本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(非常に遅い。どうしようもねえな、この作者……)
さて、このペースだと増援の勇者が登場するのは第07話くらいになりそう。
皆様の希望は今回の投稿時点で芽吹と友奈の二強ですね。さもありなん。
アンケートは第04話投稿時点ぐらいで締めようと思います。
では、
樹海。その言葉がまさに適当であろう風景。
辺り一面常識はずれなまでの大木が生い茂り、大地もやはり巨大な草や根や蔓と思しきもので満たされていた。
常識はずれなのはその色彩もだ。緑が主体ではあるものの、実際には見ようによってどんな色にも変わるような、そんな幻想的な色合いをしている。
そんなある種ファンタジックな樹海のど真ん中にその木造高床式の小屋は建っていた。
その小屋の中には二人の偉丈夫がいた。一人は胡座をかいて水を張った水盤を見つめ、もう一人は立ったまま座った男の肩越しに同じ水盤を見つめている。
二人の偉丈夫の出で立ちはなんともアナクロである。二人とも白い貫頭衣に身を包み、首には勾玉を幾つも通した紐をネックレス状に飾り、長い黒髪は
「これで良かったのでしょうか、
「最後の決断を下したのはお主であろう?」
座っている男がその髭面を振り返り、立っているこれも髭面の男を仰ぎ見ると疑問を投げかけた。だが、返ってきたのは反問であった。
それきり数瞬。立ったままの男が独りごちる様に呟いた。
「仕方あるまい。
「……………………」
「どちらにせよ大八島国を取り戻す算段をつけねばならん」
「……………………」
「……………………」
二人の間をまたもや沈黙が支配した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「なに、これ……?」
雀は困惑の中にいた。
つい先程まで教室の中にいたはずだった。だが、強い白光を窓越しに浴び、気がつくと周りの状況が一変していた。
雀は知らないことであったが、それは偉丈夫二人がいた小屋を取り巻いていた光景と全く同じ。
樹海。
幻想的な色合いに満ちた草と木と蔓と根。それらが辺り一面を満たした、どこまでもどこまでも続く不思議空間であった。
「あ、そうか!」
ぽんと左拳で手のひらを叩く。
コトン……
何かを取り落としたことにも気付かない。
「これは夢ですね。いやはや、なんとも……。授業中にもかかわらず居眠りをしてしまうとは……」
タハハと笑顔を浮かべる雀。
だが、すぐに冷たい汗がとろーりとろりと流れ出す。
直前に大きな警報音を聞いていた筈なのだ。それで居眠りをするなんて、ありえない……
「いやいやいや、警報音が鳴った時点から夢だったんですよ、これは……」
カツン……
何かがつま先に当たった。
見ると、先程まで手にしていたはずのスマホ。いつの間にか落としていたようだ。
「あっあっあっ、私の宝物!」
すぐに拾い上げて、矯めつ眇めつ子細に眺める。
「傷つかなかったかな~? トモ先輩にもらった大事なスマホなのに~」
元からの傷以外に傷は増えていないようだ。
雀はホッとため息をついた。
ガサッ、ガサガサ……
「ヒエッ!!」
すぐ近くで草を掻き分けるような音がし、雀は飛び上がった。
だが……
「良かったわ。加賀城さん、無事だったのね……」
「大丈夫か、加賀城?」
「雀先輩、大丈夫っすか?」
智花、菜摘、咲の三人が生い茂る草を掻き分けて現れた。
「トモ先輩、菜摘さん、さきのん! 良かった~、私、私……」
そのまま腰が抜けたようにへたり込む雀。思わず涙がこぼれる。
「ともかく、これで四人集まった訳だ。で、この状況がどういうことなのか聞かせてもらおうか、智花?」
「どうして、私の居場所が分かったんですか?」
