「Panzer Vor!」
「Avanti!」
試合開始のアナウンスが鳴ると共に、大洗とアンツィオ両チームの戦車隊が一斉に動き出す。
「行け行け!どこまでも進め!勝利を持ち得る者こそごパスタを持ち帰る!」
「最ッ高すよアンチョビ姐さん!」
フラッグ車であるP40のキューポラから上半身を出して無線でアンチョビがそう言い、CV33に乗るペパロニが興奮しながらP40と並びながら走行する。
「テメェらもたもたすんじゃねえぞ!このペパロニに続け!地獄の果てまで進め!」
『おぉー!!』
興奮気味なペパロニの言葉に他のカルロベローチェの乗員の子達も声が上がる。そのままペパロニ達は、アンチョビのP40を追い越して先行して行く。
「よし、このまま『マカロニ作戦』開始!」
「カルロベローチェ各車は、マカロニ展開して下さい!」
無線で、アンチョビとカルパッチョが作戦展開を指示し
「OK!マカロニ特盛で行くぜ!」
そうして、カルロベローチェ部隊は森の奥まで入ると急停車して、そのまま乗員は降車すると、車体後部のエンジンルームの上に積んでいた を下ろしてどこかに持って行く。
一方の大洗は、山を登りアヒルさんチームの八九式を偵察のために先行させる。
「先行するアヒルさん。状況を教えて下さい」
急斜面を登って行く八九式のキューポラから磯部は顔だけ出して辺りを警戒する。
「十字路まであと1キロほどです」
『十分注意しながら、街道の様子を報告して下さい。開けた場所に出ない様気を付けて!』
「了解!ずっとコート外行くよ!」
「はい!」
磯部がそう言って川西は八九式を十字路へと向かって行き、街道手前に着くと八九式が停車して磯部がキューポラから身を乗り出して
「街道手前に到達しました。偵察を続けます」
双眼鏡を取り出して辺りを見回す。そして、磯部の視線の十字路には既にアンツィオの戦車が展開していた。
『セモベンテ2両、カルロベローチェ3両。既に十字路配置!』
「十字路の北側だね?」
無線でアンツィオの位置を聞いた武部がそう答える。
「もう、陣地展開していたか。流石高速の豆戦車を保有しているだけあって、向こうに地の利があるな」
と無線を聞いて秋人は少し感心しながらそう呟く。
カメさんチームの河嶋は、
「それなら南から突撃だ!」
『でも、全集警戒の可能性もあります』
「相手はアンツィオだぞ!ありえん!!ここは、直行だ!」
「突撃いいね〜」
突撃を渋るみほに、声を荒げる河嶋に角谷は賛同する。みほは、
「分かりました。十字路に向かいましょう。ただし、進出ルートは今のまま行きます」
「直行しないんですか?」
「ウサギさんチームのみ、ショートカットで先行してもらいます。まだ、P40の所在も分かりませんから、我々は、フィールドを抑えつつ行きましょう」
みほが、そう言うとウサギさんチームのM3が隊列から離れて丘の斜面へと登って行く。
『ウサギさん、十分気を付けて下さい』
「頑張ります」
みほがそう言うと梓がそう言う。そして、磯部からみほに無線で連絡が入る。
『こちら、アヒルさん。変化なし、指示をください』
「本隊が向かいますので、そのまま待機でお願いします」
武部にそう言われ、磯部は双眼鏡でアンツィオを見張っていた。
「う〜ん・・・・動きがないな・・・」
「エンジンも切ってますね?」
双眼鏡で見張っている磯部とキューポラから身を乗り出す佐々木が先からずっと動かないアンツィオ戦車に不信感を募らせる。
一方のウサギさんチームは
「速〜い、練習の成果だね」
坂口の操縦するM3が、かなりの速度で坂を登っていた。
「きゃ〜もっと飛ばして!」
