「もう!全部壊しましょう!尊敬を込めて…」
「全てを吹き飛ばし…その鋼で敵を穿て!!」
「「キョダイマックス!!」」
向かい合う二人は同時に、場にいる2匹のポケモンをモンスターボールへ戻し、腕に付けているダイマックスバンドから力を送ると、ボールは赤く発光しながら巨大化する。
それを両者共に投げ、再度出てきたポケモンは大きく姿を変え、巨大化する。これがダイマックスの真骨頂、キョダイマックス!!
「“キョダイシンゲキ”!!」「“キョダイフウゲキ”!!」
巨大な拳と嵐のような赤が混じった竜巻がスタジアムで衝突した。
▽▽▽
「ありがとうございました!貴方が率いるポケモン…やはりよく鍛えられていて眩しい!次は私が勝ちますよ!」
「ありがとう…次も負けないがな」
勝負を終えた二人は固い握手を交わし、二人は控え室へと向かった。
先程闘っていた黒髪の男は、控室で手元にある鞄を探る。そして取り出したのは一冊の日記。
「あれからもう5年か…」
男は懐かしむように日記を開き読み始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯月◯日
日記を見つけたのでこれから毎日書いていこうと思う。
突然だが俺は転移した…。何を言っているかわからないだろうが本当なのだ。経緯はわからない。
目を覚ましたら知らない家のベッドで寝ていたのだ。誘拐かとも思ったが、俺の両親は既に他界しているし財産もそれほどない。
そう思っていたがすぐに間違いだと気づく。何故なら俺の体は若返り、約15歳程の体になっていたからだ。
怖くなった俺はベッドから出て家を捜索したが人の気配はしなかった。と言うよりも生活の跡がなかった。埃は積もっていなかったが、生活用品は何もなく、新築の家とばかりに木の香りが鼻を擽るのだ。
どの部屋にも何も無かったが、リビングらしき場所の机の上に一つだけ何かが置いてあった。それは何かが入っているであろう大きなアタッシュケースのような物だ。
それを恐る恐る開けてみると、中にあったのは赤と白の彩色がされているボール。日本人なら誰もが知っているであろう物が6つ入っていた。
モンスターボールだった。それを触ろうとすると、1つのモンスターボールが動いた。白い光を放ち、出てきたのは犬のような生物…
それはリオルだった。最初は警戒したが、敵意がないことがわかり今は仲良くしている。
何故現実にいるかわからないが。夢だと思いたかったが、現実であるという事実が俺に押し付けられた。
リオルを連れて、家のドアを開けると、そこには広大な草原が広がっていた。
そこにはポケモンと思われる生物が多数歩いていた。
どうしてこうなった!!
◯月☆日
目が覚めて外を見るとマメパトと思われるポケモンが群れで空を飛んでいた。夢でなかったことに軽く絶望したが、俺は前向きに考えることにした。
まずここには仕事がない!これだけで解放感が感じられた。しかし食べ物もない。
これは非常に不味い。この家には冷蔵庫らしき物がない。それだけではなく、テレビもラジオも何もない為、どの時系列かわからない。オーキド博士の全盛期時代か、ジムリーダーがまだ駆け出しの頃か、レッドなどの主人公達が活躍する頃か…果てにはアニポケ時空という可能性もある。
取り敢えず食糧調達に向かうとしよう。
○月♪日
食べ物に関しては大丈夫そうだ。昨日リオルを護衛に付けて、家の外へと探索に出かけた。家の周りは広大な草原だったが、30分程歩いた場所にきのみの木の群生地があった。種類は多く、どれを取っていくか迷ったが、取り敢えず知っている物をいくつか持って帰った。
後はすることもないため、今日は家の近くで土を耕していた。農業経験も無いため上手く出来ているかわからないが、それでも続けてきのみを栽培出来るようにしたい。
○月%日
疲れた…眠い…今日は書けそうにない…
○月¥日
昨日よりはまだマシなため、日記を書こうと思う。リオルと一緒に2日半、とうとう耕し終え、先程きのみの種を埋めた。芽が出るかはわからないが、気長に待とう。毎日水をあげなくては…
そろそろきのみのストックが切れそうだ。また森へ取りに行かねば…
○月〒日
今日はきのみを取りに行っていた。その道中にコイルの群れを発見。是非捕まえておきたい。なんせ人気投票であのピカチュウを負かしたポケモンだからな。
ところで今更だが、リオルにニックネームをつけることにした。だってリオルって個体名だろ?人間に変えれば「いけ!人間!」って言われるようなものだ。
というわけでニックネームは『ルーク』ということになった。理由も意味も無く、たまたま思いついたニックネームだ。
まあ、ルークも嬉しそうにしていたから大丈夫だろう。
○月→日
新しい仲間が増えました。やったねルーク!仲間が増えるね!
今日は昨日コイルがいた場所へと赴いた。やはりそこにはコイルの群れがいたが、1匹だけ仲間外れされているように離れた場所で群れを見ていた。
何故、このコイルは仲間外れされていたのか…その理由は、コイルの色にあった。通常銀色の場所は錆びたような色で、手の代わりのような磁石の先端は、赤や青でなく黒色で出来ていた。所謂色違いというやつだ。
ルークに戦闘態勢に入らせて近づくと、此方に気づいたコイルは衝撃波を放ってきたが全て避け、リオルが“はっけい”でダメージを与え、モンスターボールを投げることで色違いコイルを手に入れた。
ニックネームはある事件からとって“ショック”とした。一応ショックの体を磨いてみたが、錆びではなくそういう色をしている、ということがわかった。
いきなり磨いたため、驚かれ電撃を浴びてしまった。痛い…
○月/日
ルークとショックが2匹で遊んでいた。遠目で見ていたが、微笑ましい光景だった。
前に埋めたきのみの件だが、もう既に芽が出ている。いくらなんでも早すぎると思うが、ゲームでもすぐに生えてたしまあ不思議ではない。
ショックが昨日放ったのは“ソニックブーム”ということがわかった。それ以外に覚えている技で把握出来たのは“スパーク”と“でんじは”、そして”マグネットボム”だ。レベルは大体20程度だろう。
ルークについては“はっけい”、“でんこうせっか”、“メタルクロー”、“こらえる”だ。レベルは大体30後半だろうか…確かはっけいを覚えるのはそんなぐらいだったはずだ。
今日はもう遅いため、ルークとショックの戦い方を考え寝るとしよう…
☆月○日
今日、この日記を読み返したが何故か俺が落ち着いているようにみえる。書き方が悪かったのだろう。俺はこの日記を見つけたから書いたとあるが、実は間違いだ。
実際はただの現実逃避だ。この世界に来て日にちは経ったが今でもこの現実を受け入れられない。実感がない。目が覚めたら元いた自分の家に戻っている…と何度思ったことか。
しかし現実は非常だ。目を覚ましても未だになれない部屋の天井だ。家にいる愛犬がどうなっているか気になり悲しくなることもあるが、今、この世界で生き残ることを考える。何せこの世界にはギャラドスやゲンガーなどの危険なポケモンも生息しているのだ。運が悪ければスーパーマサラ人のサトシのように伝説のポケモンに遭遇する可能性もある。
外ではルークとショックがバトルの特訓をしている。俺も体を鍛えよう…近所にあったスポーツジムに通っておけばよかったな…
まずは腹筋からだ。目指せスーパーマサラ人!!