菜摘が険しい表情で智花を振り返る。雀はへたり込んだまま、涙声で三人が自分の居場所へ辿り着けた理由を尋ねた。
「まずはスマホに入れてある『NARUKO』というアプリを見て。自動で起動しているはずよ」
智花が自分のスマホの表示画面を見せてくる。三人はそれに目をやりつつも各自のスマホの画面を見る。
「このアイコンをタップすると地図表示になるわ。これで各自の居場所も表示されるから、それで合流できたって訳。みんながスマホを手放してなかったのは幸いだったわ」
確かに、越智三中周辺の拡大マップに四点とそこから引き出された『村上智花』、『真鍋菜摘』、『加賀城雀』、『獅子堂咲』の表示がある。対応する点はそれぞれ黄、黒い縁取りの白、緑、青の色で表示されている。
「おおーっ、凄いっすね。こんな機能があったんだー。ただのSNSアプリじゃなかったんですね」
「隠し機能か……。自動で起動したのはこんな事態になったから?」
「ええ、そうよ」
「な、なんで、こんな機能が……。このアプリ、トモ先輩の指示で入れましたよね?」
「そう言えばそうだな。このアプリ、全員、同好会に入部した時に智花の指示でダウンロードしたんだったよな……」
菜摘が疑念のこもった視線を智花に投げかける。
すると、智花が三人に真剣な顔を向けるや、勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい! 今まで黙っていたのは、私たちが当たりを引く筈なんかないって高を括っていたからなの……。本当にごめんなさい!」
その姿に下級生二人が慌てだす。
「そ、そんな! トモ先輩、頭を上げてください! 私、トモ先輩に頭を下げられるような人間じゃないです!」
「いきなり謝られても訳わかんないっすよ! それにこんなの、智花先輩が謝んなきゃいけない事態とも思えないんすけど!」
二人とも両手を前に突き出し、バタバタ、あわあわとし始める。
「大赦関連じゃないのか? 智花……」
菜摘のその指摘に三人の視線が集まった。
「大赦って、あの大赦……?」
「神樹様を奉ってて政治にも関わってるっていう、あの大赦?」
「ここんとこ、頻繁に支部に顔出ししてたもんな。家の事情かと思ってたけど……」
雀と咲の疑問の声にさらに言葉を加える菜摘。
それに応えるように、智花が態度を改め穏やかに話し始めた。
「落ち着いて聞いてね。私は二年前から大赦のお役目に就いていたの。私たちのようなグループが四国の各地に幾つかあってね、そのうちで私たちが当たりだったのよ。私は、そんなグループを作るお役目を命じられていた……」
智花はそう言いながら辺りに視線を走らせる。
「ここはね、神樹様の作った結界なの。実際はアプリの地図にあるように、私たちは越智三中から移動してはいない。神樹様が世界を守るために、結界で上書きしているのよ」
「世界を守るため……?」
雀は智花のその言葉に引っかかりを覚えた。本能がけたたましく警鐘を鳴らしていた。
「そう……。私たちはこの結界の中で敵と戦わないといけないの。そのために神樹様に選ばれたのよ」
「敵……?」
「戦う……?」
「あ、あの~、これ、何ですか?」
智花の説明に戸惑ったような声を上げる咲と菜摘に続き、雀がスマホの画面を掲げた。
そこには地図アプリが表示されたままになっており、四人を表示する点以外にもう一つ、『乙女型』を表記する大きな点が増えていた。
「もう来たのね……」
智花の視線の先に目をやる三人。
そこには…………、生物とも無機物ともつかない、あえて言うなら『化け物』としか言いようのない異形が空中をゆっくりとこちらへ進んできていた。
その姿は身の丈三十メートルに及び、白を基調に幾つものピンクのラインが入っており、どことはなく女性的なフォルムをしている。その首に相当する部分には何枚かのボロ切れのような白い布のようなものが長くはためいていた。
