『アヒルさんチーム、応答して!こちらワシさんチーム、返事して!!』
「その声は・・・・ 紅月さん!?」
「「「ええっ!?」」」
緊張が走る車内に、通信が入る。その声に聞き覚えがあり驚愕に満ちた磯部の声に、アヒルさんチームメンバーが驚く。
『遅くなってご免なさいね、でも私達が来たからにはもう大丈夫よ。貴女達が護衛するわ』
『アヒルチーム、よくここまで持ち堪えた。後は、俺達に任せてくれ!お前の護衛は俺達が引き受ける!』
「あ、ありがとうございます!!」
ミーナと秋人がそう言って磯部は目尻に涙を浮かべながら礼を言う。
「ミーナ、このまま敵に突っ込め!!良、徹甲弾の準備だ!」
「「了解!」」
秋人達ティーガー改はプラウダの本隊に向かって突っ込んでいった。それは、まるで羊の群れに飛び込む狼のように
一方、プラウダは予想もしなかった事態に混乱していた。
「アキーシャ!?上等じゃないの!ノンナはフラッグ車を叩きなさい!他の車輛はあのティーガーを叩き潰しなさい!」
『『『『『『『『『だ、Да!!』』』』』』』』』」
カチューシャの指示で、他のT-34/85の軍団が一斉に砲口を向けさらに秋人の乗るティーガー改もT-34/85の軍団に主砲を向ける。だが、向かってくるティーガー改は臆する事無く、軍団に向かって突っ込むとその内の1輌に強烈な体当たりを仕掛けて弾き飛ばしたのだ!
「なっ!?」
「う、嘘ッ!」
その光景にプラウダの生徒たちは驚く、そのあり得ない光景に、カチューシャやノンナ、クラーラも言葉を失う。
「ノンナ!いいから早く大洗のフラッグ車を仕留めなさい!それですべてが終わるわ!!」
『は、はいっ!』
ノンナは大急ぎで車内に引っ込み、砲撃を仕掛ける。
「クラーラ!カチューシャと一緒に撃つわよ!」
『понимать.(分かりました。)』
とカチューシャがクラーラにそう指示をして、カチューシャとクラーラのT-34/85の主砲が秋人のティーガー改に向けられ放たれるが、次々と躱されティーガー改を打ち取るどころか逆に次々と撃破されていった。
『此方4号車!やられました!』
『5号車、右履帯を破壊され、きゃああああっ!!』
圧倒的な数で向かっているにもかかわらず一両…また一両と味方の車輛が撃破されている光景にカチューシャは恐怖を感じた。その視線の先には、たった1輌のティーガーに蹂躙され、はたまた撃破されている僚車の姿があった。ある戦車は履帯や転輪を粉々に吹き飛ばされ、またある戦車は、横倒しになって黒煙を上げている。次から次へと、悲鳴に近い声がインカムから響いてくる。秋人の後ろにいたプラウダの戦車を4両をすぐに倒した。残るは、カチューシャとクラーラのT-34/85が2輌とノンナのIS-2が1輌だけとなった。
「やるわねアキーシャ・・・・でも負ける訳にはいかないわ!!」
そう言いカチューシャは車内にいる操縦手や砲手らに的確な指示を出しティーガー改を砲撃しティーガー改もまた砲撃をし撃たれたら撃ち返すを繰り返す。ただ暗い中しかも双方最大速度で走行しているので砲弾はなかなか当たらなかった。
「す・・・・凄い・・・・・」
「コレが、日向さん達の実力・・・・・」
「レベルが違いすぎる・・・・」
秋人達の戦いっぷりを見ていたバレー部チームは圧倒的な操縦スキルと砲撃技術に、アヒルさんメンバーが感嘆の溜め息をつく。
ノンナが乗るIS-2の後ろについていたT-34/85の車長であるクラーラは、キューポラを開けて外を見る。
『Этот танк Tiger, ни в коем случае... нет, он не может быть... но(あのティーガー戦車、まさか・・・・・いいえ、そんな筈は・・・・・でも)』
クラーラはキューポラから身を乗り出す秋人とティーガー改を見て、クラーラが幼少の頃祖父から繰り返し聞かされたホワイトタイガーの話のティーガーと目の前を悠々と走るティーガーを重ねていた。すると、ティーガー改の主砲がカチューシャのT-34に狙いを定めた。それを見たクラーラは、
『Мистер Катюша! Это опасно!!(カチューシャさま!危ない!!)』
