【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA   作:兼六園

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ここからが真の難関なので初投稿です。



part24

 

 走者よ走者よ何故ガバる、視聴者の心がわかって恐ろしいのか。なRTAはーじまーるよー。

 

 前回はヒードランとの長く苦しい戦いに終止符を打ったところで終わりましたね(誇張表現)

 

 今回はミカン姉貴が転校してくるイベントから再開です。夏休みで滅多に会えていない間に同居人三人と屋根裏の守護者と喫茶店の看板娘を攻略していた幼馴染と再開を果たすわけですが、杏里ちゃんの心境やいかに。

 

 情報通ということもあって色々な話をクラスメートから聞くこともある杏里ちゃんは、恐らく楓くんが外で誰と歩いていたかなんかも聞いているでしょう。桃やシャミ子なら「ふーん」で済みそうですが……。

 

 友愛度8/3同士……楓くんが気になっている二人……何も起きない筈がなく……。

 

 ──ヤバイわよ!(戦極凌馬(キャルちゃん)

 

 

 それでは夏休みも終わり登校日、楓くんとシャミ子に加えて桃とミカン姉貴も居ます。

 杏里ちゃんは先に登校しているのか通学路では出会いませんね。

 

 なんでやろなぁ(すっとぼけ)

 

 学校に着いて暫くすると、教室ではミカン姉貴の紹介が始まります。魔法少女要素ガン無視の質問をされている裏で、杏里ちゃんはミカン姉貴をものすごい顔で見ていますね。

 

 ──ああっ杏里ちゃんの目が急に鋭くなった! 怖っ!(クマ吉くん)

 

 あの目は杏里ちゃんが情報を整理する時の目だ! この特徴から杏里ちゃんは「何その目怖っ」の異名を持つんだ……(大嘘)

 

 恐らくミカン姉貴を見る楓くんの顔と、楓くんを見たミカン姉貴の一瞬見せた微笑を見逃さなかったのでしょう。クラスメートの噂話と相まって、ほぼ確実に楓くんがミカン姉貴に惚れていることに気がついたと思います。

 

 

 ガバ<もう逃げられないゾ♡

 

 

 うるせぇ(TKNUC)馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前、シュバルゴ!(炎4倍)

 

 ──休み時間になるといつものメンバーで集まります。

 杏里ちゃんはミカン姉貴にフレンドリーではありますが、時折幼馴染の眼光を向けていますね。

 

 うちの幼馴染は旦那にやらんぞモードの杏里ちゃんは手強いので、今になって幼馴染システムを杏里ちゃんに使ったのを後悔してきました。

 

 ミカン姉貴はどの部活に入るのかと聞いていますが、魔法少女は身体能力が高いのでどの運動部でも超次元○○になってしまうので駄目だとか。

 

 シャミ子は超次元サッカーのアニメ見せたらハマりそう(こなみ)

 

 

 スポーツの話をしていたら杏里ちゃんがあっそうだ(唐突)と話を切り出しました。

 そろそろ体育祭だけど魔法少女はどういう扱いになるのか? という話ですね。

 

 50m走なら桃は3秒、ミカン姉貴は6秒、シャミ子は11秒らしいですね。

 小倉も確か11秒の筈です。楓くんは大体7秒フラットですねぇ。筋トレもシャミ子の為にしてるだけで運動が好きなわけではないので。

 

 ……さっきからさも当然かのように小倉が話に混ざってますね。

 ってなんで小倉が!?(くぅ疲)

 

 どうやら桃の為に闇堕ち安定薬を作ったようで、渡しに来たらしいですね。

 それはいいけど楓くんをクラスメートの視線を遮る盾に使うのはやめたまえ。

 君がマッドサイエンティストとはいえ他のヒロインが引っ付くと杏里ちゃんの眼力がうさみちゃんになるんだよ。

 

 

 そんなわけであれこれ話していると、委員会の時間になりました。小倉はいつの間にか消えており、桃も委員会で教室から居なくなります。

 

