ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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あとには退けない戦いです!

マウスを撃破し、後続の黒森峰が到着する前にポイントに移動する大洗チーム。そして最後のみほの作戦、ふらふら作戦が開始される。これはみほが試合前から提案していた作戦であり、黒森峰のフラッグ車との1対1の状況を作り出し勝機を狙うというもの。まだ相手は10輌以上、対してこちらは6輌。まともにやりあったら撃ち負ける、如何に相手をバラけさせ、相手のフラッグ車を誘い込むかが鍵だ。

 

「黒森峰全然いないなぁ」

 

「ねぇ秋人、西住さんから独立行動の許可を貰って何するのよ?」

 

「やる事ないなら、本隊に戻った方が良くない?何の宛も無くウロウロしても意味ないし」

 

静まり返った市街地を、秋人達ティーガー改が進んでいた。ふらふら作戦が開始されて、みほから独立行動を許された秋人達は、そのまま本隊を離れて別行動していたのだが、一向に黒森峰の戦車に会う兆しが見られずにいた。

 

「まぁ、お前達言いたい事は分かるが、みほさんが作戦に要したのは、アヒルとウサギ、それからレオポンの3チームだ。それに、俺等が離れているって事を敵が知ったら、確かに向こう側は有利になると思うだろうが、同時に何処から俺等が現れるかと言う警戒もするかもしれないから、俺達に意識のベクトルを向けさせたくない」

 

「成る程な」

 

独立行動に否定的な良と綾乃に言葉を返す秋人はそう言った。

 

「そうなれば本隊への負担も減るから良いとは思うけど、そう上手くはいかないと思うわよ?フラッグ車は1輌なんだから、他のチームなんて無視して、フラッグ車だけをぶっ潰す事だけ考えるかもしれないわ」

 

「それに関しては、五分五分だな。アヒルとウサギの二チームからの挑発にあのマッド・ドッグが乗っからない筈がない、まぁ西住まほの様な冷静さを持っていれば話は別だが」

 

ミーナからの現実味溢れる言葉を言うが、秋人は嘲笑しながらそう言う。

 

 

一方、黒森峰では

 

「いくらマウスがやられたとしても戦力は14対6・・・・・・この戦力差で何が出来るのか見せてもらおうじゃない!」

 

『敵発見!追えーーっ!』

 

エリカは、マウスが撃破されても依然として数の優位で盾にしていた。そして黒森峰が交差点に差し掛かると大洗チームが通り過ぎて行くのが見え即座に黒森峰が追撃を開始する。

 

「やーいやーい!いくら八九式の主砲が弱くても!こういうのはどう!?」

 

八九式は、黒森峰を挑発しながら蛇行して砲塔を後ろに旋回して57mm砲で砲撃するが、砲弾は黒森峰に命中する事なく護岸ブロックに当たりあけびが外した事に謝る。

 

「ごめんなさーいっ!」

 

ブロックの破片が黒森峰の戦車に降り注ぐ

 

「わぁーーっ!」

 

「あっ、アイツら!」

 

エリカは八九式の挑発行動に頭に来ていた。

 

「ついでに最後の煙幕だーっ!」

 

と八九式は残っていた最後の煙幕を張り黒森峰の視界を奪う。

 

「この期に及んで煙幕だと!?」

 

その隙にⅣ号は開けた交差点を左折する。ポルシェティーガーと八九式が後に続いて左折すると、彼女等を追う黒森峰チームは、右に隠れているウサギさんチームのM3の事など構いもせずに左折し、大洗チームを追い回す。そうして一行は、再び道幅の狭い路地へと舞い戻った。八九式は狭い道で小さく蛇行運転を始める。これにより、黒森峰本隊からは、Ⅳ号の姿が全く見えなくなった。

 

「………………ッ、邪魔よ!」

 

挑発するような蛇行運転に苛立ったエリカはそう怒鳴るが、ポルシェティーガーと八九式は、そんな彼女を嘲笑うかのように蛇行を止めない。そして、とある角でⅣ号は右折し、ポルシェティーガーと八九式は、そのまま直進する。

 

「此方あんこう、448地点を左折します。レオポンは373地点を左折、アヒルさん373左折して下さい」

 

沙織が地図を見ながら指示を出し、2チームはその通りに動いた。

 

「373の先後三つ直進」

 

「はい!」

 

「隊長!何輌かこちらに引きつけました!挑発成功です!」

 

『やった!』

 

『ありがとうございます!そのまま敵を引きつけておいて下さい!!我々はこのまま市街地奥のHS地点まで迂回しつつ敵フラッグ車を誘い込みます!』

 

と敵を何輌か引きつけたアヒルさんはみほの指示でそのまま373地点へ向かう。

 

「最後尾発見、あや準備いい?」

 

「オッケー」

 

「最後尾エレファント、これより仕掛けます!」

 

『お願いします!』

 

待ち構えていたウサギさんチームでは、最後尾の戦車が近づいてきている事に気づいた梓が合図を送る。桂利奈は一旦M3を急発進させると、交差点への出口を塞ぐ形で躍り出る。