と叫んでクラーラのT-34がカチューシャのT-34の前に出て盾になる。それによってクラーラの戦車は撃破され、行動不能を示す白旗が上がり脱落する。
「クラーラ、大丈夫なの!?」
『大丈夫です、カチューシャさまが無事なら・・・・』
「クラーラ、あなたの仇は取ってあげるからね!!」
『ありがとうございます』
カチューシャがクラーラの安否を確認するとクラーラは日本語で大丈夫と返事をする。
『Извините, он был разрушен... Я хотел быть полезным мистеру Катюше, но жаль.(すみません、撃破されました・・・・カチューシャさまのお役に立ちたかったのに、残念です)』
『Пожалуйста, оставьте остальное мне.(あとは任せてください)』
とクラーラはノンナに通信を入れ、カチューシャの役に立ちたかったと言う無念を言うとノンナにあとを託し、ノンナはそう言い通信を切る。
クラーラが脱落した為、残るは隊長車とIS-2だけとなった。
「隊長車を庇って自ら盾になりに行くなんて、あのロシア人の娘中々忠誠心の高い娘ね」
「あぁ、だが次で蹴りをつける!」
秋人はそう言い、そしてカチューシャの方も
「次でおしまいにしてあげる!」
次で決着をつけるためカチューシャは全速でティーガーに向かい。そしてパンターもT-34に向かっていくそしてお互いが並行して向かい合った瞬間
『Schieß es!!(撃て!!)』
『Стреляй!!(撃て!!)』
両者が怒声に近い大声で言った瞬間、両者から砲弾が放たれた。そしてT-34の85mm砲弾はティーガー改の側面に命中するも、100mmの装甲に加えて側面は空間装甲の為破壊効果は弱まり撃破には至らなかった。そしてティーガー改の放った砲弾はT-34の最大の弱点である砲塔と車体の間に命中し、白旗が上がる。
「隊長車撃破!」
「よし、急いでIS-2を追うぞ!!ここからは、みほさん達がフラッグ車を仕留めるのが先か、IS-2が八九式を仕留めるのが先か」
そう言って、秋人達は全力でIS-2の後を追った。
「……………今!」
「ここだ!!」
スターリンに乗るノンナが照準を八九式に合わせる。秋人はノンナが撃つ瞬間、秋人はIS-2の側面に体当たりをして、そして、主砲が同時に発射されゼロ距離から砲撃されたノンナのIS-2は白旗が上り、ノンナの放った砲弾は着弾、そして煙が上がり八九式の姿はまだ確認できない。だが決着はついた、フラッグ車に白旗があがる。
『試合終了、大洗女子学園の勝利!!』
そして、アナウンスが流れる少し前に遡り、廃村でフラッグ車を追いかけているあんこう達Ⅳ号
『隊長!カバさんチームH43地点準備完了だ!』
「了解です!」
とエルヴィンからカバさんチームから目標の地点にフラッグ車を撃破する為の準備が完了したと報告が来た。
『西住殿、敵のフラッグ車先程のKV-2のポイントを通過!前のコースと同じです!そのまま左折しました』
「優花里さん、このまま携帯でナビをお願いします!」
『任せて下さい!今、G35地点通過しました!』
みほは秋山から行動パターンを聞いて、何か閃いた様子で秋山に携帯でナビをお願いする。
『西住殿!敵フラッグ車H35地点通過!あと一つ右折してくれれば!』
「わかりました、ありがとう。華さん、上手く右の道に誘い込めますか?」
携帯で西住みほに現在のフラッグ車の位置を知らせそれを受け取ったみほは更に指示を送る。
「やってみます」
Ⅳ号の機銃が敵フラッグ車を右に誘導させる、その先にはカバさんチームの三突が待機している。
『入りました!H43地点まで50m!!』
「やりました!」
『敵を視認!』
「撃ち方よーいっ!」
左衛門左から報告を聞いたみほが指示を送る。プラウダのフラッグ車の前には不自然に積まれた雪山、普段なら気にもとめないだろう。プラウダのフラッグ車が雪山を避ける為に入った道、そこに待ち構えていたのはカバさんチームの三号突撃砲。ほぼ零距離からの不意討ちによる出会い頭の一発はフラッグ車の装甲を貫通させ、白旗をあげさせた。
『試合終了、大洗女子学園の勝利!!』