「あれが私たちが戦う相手、『バーテックス』。神樹様が作った壁の外、ウィルスの海から世界を殺すためにやって来た人類の敵よ」
「世界を殺す、だって!?」
「バーテックスの目的はね、この世界を守り、恵みをくださる神樹様に辿り着くことなの。そうなった時……、世界は死ぬ、滅びることになるのよ」
智花の言葉に三人は息を呑んだ。困惑したように見つめ合う。
「なんで……、なんで私たちが選ばれたんですか~!?」
雀の情けない声が上がった。
「大赦の調査で『勇者』の適性があると判断されたからよ。ただ……、私たちは幾つもあるグループのうちで、その適性値は平均以下と判断されていた。だから私は、私たちが選ばれるはずはないと思いこんでいた……」
「そんなー! いやいやいや、無理無理無理、無理ですってばー! あんな化け物と戦える訳ないじゃないですか、やだー! これ絶対死んじゃう奴ですよー!? 私、帰ってもいいですか?」
「どこへ帰るって言うんだよ、加賀城? 帰る場所なんかどこにあるんだよ?」
「そうっすよ。──────なんか方法があるんでしょ、智花先輩?」
智花の言葉に、青い顔でどこか他人事のように話し出す雀。どうあっても現実から目を背けようとしているのだろう。そんな雀をあきれ顔で眺める菜摘。そして咲は智花に対処方法を尋ねる。
「戦う方法はあるわ。戦う意志を示せば、このアプリの機能のロックが解除されて、私たちは『神樹様の勇者』に変身できるようになるの」
その言葉にスマホの画面に目をやる三人。そこには種から発芽した双葉のアイコンが表示されていた。
「うぎゃ~!! なんか出たー!!」
突如、雀が悲鳴を上げた。
残る三人がその視線をバーテックスに向けると卵型の何かが飛んでくる。
それは彼女たちの近くに着弾すると大きく爆発した。
「気付かれた!? 攻撃を仕掛けてきている!?」
「ひぃー!! トモ先輩、助けて助けて!!」
愕然とする智花の後ろに隠れて身を縮こませる雀。
「菜摘! 獅子堂さんも! 加賀城さんを連れて逃げなさい!! 私が戦うわ! みんなを巻き込んだのは……」
「そりゃないぜ、智花? 言ったろ? 私は何があっても智花の支えになる、何があってもついて行くって!」
「アタシも戦うっす! お二人だけを戦わせて自分は逃げるなんて、そんなこと出来ないっすよ!」
「あなた達…………」
思わぬ二人の言葉に呆然とする智花。そんな彼女に菜摘はニヤッと笑顔を見せる。
「智花の言うとおりにすれば、この事態を凌げるんだろ? 智花が私に嘘をついたことなんて…………、まあ、なんだ……、そういうことだ!」
「あれ? 智花先輩、菜摘先輩に嘘をついたことがあるんだ……?」
「まあ、友達同士のなんだ……巫山戯合いレベルだけどな!」
三人は顔を見合わせ、軽く笑い声を上げる。雀はそんな三人を信じられないものでも見たかのような表情で見つめていた。
「行くぞ!」
「はい!」
菜摘と咲は自分のスマホを見つめる。そのディスプレイには、花のアイコンが表示されていた。
二人がそのアイコンをタップすると、瞬く間に二人は白い光に包まれ周囲に花びらが撒き散らされる。
それが晴れた時、二人の出で立ちは見違えるようになっていた。
菜摘はナデシコをモチーフとした白い勇者装束をその身に纏っていた。
その手には長銃が一丁、握られている。
傍らには二頭身のゆるキャラのぬいぐるみのような物が浮かんでいる。その姿は陰気な女性のようだ。
咲はアスター(エゾギク)をモチーフとした青い勇者装束をその身に纏っていた。
その左手を大振りの手甲が覆っている。
傍らにはやはり菜摘と同様にぬいぐるみのような物が浮かんでいる。その姿は火の玉のようであり、二つの大きな目がついている。
「智花、これは何だ?」
「それは精霊よ。私たちを守ってくれているの」
