【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA   作:兼六園

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初投稿じゃない可能性が何%か答えよ



part17

 

 単行本3巻も終盤なRTAはーじまーるよー。

 ミカン姉貴が関わらないのでシャミ子がSNSデビューするイベントとリリスが桃と健康ランドに行くイベントはキャンセルだ。

 

 前回はシャミ子がオンラインゲームのエンドコンテンツも真っ青なやべー武器を手に入れたところで終わりましたね。

 今回はシャミ子以外の魔族を見つけるべく町に繰り出すところから再開です。

 

 そういえば桃のアカウント、原作では『好:』の部分が空欄なんですよね。多分シャミ子の事だったけどフォローしたときに見られたら恥ずかしいから急いであの部分だけ消したんでしょう。

 

 

 桃の部屋でソファに座りながらミカン姉貴と一緒にメタトロンを撫で回していると、桃がシャミ子と話しています。

 2巻ラストで話した『桃の代わりに魔族を探す』という約束を忘れていたのか? と。

 

 曰く夏休みからまだ数日なのに何故かものすごく長い時間を過ごした気がするとか。

 なんでやろなぁ……(月刊の弊害)

 

 魔族の捜索は魔法少女が居ると結界に邪魔されるので、シャミ子とパンピーの楓くんで調査に赴きます。とはいえ情報なんてのは持ち合わせていないので通の人に頼りましょう。

 

 もしもしRTAポリスメン? 

 

 ……はい、ミカン姉貴が登場したり夏休みになったりで会う機会が減っていた幼馴染のあの子にアポを取りました。でーすーのーでー、一度学校に向かうことにします。

 

 桃に夕飯の材料買ってきてと頼まれますが、頼まれたのはシャミ子なのでワシは知らん。

 

 

 ──イベントが無い学校は倍速で飛ばしてるので、杏里ちゃんも大分久しぶりの登場ですね。テニスの練習をしているようです。

 休憩時間に合わせて会いに来たので、早速他の魔族についてうかがいましょう。

 

 杏里ちゃんが言うには商店街で魔族が店を経営しており、その場所の名前があすらと言うらしいです。店長の見た目のパンチが強いからすぐわかるとか。まあ確かに強いっちゃ強いですよね。

 

 別れ際、杏里ちゃんからジュッセンパイヤーがごときビーストの眼光を向けられるので対応しましょう。最近付き合い悪いんとちゃう? と詰め寄られますが、だって付き合いが良かったら再走案件になっちゃうし…………。

 

 とりあえず、今は急いでいると言います。膨れっ面で楓くんの顔面を両手でもみくちゃにしてきますが、満足したのか解放してくれました。

 

 シャミ子が楓くんに対して乙女の顔し始めていて色々と察している筈なので、心中穏やかではないでしょうに。果たして幼馴染は負けヒロインという定説を覆す存在になれるのか……? 

 

 

 それはさておき、部活に戻った杏里ちゃんと別れてシャミ子と共に商店街に向かいます。

 ちゃんと探せば見つかるけど普通に通れば視界には入らない絶妙な場所に喫茶店あすらがありますねぇ! シャミ桃感覚! 

 

 扉の横に吉田家の扉にも貼られている例の結界を確認したのでいざ鎌倉。

 カランコロン(でこぼこフレンズ)と音を立てた扉の奥には、耳と尻尾が特徴的な魔族のやべーやつことリコくんが店の制服姿で立っていました。

 

 シャミ子はリコくんを店長(マスター)と勘違いしますが、違います(ファンタ学園)

 表の紙を見てきたのでマスターに会わせろォ! とガンを飛ばすと、座って待っててと言われるので大人しく待ちます。

 リコくんは楓くんを見てニヤリと笑い、すれ違い様に尻尾の毛先で顔を触ってきます。なんか妙に気に入られてますね。

 

 

 なんでですかね……(ステータス確認)

 

 ……ア゜ッ゛! (いつもの)

 

 ……なるほど、どうやら楓くんは素で霊的なアレコレを感じ取る力があるみたいですね。いわゆる霊感が強いってやつ。

 

 超能力とか魔法とは違う、単なる勘の鋭さが由来しているから、カテゴリー的には『無能力者』扱いゆえに気付けなかったようです。

 

 つまりスーパーで鉢合わせた時に(クセ)毛と尻尾(ケツ毛)をおっぴろげてたのは本人的には化かせていた筈だったからなんですね。

 