 保健委員のシャミ子も一言話して去り、杏里ちゃんとミカン姉貴と楓くんの三人になりましたが……修羅場にはならないので安心!(致命傷)

 

 杏里ちゃんの人間関係の間合いの測り方が保護した野良猫みたいなのは可愛いと思う。まあ猫というよりは太刀なんですけれどもね(若林)

 

 まだなんの委員会に入るか決まっていないミカン姉貴の為に選択肢が現れますが、ゾンビ対策マニュアル作成委員会ってなんだよ……。

 これはがっこうぐらしのRTAも走れというbiim()の啓示ですね間違いない。だから単行本持ってねえっつってんじゃねーかよ。

 

 

 

 ────やってやろうじゃねえかよこの野郎! まあ私はてぇんっ↓さい↑ですからぁ!? 8秒で高校卒業してやりますよ!(cvまな板)

 

 

 

 ……はい。あっそういえば(唐突)

 

 楓くんはシャミ子の為に帰宅部をやっていて、それでいて先生に頼み込んで委員会には所属していません。期限を延期している感じですかね。

 

 かといってミカン姉貴が体育祭委員会に入るタイミングで自分も入ろうとすると、楓くんはミカン姉貴が入るからそう決めたのだと杏里ちゃんに勘違いされます。

 

 仮に杏里ちゃんから嫌われている時にそんなことをすると、田舎少年が平野にやられたようなガチビンタを食らって最悪ゲームオーバーになるのでやめましょう。

 

 

 ──ミカン姉貴がみかんの苗を植えようとして却下されている横で、杏里ちゃんがそういえばと楓くんも所属していない事を思い出します。

 

 そのうち決めるからへーきへーきと誤魔化しておきましょう。ミカン姉貴が戻ってくると杏里ちゃんと同じ体育祭委員会に入ると決めるので、純粋な善意から空気も和らぎます。

 

 杏里ちゃんはミカン姉貴が嫌いなわけではないので、普通に交流していれば自然と仲よくなります。んだらば会議が終わるまで倍速。

 

 保健委員会のやることが終わったシャミ子と一緒に杏里ちゃんたちを待っていると、二人が戻ってきました。ミカン姉貴が迷子にならないようにしてくれていたのだとか。杏里ちゃんは神的にいい人だから!(ピネ)

 

 ……まあ態度からしてミカン姉貴を警戒したらTDN善人で自爆したんでしょうけど。

 

 

 ──四人で帰ろうとしていると、猫に群がられ委員会を作った桃が猫と戯れていました。

 入りたい委員会が無ければ作ってもいいとか自由度が高すぎるってそれいち。

 

 それでは桃が体育祭委員会に入ることになったところで今partはここまで。楓くんが一緒の委員会に入るタイミングはこ↑こ↓がベストですので、流れで杏里ちゃんに伝えましょう。

 

 楓くんが特に打算とか考えていない事がわかって、杏里ちゃんはため息をついてなにやらホッとしているご様子。

 

 見事な観察眼だったよ杏里ちゃん。でも楓くんもまた、RTAに踊らされた犠牲者の一人にすぎないんだよ…………。

 

 

 ◆

 

 

 夏休み中に楓に会えなかったことが寂しくなかったと言えば嘘になる。

 しかしそれ以上に、楓が誰も知らない人と歩いていたのをクラスメートが目撃したらしいという話が、私の心をざわつかせた。

 

 シャミ子とスーパーを歩いていた……というのは別に問題ない。ちよももと河川敷で筋トレをしていた話もまあ、許容できる。

 

 ──オレンジ髪の女の子って誰だよ!? 

 

 

 喫茶店あすらのまぞくはバクと狐耳の娘だし違う……よね。もしかして他の魔法少女が来たとか……? そもそもなんのために? 

