ガールズ&パンツァー 蘇る宿命の砲火   作:人斬り抜刀斎

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表彰式です!

『黒森峰女学園フラッグ車、行動不能。よって………………大洗女子学園の勝利!」

 

そして、彼女等の勝利を知らせるアナウンスが響き渡り、信じられないと言わんばかりの表情を浮かべながら、あんこうチームの乗員がハッチを開け、車外へと顔を出し、白旗が出ているティーガーを視界に捉え、自分達が勝ったと言う状況を飲み込んだ。

 

「やったよ、みぽりん!」

 

そして、感極まった沙織がみほへと抱きついたが、当の本人は、未だ唖然としている。

 

「勝ちました!」

 

「私達、勝ちました!」

 

「ん…………」

 

「勝ったん・・・・・・だよね・・・・・・」

 

「うん!」

 

「ハイ!」

 

そんなみほに、優花里、華、麻子が順に声を掛け、段々とみほの表情に喜びの色が浮かび上がる。

 

『もしもし、みほさん、俺だ』

 

其処へ、秋人からの通信が入ってくる。

 

「ッ!秋人さん!」

 

みほは声を張り上げる。

 

「やったよ、秋人さん!私達、勝ったよ!」

 

『そうか、おめでとう』

 

「うん!」

 

興奮して言うみほ、その後Ⅳ号とティーガー改は回収車に運ばれて行く。

 

 

その後、撃破された他のチームメンバーは、初めの待機場所に居た。全員、今回の優勝に、興奮の色を隠せない様子である。

それもそうだ。何せ彼女等は、去年まで戦車とは全く無縁な生活を送ってきた、所謂素人集団。

そんな寄せ集めの自分達が全国大会に出場し、戦力が相手より遥かに少ないと言う大きなハンデを抱えながらも数々の強豪校を打ち破り、最終的には優勝の座にまで上り詰めたのだ。これで興奮しない方がおかしいと言うものであろう。

そんな彼女等の元へ、Ⅳ号とティーガー改を引っ張ってくる回収車が姿を現す。

 

「先輩!」

 

「やりましたね!」

 

「凄いです!」

 

「お帰りなさい!」

 

「かっこよかったです!」

 

それにいち早く気づいた一年生が走り出し、

 

「エクセレント!」

 

「ヴィットマン級だった!」

 

「お見事!」

 

「やったぜよ!」

 

「やるじゃないの!」

 

「W杯クラスです!」

 

「凄いアタックでした!」

 

「ナイスクイック!」

 

「いい走りだね!」

 

と他のメンバーもその後に続き、回収車の停車と共に動きを止めるⅣ号の周りに集まってくる。

 

「みんな、ありがとう」

 

「みぽりん、降りよう」

 

沙織に言われて、戦車から降りようとするみほだが

 

「西住殿?」

 

「どうしたの?」

 

「力が入らなくて・・・・・」

 

「しっかりしろ、隊長」

 

戦車を降りようとするみほちゃんだが、まだ勝利が信じられないのか、それとも気が抜けたのか、力が入らなくて降りられないと言う。

 

「みほさん、お疲れ様」

 

「秋人さん…はい、お疲れ様です!あ…きゃっ」

 

秋人はⅣ号に飛び移って、車長席からみほを引っ張り出す。そしてそのままお姫様抱っこの状態で戦車を降りる。

 

(軽いな…こんなか弱い女の子に、廃校の危機を背負わせてたのか…。)

 

地面にそっと下ろすと、まだフラフラしているみほを沙織と優花里が支える。みほ達はⅣ号から降りると、夕日の光を受ける彼女等の愛車を眺める。

 

「この戦車でティーガーを………………」

 

「ええ」

 

「お疲れさまでした」

 

Ⅳ号戦車でティーガーを撃破した事をしみじみと思い出す優花里に華が相槌を打つと、沙織がⅣ号へと労いの言葉を投げ掛ける。

 

「西住!」

 

すると、背後から桃の厳格な声が掛けられる。振り向くと、微笑みながら見ている杏と、最早本気で泣き出す一歩手前状態な柚子、そして、何とか感情が爆発するのを堪えている桃が立っていた。

 

「西住、この度の活躍、感謝の意に絶えない。本当に……本当に、あ、り……がと……う……!!」

 

だが、結局は堪えきれず、桃は火がついたように泣き出す。

 

「桃ちゃんってば、泣きすぎだよぉ…」

 

柚子は涙を浮かべながらも、大泣きする桃の目から溢れ出る涙をハンカチで拭った。其処へ、それまで何も言わなかった杏が、ゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「西住ちゃん………これで学校、廃校にならずに済むよ………」

 

「はい」

 

そう言う杏に、みほは返事を返す。

 

「私達の学校、守れたよ!」

 

「………………はい!」

 

続けて投げ掛けられる言葉に、みほは、より一層大きな声での返事を返す。その次の瞬間には、杏は小柄な体を力の限り跳び跳ねさせ、みほへと抱きついた。

 

「ありがとね………ッ!」

 

「いえ…………私の方こそ、ありがとうございました」

 