ぬいぐるみのような物を指差して、菜摘が尋ねる。
打てば響くような智花の返答に頷くと、咲に声を掛けつつ智花にも目配せをした。
「獅子堂、とりあえず戦いに行くぞ!」
「おう! アタシはぶん殴ればいいみたいなんで、早速行ってきまーす!」
こんなやり取りをしている間も、バーテックスは足のつま先に相当する部分──それは、人の足のように二本には分かれず一本のままだ──から卵型の爆弾を幾つも撃ち出してきていた。その爆発は徐々に彼女たちに近づいていく。猶予は無かった。
咲が駆け出していくのを見送ると、菜摘は銃を構える。
右手で銃把を持ち、引き金に指を掛ける。左手で銃身を支え、スコープ越しにバーテックスを見据えた。
銃声が大きく響くと同時に菜摘の体がバランスを崩し大きくよろけた。銃弾はバーテックスには向かわず、あさっての方向へと飛んでいく。
「ちくしょう! 銃なんて初めて使うから!」
「菜摘! それは狙撃銃だから、安全な場所で腹這いにでもなって安定させて撃つようにして!」
「! …………分かった! 後は任せた!」
菜摘は一旦、上手くいかない事に悪態を吐いたが、智花の簡単なアドバイスに全てを理解したのか、笑顔を見せて狙撃地点を探して後退していく。
「うっわぁ──ー!!」
咲は自分の予想を遙かに超える自らの跳躍力に目を回していた。
人の常識からは大きく外れるその跳躍力。軽く跳んだはずなのに高さは三十メートルほど、距離は百メートルほども跳んでいる。
しかし、さすがはスポーツ少女。体勢を立て直し、二回目の跳躍でバーテックスにパンチを叩き込む。
「喰らえ──ーっ!!」
そのパンチはバーテックスの装甲の一部を破壊する。だが……
「ぐぎゃっ……!!」
バーテックスの首周りにたなびく白い布状の物が、意志を持ったかのように咲を叩く。
瞬間、咲の周囲をバリアが包み込み、布状物体の直撃から咲を守った。
だが、衝撃は殺せない。
咲はピンポン球のように吹っ飛んでいった。
しかも、彼女が傷つけた部位は瞬く間に修復される。バーテックスの回復力が咲の攻撃力を大幅に上回っているのだ。
「獅子堂! このやろう!!」
菜摘は腹這いになり、バーテックスを照準に捕らえていた。
目の前で咲が叩き飛ばされた瞬間が見えた。
「喰らえっ!!」
長銃による狙撃。その弾丸はバーテックスの装甲の一部を破壊する。
だが、次弾装填までのわずかなタイムラグの間にその傷はみるみる修復されていく。
「くそっ! これじゃ……」
菜摘の表情に焦りと絶望が影を差した。
吹っ飛ばされては何度もパンチを叩き込みに行く咲。
諦めずに何度も銃弾を撃ち込む菜摘。
その間に智花も自分のスマホの画面をタップする。
二人と同様、白い光に包まれるや周囲を花びらが舞い散る。それが晴れた時、彼女はジャスミンをモチーフとした黄色い勇者装束を身に纏っていた。
右腕の周囲には四つの籠形の武装。
傍らには老婆の姿をした精霊が浮かんでいた。
「加賀城さんも早く変身しなさい」
「いやいやいやいや、私には無理ですって。死んじゃいますって。後生ですから、お見逃しを……!」
変身を急かす智花だが、雀は両手を合わせて拝みだす。どうしても変身し、戦うのはイヤなようだ。
そこで、智花は一計を案じる。
「加賀城さん、獅子堂さんの戦いを見て。敵の攻撃を受けた時、バリアが張られているのが分かる……? このまま変身しない方が危険なのよ。分かって……!」
「へ…………?」
雀は間抜けな声を上げて咲の戦いを見やる。
智花の指摘どおりだった。少なくとも変身しさえすれば、敵の攻撃の直撃は受けなくてすむようだ。
「あ、あ、あ……! 分かりましたぁ~! 変身します!!」
言うが早いか、スマホの画面をタップする雀。
白い光が放たれ、周囲を花びらが舞い踊る。
そして彼女は、加賀城雀は勇者となった!!
