メインヒロインが登場するので初投稿です。
part8
この日この瞬間の為だけにこのゲームを買ったと言っても過言ではないRTAはーじまーるよー。
苦渋の決断ですが、吉田家が鉄板を囲むのが鉄板なHHEMギャグを披露して冷蔵庫が氏ぬイベントと桃に姉がいることがわかるわりと重要なイベントは30倍速でメイドインヘブンします。
この倍率を見れば分かりますが、今だいぶ緊張してます。おいやべえよやべえよ……手が震えてコントローラーが上手く握れねえよ……。
──それでは、最近肉食獣の眼光で楓くんを見ることが多い杏里ちゃんが、神に選ばれしコンパクトフォルムのシャミ子をたまさくらちゃんにinするバイトを誘うところから続きです。
このイベントは重要重要&重要なので是が非でも楓くんもぶちこみます。どこでバイトをするんだ? 私も同行しよう(柑橘る院)
……はい日曜日です。20倍速しました。ショッピングセンター・マルマ前の広場で行われるたまさくらちゃんの飴玉配りをしている裏で、杏理ちゃんの物販を手伝いましょう。
──杏里ちゃんが客が居ないときに楓くんをガン見してるのは恐らく愛情度を2まで上げてしまった弊害ですね。
愛情度1~4ではまだ『知り合いの男の子が気になり出してる』で済みますが、5~6で『お前もしかしてあいつの事が好きなのか?(青春)』に切り替わります。
7~9にもなると他のヒロインと関わる主人公くんについモヤモヤ(マイルドに表現)してしまうでしょう。10は言わずもがな。
つまり単行本2巻の序盤も序盤なここで、攻略するヒロイン以外の愛情度が2なのは……いかん危ない危ない危ない危ない(レ)。
下手したらウガルル解放イベント前後で杏里ちゃんとミカン姉貴で修羅場になる可能性がありまぁす! HAHAHA! 笑い事じゃねえや!
……尤も今回がミカン姉貴のみの攻略RTAだから気を付けないといけないだけで、通常プレイなら複数ヒロインを同時攻略しても問題ないです。
寧ろ
あとはウガルルと良ちゃんの同時攻略で『このロリコン野郎!』っていう罵倒に近いトロフィーも貰えます。いかんのか?
恐らく
だってあの人、自分の中で目の前の問題が解決しちゃって説明が雑になるタイプですし……。
──そろそろミカン姉貴がたまさくらちゃんinシャミ子と邂逅している頃でしょう。時間を見計らって、シャミ子を見てくると言い訳してバイトを離脱しませう(古語)。
ちなみに、プレイヤー側の私が攻略しようと躍起になるヒロインに主人公である楓くんがどんな感情を向けるのかと言うとですね…………簡単に言うと、一目惚れをします。
まだ出会っていないヒロインを攻略しようとすると、辻褄合わせをする為なのか攻略するヒロインに一目惚れをしたという設定が追加されるんですね。なので、このあとミカン姉貴に出会う楓くんは必ず魂レベルで惹かれる筈です。
擬音で言うと『トゥンク……』でしょうか。男の『この気持ち、もしかして恋……!?』なんてぶっちゃけキモいですが、あと少しで杏里ちゃんがこれになるので笑い事ではない。
うーんまあ、杏里ちゃんの気持ちも汲んであげたいのですが、これミカン姉貴攻略RTAだからね。ハーレムルートはキャンセルだ。
しかし完走したあとに同データを使って別ヒロイン攻略とかをする可能性がなきにしもあらずです。多分きっと恐らくメイビー。
……お、たまさくらちゃんグッズを買い込んでる桃を見付けましたね。この筋肉オタクも誘ってシャミ子を探しましょう。
路地裏を探せば良いので、少し歩けばすぐに見つかります。──あの蜜柑色のシルエットはまさか……!?(コブラ)
──出たわね。本RTAのメインヒロイン、陽夏木ミカンが居ました。それと楓くんが初めて見るシャミ子危機管理フォームも。
こうして見ると疑う余地のない痴女スタイルですね、シャミ子はいやらし魔族だったのかな。
第三者からしたら半裸の子供を路地裏に連れ込んでる魔法少女コスの人という通報待ったなしの現状ですが、楓くんの挙動がなんか変ですね。
これは間違いなくミカン姉貴に運命感じちゃってます。取り敢えずはシャミ子の危機管理フォームが解けるのを待ってから会話を再開しますか。
──桃の説明があまりにもザックリし過ぎていて、バフォメット系魔族に襲われたと勘違いしたミカン姉貴は変身したまま警戒していたそうです。
犯人があんな弱っちい魔族だとは思わなかったらしく、シャミ子に謝っていますね。
なんなら結構緊張していたとか言ってお守りだなんだと持ってきていますが、それ安産祈願のお守りですやん(さりげない伏線)。
──あっ、ミカン姉貴がシャミ子を中学生にあがった辺りかと思って歳上ムーブしてますね。その子実はタメなんすよ。