礼を言ってくる杏にそう言って、みほは抱き返す。一方、風紀委員のそど子はタブレットを操作して麻子の遅刻データーを削除した。

 

「あなたの遅刻データー、全部消したわよ」

 

「ありがとうそど子ぉぉぉぉ!」

 

「ちょ、離れてよっ!?」

 

なんかあっちでは冷泉さんが園さんに抱きついている。

 

「(あれか、例の遅刻欠席免除とか言う約束の件か。)今までのが消えたのは良いが、今後も遅刻欠席しないようにしないと意味がないぞ冷泉さん」

 

「大丈夫だ、日向さんが居るからな。今後も朝頼むぞ」

 

「自分で朝起きようって努力はしないんだな」

 

遅刻データーを削除されても、遅刻欠席が改善する事はないみたいだ。

 

「よーし、来年もやるぞ戦車道!」

 

「「「おおーーーー!!」」」

 

と意気込むバレー部。

 

「次は頑張ろう」

 

「頑張るずら」

 

「頑張るぞな」

 

アリクイチームは、まぁギアチェンジで撃破されたから頑張ろう。

 

「私たちも頑張ります!」

 

「うん!」

 

「目指せ重戦車キラ~」

 

とウサギさんチームは重戦車キラーを目指すと言う、なかなかに大変じゃないだな。

 

「今夜は徹夜して、戦車が自走できるくらいまでには直すよ!」

 

「オッケー」

 

「まかせろ」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

自動車部は、ちょっとおかしい。ブラックすぎる。

 

「勝鬨でござる!」

 

「「「えいえいお~~!!」」」

 

カチドキとくれば極みだな。

 

「よーし、じゃあ行くぞーっ!」

 

「ちょっとだけすいません・・・・・・」

 

表彰式に向かおうとする杏にみほが待ったを掛けて、秋人は突然みほに腕を掴まれる。

 

「え、ちょ、みほさん?」

 

「秋人さん、一緒に来て」

 

どこに?と聞く前に連れ出される。

 

「西住殿?」

 

「そっちは・・・・・・」

 

みんなが二人を見送る中で目的地に着く。というか、目と鼻の先だった。そこは大洗が集合していたと同様に黒森峰が集合していた場所だった。

 

「お姉ちゃん!」

 

どうやら西住はまほさんに用があるようだ。てか、俺いらないと思う。

 

「優勝、おめでとう。完敗だな」

 

まほは負けたとは思えないほどに清々しい笑顔でそう言う。なんかいろいろと彼女の中で吹っ切れたのかもしれない。

 

「お姉ちゃん……これでもう、秋人さんは婿養子じゃなくなるんだよね?」

 

とみほは、そう言う。まさかそのためにわざわざ秋人を連れてきたのかと、

 

「――――。ああ、そうだな」

 

「よかった!」

 

みほは、めっちゃいい笑顔に言う。

 

「日向も、よくみほを支えてくれた…ありがとう」

 

「俺は大した事はしてませんよ…全部、彼女の頑張りです」

 

秋人が、みほの頑張りだと謙遜する。するとなぜか、まほにハグされた。

 

「お、お、おおおお姉ちゃん!?」

 

動揺するみほ、逆にまほはすごく落ち着いている。まほが抱き着いたと同時に大洗側からなんかすごい悲鳴を上げ、ミーナ達は深いため息を吐く。それと黒森峰側はなんか誤解してきゃーきゃー言ってるし、エリカがものすごい形相で秋人を睨んでる。

 

「どうした、みほ?」

 

みほが池にいる鯉のように口をパクパクさせている。

 

「……いや、まほさん、いったい何を?」

 

「礼だ……………やっぱり負けるのは悔しいな。みほに負けるとは思ってなかった。」

 

秋人の胸元に顔を預けていた。秋人は優しい顔をしながら抱き締めて

 

「これからまた頑張ればいいんだよ。まだまだ先はあるんだからリベンジをしたらいいだろ?」

 

秋人がまほのことを慰めると目に涙を溜めながら

 

「……………やっぱり君は優しいな。私はそんな日g・・・・・秋人が好きだ………」

 

「……………ん?」

 

秋人は唐突な告白に疑問を抱いていると

 

「秋人は好きな人は居るのか?」

 

「いや、いないな。と言うか、考えたことすら無いな」

 

「そうか、私にもまだチャンスがあると言うことだな。今回の試合を経て、確信した。日向秋人、今度は改めて君を西住流として出なく一人の女として君を婿養子にしよう」

 

「・・・・・・おろ?」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

と宣言するまほに、フリーズしたみほが正気に戻った。

 

「みほらしい戦い方だった。『西住流』とはまるで違うが」

 

「そうかな」

 

「そうだよ」

 

まほは片手を差し出すと。みほは反射的にその手を掴む。

 

「……よく、頑張ったね」

 

「……!う、うん!」

 

向こうではぷんすこ怒っている沙織達の元に戻る。

 

「なにやってるの日向さん!」

 

「いや、俺は悪くないだろ……」

 

「ふふ、日向さん」

 

なんか、笑顔が恐い五十鈴さん。目が笑ってない。

 

「日向殿、あああ、ああいうのはこう、親しい間柄でやるべきですよ!」

 

いや、それは俺も思ったよ?