緑の勇者装束。雀は知らない、それが錦木をモチーフとした物であることを。
右手には身の丈を超える大剣。
そして、傍らに浮かぶ精霊は豪奢な見た目の鳥。
変身が終わった瞬間、バーテックスの放った爆弾が雀を目がけて飛んでくる。
そして起きる大爆発。
だが、精霊バリアが彼女を守る。爆弾の直撃からその身を護る。
「トモ先輩!」
「加賀城さん…………」
「じゃ、そゆことでっ!」
一旦顔を見合わせた二人だが、雀は左手をシュタッと上げて智花に軽く挨拶をすると一目散に逃げていった。
「フッ……、なんてあの子らしい…………」
後顧の憂いは無くなったとばかり、キッとバーテックスを見据える智花。
『各自の武装は聞いていたとおり。長銃と手甲と大剣と、そして私のワイヤーカッター。正直、一番攻撃力の高そうな加賀城さんを欠くのは現状、痛いけど……。でも、仕方がない。私たちの手札はこれだけ……、やるしかない!!』
智花は敵目がけて走り出した。
自分の武器はそれほど攻撃力は無い。ならば……!
「現状只一人の前衛、獅子堂さんを援護すればいい!!」
右腕に装着された籠形の武装からワイヤーカッターが十数本も伸びる。
それは咲に攻撃の手を加えている、バーテックスの白い布状物体を雁字搦めに絡め取った。
「いける!」
だが……
「キャ──ーッ!!」
バーテックスが布状物体を振り回す力の方が上回った。
智花はあっという間に振り回され、地面に何度も叩きつけられた挙げ句、ワイヤーが千切れ吹き飛ばされていった。
不幸中の幸いは、精霊バリアの恩恵で直撃を受けなかったこと。だが衝撃は殺せない。
彼女は地面に転がったまま呻くのみとなった。
「智花!」
「智花先輩!」
菜摘も咲も、智花が撃墜されたことに悲鳴を上げた。
だが、それでも彼女たちは諦めない。蟷螂の斧の如くバーテックスに立ち向かっていく。
たとえ、その攻撃がバーテックスの回復力を大幅に下回るものであろうとも。
「トモ先輩……!」
一方、雀の心には後悔が宿る。
自分が逃げ出したりしなければ、あるいは……
『でもでもでも、私には何も出来ない。トモ先輩でも、菜摘さんでも、さきのんでもどうにも出来ないんだよ。私なんかじゃ無理無理無理無理!!』
怯える。
イヤだ。
怖いのはイヤだ。
痛いのはイヤだ。
死ぬのはイヤだ。
イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、……………………
臆病な自分は、もっとイヤだ!!
『そうだよ…………!! トモ先輩が死んじゃったら、誰がこの先、私のことを守ってくれるの…………? 学校の人間関係の荒波をくぐって生きて行くには、トモ先輩の助けがなくっちゃ!!』
いつの間にか俯いていた顔を見上げ、しっかりと智花を見る。
彼女は懸命に立ち上がろうとしていた。
「そうだよ……!! トモ先輩を助けなくちゃ、私が助けてもらえないんだ!!」
うわぁぁぁぁああああああ…………!!!
