度々ガバるとしても、だが私は謝らない。その苛立ちを克服して、必ず読みに戻ってくれると信じているので初投稿です。
私にガバが舞い降りた! なRTAはーじまーるよー。わたてんRTAあくしろよ。クレイジーレズストーカー√なんてどうかな? (氏刑宣告)
前回はお預けをくらいまくった杏里ちゃんの友愛度がとうとう8/3になったりシャミ子と闇系のバイトをしたところで終わりましたね。
今回はシャミ子の頭がいつもよりアホになってるところから再開です。
四日連続で桃との約束をすっぽかすなんて……なにかがあったに違いない……。
そう! 誰も! リコくんの料理を食べ過ぎるとああなるとは知らないのである!
桃は『二日までならシャミ子でもギリありえそう』とか結構失礼な事を言っています。
そんなわけで四日経っても桜について聞かないことに違和感を覚えた楓くんは、五日目の今日のバイトを休んで二人に相談しました。
リコくんと白澤店長の情報を纏めていますが楓くん絵上手いっすね……。
リリスが言うにはシャミ子の夢への入口がボケボケでわからないとか。出先でなにか盛られてるのか……と疑う桃に、楓くんはシャミ子が店のまかないを食べていると伝えます。
霊的な事に敏感な楓くんが頑なに食べないでいたリコくんの料理が原因かもしれないと当たりをつけ、我々は南米のジャングル……ではなく桜ヶ丘公園に向かいました。
何故喫茶店とは真逆の方向に? とお思いでしょうが、結界が貼られてる所には魔法少女は近付けません。更には書き換えて通れるようにしようとしても、結界を弄ろうとすれば反撃されます。
ですので、よりしろに魂を一時的に移したリリスくん人形を叩き込んで結界の術式を書き換える必要があったんですね。
近いと緊張で当てられないけど超遠距離なら余裕と宣うミカン姉貴の矢に、リリスinマジカルステッキを乗せて射出します。カタパルトタートルに乗せられた竜騎士ガイアみたいっすね。
しかしミカン姉貴の戦闘フォームは……いいですねぇ! (三下大福)
こちらも抜かねば……無作法というもの。
秒速114514メートルで射出されそうなリリスが(比較的)常識人の楓くんに助けを求めてますが、なんか楓くんの態度が若干ゃ冷たいですね。
シャミ子をただただ大事に思っている楓くんからしたら、シャミ子が──ひいては吉田家が苦しんでいた原因がそもそもリリスの封印にあるからでしょう。
とはいえ、確かにリリスたち夢魔の力は凶悪極まりないですからねぇ。そら金魚に「あのタイプが曲がった正義と歪んだ希望撒いて扇動したら大量に死人でる」とか言われますよ。
やらないだけで出来ちゃうんですもの。
楓くんはリリスが嫌いなのではなく、好きではない……んですかね。アンケートの半端な選択かな? とか考えていたら早速射出されました。
一瞬でリリスが画面から消えたと思ったら、桃が持ってきた予備のよりしろが動き出します。1体目のリリスは失敗したようですね。
そのまま2体目3体目とリリスが消し飛んでいきますが、まあ大丈夫でしょ。命のストックが次々消えるなんてまるでパラノイアみたいだぁ……。
──それではラスト1体のよりしろを使ったリリスくん人形がなんとか結界の一部を書き換えることに成功したので行動開始です。
公園から喫茶店までの最短距離を突っ切る為に変身した桃に抱えられて移動します。
お姫様抱っこされてるけどプライドとか……無いんですか?
