【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA   作:兼六園

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虫は嫌いなので初投稿です。



part23

 

 攻略しようとするだけで(RTA階層の合計)再走回数600万の小倉しおんさぁぁぁぁぁん!!! なゲームのRTAはーじまーるよー。

 

 なにがRTAブランドですかぁああ! こんなガバガバのRTAに権威なんてありませぇええん! タイムも最悪なんだからこれ以上ガバでロスしたって対して変わりませんよぉおおおお!! 

 

 プレイヤー兄貴<なんだとぉ……! 

 

 

 ……前回は楓くんの好みが黒下着だと判明したところで終わりましたね。今回は家庭の隙間を這い寄る混沌こと小型ヒードランがミカン姉貴の部屋に出現したところから再開です。

 

 桃の魔力を回復するイベントはミカン姉貴が出ないしそもそも楓くんが戦力にならない役立たずなのでキャンセルだ(辛辣)

 

 だって学校に転入する手続きしないとミカン姉貴が15歳でニートデビューしちゃうし。

 

 ──ちなみにPC(R-18)版では体液の摂取で魔力の回復が出来ますが、全年齢対象の動画(しょうせつ)でそんなことしたら垢BAN不可避なので駄目です。

 

 余談ですがPC版の桃の性感帯は古傷ですので是非参考にしてください(暗黒微笑)

 

 

 ……シャミ子と部屋の外の掃除をしていたらミカン姉貴が部屋から飛び出してきましたね。桃に破壊されて歪んだ扉は直してないようですが、冬になったら凍死案件になるのでは? 

 

 まあその頃にはミカン姉貴の攻略も終わってるし、次第に楓くんの部屋で寝泊まりする機会が増えるから大丈夫でしょう(適当)

 

 ヒードランが出たと騒ぐミカン姉貴ですが、シャミ子はそういう虫が苦手ではないので特に反応しませんね。楓くんは……普通に同情してます。

 

 ボロいアパートなので隙間から入ってくるからしょうがないとはいえ、花の女子高生には辛いものがあるのでしょう。

 出てきたらどうにかするのを条件に三人でミカン姉貴の部屋の掃除をすることになりました。

 

 つまみ出せばいいとティッシュを渡すシャミ子に驚愕するミカン姉貴は矢でパーン☆しようとしていますが、そんなことしたらさっきまでヒードランだったものが辺りに散らばるんだよなぁ。

 

 オーイェー!(やけくそ)

 

 誕生罪で市警なんてまるでまぞくみたいだぁ……と言ってくるシャミ子の為にも頃さない方向で頑張りましょう。殺↑傷↓ていうのはしたことある?(ないです)あっ、ない。

 

 私の家はここ数年で小型ヒードランを見たことはないですねぇ、アホみたいにデカいアシダカグモが住み着いてるので。

 アシダカグモは大きさのわりに人間に対してビビりなので、見掛けても退治したりしないようにしようね!(注意喚起土方)

 

 

 ミカン姉貴の部屋の掃除を進めていると、時間経過で這い寄る混沌が殺戮者のエントリーだ! してくるので丸めたチラシを使って外に誘導します。この時壁や天井に行かせないように気を付けましょう。奴等は種類によっては飛びます。

 

 飛ぶというか滑空というか。とにかく止まり木としてちょうどいい我々人間に向かって飛びかかってくるので……あれはキツいですよ(顔ドハ)

『俺に触るなァ!(闇野)』って素で言う程度には恐怖の出来事でした。

 

 対ヒードランはアシダカグモを雇うか冬の寒い日に部屋中を換気して卵を駄目にしてしまえば奴等は住み着かないので、断然僕からの、おすすめなんです!(QVC福島)

 

 

 ──掃除が終わった辺りで、ミカン姉貴の呪いの被害を裏で受けていた桃が部屋に来ました。あなたシャミ子に米を炊かせてるの……? 

 

 料理は出来なくていいからせめて自炊して♡ 米だけ炊ければあとは出来合いの惣菜買えばいいから米だけは炊けるようになって♡

 

 ウチもやってるんやからさ!(自炊男子)

 

 その件を追求すると闇堕ちすると姑息にも脅してくる桃は、虫が入るなら結界で追い出そうと提案してきました。手頃な紙が無いので掃除の休憩も兼ねて楓くんの部屋に集まります。

 

 桜からある程度教わってるからと早速結界を描くことになりますが、案の定楓くんのやることはないのでレモンティーでも淹れましょう。

 

 

 んだらば完成まで倍速。

 

 

 ──完成した結界の魔法陣を起動するのはシャミ子の仕事なようです。魔力を使うので訓練にも最適だとかなんとか。

 

 発光して起動を確認した結界はミカン姉貴の部屋の扉に貼られますが、結界が起動している時間は質に左右されるので、それから半日も持たず効力が失われました。

 