沸騰した頭を抱え、雀は逃げてきた道を駆け戻り始めた。
智花はフラフラになりながらも立ち上がる。
咲の攻撃も、菜摘の攻撃もバーテックスには痛撃を与えてはいなかった。
どうやら、彼女たちの攻撃に対し無視を決め込むようだ。
バーテックスは白い布状物体を振り回し、虫を払うように彼女たちの攻撃をあしらい、神樹様へ向けて再進撃を始めていた。
「こんな……、どうすればいいの!?」
視線の先で、またもや咲が弾き飛ばされた。
その瞬間だった。
教室で聞いた、あの警報音が再び耳朶を打った。
「なに?」
スマホを取り出す。
警報音が鳴り響いていた。
そのディスプレイの表示を見た瞬間、智花は驚愕した。
『SYSTEM ANRaPoD』という赤く大きな文字が明滅していた。
そのすぐ下には『チーム全体の累積ダメージが10,000を超えました。SYSTEM ANRaPoDを自動で起動します』という文字が流れている。
さらに一行下には『今後、手動による任意の起動を承認しますか?』の文字。
その下に『YES or NO』と明滅する二つの選択肢。
「なに、これ!?」
智花が呟くと同時に警報音が止み、選択の文言が消える。
代わりに表示されたのは『SYSTEM ANRaPoD IS STARTING』の文字。
そして、スマホの画面から発した強烈な光が智花を包む。
いや、他の三人もだ。
そして、それが晴れた時、四人の勇者装束は微妙に変化し、そして武装は明らかに変わっていた。
智花の勇者装束には真っ白なラインが追加されていた。
右手の籠形の武装は消滅し、代わりに右手はクロスボウをしっかりと持っていた。
菜摘の勇者装束には黄緑のラインが追加されていた。
長銃は消滅し、代わりに鞭がその手に握られていた。
咲の勇者装束には紅のラインが追加されていた。
手甲は消滅し、代わりに身の丈を超えようかという大鎌を持っていた。
そして…………
智花は、自分目がけて走ってくる雀を見ていた。
雀の勇者装束はその基調としている緑色にオレンジのラインが追加されている。
そして、彼女の武装を見て智花は更に驚愕する。
「どうして……? 精霊のバリアがあるのに、どうして武装が盾なの……!?」
雀のその手には、大振りの円形の盾がその存在感を強烈に示していた。
今回のサブタイルをつける際に真っ先に思い浮かんだのが『私たち、適性値は平均以下って言ったよね!』
うむ、某ラノベのパクリみたいなタイトルだな…………
もちろん第01話サブタイトルも勇者シリーズのパロディみたいなものなので、今後ラノベパクリタイトル縛りになりそうだということで却下としました。
勇者適性値。原作は『適合値』だの『適正』だのと、ころころと表記が変わるのですが、意味合いから出来るだけ『適性値』に統一。前回は表現する内容に合わないので原作に合わせて『適合値』表記にしましたが……
さて、なんか変なシステムが起動していますが、雰囲気です、雰囲気。
原作を見ても、勇者適性値が低いとどうなるのかがさっぱり分からなかったので、戦闘能力というか、攻撃力が低くなるという安易な方向に。それではバーテックスの侵攻を止められる目が無いので、原作に無い補助?システムを追加。
読者様方の推測どおり、デメリットが無い訳はないですよね。
ところで、同好会メンバーの人間関係は、原作『くめゆ』の状況を再現しようと苦慮しています。
具体には雀が防人として集められた後、元の候補チームのメンバーへの接触が無いように見えること。
そのため、①雀の同学年のメンバーがいない ②上級生(特に部長)は自分たちが選ばれないことを見越して、下級生との馴れ合いを必要最小限にとどめていた ③下級生は性格的に雀が積極的に絡む必要性が薄い 等々といったことを条件に入れて構成しているつもりです。
一番大きい理由は、芽吹が最強なのでそっちの庇護下に入りたいだけでしょうが。
第三戦で増援に来るのは誰だ? 以下五名以外の場合は『活動報告』へ記入お願いします。
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1. 原作どおりだ、三好夏凛
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2. いやいやこうでしょ、楠芽吹
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3. 奇をてらって、弥勒夕海子
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4. 意外なことに、三ノ輪銀
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5. 原作主人公だ、結城友奈