……屋根から屋根へと飛び跳ねる桃にしがみついてから一分も経たずに『あすら』に到着しました。結界の紙の近くに落ちてるリリスを回収していざ鎌倉、シャミ子も回収しましょう。
先に撃ち込まれていた矢文を見て、イキった巫女はんを肥溜めに落とすぞバリバリー! としてるリコくんは、楓くんを見て大人しくなります。
友愛度の数値はまだ2/0なので他人以上友人未満の仲な筈なのですが、やはりスーパーで人に化けてたのを見破ったのが大きいのでしょうか。
楓くんが店長にシャミ子が何処に居るか聞いている裏で、リコくんは桃にぶぶ漬けを勧めていますね。ちなみにぶぶ漬けはお茶漬けの事です。
バイトの時に使っていた控え室に先行してシャミ子の元に向かいますと、そこでは昼食中のシャミ子がボケボケの顔で座っていました。
食べると元気になるからって、食べ過ぎたらアカンやろ(正論クレーマー)
リコくんのまかないで夢心地のふにゃふにゃまぞくと化したシャミ子は、楓くんを見るやだらしない顔でしなだれかかります。
これは愛情度が1でもあるとしてくる行動で、しかもこうされると友愛度の数値が増えるんですよねぇ。シャミ子が楓くんとイチャつくとどうなるの? 知らんのか、走者の胃が死ぬ。
リコくんの料理がこうなった原因と知った店長に土下座されますが、今は桜の件で交渉する余裕がないため一旦帰りましょう。
それではシャミ子をおんぶして帰路を歩くところで今partはここまで。あとは寝ぼけたシャミ子のやりたいことを聞いて終わります。
桃を……ニコニコ……笑顔に……。
はわぁ^~(浄化される音)
……おげぇぇぇぇぇ!! (胃潰瘍)
◆
シャミ子が私との約束を何度も忘れてから四日が過ぎた。五日目の今日、一緒にバイトに行っていた楓が残って私の部屋に来ている。
「喫茶店にいる魔族の事でわかったことはなにかある?」
「ああ。魔族は二人……二匹、と言えばいいのか。バクの姿をした魔族と狐の耳と尻尾のある少女が店を経営している」
「手際いいのね」
ミカンが隣でそう言っているけど、確かに資料で纏められるとは思わなかった。
……というか絵が上手い。
「ほんとにバクと狐の女の子……楓くん、絵も描けるんだ」
「まあ人並みには」
「……料理店か。何か盛られているとか?」
私の言葉に、楓が考える素振りを見せる。
「──リコの料理は狐狸精ゆえに中毒性がある……と言っていた。俺は嫌な予感がして食べなかったが、シャミ子は店でまかないを食べているし残り物を持ち帰っている」
「なら間違いないね。急がないと大変なことになるかも、二人とも出かける準備して」
「……乗り込むのか?」
「いいや。乗り込む前準備をする」
眉を潜める楓にそう言い、私とミカンも準備を始めた。念のために用意していたリリスさんのよりしろを鞄に詰めて、1体を使って像から魂を移す。
それから四人で公園の高台に向かうと、手すりにリリスさんを下ろして説明を始める。ミカンの変身に驚いている楓を横目で見てからリリスさんに結界を上書きする用のステッキを渡した。
「ここから喫茶店までは1キロはあるけど、どうするんだ?」
「大丈夫よ、私の矢ならここからでも充分届くから!」
「……具体的には?」
「今からリリスさんに結界を書き換えてもらう為に、ミカンのボウガンに乗せて撃ち込む」
よりしろの襟をつまんでミカンのボウガンに乗せようとすると、リリスさんが暴れだした。
「は!? そんなこと聞いておらんぞ!」
「だって言ったら嫌がるでしょ」
「当然であろうが!! そもそもこの棒で書き換えられるなら、お主がやればよかろう!」
「結界を弄れば反撃が来る。民間人の楓でも例外じゃないし、仮にやらせたら防御も出来ないから確実に挽き肉になる」
つまり適任なのは本体が像の中でよりしろでコンテニューできるリリスさんなんだけど、やっぱり嫌がるか。
後ろでは楓が挽き肉……って呟いてるし。
「結界の反撃まで数秒の猶予があるから、ミカンの超遠距離且つ高速の狙撃が不可欠」
「お店まではだいたい1キロだから……1秒でお届け出来るわよ!」
「つまり余はこれから秒速1000メートルで射出されるのだな! か、楓、余を助けよ! これは流石にあんまりにもあんまりではないか!?」
矢に固定されたリリスさんは楓に助けを乞うけど、どういうわけか楓の顔色は暗かった。
私たちやシャミ子には向けた事がないそれに、一瞬驚く。
「……お労しやリリスさん」
「さては助ける気皆無だな……?」
「町とシャミ子の為なので」
「お主そんな事言う奴だったか!?」
……果たして、私たちはドップラー効果で遠退くリリスさんの悲鳴を何回も聞き続けた。最後の一回でようやく成功し、大急ぎで変身して向かおうとした瞬間、後ろから楓に呼び止められる。
「俺も連れていってほしい」
「……抱えて跳ぶ事になるけど」
「構わない。料理が危ないかもしれないのに黙っていた、シャミ子から切り出すべき話題だからと傍観していた俺にも非があるんだから」
真っ直ぐな顔でそう言われては、断るに断れない。ミカンに待機するよう伝えて、楓を横向きに──いわゆるお姫様抱っこで持ち上げた。
「……いろんな意味で本当にいいの?」
「夢に出そうな絵面だな。早く行こう、そしてこの事は忘れよう」