「出過ぎ出過ぎ!!もう、街道だよ!!止めて止めて!」
梓がそう言うと、坂口はM3を急ブレーキを踏んで急停止させようとするが速度がかなり出ていた為急には止まらなかった。M3はそのまま街道に勢いよく飛び出た。その時梓が木々の間からアンツィオの戦車を発見した。
「後退!後退!」
梓は、直ぐに後退するように言い坂口は急いでM3を後退させる。
『街道南側敵発見!すみません、見られちゃったかも』
「発砲は?」
『ありません』
「くれぐれも交戦は避けて下さい!」
「分かりました!』
ウサギさんチームから通信を受けたみほは、すぐに指示を出す。
「一番の要所を完全に抑えるなんて、流石アンツィオですね。ノリと勢いで攻めてくると思ったんですけど、今回はノリと勢いを封印して来るとは当てが外れましたね」
と秋山が膝の上に地図を広げて感心したようにそう言う。
「持久戦に持ち込もうと言うのでしょうか?」
『態と中央突破させて、自慢の足で包囲する作戦かもしれない』
みほ達が地図と睨まこしていると秋人が無線でそう呟く。
「ウサギさんチーム、陣取っているアンツィオの車種と数を教えてくれ!」
『はい、えっと・・・カルロベローチェ4両、セモベンテ2両が陣取っています』
「なに!?どう言う事だ数が合わないぞ?間違いないのか?」
『はい、間違いありません』
秋人が、詳細を聞くと梓と丸山が戦車から降り茂みに隠れ双眼鏡で確認する。梓からの報告を聞いて違和感を感じた。
「どう言う事だ?・・・・みほさん、大会規定では2回戦は10両までだったな」
『はい、大会ルールではそうなってます』
「妙だな・・・」
「確かに妙ね、アンツィオ戦車の数が一致しないなんて、インチキかしら」
「いや、アンチョビがそんな卑怯な真似をするとは思えない。それに妙なのはそれだけじゃない。敵がウサギさんチームを見過ごした事もそうだ。いくら停車していたとは言え敵が来たら気付くはず、それが全車見逃すなんてあり得るのか?」
「確かに」
と秋人はアンツィオ戦車の数が合わない事もそうだが、一両も発砲してこない事に不審に思った。
「数が釣り合わず発砲してこない戦車・・・・・まさか!?みほさん」
『秋人さんもやっぱり』
「あぁ、俺たちの考えが間違いじゃなければ」
『はい、ウサギさん、アヒルさん退路を確保しつつ、斉射して下さい。反撃されたら直ちに退却!』
『『了解!』』
そして、アヒルさんチームとウサギさんチームは其々前方の敵に向かって主砲や機銃を発砲する、放たれた機銃と砲弾はアンツィオのセモベンテとカルロベローチェに命中するが、撃破を示す白旗は上がらず機銃で貫かれたり砲弾で木っ端微塵に吹っ飛んだ戦車の絵が描かれた木の板だった。
「なっ!?」
「看板!?」
「板だ!?」
「「「ニセモノだー!!??」」」
自分達がずっと見張っていた敵の正体が木の看板だった事からアヒルさんチームとウサギさんチームから驚きの声が上がる。
「相手さん、看板を囮にして混乱しているところをアンツィオ自慢の機動力で三方向から包囲して狙い撃ちにしようって作戦だな。欺瞞に出てきたみたいだけど・・・・爪が甘かったみたいだが」
秋人がアンツィオの作戦をご丁寧に解説して
「なかなかいい作戦じゃない。いい勉強になったんじゃない」
「どんな奇抜な作戦でも秋人には通用しなかったみたいだけど」
「経験が違うんだよ」
綾乃と幸也が笑いながらそう言っていた。
「まぁねそれで、これからどうする西住さん」
『考えがあります。ウサギさん、アヒルさん』
とみほは、無線でウサギさんチームとアヒルさんチームに指示を出す。今度はこちらの番だ。