武部の家で、イタリア料理をご馳走になった次の日。アンツィオ校との2回戦を前日に控え、学園の廊下ではみほ、五十鈴、武部の三人が話しながら歩いていた。すると、みほ達と反対方向から金髪に猫耳カチューシャに、瓶底メガネを掛け長身の女生徒がみほ達に声を掛けようとしたが
「へぇ〜継続高校って結構強いんですね」
「うん、前に練習試合の時苦戦したんだよね」
「黒森峰なのに?」
「そうなの!危なかったんだ」
「うちとどっちが強い?」
「やってみないと分からないけど、隊長が凄く優秀な人で・・・・」
失敗し、三人はその生徒に気付かないまま過ぎ去って行った。女生徒は、その場でボーッと突っ立っていた。
「また声かけれなかった・・・・もうダメだチキンハートボク・・・・・次はきっと頑張るんだ、ねこにゃー!」
「何をしているんだ?」
「え!?」
突然声を掛けられた事で驚く彼女は振り返るとそこに秋人がいた。
「えっと・・・君って確か・・・・生徒会新聞で・・・」
「日向秋人だ。戦車道の助っ人で、この学園の警備員をしている」
秋人達、この時代にやって来て衣食住と大洗の生徒会に養ってもらっている。流石に、それはどうかと言う事で戦車道以外の時間は学園の警備員をすると言うで契約し、学園で生徒と接触しても警備員と言う身分でいた方が何かと都合がいいのだ。
「ボクねこにゃーです」
「いや、本名で頼む」
「ね、猫田です。日向くんって・・・僕と歳・・・そんな変わらなそうなのに警備員しているんだ。学校は・・・?」
「あぁ、俺はもう大学出て自由の身だからと言っても歳は17だけど」
そう答える秋人に、苦笑いで応えるねこにゃー、
「そ、そうなんだ」
「それよりみほさん達に何か?」
「実は、ボクも戦車道に入りたくて・・・」
「それで、みほさんに声を掛けようとしたと」
「う、うん」
「それで、戦車道の経験は?」
「リ、リアルでの操縦はした事ないけど、ネットなら何度もやってるから動かし方はわかるよ」
「つまり、ゲームだけか・・・・取り敢えず戦車道に入るんだったら体力をつけた方がいい、戦車を操縦するにしても少し体力をつけた方いい」
「ボ、ボクが戦車道に入ってもいいの?」
「うちは来るもの拒まずだから大丈夫だろ、むしろ会長達は大歓迎だろう。後、可能ならあと二、三人メンバーが必要だ」
「ボ、ボクと同じ様な人が居ないかネット仲間に聞いてみるね」
「わかった。メンバーが揃ったら教えてくれ」
「ありがとう、日向くん・・・・・明日の試合頑張ってね」
「あぁ、ありがとう」
とねこにゃーは礼を言い、秋人は去って行く。
そして、2回戦当日『第63回戦車道全国高校生大会第2回戦』今回のステージは山岳、荒れ地に森。
『これより・・・・2回戦第四試合アンツィオ高校対大洗女子学園の試合を開催します』
試合開始前のアナウンスが流れ、観客席には大勢の観客が訪れていおり、聖グロリアーナのダージリンやサンダースのケイ達も観戦に来ていた。
「ここがポイントです」
そうして地図を見て確認していると、一台のAS42サハリアーナがやって来た。運転するカルパッチョの横で腕を組んで立ち乗りしているアンチョビの姿があった。
「たのもぉー!」
高らかな掛け声と共にやって来たアンチョビ
「お〜チョビ子」
角谷が手を振りながらそう言うと、アンチョビが不服そうな顔をしてAS42サハリアーナから降りて来た。会長とアンツィオの隊長は知り合いみたいだ。
「チョビ子と呼ぶな!アンチョビ!」
「で、何しに来た安斎?」
「アンチョビ!試合前の挨拶に決まってるだろ!」
そして、アンチョビは気を取り直し
「私はアンツィオのドゥーチェアンチョビ。そっちの隊長は?」
ビシッと!擬音語が付かんばかりに指を指しながらアンチョビがそう言うと河嶋がみほを呼び寄せる。
「おい、西住」
