」
「早く病院へ!」
「でも、大洗までどうやって・・・」
「学園艦に寄港してもらうしか・・・」
「撤収まで時間が掛かります」
とみんながどうにかして冷泉を大洗の病院まで連れて行こうと話し合っていると冷泉がローファーと靴下を脱ぎ始めたので、みほ達が必死に止める。
「麻子さん!?」
「何やってるのよ麻子!?」
「泳いで行く!!」
「馬鹿言うな冷泉さん、無計画にも程があるぞ!此処から大洗まで何百キロ離れていると思ってるんだ!!溺れ死ぬか鮫の餌になりに行くようなもんだ!!みすみす死にに行くようなもんだ!」
「止めるな!日向さん、私は行かねばならない」
「待って下さい冷泉さん!」
みんなの静止も聞かず冷泉は羽交い締めにされても尚、大洗まで泳ぐつもりでいる。すると背後から声がした。
「私達が乗って来たヘリを使って」
声がした方を振り返るとそこには、黒森峰の隊長西住まほと副隊長の逸見エリカがいた。
「急いで!」
「隊長!こんな子達にヘリを貸すなんて!?」
「これも戦車道よ」
ヘリを貸す事に反論を唱えるエリカをまほは、一言で黙られる。そして、一同がヘリポートに向かうとヘリポートでは黒森峰が所有する『フォッケ・アハゲリスFa223 ドラッヘ』があり、操縦席に座るエリカよって、離陸準備に入っていた。
「操縦頼んだわね」
『はい・・・』
「早く乗って!」
「私も行く!」
まほが急ぐ様に言うと冷泉は、Fa223に乗り込むと、武部も冷泉が心配なのか付き添いで乗り込む。そして、Fa223は離陸して行った。それを見届けたまほは、無言のまま立ち去ろうとする。
「お姉ちゃん、ありがとう・・・」
とみほは、まほとすれ違い様にお礼を言う。まほは、無言のまま離れると、みほ達より少し後ろで見ていた秋人の元へとやって来た。
「冷泉さんの事について、礼を言わせてもらう」
「いや、これも戦車道だ。所で、君に少し聞きたい事がある」
「何か?」
「君とみほの関係を教えて欲しい、みほはああ見えて人見知りが激しい。男性と一緒に居て話すのが珍しい、余程な事がない限り」
とまほは、秋人とみほの関係について尋ねて来た。まぁ、確かにみほさんは見るからに人見知りな所があるからな。この人、なんだかんだで妹の事気にかけてるんだな。
「別に俺とみほさんは貴女が思うような関係じゃない。そうだな、敢えて言うなら命の恩人、そして大切な友人だ」
「そうか・・・君から見てみほの学園生活はどうだ?」
余程気になったのかそれを聞いて、まほはホッした様に胸を撫で下ろす。あれは、妹を心配して想う姉心ってやつか。そりゃそうか、行き成り自分の妹に見ず知らずの男がそばに居たらその関係を気になるものか。そして、次にまほは、みほの心境について聞いて来た。
「それは、俺じゃなくみほさん本人に聞けばいいじゃないのか?」
普通他人に妹の心境報告とか聞くだろうか?姉妹なんだから連絡取り合えばいいだけだろうに。
「私は、みほから避けられているからな。姉として私は、みほに何もしてやれなかった。みほの事を何も分かってやれなかった」
そう言えば、喫茶店の時もみほさんは、姉さんから距離を取っていた様な気がする。
「細かいことは俺は知らないが、俺の知る限り学園でのみほさんはあの子達とうまくやって行けている。・・・・・だが、自分を想ってくれる姉がいて他に何がいるんだ?俺は、欲しかったよ貴女みたいな姉が・・・・」
「日向・・・」
「皮肉なもんだな、本当に大切なものって、持ってる人より持ってない人の方が知ってるものさ。だからよ、みほさんの事大事にしてやってくれ」
そう言って秋人は、立ち去ろうとしているとまほが
「ちょっと待て、最後に君の連絡先を教えてくれ」
「まぁ、構わないが・・・」
と秋人はポケットから携帯を取り出してまほの携帯の連絡先を登録する。登録し終えると秋人は、みほ達の元へと行き、まほはその場を立ち去って行った。
一方、大洗女子学園生徒会では、生徒会長の角谷杏と副会長よ小山柚子、生徒会広報の河嶋桃が壁に張られている大会の予選表を見ていた。
「明日は、プラウダ高校。明後日は、黒森峰女子学園がそれぞれ一回戦の試合だな」
「まぁ、順当に勝つだろうね」
そう言って角谷は、干し芋を頬張る。三人が注目しているのは去年の優勝校と準優勝校の二校。予選表では、一回戦目は黒森峰女学園と知波単学園、プラウダ高校とボンプル高校となっている。