 ──これちょっとマズイ……マズくない? 4巻の夏祭りイベントって確か…………まあええわ。後のことは後の私にどうにかさせます。

 

 出されたお冷やをチビチビ飲みながら待つこと数分。店の奥から現れたのは二足歩行のバクでした。…………えぇ? (ガバ穴)

 

 ボロボロのバクこと白澤店長はバク宙に失敗してそうなったらしいです。シャミ子の前のたまさくらちゃん役を担っていたのだろうと言われていますが、恐らくそうなのでしょう。

 

 バイトの申し込みに来たのだと勘違いしてる店長に、土日でも来れるかだの急な連絡でも対応できるかだの聞かれていますが、ここで楓くんだけ逃げることは出来ません。

 

 店長の指示でシャミ子が確保され、同時に尻尾を胴体に巻かれて拘束されるのでああ逃れられない! というかリコくん力つっよ……筋力抵抗のボタン連打でゲージが貯まらないんですが? 

 

 

 ……はい、あれよあれよと制服を渡されてバイトすることになりました。じゃ闇系の仕事が今からあるからこれで……。

 

 料理をするのが好きなだけで接客スキルが無いどころかKYなリコくんに代わり、楓くんとシャミ子で注文を伺ったり出来た料理を運びます。

 桜を探しているのは厳密には楓くんではないため、シャミ子が切り出さない限り楓くんが今回の目的を話すことはないですが……この後出されるまかないは絶対に食べてはいけません。

 

 リコくんは狐狸精(こりせい)なので作る料理に中毒症状が出ます。

 なので、楓くんまでパラッパラッパーになると一週間くらいバイトが続くんですね。適当に食事は済ませたと言って誤魔化しておきますが、案の定シャミ子はまかないを食べました。

 

 これで疲れを癒す作用と共に桜の事を聞きに来たという目的がすっぽ抜けました。それでは最後の客が出ていったところで今partはここまで。

 

 

 えっ、桃に頼まれた夕飯の材料? 

 ……なんのこったよ(すっとぼけ)

 

 

 ◆

 

 

 桃の部屋でメタ子を膝に乗せて顎を撫でていると、横に座るミカンが背中を撫でる。視界の奥ではシャミ子が桃と何かを話していた。

 

 いつぞやに吉田家を飛び出した桃を探したあの一件で、桃の姉──桜さんを探す為に縁のある魔族を探すという約束をしていたらしい。

 夏休みになったのもあってとうとう重い腰をあげたということか。

 シャミ子がそんな器用なことを出来るとは思わないが、やるからには手伝おう。

 

「それにしても、魔族の捜索なんて具体的にどうすればいいのでしょうか」

「誰か情報持ってたりしないの?」

「そんな都合よく居るわけないです」

 

 そんな二人の会話に耳を傾けているが、ふと幼馴染の顔が脳裏を過る。

 昔から人付き合いが多いから、ここにいる我々よりは知っていることは多いだろう。

 

「ミカン、電話するからメタ子持ってて」

「あ、うん……誰に?」

「幼馴染に」

 

 メタ子をミカンに渡して部屋の隅に移動する。携帯で連絡した先の声は、妙に平坦だった。この声のトーンは間違いなく怒っている時のそれだが、いかんせん理由がわからない。

 

 重要な話だからと言えば真面目に対応してくれる辺り、本気で怒っているわけではないらしい。部活の休憩時間があるからそこで待ち合わせようということで、携帯の通話が切れた。

 

「──よし。シャミ子、学校行くぞ」

「へ?」

「頼れる情報通に会いに行くんだよ」

 

 荷物を纏めて玄関に向かうと、シャミ子がついでとばかりに桃から夕飯の材料を買ってほしいと頼まれていた。パシられている……。

 

「それで、誰に会うんですか?」

「杏里だよ。あいつ顔が広いから」

「なるほどですね!」

 

 隣を歩くシャミ子と話しながら進む。

 セミが鳴く真昼時は陽射しが強く、お互いじんわりと汗が滲んでいた。

 

「シャミ子用の帽子をどうにかしないとな。それと日焼け止め。確か持ってないだろ」

 

「そうですね……というか角のせいで帽子が被れないです。冬ならニット帽がギリギリ入るかもしれませんが」

 

 確かに角ごと収まりそうではある。

 となると、話は夏から秋にかけての帽子をどうするかになるのだが。

 

「オーダーメイドで角も入れられるように膨らみを付けるとかいいんじゃないか?」

 