 

 ……手元の手帳には、ここ最近で聞いたことが書かれている。

 オレンジ髪の娘と楓が柑橘類を買い込んでるのを見たとか、楓が伊達眼鏡をかけるようになったとか。あとは全部楓、楓、楓。

 

 ……気がついたら一面楓の情報だらけ。幾らなんでも分かりやすすぎる。

 

 そもそもの問題だけど、楓はわりとモテる。私の耳に学校以外での情報が入ってくるのが証拠な程度には、クラスメートから男女問わずよく思われているのだ。

 

 

 ──楓の伊達眼鏡かぁ。喫茶店うんぬんの時は掛けてなかったからそのあと掛けるようになったのかな? 小倉とは違う形だろうし、どんなだろ。

 

 夏休み明けに一緒に登校するのはちょっと恥ずかしくて先に教室に来ちゃったから、まだ楓の顔を見れてないんだよね。

 

 楓とシャミ子が教室に来るのを待っていると、次第に教室と廊下が騒がしくなってくる。先生が前のドアから入ってくるその後ろから、オレンジ色の髪をした────

 

「えっ」

 

 

 

 ──あれよあれよと自己紹介やらが終わった。陽夏木ミカン、魔法少女。

 

 ちよももの魔力を取っちゃったシャミ子が過激な魔法少女に狙われたりしないようにと、ちよももに護衛として呼ばれたのだとか。

 

 それなら楓と関わるのも必然だろう。

 楓ってシャミ子に対して孫に対する祖父みたいな過保護さがあるし、この二人はワンセットみたいな雰囲気がある。

 

 

 ……いや、問題はそこじゃない。

 

 自己紹介の時にミカンの顔を見る楓の顔が、なんというか……なんだろう、恋する乙女じみてたというか……。しかもミカンは楓と目が合って一瞬だけど微笑んでいた。

 

 ──お互いに友達以上の感情を持っているのは必然だった。

 

 どうしてか、それを許せない自分がいる。胸が痛い。きゅーっと切なく締め付けてくる。眼鏡の奥の、楓の瞳が自分を見ていないだけで、ここまで辛くて苦しいのか。

 

 

 

 

 ──どんな話をしていたか、うろ覚えだった。気が付いたら委員会の会議が終わっていて、廊下をミカンと並んで歩いている。

 

「あのさ」

「なあに?」

 

「ミカンはばんだ荘の部屋使ってるんだよね」

 

「そうね。あと、桃もシャミ子の隣の部屋を使ってるわよ?」

 

「……そっか」

 

 ……なんかいつの間にか住人が増えてる。

 正直、本音を聞くのが怖いけど、聞いておくべきだと思う。

 

 

「──ミカンは、楓のことどう思ってる?」

 

「楓くんのこと?」

 

 話の前後が繋がってないからか、ミカンはきょとんとした顔をしている。

 

「楓くんかぁ……もの凄い親切?」

「知ってる」

「それと、女子力高め?」

「それも知ってる」

 

 楓の女子力が異様に高いのは今に始まったことじゃないから安心していい。

 

「あとは──男の子に言うのはアレだけど、楓くんって結構可愛いわよね」

 

「あー……わかる」

 

 意外と寝顔が幼かったり、焼肉に目を輝かせる事があったり、変に大人びてるけど、楓だってまだ子供だ。あの顔を独り占め出来るのが幼馴染の特権とも言える…………。

 

「……あぁ、そっかぁ」

「どうかした?」

「──なんでもない」

 

 

 ──ミカンに対する感情がわかった。これ、単なるヤキモチだ。自分の知らない顔を楓にさせているミカンに、嫉妬しているのだ。

 

 勝手にライバル視して勝手に自爆している自分に気が付いて、顔が熱くなる。

 

「ど、どうしたの?」

 

「……いや、まあ、あー……その、これは私が悪い。ほんとごめん」

 

「なにが……!?」

 

 横でわたわたと慌てているミカンを見て、顔の熱さに反して思考が冷める。

 

 ──あまりにもみっともない。楓の問題を自分の事のように考えていたのだ。

 

「それで、どうして楓くんの事を聞いてきたの?」

 

「いやあ夏休み中はあんまり会えてなかったから、少し気になってさ」

 

「そうだったのね。

 杏里は……楓くんの幼馴染なのよね?」

 