 

「日向さん、とりあえず頭撫でろ」

 

空気読んでください冷泉さん。自分の欲望に素直だな。

 

「みほさんからもなんとか言ってくれ」

 

「……むぅ。知らない」

 

みほは、ずっと餅みたいに頬を膨らませて拗ねている。

 

「あ〜それはそうと、それで俺に負けた副隊長さん?」

 

「!!!」

 

まほの近くに居たエリカは秋人のことを睨みつけていた。

 

「おぉ〜怖わ、可愛い顔が台無しだぞ。それにヒスはモテないぞ。別にお前のことを馬鹿にしに来たわけじゃねぇよ。」

 

「だったら何をしに来たのよ!」

 

「よく俺に対してビビらずに戦いに来たな。その度胸は認めるけど相手を選んだ方がいい。お前のその態度は相手をかなりムカつかせるからな」

 

「……………分かってるわよ。副隊長にも悪いとは思ってるの。だけど、戦車道を辞めたと思ってたのに………………」

 

「お前なりに考えはあるのは分かるけど煽るのはやめとけ」

 

秋人は、エリカにそれだけ行ってみほ達のところに戻って行く。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ん?」

 

「やっと見つけたよ、私の戦車道!」

 

そう言って俺の手を握るみほさん。

 

(そっか、みほさんも見つけたか…自分だけの戦車道を)

 

たが、なぜかまほに見せつける様に手を握るのみほ。若干まほの目が怖いんだけど。

 

「負けたわ・・・・・・でも次は負けないわよ。わたし達が勝つ番よっ!次戦う日を楽しみにしているわっ!」

 

「私の方こそありがとうございました!」

 

まほの気圧に負けずエリカが決め台詞を言う。

 

「私も負けません、恋も、戦車道も!」

 

「み、みほ…?」

 

「みほさん…?」

 

「行きましょう、秋人さん!」

 

笑顔のみほに連れられていく秋人、今気の所為じゃなければみほさん…。

 

「全員乗車!」

 

その号令と共に黒森峰の生徒は、クルップ・プロッツェに乗車して行く。

 

「エリカ・・・」

 

「はいっ」

 

まほに呼ばれたエリカが返事をする。

 

「さっきはよく言えたな。素直に負けを認める・・・・・・心が強くないとそれさえままならない・・・・・・それでこそ次の黒森峰の主将だな・・・・・・」

 

まほに、そう言われたエリカは俯きハンドルを強く握る。そして、

 

「わたし・・・・・・ここまで引っ張って来ていただいた西住隊長と・・・・・・一緒に優勝したかったです!」

 

「副隊長・・・・・・運転代わります」

 

と涙を流しながらそう言うエリカに、釣られて他の黒森峰の人たちも泣き始める。

 

そして大勢の観客の前、ステージの上に並ぶ大洗女子学園チーム

 

「これが、貴女達の優勝旗です」

 

舞台の上にて、みほは1人の女性から優勝旗を渡される。意外にも重いのか、若干よろけながらも秋人に近づいてくる。

 

「おめでとう、みほさん………………さぁ、その優勝旗を思いっきり掲げな」

  

秋人はそう言うが、みほは首を横に振り、秋人に旗を近づけた。

 

「秋人さんも、持つんだよ?」

 

「え?なにゆえ?」

 

突然、自分と優勝旗を持てと言われた秋人は、間の抜けた声を出す。

 

「なんでも………………ね?」

 

有無を言わさないような雰囲気に圧され、秋人の断ろうと言う意思は一瞬にして折れる。

 

「そっか………………それじゃ遠慮なく」

 

そう言うと、秋人は、優勝旗の上半分を持ちみほと共に掲げる。優勝旗を手にして、少しふらつくみほさんを後ろから支えてあげる。

 

『優勝、大洗女子学園!』

 

『『『『『『『『『『『ワァァァァァァァアアアアアアアアアッ!!!!』』』』』』』』』』』

 

アナウンスが流れると共に、観客からの歓声と盛大な拍手がドッ!と沸き上がる。表彰台に立つ、大洗女子学園戦車道チームのメンバー32人と、その所属チームとされたドイツ国防軍特別助っ人メンバー5人の計37人の少年少女達は自分達が優勝したと言う喜びを噛み締め、歓声を浴びていた。

 

「おめでとう」

 

「コングラッチュレーションッ!!」

 

「ハラショー!!」

 

歓声と声援、鳴り止まない拍手が彼女達を包む。応援に来てくれたライバル達の称賛の声。

 

そんな場所から離れた場所にある丘陵では、1人の女性が立っていた。黒いレディススーツに身を包み、茶髪を腰まで伸ばし、みほやまほと何処と無く似た顔つきをしている女性だ。彼女の名は西住しほ。みほとまほの母親である。

 

「………………」

 

彼女は、何も言わぬまま歓声が上がる表彰台を見つめていたが、やがて小さく溜め息をつくと、微笑みながら拍手を送った。

 

 

 

 

 

 

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