 また虫が入ってきたのか、ミカン姉貴が玄関を開けロイト市警だ! してきます。勢いそのままに飛び込んでくるので受け止めましょう。

 

 虫が入ってくるのは玄関が壊れてるからってのもあるんですかね。

 ともあれ、虫除けの結界を量産しなくてはならなくなったシャミ子の仕事が始まります。

 

 それではレモンティーを淹れ直し、頑張ったご褒美用に蜜柑入りミルクプリンを用意したところで今partはここまで。

 

 ガバの匂い染み付いて、むせる。飢えたる者は常に問い、答えの中にはいつもガバ。

 

 

 ◆

 

 

 ばんだ荘の掃除は、適宜住んでいる人の分担となっている。平日は清子さんがやっているが、夏休みや土日祝日の時なんかは自分やシャミ子が箒を手に取って掃除するのが日常だった。

 

 ──ミカンの部屋の壊れた扉に目を瞑れば。

 

 

「あれどうするんだろうな」

「さぁ……というか修理費が……」

 

「……この件は後にしようか、ちりとり持ってくるから纏めておいて」

 

「はーい」

 

 二階の通路の落ち葉を纏めているシャミ子から離れてちりとりを取りに行く。

 ちらりと視線を向けると、無駄に長い尻尾が楽しそうにゆらゆら揺れていた。

 箒でゴミ集めなんて普通なら面倒くさがるだろうに、何が楽しいんだか。

 

 持ってきたちりとりで落ち葉を集めてゴミ袋に捨てて縛っていると、不意に背後で壊れた扉が開け放たれた。

 

「出た────っ!!」

「ぴぃいっ!?」

「ぬっ」

 

 驚いたシャミ子に左腕に抱き付かれ尻尾が体に巻き付く。シャミ子ごと振り返ると涙目で慌てた様子のミカンがこちらに走ってくる。

 

「で、出たっ……出たのよ!」

「何が?」

「黒くてカサカサ動くやつ!」

「ああ、ゴキ──むぐぉ」

「名前を呼んだら出てくるじゃないの!」

 

 よほど混乱しているのか、ミカンは全力で口を塞いでくる。口と頬に触れる手はケアされていて仄かに柑橘類の香りがした。

 

「…………それで、ヤツが出たんだっけ? このアパートも古いからなぁ」

 

「隙間からよく入り込むんですよね~、そういう時はティッシュでつまんで外に出せばいいんですよミカンさん!」

 

「そんな恐ろしいことする!?」

 

 ひいっ、と言いながら後退りするミカン。仕方がないだろう、ヤツを触るのが平気なのはシャミ子くらいだからな。自分もシャミ子が居ないときは、丸めた雑誌で叩き潰している。

 

 森に住み着いてるようなヤツならまだしも、都会を生きる奴等は汚すぎるのだ。

 

「黒いアレが怖すぎるから部屋の整頓手伝ってくれない? 実はゴミの分別と収集の曜日がよく分かってないのよ」

 

「ああ、そうか。なんだかんだ引っ越してきたばかりだもんな」

 

 シャミ子に顔を向ければ、肯定の意の微笑を向けてきた。箒とちりとりをアパートの物置に仕舞ってから、ミカンの部屋に二人でお邪魔する。

 

「──なるほど」

「えっ」

「……なるほどですね」

「な、なによその反応は……」

 

 改めてシャミ子と顔を見合わす。ゴミの収集日がわからない以前の問題だった。

 

 ……よし、徹底的にやろう。

 

 

 

 ゴミの分別、収集日の確認とゴミ出し、ヤツの撃退を済ませた頃。ひしゃげたドアノブを掴んで扉を開いて桃が現れた。

 

「……桃、どうした?」

 

「さっきからず~~~っと呪いが向けられてたんだけど。水道管は破裂するし板に穴が空くしシャミ子はご飯炊き忘れてるし」

 

「あなたシャミ子に米を炊かせてるの……?」

「そこは気にするところじゃない」

 

 顔が濡れている桃は闇堕ちした時のような不穏な空気を纏っている。

 いや、そもそも──

 

「シャミ子、君はなぜ桃のライフラインを担っているんだ?」

 

「だって桃ってズボラなんですよ……ご飯はコンビニ弁当ばっかりですし」

 

「なら自炊させなさい、米だけでいいから」

「……そうですね。今度させてみます」

 

 そうしてほしい。シャミ子は頼る側の人間だったから、頼られると断れないのだ。

 

「ていうか虫が入ってくるなら虫除けの結界作ろうか? 姉から基礎は教わってるから、簡単なものなら書けるよ」

 

「結界……って、リコたちの店とか吉田家の部屋の扉に貼られてるやつのことか」

 

「うん。手頃な紙とかある? チラシの裏でもいいんだけど」

 

「チラシなら全部使ってしまいました」

「なんで?」

 

 そういえばさっき、チラシを折り紙みたいに使って遊んでたな。

 確か自分の部屋にはあった筈だ。

 