 

「ええっ!?」

 

いきなり現れたM3に、エレファントの車長が驚いたのも束の間。綾は即座に副砲を撃ち、正面装甲の上部分に傷をつけると、そのまま一目散に逃げ出した。

 

「こっのぉぉーー!!」

 

完全に喧嘩を売られたエレファントの車長はそう呟きながら、操縦手にM3を追わせる。挑発するように蛇行するM3にて、あやはそう言いながら再び発砲する。放たれた砲弾はエレファントの直ぐ横を掠めていき、お返しとばかりに88㎜砲が火を吹き、砲弾はM3の上を掠めて近くの電柱を粉々に吹っ飛ばす。

 

「怒ってる怒ってる!」

 

電柱を粉砕するおとが響き、あゆみがそんな感想を溢す。

 

「桂利奈ちゃん、この次を右折ね!」

 

「あい!」

 

「その次も次も次も右折!」

 

「あいあいあーい!」

 

優季から立て続けに出される指示に、桂利奈も連続で返事を返す。

 

「昨日、徹夜で考えた作戦を実行する時が来たよ!名付けて………………」

 

「「「「「「戦略大作戦!!」」」」」」

 

そんなやり取りを交わしながら、M3はエレファントを上回る機動力を活かして路地を走り回り、終いにはエレファントの真後ろに回り込んでいた。

 

「回り込まれた!超信地旋回!」

 

回り込まれた事に気づいたエレファントの車長が叫び、操縦手は大急ぎで方向転換させようとするものの、先述の通り、エレファントは巨大な戦車だ。路地を走り回るのがやっとの状態で方向転換など出来る筈も無く、車体前部の右側と後部の左側がコンクリートの壁にぶつかり、全く身動きが取れなくなっていた。

 

「固すぎる………………ッ!」

 

「ゼロ距離で倒せないなんて、もう無理じゃない・・・・・ん?」

 

正面も無理、背後からでも無理な状況に諦めかけていた時、一人、ポンポンと大野の肩を叩く者が居た。これまで何1つとして言葉を発しなかった少女、丸山紗希だった。

 

「薬莢、捨てる所………………」

 

小さな声で、紗希はエレファントの背面装甲中心部にある薬莢投棄用のハッチを指差した。

 

「すごい!紗希ちゃん天才!」

 

それは考え付かなかったとばかりに、あやが声を上げた。

 

「よぉーし、せーので撃とう!」

 

「わかった」

 

あやとあゆみはそう打ち合わせをして、2つの砲口をハッチに向ける。

 

「「「「「「せぇ~のぉ~でっ!!!」」」」」」

 

そして、同時に放たれた砲弾は狙い通りに命中し、エレファントはハッチから黒煙を上げ、次の瞬間には撃破を示す白旗が飛び出した。

 

『此方エレファントすみません!M3にやられました・・・・』

 

「なっ!?何やってんのよ!!」

 

『すいません!』

 

エレファント撃破を確認し、次の戦車を撃破せんとばかりにM3がその場を後にした頃、黒森峰本隊には、エレファントの車長からの戦況報告のための通信が入っていた。あの重戦車が何回りも小さく、火力も防護力も格下な戦車にやられるとは思わなかったのか、エリカが声を荒くして叫ぶ。他の戦車の乗員からも、予想外の事態に慌て出すような声が次々に上がる。

 

「フラッグ車だけを狙え!」

 

自らの視線の先で逃げ回るⅣ号の背面装甲を睨みながら、まほは無線機に向かって叫んだ。

 

 

一方、あんこうチームでは

 

「みぽりん!アヒルさんチームの所にティーガーⅡ1輌、パンター2輌、ラング1輌、計4輌が来てるって!」

 

「我々の後ろには10輌ですね・・・・」

 

「うん・・・・そのうちエレファントはウサギさんチームが引きつけてる・・・・沙織さん!アヒルさんチームの現在地は!?」

 

みほが沙織にアヒルさんチームの現在地を確認をとる、

 

「えっとーーー4輌を引きつけながらIB0301地点を右折!完全にこちらから4輌を引き離したよ!」

 

「アヒルさんチームの撹乱が完全に成功ですねっ!」

 

「うん!」

 

「あとはこちらがHS地点までうまく引きつけられれば・・・・・」

 

こうして、黒森峰の主力を分散させ相手を撹乱させる作戦に出る。

 

「レオポンさん、現在地を教えて下さい!」

 

『ただ今、NH0302地点を通過!HS0017地点まであと15分くらいかなー?』

 

「了解しました!」

 

みほは、無線で自動車部チームの現在地を確認し、ナカジマは目的地までのどのくらいかを伝えた。

 

「みぽりん!ウサギさんチームがヤークトティーガーに仕掛けたって!」

 

「M3が・・・・ヤークトティーガーに・・・・火力だけならマウス・・・・」

 