男の子と言うこともあって普段のダンベルよりは軽いけどずしりと腕にのし掛かる重さを支え、足に力を入れて跳躍する。
景色がどんどん流れて行き、家の屋根に着地しては瓦を砕かないように力を調節しながら何度も跳ぶ。一分も経たずに店の前に着地して、楓をゆっくり下ろした。
「リリスさんは……居た。ミカンの矢文も届いてるね、突入するよ」
「なるべく穏便にな」
「場合によるかな」
カランコロンと音を立てて扉のベルが鳴る。入ってきた私に対して敵意を露にしている狐の魔族が居たけど、遅れて入ってきた楓を見るとすぐに意識が逸れて敵意も霧散した。
「2名と使い魔、いいですか」
「──えらい凝った衣装の子やなぁ、ぶぶ漬けしかないんやけどそれでええ?」
「結構です。吉田優子さん、居ますよね」
「この店指名するタイプやないんやわぁ」
笑顔を見せてくるが、楓を除いて私にだけチリチリと敵意をぶつけている。
「店長、シャミ子の様子が変だったので知り合いの魔法少女に頼んで強行突破しに来ました。すみませんが、あの子は今どこですか?」
「優子くんなら控え室でまかないを食べているよ、しかし様子が変なのは僕も見た。リコくんは押さえておくから見に行くといい」
店内の隅でそんな会話をしているバクの魔族と楓はこちらを見てうなずく。
急いで奥に向かって扉を開けると、ボーッとした様子で料理を食べている店の制服姿のシャミ子が座っていた。
「シャミ子!」
「……ぁれ、もも?」
「君は大事なことを忘れてないかな?」
「大事なこと……大事なこと……?」
ふわふわとした言動からして、今のシャミ子は明らかに普段のシャミ子とは思えない。
「この料理がまずいのか……」
「料理はおいしいですよ……?」
……そういう意味じゃない。
一緒に入ってきた楓が、異質な雰囲気を前に苦虫を噛み潰したような顔をする。でも、シャミ子が楓を見た途端、急にふにゃりと笑って抱き付いた。
「はわぁ、楓くんだぁ……!」
「……角が刺さってるんですが」
「……? んん~!」
「いだだだだだ──!!」
グリグリと顔を動かせば、当然腹に当たった角が腹筋をえぐる。見てるだけで痛そうなそれを前に、私に店長の魔族が言う。
曰く狐の魔族──リコさんの料理はあくまで心を癒す料理だと。
その料理の効能で私との約束を忘れたなら、それは私の言葉がプレッシャーになっているのだと。私は不思議と言い返せなかった。
確かに私はシャミ子になんの見返りも渡していない。もしかして、シャミ子の善意を利用していただけなのでは…………?
「せやせや、ウチの料理は体にいいんよ? ただ通常の10倍くらい食べるとハイになったり健忘が出たりするけど」
「────は?」
ネガティブな思考が渦巻いていると、リコさんの言葉に楓の声が返って来た。
店長にも初めて伝えたらしい事実に、店長は勢いよく土下座して謝罪してくる。
──なんだかどっと疲れが押し寄せてきて、とりあえずシャミ子を連れて帰ることになった。悪気は……多分無いのだろうリコさんに治し方を聞いて、店を出てミカンに連絡する。
隣を歩く楓の背中には制服から着替えたシャミ子が乗っている。店を出てから一言も喋らない楓は、前を見ながら私に声をかけた。
「桃は悪くないんじゃないか?」
「……そうかな、なんの見返りも与えなかったのは、姉を──大事なことをダシにしていたのは事実なわけだし」
「それでもシャミ子は君を責めたりはしないさ。なにせ君は利用していたわけではないし、この子もそう思っていない」
……本当にそうだろうか。
会話を聞いて微睡みから戻ってきたのか、シャミ子が背中の上でもぞもぞと動く。
「んぅ、だいじなこと……?」
「なんでもないよ、寝てなさい」
「いえ、思い出せそうです。私の、したい、だいじなこと……重要な、使命……」
うーんうーんと唸るシャミ子は、文字通り思い出したように顔を上げて言った。
「そうだ、私の使命は──桃をニコニコ笑顔にすることでした!」
「な、ぁ──、っ!?」
「……まあ、合ってるんじゃないか?」
「ち、ちがっ、全然違うでしょ!!」
何を言っているのかなこのおバカ魔族は!? それに楓もなんで同意するの!
私が約束したのは姉を探す手がかりを探すことで、そんなことは頼んでいない。
もしかしたら、本当に、仮に、もしかしたら姉を見付けられたら笑える日が来るのかもしれない。でも、そんなことを言われても困る。
隣を見られない。シャミ子の顔が、楓の顔が見られない。
「……なんで私の笑顔なんか……」
「シャミ子が見たいと思えるくらい可愛いかもしれないからじゃないか?」
「そんなわけないでしょ」
「そうかな、俺も見てみたくはある」
「楓、あんまりそう言うこと、女の子に対して言わない方がいいよ」
……そうか? と言ってくる何もわかっていなさそうな楓には呆れる。
君にはミカンが居るだろうに……と。それにしても、見返りか。
私はシャミ子に、楓に、ミカンに──何をしてあげられるのだろう。
夕陽をバックに歩いている私は、最後まで答えを見つけられなかった。
ヒロインの楓くんへの友愛度
・シャミ子
友/7
愛/2
・ちよもも
友/6
愛/1
・ミカン姉貴
友/5
愛/0
・リコくん
友/2
愛/0