【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA   作:兼六園

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嵐のようなガバも端から見りゃTDNクロニクルなので初投稿です。



part25

 

 投稿頻度は鮮度が大事と存じます……(お米ちゃん)なRTAはーじまーるよー。

 

『じゃあなんで数日間隔開くんだよ』って? 

 

 ………………うるせえ(TKNUC)

 

 17年からいまだに更新中のドンキーコング64RTAと比べたら数日くらい何よ!(サラコナー)

 

 

 ……はい。前回はミカン姉貴の転校イベントが終わり、体育祭の準備をすべく委員会に所属したところで終わりましたね。

 

 今回はいつものメンバーで準備を続けているところから再開です。

 

 夏休み終了直後に体育祭とかいうハードスケジュール、これ絶対学校側に走者が居るだろ……正体見たり! って感じだな。

 

 

 唯一保健委員のシャミ子がハブられてる事実に気付き手伝いを申し出るので、我々と共に仕事をさせましょう。

 

 小倉も誘えるのですが、奴はこの肉体労働(たたかい)には付いてこれそうにないので置いてきました。というか無理矢理手伝わせると後に響くので。

 

 んだらば他の体育祭委員である一年の女子ホモたちと一緒に体育館で色々とこなします(レズはホモ)二人三脚! パン食い競争! 騎馬戦! N! P! K! って感じですね。

 

 女子のお仕事だと言わんばかりになーぜーか男は楓くんしか居ないので、身長差があって騎馬戦のシミュレーションには参加できません。

 

 というか参加しちゃうとミカン姉貴が気絶しないので呪いを解決するイベントが発生しないんですよ。そうなると再走になります(無敗)

 

 

 ──それでは休憩を挟むついでにミカン姉貴をガン見します。

 汗の滴る首筋がセクシー……エロいっ! とか考えていると、モブクラスメートたちが楓くんに近づいてきました。

 

 女三人寄ればなんとやら、モブ子ちゃんたちは楓くんがシャミ子たちの内の誰かと付き合っていると勘違いしているようです。

 

 お前もしかして……あいつのことが好きなのか? (青春)となるので、(誰とも付き合って)ないですと断りを入れます。

 

 しかしミカン姉貴をガン見してるのでモブ子ちゃんは「あっ……ふーん(察し)」とでも言いたげな顔をしました。いいだろお前攻略RTAだぞ。

 

 

 ……モブ子ちゃんたちが桃やミカン姉貴と一緒に他の仕事を始めたので暇になりました。休憩に混ざってきたシャミ子と杏里ちゃんに挟まれて、三人で話し合わねえか?(糞土方)

 

 シャミ子って桃推しだよねーとか言ってる杏里ちゃんが、少し考えてから楓くんに向き直ります。はぇ~すっごいジト目……。

 

 いやあここ数十分は杏里ちゃんの嫉妬全開の膨れっ面を拝めて大変よろしいですね。

 杏里ちゃんの嫉妬顔はそのうちガンに効くようになる(胃潰瘍並感)

 

 

 駄弁り始めて数分、桃が看板のペイントを手伝いミカン姉貴が騎馬戦のシミュレートをしていると、不意にモブ子ちゃんとぶつかってミカン姉貴が落ちてしまいます。

 

 魔法少女は頑丈ですが、頭から落ちては流石に気絶します。心配して駆け寄ろうとしますが桃の怒声に足を止めました。

 

 普段は動揺から呪いがブッチッパ! するミカン姉貴が気絶するということは、それだけ危機的状況にあるという事で…………中にいる娘は外が見えないのでそりゃもう心配で大暴れですよ。

 

 桃がモブ子ちゃんズを魔法少女バリアー(正式名称不明)で守るので、離れている我々は呪いの範囲外から見守っていましょう────なんで等速に戻す必要があるんですか? 

 

 

 ──ペンキの空き缶のエントリーだ! しかもこれ、杏里ちゃんに直撃するコースですね。まあこれRTAなんで……助けたら楓くんが怪我してロスになるから諦めて成仏してクレメンス。

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 

 うるせ~~~! 

 タイムなんて知らね~~~!(走者の屑)

 

 楓くんが杏里ちゃんを助けないわけ無いだろ! それは解釈違いですね! この先ノーミスならそこそこの記録が出るので続行します! 

 

 ──ンアーッ!!(被弾)

 

 

 ……か、カスが効かねえんだよ……(瀕死)ダメージは体力MAXから8割持っていかれた程度ですね。15歳、骨折寸前です。

 

 それでは怪我が見当たらないミカン姉貴と共に帰るところで今partはここまで。イベントはスキップするので右枠で垂れ流しておきます。

 

 ……これゲームシステム的に言うと帰り道で転んだら楓くん氏にますね。

 

 

 ◆

 

 

 ──あまりにも突然のことで、一緒に避ける行動を取ることが出来なかった。咄嗟に杏里の前に出て、左腕を顔の前に持ってくる。

 

 ──数拍遅れて、二の腕辺りに金槌か何かで殴られたような衝撃が走る。

 

 耳にミシミシと嫌な音が響くと、飛んできたペンキの空き缶が視界の端で床に落ちた。

 

「──ばっ、楓! なにしてんの!?」

 

「っ……ぐ、ぉ……!」

 

 激痛にうずくまる自分を後ろから支える杏里が耳元で言う。右隣に立っていたシャミ子が手早く中身が凍ったペットボトルを腕に当ててくれるが、正直なところ気休めにもならない。

 

 ……折れてるかもしれないが、どちらにせよ動かすのはまずい。

 

「──楓、大丈夫?」

 

 他の子を呪いから守っていた桃が変身を解いて駆け寄ってくる。痛みから来る冷や汗をタオルで拭い、立ち上がってから言葉を返した。

 