「うん。小学生になる前からずっと一緒だったから、楓のことなら本人より詳しい自信があるよ」

 

 古くなった手帳を片手にそうアピールする。へぇ~、と感心したような声を出しているミカンに僅かばかりの優越感を覚えていると、視界の奥に見慣れた角と尻尾を見つけた。

 

「あれ、シャミ子と楓」

 

 廊下の壁側でシャミ子と談笑している楓もこちらを見てきた。

 相変わらず人を見る顔が無駄に優しくて、そんなんだからクラスメートとか他のクラスの子が変な勘違いするんだぞと言いたい。

 

「なんだよー、わざわざ待ってたの?」

 

「ミカンさんが迷子になったら困ると思ったので、楓くんと一緒に待ってました」

 

「入学式の時のシャミ子じゃないんだから大丈夫だって言ったんだけどな」

 

 うぐ、と言って気まずそうにするシャミ子。そういえばそんな事もあったっけ。

 

「あなた学校で迷子になったの……?」

 

「……迷子というか遭難というか」

 

「あの時はビックリしたよ~、楓がすっげぇ慌てて『優子を見てないか!?』って言ってきてなぁ。当時はシャミ子のことなんて知らなかったから『いや誰だよ』ってなったし」

 

 外で座り込んでるまだ優子だった時のシャミ子は、今と比べて体が弱かった。

 

 合流した楓が背負って行こうとしたり、私が台車を持ってきたりで慌ててたら先生が来てどうにかなったのを思い出す。

 

「あんだけ取り乱した楓なんて初めて見たから、ちょっと新鮮だったよ」

 

「やめろ、恥ずかしいから」

「照れるな照れるな」

 

 頭に手を伸ばし──ても若干届かない。つま先立ちでようやく届いた手で髪をくしゃくしゃと弄る。いつの間にかこんなにも背が離れていた。

 

 そうだ。楓はいつまでも私だけの幼馴染じゃない。小学生の時は私の方が大きかったけど、中学生の時に抜かれて、今では見上げるくらいだ。

 

 私の知らない人と友達になるのも楓の自由なのだから、縛っていい理由などない。

 

 

 

 ──四人で外を歩きそろそろ帰ろうかと思っていると、校舎の裏でちよももが猫と戯れていた。なんだよ猫に群がられ委員会って。

 

 アウトに決まってるでしょうが。

 

「おサボりは駄目よ!」

「私らと体育祭の準備すっぞ!」

 

「や、やだ……」

 

 うだうだと駄々をこねるちよももにヘッドロックするミカンを見ている私の横に立っていた楓が、不意にちよももたちを見てから言った。

 

「皆が体育祭の委員会に入るなら、俺も入ろうかな」

 

「……楓が?」

 

「シャミ子も保健委員だし、俺だけやることないし。そもそもシャミ子の体が弱くて心配だから無所属で帰宅部だっただけだからね」

 

「ふーん。理由はそれだけ?」

「他に何があるんだよ」

 

 眉を潜めて首をかしげる楓を見るにどうやら嘘ではないらしい。流石にミカンがやるから自分もやるとか言われたらちょっとイラっとする。

 

 はぁ、とため息をついて天を仰ぐ。

 

 これからは大変になるのかな。

 体育祭に加えて、楓とミカンのあれこれが私の問題になるかもしれない。

 

 ──楓のしたいことなら好きにすればいいけど、あんまり日和るなら私が貰おう。

 当然、楓には幸せになってほしい。

 

 それでも、やっぱり、こう思ってしまうのは仕方がない事なのだろう。

 

 ──私が楓を幸せにしたかった、と。

 

 

「……いいなあ」

 

 

 そう口に出して、さっきのように、きゅーっと胸が切なく締め付けられるのだった。

 





ヒロインの楓くんへの友愛度

・シャミ子
友/7
愛/2

・杏里ちゃん
友/8
愛/3

・ちよもも
友/7
愛/2

・ミカン姉貴
友/8
愛/3

・小倉ァ!
友/3
愛/0

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