「それはなんか嫌ですね……デザインが酷いことになりますし」

 

「ワガママ言うなよ、夏の直射日光は怖いんだぞ? ただでさえ元病人なんだから、そういう事は人一倍気を付けないと」

 

「貴方は私の親ですか!?」

 

 じとっとした目で見られるが、だったら自分で気にしてほしい。

 咳き込んでふらふらして何度も早退していた時のシャミ子を知っていれば、誰だってこうなるに決まっているだろう。

 

 ああだこうだと話しながら歩いて数分。校門に到着すると、壁にもたれ掛かる杏里がテニスボールを玩んでいた。こちらに気がついて──と言うか、自分の方を見てむすっとしている。

 

「おーっすシャミ子、楓」

「突然すみません杏里ちゃん、練習で忙しいときに呼び出してしまって……」

 

 ほんとだよなーと茶化す杏里は不意に自分と目が合い、露骨に逸らしてくる。

 

「別にいいって、話は聞いてるよ。魔族の住みかについてだろ?」

 

「そうですそうです!」

 

「魔族の住みかなぁ~。知ってる知ってる。商店街に魔族が経営してる喫茶店があんの」

 

「…………えぇっ!?」

 

 あっけらかんとした態度でさらっとそう言ってのける杏里。

 しかしそんなすぐ近くに魔族が住んでいたのか、喫茶店なんて行かないからわからなかった。

 

「マスターの見た目のパンチが強いから、行ってくるなら気を付けなよ」

 

「わかりました、ありがとう杏里ちゃん!」

 

「杏里、助かった。ありがとう」

 

「ん。──あっそうだ、楓と話があるからシャミ子はちょっと待っててくれない?」

 

「あ、はい。どうぞ……?」

「は? いや今急いでるんだけど」

 

 自分の意見などお構いなしに、どうも~と言った杏里に手を引かれて校門を挟んだ裏の壁まで引っ張られる。

 

「……杏里、どうした?」

「楓さぁ、最近なにしてるの?」

 

「なにって、シャミ子と桃のやることを手伝ったりとか。ああ、最近桃ともう一人の魔法少女が家に引っ越してきたんだよ」

 

「ふ~~~ん、楽しそうじゃん」

 

 …………会話が途切れた。杏里が何かに対して怒っているというのはなんとなくわかるのだが、理由が一切わからない。

 

 しかし杏里の顔が徐々に暗いものになり、頭がうつ向いて行く。

 自分と目線が合わなくなってしまうが、こういう時に察しが悪いからこの子にそんな顔をさせてしまうのだろう。我ながら呆れてくるな。

 

「杏里」

「っ……!」

 

 ちょうどいい位置の頭に手を置いて、落ち着かせるように優しく触る。

 

「ちょ、あ、汗かいてるから……」

「別に気にならないが」

「私が気にすんの!」

 

 慌てた様子で手を払ってくるが、避けてまた撫でる。いつもの調子に戻ってきた杏里に、昔のように淡々と聞いた。

 

「俺はエスパーじゃないからさ、口に出して言ってくれないとわからないよ」

 

「…………だって学校にいても全然話さないじゃん。シャミ子とちよももとは何かしてるみたいだし、それに最近魔法少女が来たんでしょ?」

 

 顔を逸らしてもごもごと口を動かしてそう言ってくる。耳が真っ赤で、テニス部の衣服の裾を握って何かに耐えているようだった。

 

「────ああ、やきもち?」

「……そーうーでーすーがー!?」

 

 ガッと両手で頬を掴まれ顔を左右に揺さぶられた。特に痛くはないが、自分のせいと言うならこのくらいは甘んじて受け入れる。

 

「シャミ子たち優先で寂しいとか、最近話せてなくて寂しいとか、そういうのは私のキャラじゃないんだっつーの!!」

 

「うごごごごご……!!」

 

 顔を赤くしながら捲し立てる杏里は、一分もしないうちに手を離す。どこかスッキリした様子で、それでいて申し訳なさそうにしていた。

 

「……急いでるんでしょ、引き留めてごめん。シャミ子待たせてるし行きなよ」

 

「そうさせてもらうよ。

 ……ああそうだ、なあ杏里」

 

「うん?」

 

 テニスコートに戻ろうとした杏里を呼び止めて問う。ずっと聞くべきかで悩んでいた事だったが、今しか無いと思ったのだ。

 

