「2013年だと!?俺たちがいるのは1944年だぜ!!2013年って70年後の未来じゃないか!?」
「まさか、私達がちょっと気絶している間に70年の時が流れた訳じゃないよねえ!?」
「けど、僕達全然歳はとっていないよね?本当に70年後なら僕達は80超えの老人に成っている筈だよ?」
「それに、数時間気を失っていただけでそこはもう未来だったなんてそんな小説みたいな事・・・」
「まるで、『彷徨えるオランダ人』みたいだ」
と良と綾乃が驚愕し、幸也とミーナは疑問を浮かべていると秋人は18世紀アフリカ喜望峰沖で嵐に遭遇してから港にも帰れず永遠に海を彷徨う伝説の『彷徨えるオランダ人』に例えた。すると、
「じゃあ僕達は、本当に未来の世界しかも70年後のの日本にいるって事!?」
「そんなまさか!!」
と騒ぎ立てる。一方それを他所に角谷達は、
(会長、彼等のあの反応を見る限り嘘をついている様には見えないですし、もしかしたら彼等はタイムスリップして来た人達なんじゃあ)
(タイムスリップって、あの過去や未来の時代に時空移動する?どう思う河嶋、彼等がタイムトラベラーだと思う?)
(にわかには信じられないませんが、彼等の持っていた銃や刀が本物だった事に加えて、彼等の乗っていた戦車の登録番号を調べてみましたがどこの学校の物とも一致しませんでしたから断定は出来ません)
と耳打ちし、角谷達の左隣のみほ達も
(え〜とっ・・・つまりあの人達は現代の人じゃなくて過去の人っ事かな?)
(そう言う事ですよ西住殿!まさか、ドイツ軍精鋭部隊の『グロースドイッチェラント』師団に日本人が居たとは知りませんでした)
(要するにあの人達は、過去からやって来たって言う事なの!?)
(これはあまりにも荒唐無稽な仮想小説の内容見たいです!)
とそんな事を耳打ちするみほ達、すると秋人達は、冷静に落ち着きを取り戻すと秋人は生徒会役員とみほ達に向き直り真顔でこう問いかけた。
「本当に此処が未来の世界なら、教えてくれ戦争はどう成ったんだ?」
『!!』
と秋人からそう聞かれて一同はばつが悪そうな顔をする。
「それを聞いていいの?君達にとっては残酷な事実かもしれないそれでも聞くの?」
「構わない、それに知りながら目をそむける者は知らずにいる者よりも罪は重い!」
「そう、世の中には知らない方が幸せって言うけどわかったよ」
秋人達に、その後の戦争の行方を説明する為この中で一番そう言うのに詳しい秋山が適任と考え角谷は、秋山に任せる事にした。
「では、ここからは秋山優香里がご説明させていただきます!!」
そこから秋人達は、秋山の話を聞いて唖然とする。1944年6月にアメリカ・イギリス連合軍がフランスノルマンディーに上陸を開始しドイツは西からアメリカ・イギリス軍東はソ連軍と挟まれる形となった。その後も続くドイツの戦況悪化や連合軍の度重なる空襲。そして1945年4月30日ドイツ第三帝国総統アドルフヒトラーが自殺し5月2日ソ連赤軍によりベルリンが陥落ドイツ第三帝国崩壊ドイツは無条件降伏した。8月15日同盟国である日本も無条件降伏し第二次世界大戦が終結した。そこからナチスドイツのユダヤ人の大量虐殺などが発覚しドイツは戦争責任を問われた。戦後ドイツはアメリカとソ連に東西で分割統治され西ドイツと東ドイツに別れ再びドイツが統一したのが1990年10月3日「東ドイツ」が『ドイツ連邦共和国』に編入された。
「そうか、結局ドイツは戦争には勝ってなかったか」
「私達のやって来た事は全て無駄だったって言うの!!」
「クソ、俺らは何の為にここまでして来たんだよ!!」
と悔しそうに悪態をつくも直ぐに冷静さを取り戻した。
「次は私達が、君達に訊く番だね〜」
と今度は角谷が、秋人達がどう言った経緯でここに来たのかを訊いてきた。
そして、秋人はことの経緯を話す。第二次世界大戦が始まり秋人達は様々な理由から軍に志願して、1941年6月に第6軍に配属されソ連侵攻作戦『バルバロッサ作戦』に参加したが、戦争初期ドイツ国防軍は実戦経験のない秋人達をとるに足らない格下の連中だと見下していた。国防軍は、秋人達をみくびり日本人は25口径の拳銃しか使えず戦車もろくに動かせないとバカにしていた為、自分達は戦場で手柄を立てる必要があったのだと。でも、秋人達の強さは直ぐに知れ渡ったのだ。最初は慣れない戦場で戸惑っていたが激戦を重ねる事によって次第に鍛えられていき腕を磨いた秋人達は、数々の戦場で国防軍の為に戦線を突破して道を切り開いて行ったのだと。その後秋人達はその功績が認められてドイツ国防軍のエリート部隊『グロースドイッチェラント』師団に配属になり、最大の市街戦スターリングラードの攻防戦や第三次ハリコフ攻防戦、史上最大の戦車戦クルスクの戦い、トゥルグ・フルモス攻防戦にも参加した後、1944年の5月ソ連軍が大規模な攻勢に出た為秋人達が単独で阻止を図り多数のソ連軍戦車を撃破するもその間に秋人達の戦車が損傷を負い撤退し森で意識を失った事を話した。
「話を聞く限り君達は、何かの拍子で時代を超えて未来にやって来たと考えられるんだよね〜」
「そうなるのかな?」
「それで俺らこれからどうすればいいんだ!!」
「その事で君達と話をしに来たんだよ。君達は、これからどうする?元の時代に戻りたい?」
杏が秋人達の今後の事についての話に移った。
「いいや俺達は生きているそれだけで十分だ」
「家族のことは?親兄弟とかは」
「親は空襲で死んだし生きていたとしても戦死通告を受けた筈だ。戻る必要はない死人は戻らなくていい。それに例え戻れたとしても俺らにはもう居場所はないしソ連軍を散々苦しめた俺達をソ連赤軍が見逃してくれるはずがない恐らく激しい報復が待っているだろうな」
「そうなると君達はこれからどうやって生活していくの?」
「そうよ、住む場所はそれに生活費とかはどうするの?アルバイトをして稼ぐにしても履歴書の作成や住民票とかが必要になるんだよ?」
「そうだ。お前達は過去の人間なんだ、本来なら存在してはならないんだぞ!それに、お前達この時代の日本のお金なんか持っていないだろ!!」
「確かに僕達の今後の生活を考えると衣食住も必要だねぇ。それに僕達の待ち合わせってドイツのライヒスマルクしか持っていないよ」
「そこで、君達に提案なんだけど〜、まず第一に君達が大洗女子学園に身を置くそうすれば色々と援助してあげるし、君達の身の安全や秘密の保障を取り付けてあげるよ」
と杏は、秋人達に都合のいい提案を持ちかけて来る。しかし、これには何か裏があると感じた秋人は、こう問い返す。
「それで、見返りは何だ?そこまでしてくれるからには何かしら条件があるんだろ?」
「察しがいいね〜話が早くて助かるよ日向秋人君。実は君達と君達の乗っていた戦車共々うちの学園の戦車道に入って手を貸してほしいんだ。これが条件なんだよ〜」
と秋人達には拒否権がない条件だった。確かにこの時代そしてこの日本には秋人達の頼れる身寄りがない為、断る事は得策ではないと考える。