秋人達との交渉に失敗し一時保留となって保健室から退室し生徒会室に戻る為廊下を歩いている角谷達は、
「会長。彼ら本当に協力してくれますかね?」
「それはわからないよ。河嶋多分彼等はきっと事実的には戦争は終わっても、あの子達の心の何処では戦争は終わってないかもしれないよ。だから彼はあんな事を言ったんだと思うよ」
「ですが、もし彼等が協力してくれればもしかしたらこの学園は・・・・」
「かもしれないよ河嶋。でも、私達が彼等にとやかく言う資格はないのかもよ」
「ですが、彼等は本当に協力してくるでしょうか?彼等戦争で受けた心の傷が癒えてないなら協力してくれる可能性は・・・・」
「大丈夫だよ小山そう言うのは時間が解決してくれる。彼等は、きっと協力してくれるよ。今は彼等を信じるしかないよ・・・・・今はね」
角谷はただ信じる事しか出来なかったのだった。一方角谷達の後方を歩くみほ達は、生徒会役員に連れられる形で生徒会室に向かいながら秋人達の事を話していた。
「それにしても他の人達もそうですがあの日向秋人って人は、只者ではありませんよきっと!あれだけの数の勲章を授与されしかも私達と同いくらい年齢で大隊を指揮する左官クラスの少佐と言う事はかなりのエリートですよ」
「少佐って軍隊でどれくらい偉いの?ゆかりん」
「軍の幹部クラスで現場部隊の長レベルです。少佐の階級は普通なら30代後半から40代前半くらいなんですが、若干10代で1200人の大隊部隊を指揮率いる少佐なんてエリート中のエリートです!」
「それにあの時は帽子を深く被ってて顔がよく見えなかったけどさ、かなりのイケメンだったよね!1927年生まれで1944年から来たって言ってたからえっと・・・17歳か!ってことは、ちょっと年上の高身長イケメンエリートって事!きゃあー超ハイスペックじゃん!」
と顔を赤くする武部。
「確かにかなりの美男子でしたわね。他の皆さんも優しそうな方でしたし」
「ねぇねぇみぽりんは、あの人の事どう思う?こう、印象とか雰囲気とかさ」
と唐突に沙織から秋人の第一印象を聞かれて面食らうみほ。
「え、日向秋人さんの事?えっと・・・ちょっと怖そうな人って感じがしたけどでも、何処か思いやりのある優しい人なんだなぁって思うよ」
「へぇ〜なんでなんで?」
「あの時、日向さんの言った事は私達に戦車に乗る事はそれだけ大きな責任を背負う事だから遊び半分で乗るんじゃなくて真剣に考えて欲しいって言いたかったんだと思うんだ」
「ふむふむ、人に対して思いやりがあってそれでいて不器用な優しい人っ事か」
とみほから見た秋人の人柄を何やらメモル沙織。その後みほ達は、角谷から取り敢えず帰宅を言い渡され更に秋人達の事はまだ他言しない様に言って戻っていた。
そして秋人は、今生徒会室に向かっていた。保健室でミーナ達と話した結果『私達は、上官である秋人あんたに判断に従うだけだよ』と言われ他の良、幸也、綾乃もミーナと同じ考えだったのだ。そして生徒会室の扉の前に来ると秋人は、扉をノックする。
コン コン
「どちら様?」
「俺です。日向秋人です」
「はいはい〜どうぞ入ってぇ〜」
「失礼します」
と秋人は、生徒会室に入る。
「それで、君達の答えを聞かせてくれるかなぁ〜?」
「あぁ、俺達が、話し合って出した答えを伝えます。戦車道に入ります」
「そっかぁ、本当にそれでいいんだね〜?」
「あぁ、俺達には他に選択権がないしこの時代に頼れる人もいないからな。それになによりも、西住さん達には、助けてもらった恩義がある。彼女達から拾ってもらったこの命この学園を全国大会優勝に押し上げる為に使ってあげようじゃないか!!」
「そう。じゃあ改めてこれからよろしくねぇ〜日向秋人君」
と角谷は秋人に右手を差し出す、秋人もそれに習って右手を差し出して互いに握手をする。すると、秋人は、
「それで、入るに当たってこちらからも少し条件を付けさせて貰いたい?」
「何かなその条件って?」
「あのティーガー戦車はドイツ国防軍の所有物だ。だから所有権と有事の際の指揮権は俺が執せてもらう事、何かあればこちらは独断で行動します。構いませんか?」
と秋人は、角谷達に戦車道に入る際の条件を提示した。
「な!?貴様そんな勝手が許されるわけ・・・・」
「いいよ」
「か、会長、良いんですか!?」
と秋人の提示した提案は難なくOKが出たのだった。
「うん。こっちから一方的に頼み込んだんだし、彼らの要求も呑まないと不平等じゃん。お互いwin-winな関係でいこうじゃん。後で自動車部の子達に君達の乗っていた戦車に連盟公認の装甲材と判定装置を付けされてもらう様頼んでおくからねぇ〜」
「あぁ、分かりました。助かります。あっあとそうだ!」
秋人がお礼を言うとふっと何かを思い出した様だった。
「どうしたの?」
「俺達は、暫くの間どこに住めば良いのでしょうか?」
「あっ!そうだったねぇ〜ごめんごめん。河嶋何処かいい所ない」
「確か学生寮にまだいくつか部屋が余っていたと思いますが、彼等の存在は機密ですから他の生徒と接触する可能性があります」
「そこでいいんじゃない〜」
「しかし、会長・・・」
「大丈夫だ。住まわせてくれれば後の事はこちらでなんとかする」
秋人達は、戦争で何度も野宿を経験しているので問題はないが、甘梅雨しながる屋根があるだけマシだ。それに、角谷にしてみれば秋人達の存在は極秘だが、学生寮に置けば下手な行動も起こさないし監視しやすいのだ。取り敢えず角谷は、秋人に寮の鍵を渡しといた。
「あ、そうだ!これ、預かっていた君達の所持品を君達に返すよ」
と角谷が出してきたのは、秋人達の軍服や銃や日本刀だった。
「ありがとうございます。これだけはどうしても返して欲しかったんです」
と秋人は、真っ先に祖父から譲り受けた日本刀を手に取る。すると、小山が不思議そうに訊いてきた。
「そんなに大切な物なんですか?」
「えぇ、この刀は死んだ祖父の形見なのでこれだけはどうしても」
「そうなんですか」
「それで、取り敢えず俺は退室します」
そして、秋人は、紙袋に入れられたみんなの所持品を持って生徒会室を退室して保健室に戻って怪我が完治していないので今日は安静にする様にする。