「……大丈夫だ、それよりミカンを診てやってくれ。魔法少女が頑丈とはいえ頭から落ちてる」

 

「大丈夫なわけないでしょ! ペンキ缶、中身が空でも結構重いんだよ!?」

 

「……そうだな」

 

 右腕を掴んで支えている杏里が言う。

 左の二の腕を冷やしているシャミ子は、顔を青くして俯いていた。

 

 桃たちを見ると、奥で色を付けている途中だった看板が、倒れたペンキの色でぐちゃぐちゃになっている。見るからに大惨事だった。

 

「……楓」

「どうした」

 

 右腕を抱くように掴む杏里は、自分を見上げて小さく言った。

 

「……庇ってくれたのに、怒鳴ってごめん。痛いに決まってるよね。我慢、してるんだよね」

 

 その声は震えていた。自分は杏里の腕を払うと、右手を頭に置く。

 

 ……というか、反対の腕なのに右手を動かすだけで左腕に響くから撫でられない。

 

「……誰が悪いとかじゃないんだ。起きたミカンを責めたりはしないでくれよ」

 

「──わかってるよ。それより腕、病院に行った方がいいんじゃないの?」

 

「今は駄目だ、あの娘が責任を感じてしまう。明日行くからその時は付き合ってくれ」

 

 はぁ、とため息をついた杏里だが──不承不承で聞き入れたらしい。反対に立つシャミ子に向き直って、ペットボトルを掴む。

 

「シャミ子、もうそれはいいよ」

「楓くん……け、怪我は……」

「バレたら困る、治療はあとでいい」

「骨折してたらどうするんですか!」

 

 尻尾をピンと伸ばして怒った態度を露骨に噴出させる。なんとか右手で頬に触れると、ビクリと体を震わせた。

 

「多分、折れてたらもっと痛いよ。それよりシャミ子と杏里は、俺の怪我の事を話すなよ」

 

「……楓くんはそれでいいんですか?」

 

 肯定するように指で頬を撫でる。

 ……惚れた弱みと言えば聞こえはいいが、これも結局は、自分の我が儘なのだろう。

 

 呆れた顔をしながらも、起き上がったミカンを心配しに行った杏里を見てからシャミ子に言った。

 

「……あとで着替えるのを手伝ってもらっていいか? 左腕が動かせない」

 

「──仕方ないですねぇ」

 

 シャミ子はそう言いながら、怪しげに尻尾を揺らしていた。

 

 

 

 ──数十分後、自分を含めてシャミ子たちと四人で帰路を歩いていた。

 

「ミカン、あのさ……」

 

「近付かないで」

 

 桃の言葉をミカンはやんわりとした声色で、且つ毅然とした態度で拒絶する。

 

「気絶したのが不味かったのね、呪いが強く出過ぎてる。今動揺したら何が起きるかわからないから、今日は一人で帰らせて」

 

 夜道を先行して歩くミカンの背中は、酷く寂しげだった。一歩近付こうとした瞬間、思い出したようにミカンが続ける。

 

「桃もシャミ子も、クラスの皆も、楓くんも大好きよ。だけどやっぱり、この呪いは人を傷つけかねない。

 これは本来は私を守るための力だった。少しだけど話も出来たのに、今では会話なんて一切出来ない」

 

 ミカンの言葉が沈んで行く。

 鞄を持つ手が震えている。

 

 ──何かしないと、と思った。確かに最初に言った筈なのだ。何が出来るのかはわからないが、呪いをどうにかしたいと。

 

 あの言葉は、断じて──ミカンに同情したから出てきた言葉などではない。

 

「ミカン」

 

「──っ!」

 

 一歩近づく。近づいて、左手を握る。

 肩を跳ねさせたミカンは、驚いた顔でこちらを見てきた。幸い呪いは出てきていない。

 

「な、んで」

 

「──迷惑なら、俺だけに掛ければいい」

 

「……えっ」

 

 後ろで見ている二人には聞こえていないだろう。自分の言葉を聞いて、ミカンは疑問符を浮かべる。

 

「納涼祭の時に言った言葉だ」

「──ええ、そうね。覚えているわ」

 

 懐かしむミカンは目尻を緩めて見上げてくる。不覚にも、綺麗だと思ってしまう。

 

「俺が君の呪いをどうにかしたいと思ったのは、なんの気兼ねも無く感情を表に出してほしかったからだ。気軽に笑って怒って悲しめない君の苦しみは、俺にはきっとわからないけど──」

 

 左腕を動かせないことを悟られないように、街灯の外の暗がりに半身を隠してから続けた。

 

「──ミカンが呪いを出すときの顔は、いつも素だった。俺は焦ったり怒ったりしたときのあの顔を素敵だと思ったから、力になりたかったんだよ」

 

「────楓くん」

 

 …………途中からほとんどが告白紛いの言葉だと、少ししてから気付いた。夜でよかったと思いながら、顔が熱いのを無視してミカンの手を引く。

 

「帰ろう、俺たちの家に」

「……うん。そうね」

 

 ミカンの手が自分の右手を握り返す。ただなんとなく、一人で帰らせたら居なくなっていそうな気がして咄嗟に手を伸ばしてしまったが──この行動が間違いではないと信じる。

 

 呪いをどうにかしたい。力になりたい。自分は絶対に、この言葉を口だけの約束にはしない。一人ではなにも出来ないかもしれないが、自分もミカンも、決して一人ではないのだから。

 





ヒロインの楓くんへの友愛度

・シャミ子
友/7
愛/2

・杏里ちゃん
友/9
愛/4

・ちよもも
友/7
愛/2

・ミカン姉貴
友/9
愛/4

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