あんこうチーム皆、M3がヤークトティーガーと交戦していると聞いて、表情が険しくなった。

 

「先を急ぎましょう・・・・」

 

「うん・・・・」

 

みほ達は、その不安を抑えて目的地へと向かう。

 

 

一方、まほの援護に向かっていたエリカ達は今、乱入してきた八九式とのカーチェイスならぬタンクチェイスの真っ只中にいた。

八九式の主砲の威力は、今居る黒森峰の戦車からすれば豆鉄砲にしかならないが、それでも執拗に撃ちまくる。

 

「挑発に乗るな、落ち着け!」

 

エリカは仲間の乗員に向かって言うが、八九式はエリカの乗るティーガーⅡの側面に体当たりを仕掛け、2輌の間で火花が散る。

 

「こんのォォ~~ッ!!八九式の癖にィィィッ!!」

 

体当たりを仕掛けてきた八九式に大人気なく怒り、そのまま押し返そうとするもののアッサリと避けられたエリカのティーガーⅡは、八九式を挟んで走っていたパンターにぶつかる。そうしている内にも、八九式はエリカ達の列から出て短い坂を上ると、そのまま並走しながら主砲を撃つ。他の戦車は反撃するものの、八九式は急ブレーキで軽々と避け、さらに急加速して引き離していく。

 

「やーいやーい!」

 

「待ァてェェェェエエエエエッ!!」

 

聞こえない筈のやり取りを交わしながら、八九式vs黒森峰戦車隊のタンクチェイスは続いた。

 

 

 

「撃て!」

 

その頃、ウサギさんチームはヤークトティーガーに遭遇し、背後に回り込んで攻撃を仕掛けていた。放たれた2発の砲弾は戦闘室の背面に着弾し、ヤークトティーガーは、そのまま加速して距離を取ろうとする。

 

「逃げたぞ!」

 

「追えぇ!!」

 

それを追おうと、桂利奈はM3の速度を一気に上げ、その頃には、ヤークトティーガーは交差点を右折して姿を消した。

 

「!? 停止ッ!!」

 

逃げるヤークトティーガーを追いかけるウサギさんチームだが、曲がり角の手前で何かに気付いた澤の声に阪口が慌てて急ブレーキをかけた。M3リーはギリギリの所で停車、その前面装甲をヤークトティーガーの砲撃がかすめる。待ち伏せが失敗したヤークトティーガーだが、そのままM3に追撃するべく動き出す。

こうなると攻守は完全に逆転し、狭い路地で逃げ場の無いウサギさんチームは後退しながらヤークトティーガーの砲身を向けられる事になる。

 

「ちょっと!128㎜超怖いんですけど!!」

 

「桂利奈ちゃん、そこまでまっすぐバックね」

 

「でもどうするこれ!?」

 

自身に向かってくるヤークトティーガーの砲身に車内は大慌て、狭い路地で今度はこっちの逃げ場が無くなった。

 

「あっ!そうだ!くっつけば良いんだ!!」

 

「すご〜い桂利奈ちゃん!頭いい!」

 

とりあえず、こちらからヤークトティーガーに接近する事で砲身の内側へと潜り込む。こうなるとヤークト側も砲撃を撃つ事が出来ない。

 

「あっ!離れていくよ!!」

 

「させるかぁ!!」

 

「今度は押されてる!!」

 

「一年ナメんなっ!!」

 

「ナメんなっ!!」

 

「おっわ!怖いー!」

 

ヤークトティーガーが離れれば追いかけ、逆にこちらに向かってくれば速度を調整し、二両はそのまま進んでいく。

 

「この後ろ・・・・ちょっとヤバイかもぉ」

 

「何が!」

 

地図を見ていた宇津木はこの先には道が無い。川…といっても水は無いので、このまま進めばそこに落ちる事になる。

 

「ヤークトを西住隊長の所に向かわせる訳にはいかない」

 

それは作戦会議時にも聞かされた、大洗が勝利する為の作戦における重要なポイント。高火力を持つヤークトティーガーが西住達あんこうチームの所へ向かって猛威を振るえば、その作戦が成功する事はないだろう。

 

「ここでやっつけよう!!」

 

「わかった、うっちゃるのね」

 

「どうやって!?」

 

もうそろそろこの路地を抜ける、それならーーー。

 

「合図で左に曲がって!一か八かだけど!!」

 

梓は後方を確認し、冷静に、タイミングを計りながらその瞬間を狙う。

 

「はいっ!!桂利奈ちゃん今よっ!」

 

「おっしゃあー!!」

 

その合図と共にM3は一気にヤークトティーガーから離脱。だがその隙を見逃すはずもなく、ヤークトの砲撃はM3に直撃し、転がりながら白旗が上がった。

だが、ヤークトティーガーはその勢いのままガードレールをぶち破り、砲身から落下。ヤークトからも白旗が上がる。ウサギさんチームは、自らがヤークトティーガーにやられるのと引き換えに、ヤークトティーガー撃破を成し遂げたのだ。

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