最早ノルマとなりつつある『これで勝ったと思うなよ』を聞きながら控室に走るシャミ子を見送り、自分も帰る準備をするために口惜しいですがここから離れます。
嫌じゃワシはミカン姉貴から離れとうない! といったところで今partはここまで。(次の更新は遅れるかもしれ)ないです。
◆
「杏里、シャミ子の様子を見るから離脱するけど大丈夫か?」
「──あ、うん。大丈夫」
「ちゃんと水分補給するんだぞ」
「…………わかってるよ」
杏里に予備のハンカチを手渡してその場から離れる。どこか捨て犬めいた眼差しを向ける杏里には首をかしげるが、着ぐるみの中はかなり暑くなるらしいため現場に急ぐ。
──だが、噴水の前で飴を配っていたはずのシャミ子が居なかった。
代わりとばかりに、たまさくらちゃんグッズを紙袋に入れて歩いている桃と鉢合わせる。
「桃、たまさくらちゃんに入ってるシャミ子を見なかったか?」
「たまさくらちゃんに中の人など居ない」
「あ、はい。……シャミ子を見てないか?」
「シャミ子なら知らない。こっちも聞こうと思ってたんだけど、この辺で魔法少女っぽい子を見なかった?」
……魔法少女っぽい子と言われてもイメージが湧かない。いいや、と言うと少し考える素振りを見せて桃が返した。
「……ちょっと探してみようか、仮に二人が会ってたら大変だし」
「そうだな。控室の近くを中心に物陰を探そう、その辺をうろついているなら
桃と共に歩きながら周囲を見渡すと、存外早くシャミ子を路地裏で見つける。
──だが、シャミ子に加えてもう一人が居た。その後ろ姿は黄色やオレンジと鮮やかな暖色で、ふわりと一瞬柑橘類の香りが漂う。
「────っ」
急に心拍が早まり、カッと顔が熱くなる。振り返った少女の後ろでシャミ子は何故か半裸だったが、それすら些細な程に眼前の少女に視線が吸い寄せられて目を離せない。
「シャミ子と──ミカン?」
「あっ、桃! 来てあげたわよ、地面に頭がめりこむくらい感謝なさい!」
「桃……し、知り合いですか?」
「知り合いだけど通報するか迷ってた」
「酷い誤解だわ!」
シャミ子と少女が表通りに出てくると、少女もまた魔法少女であることや桃に呼ばれて来たことを話してくれた。
初めて聞いた筈の声も妙に心地好く、感情を露にする少女と目があって会釈される。
「……それと、そちらの男の子はどなた?」
「ああ、こっちは楓」
「だからザックリし過ぎなんだってば」
呆れた顔をして、少女がこちらに歩いてくる。真昼の陽光がオレンジ色の瞳を煌めかせ、見上げる所作になおのこと頬が熱くなった。
「私は陽夏木ミカン。よろしくね」
「っ、あ……俺は、秋野 楓です」
まぶたを細めて朗らかに笑うミカンだが──まずい、初めての感覚に脳が茹だるようだ。
「……大丈夫? 顔が赤いし、熱中症かしら。オレンジジュース飲めばビタミン取れるわよ」
「──ありがとう」
渡されたオレンジジュースはひんやりと冷たく、首筋に押し当てるとすっと頭が冷静になる。
「それにしても、桃の説明があんまりにも雑だから驚いたのよ? てっきりこう、心を無くしたバフォメットな感じの魔族が闊歩してるのかと思ったのに!」
持ち込んだ荷物からは幾つものお守りや柑橘類の土産物が出てくる。イメージとかけ離れた見た目のシャミ子は落ち込んで呟く。
「……見るからに弱そうですみません」
「えっ!? 良いのよそんな、こっちこそ怖がらせてごめんなさい。貴女は中学生にあがったくらい? 私は桃と同年代だから、どんどん頼ってね!」
ミカンからすればシャミ子は年下の女の子に見えるのだろう。身長で言えば確かに小中学生に見えなくもないが…………。
「……これで勝ったと思うなよ!」
「ええっ!? な、なにがどうなってるの……」
「ミカン、あの子は俺たちと同い年だよ」
シャミ子がたまさくらちゃんの着ぐるみを抱えて走り去った。やはり間違えたか──と小さくため息をつく。
「そうだったの? ……悪いことしちゃったわね、今度謝らなきゃ……」
「本人は暫くしたらケロッとしてるから、そんなに気難しく考えなくて良いと思う」
「よく知ってるのね」
「友人ですので」
そっかあ……と感慨深そうな声が横から聞こえるが、自分からすれば異様にうるさい心音がミカンに聞かれていないか、気が気でなかった。
「……あー、ふーん」
だからだろう。何かを察したような桃の声が聞こえなかったのである。柑橘色の少女との出会いが運命だったと知るのは、まだ先の話。
ヒロインの楓くんへの友愛度
・シャミ子
友/5
愛/0
・ちよもも
友/5
愛/0
・杏里ちゃん
友/7
愛/2
・ミカン姉貴
友/1
愛/0