「あ、はい」
河嶋に呼ばれたみほは、アンチョビの所に行くとアンチョビが
「ほ〜あんたがあの西住流か?」
「西住みほです」
そう言ってみほはお辞儀をし、アンチョビはみほを上から下まで見て言った。
「ふん!相手が西住流だろうが島田流だろうが私達は負けない・・・・・じゃなかった!勝つ!!今日は、正々堂々勝負だ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
とアンチョビから握手を求められ、みほもそれに応じる様に握手を交わす。その後、アンチョビが大洗の陣営を見回す。
「それで、最近噂になっている助っ人チームのリーダーは何処だ?彼にも試合前に挨拶をしておきたいんどが」
「え、秋人さん?えっと秋人さんは確か・・・・・あ、居た!」
アンチョビが秋人に挨拶がしたいと言うので、みほは辺りを見回していると、
「秋人さん、ちょっといいですか!」
「ん?」
ティーガーにもたれ掛かっている秋人を見つけて呼び寄せる。
「何だい?みほさん」
「アンチョビさんが、秋人さんに挨拶がしたいって」
「俺に?」
とそう言って秋人は、アンチョビの前に出る。
「 お前が今噂になっている・・・ん!?お前は!?」
「何か?」
アンチョビが秋人の顔を見るなり驚いた。
「い、いや!!何でもない、お前が大洗の貴公子か。会えて嬉しいぞ、私がアンツィオ校のドゥーチェアンチョビだ!」
「どうもアンチョビさん、俺は日向秋人だ。それと、できれば名前で呼んでほしい。その呼び名は、あんまり好きじゃない」
とアンチョビがあの記事での秋人の呼び名を言って来たので秋人自身あんまり好まないので名前で読んでもらうことにした。二人は、自己紹介をして互いに握手を交わす。
「お前のチームの事は、私が買っている先月の戦車道月刊で日向の事が大々的に載って興味を持った。こうして、戦えるのを楽しみにしていた。我が校だけでなく、他校のチームでもお前たちのチームの事はかなり有名だと思うぞ」
「それは、嬉しいな」
「しかし、それ程の実力があるのに何故これまで全国大会に出なかったんだ?日向程の実力があれば全国大会を狙えただろう」
「まぁ、・・・・こっちにも色々と事情があるからな。取り敢えず、お互いスポーツマンシップに則って全力でやろう」
「う、うん」
秋人とアンチョビが笑顔で話しているその様子を見ていたみほ達は、複雑な顔をして見ていた。
「またか?」
「まただね」
「まただな」
「まったく、あのジゴロ・・・」
とミーナ達は、呆れ顔でそう言う。そんな中、
「ん?ひなちゃん!?」
「たかちゃん!久しぶりー!!」
「ひなちゃん!久しぶりー!!」
大洗陣営に来てからキョロキョロとしていたカルパッチョにカバさんチームのカエサルが気付き、カルパッチョはカエサルに駆け寄り二人はお互いの手を握る。
「たかちゃん、本当に戦車道始めたんだね。びっくりー、ね、どの戦車に乗ってるの?」
「えへへ、ひみつー」
「え〜、まぁそうだよね、敵同士だもんね」
と話し合っていた。そんな、いつものカエサルと違う性格を見て、他のカバさんチームは
「たかちゃんってだれぜよ?」
「カエサルの事だろ」
「いつもとキャラが違う」
今まで、他の歴女達の知らない一面を目撃して唖然とした。
「でも、今日は敵でも私達の友情は不滅だからね」
「うん、今日は正々堂々戦おうね」
「試合の前に会えてよかった。もう行くね、ばいばい」
「ばいばい」
カルパッチョが自陣へと帰っていくのをカエサルは手を振って見送り、カエサルが後ろに振り返ると
「たーかちゃん♪」
「カエサルの知られざる一面発見」
「ひゅーひゅー」
他の歴女達は、ニヤニヤした表情でカエサルを茶化す。
「なっ・・・・なんだ!何がおかしい!」
カエサルは顔を赤くしてそう叫ぶのだった。