「──男子テニス部に入らなかったの、杏里はまだ怒ってる?」

 

「別に? だって早退するシャミ子が心配で帰宅部になったんでしょ?」

 

 それを怒る気にはならないよ、と笑う杏里はそれだけ言うと走っていった。しかし一瞬振り返ると、自分に向けてウインクをしてくる。

 

 ──手を振ることしか出来なかったが、とりあえずは杏里が怒っていなくてホッとしていた。

 

 

 

 商店街に到着し、人混みを避けながら喫茶店を探す。少し歩けば、意外と近くにあることが判明した。古さが目立つが、それもまたアクセントになっている。

 

「ここか」

 

「喫茶店あすら……確かに結界の紙も貼ってありますね、どうしますか?」

 

「入るべきだと思うぞ。俺はシャミ子に着いてきただけだし、桜さんを探してるのは君なんだから君が聞かないと始まらないだろう」

 

「それはそうですけど」

 

 うーん……と悩むシャミ子の背中を押すと、そのまま勢い任せに扉を開け放った。

 

「たのもーう!」

「お邪魔しまーす」

「──まだ開店前なんやけど……あら」

 

 店の中にいたのはいつぞやのスーバーで出くわした少女──リコだった。ぞわぞわと肌が粟立ち、本能が何かを訴えてくる。

 

「なんや楓はんやないの、どしたん?」

「……えっ、楓くんの知り合いなんですか?」

「知り合いというか偶然知り合ったというか」

 

 店の制服に身を包むリコの頭と腰の自己主張激しい狐の部分がゆらゆらと揺れている。

 

「しかしこの見た目のパンチの強さ、もしかしなくても貴女がマスターですね!」

 

「ちゃうけど」

「え゛っ!?」

 

 ひょろいシャドーボクシングをしながら問うが、リコはさらっと返す。

 シャミ子は分かりやすくショックを受け、しょんぼりしながら再度聞いた。

 

「実は表の紙を見てきたんです、マスターに会わせてくれませんか?」

 

「表の紙……ああ、そゆこと。ほんなら座って待っとき、お冷や出しとくさかい」

 

 てきぱきとコップに水を注いでテーブルに置くと、リコはそのまま奥に歩いて行く。

 

 ──何故か尻尾で顔を撫でてから。

 

 

 間を置いて戻ってきたリコの後ろを歩くのは、ボロボロで怪我だらけの二足歩行のバクだった。……頭が痛くなってくる。

 

「──私がマスターの白澤だ」

「なるほど!?」

 

「こんな傷だらけで驚いただろう、実はこの前バク宙に失敗してしまってね」

 

「……驚いてるのはそっちではない」

 

 お冷やを飲み干して頭を冷やす。シャミ子がマスターの……白澤さんと話している横でちらりとリコを見る。当然のように視線が合い、片手で狐のジェスチャーをされた。

 

「──では土日祝日でも問題ないと」

「あー、はい、それがなにか?」

 

 なにやら話が進んでいた。会話内容から察するにバイトの面接だったのだろう、それとなく立ち上がり店を去ろうとした瞬間──腰に毛並みが艶やかな尻尾が巻き付いて動けなくなる。

 

「リコくん確保だ! この二人は貴重な戦力となろう! 是非ともうちで働いてほしい!」

 

「なんぞ!?」

 

「頼む! 当店は今人材不足なのだ、リコくんは料理が作りたいだけで接客に難があるしなんならあと数分で開店する!」

 

「……来るタイミングを間違えたな」

 

 両手でシャミ子の肩を押さえつつ自分を尻尾で拘束するリコから逃げられるとは思えない。とどのつまり、自分とシャミ子に拒否権は無かった。

 

 

 ──数時間のバイトから解放されて、二人で帰路を歩いていた。どこか爽やかな顔をしたシャミ子に頼まれていた事を果たせたのか聞いてみたが、どういうわけか反応が薄かった。

 

「…………バイトが思いの外楽しくて、完全に忘れてました……」

 

「……まあ、明日も来るよう頼まれたし、その時に聞けばいいだろう」

 

 チャンスはある。そう思って追求しなかったのが悪かったのだろう、このあと自分の行動を後悔するときが来るのは──別の話。

 





ヒロインの楓くんへの友愛度

・シャミ子
友/6
愛/1

・杏里ちゃん
友/8
愛/3

・ちよもも
友/5
愛/0

・ミカン姉貴
友/5
愛/0

・リコくん
友/2
愛/0

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