「俺の部屋にあるぞ、掃除も終わったし休憩がてらお茶も淹れようか」

 

「いいですね! 楓くんのレモンティーは美味しいですから」

 

 シャミ子が賛同して、背中で尻尾が揺れる。それだけ期待されたら渾身のレモンティーを淹れざるを得ない。覚悟しておきたまえ。

 

 

 ──桃の結界の魔法陣作成は製図のようだった。ゴムかけやベタ塗りとは漫画家にでもなった気分だったが、見ているだけというのはむず痒いため約束通りレモンティーを淹れて持って行く。

 

「それでもう完成なのか」

 

「これだけだとまだかな。シャミ子、これに魔力を注いでくれる?」

 

「私がですか!?」

「そう、武器で触りながら念じてみて」

 

 シャミ子がいつぞやの『なんとか(フォーク)の杖』を使い、紙に先を突き付ける。掛け声と共に一瞬空気が震えて、紙に書かれた魔法陣が発光した。

 

「おお、これは凄いな」

「……これで完成。部屋の前に貼ればしばらくは虫が入ってこなくなる」

 

 結界の紙を確認した桃が、それをミカンに手渡す。ミカンは大喜びで早速と紙を貼りに帰っていった。それからさも当然のように居座る二人にレモンティーのおかわりを淹れると、思い出したような声色でシャミ子が桃に聞く。

 

「桃、結界がしばらくは……って言ってましたけど、具体的にどれくらい持つんですか?」

 

「結界の効力は魔力の質に左右される。姉の結界が姉が居なくなっても10年近く稼働してるのは、それだけ質がいいからなんだよ」

 

「じゃあ、私の場合は……」

 

 言い切るより早く、叫び声と共に部屋の扉が激しく叩かれる。

 半日も持たなかったか……と思いながら扉を開けると、部屋に飛び込んで来た柑橘類の香りの少女が全力で自分を抱き締めてきた。

 

「ちょ、ばっ、バランスが」

 

 後ろに倒れるように尻餅を突くが、背中に手を回して離れようとしないミカンが落ち着くのを待つ。そんなに虫が苦手なのか……いや、虫に驚くことで呪いが出るのを気にしているのか。

 

 なら、仕方ない。

 

「シャミ子の魔力で半日持たないなら、数で補うしかないかな」

 

「はい?」

 

「さあシャミ子、頑張ろうか」

 

「……はい?」

 

 

 先手を打って逃げないように両肩を押さえる桃と立とうとしても立てないシャミ子。こうして、シャミ子の結界作成が始まったのだった。

 

 どんどん量産される結界の紙に魔力を注ぐシャミ子だが、魔力を使うのは疲れるのだろう。

 自分の持ってるTシャツを貸して着替えさせてから、髪を結んで額に冷えピタを貼っていた。

 

「……ミカン、ミカン。大丈夫か?」

「──ごめんね、どこか打ってない?」

 

 人の背中に引っ付いて離れないミカンは暫くしてようやく離れる。渡したレモンティーをちびちび飲むミカンが上目遣いでこちらを見てきた。

 

「気にしてないよ、虫が嫌いな人はいっぱい居るんだから」

 

「そう、ね。だからって流石にアレは……Gちゃんだけは駄目よ……」

 

「わかってるわかってる」

 

 口を尖らせて拗ねたような態度を取るミカンには少しばかり微笑ましさを覚える。

 

 ちゃぶ台の方に目線を向けると、残り数枚のところでシャミ子がへばっていた。

 

「大丈夫かシャミ子」

「だいじょばないです」

 

「疲れてるな。それが全部終わったら、冷蔵庫で冷やしてるミルクプリン食べていいぞ」

 

「──ほんとですか!?」

 

「ほんとほんと。ちゃんと皆の分もあるよ、あとで清子さんと良ちゃんにも渡しに行こう」

 

 物で釣るのは程々にした方がいいが、これだけ頑張ってるならご褒美も必要である。やる気を出したシャミ子を見れば間違いではないとわかる。

 

「ミルクプリン?」

「うん。実は蜜柑が入ってる」

「……私も食べていいの?」

「ミカン達の分もあるに決まってるだろ」

 

 レモンティーを飲み干してカップを台所に持って行く。そんななか、ポツリとミカンが小声で呟いたのを偶然耳が拾った。

 

 

「──この部屋で暮らそうかしら」

「なんて?」

「……なんでもないわよ」

 

 ……聞き間違いか。

 

 

 ──聞き間違いじゃなかったらな、とも思うが、耳を赤くしたミカンが視界の端に映ったのを見て頭を振る。

 

 ──今はまだ、その時ではない。

 





ヒロインの楓くんへの友愛度

・シャミ子
友/7
愛/2

・ちよもも
友/7
愛/2

・ミカン姉貴
友/8
愛/3

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