【完結】まちカドまぞく/陽夏木ミカン攻略RTA   作:兼六園

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恋アスは実質まぞく二期なので初投稿です。



part29

 マヨ芋捨てたらあとは勇気だけなゲームのRTAはーじまーるよー。

 

 前回は楓くんがシャミ子を堕としたところで終わりましたね。うわー、堕としたー! シャミ子のハート射止めちゃった! 

 どうかぁ、しましたかぁ? 

 はい! ゲームで攻略予定のないヒロインをおとしてす、しまったのですが! 

 

 ……やっぱつれぇわ。

 

 

 今回は肉体を得たリリスの慰安旅行に山でキャンプをするところから再開です。

 これがゆるキャンΔ(デルタ)ですか。

 

 散々外に出たがってた癖に、出てこられたら出てこられたで7日しか猶予が無く、力も昆虫レベル。大急ぎで人生を謳歌しようとしたら空回りして疲れてしまったらしいですね。いうて昆虫ってまあまあ強いと思うんですけど。

 

 ──という訳で、杏里ちゃんに連絡してキャンプの道具と豪勢な肉を用意してもらいいざ鎌倉。腕も治ったので我を阻むもの無しって感じですわ。

 

 う~~シャミ桃シャミ桃、今シャミ桃を求めて全力疾走している私はごく一般的なRTA走者。

 強いて違うところを上げるとすれば、胃に穴が空いてるってことくらいかナ──

 名前は(放送禁止用語)

 そんなわけで死後土に還るリリスの為に山へやってきたのだ。

 

 道中、古ぼけた小さな祠を見付けて酒とお菓子を供えておきましょう。これを見ておかないと後で発見が遅れてタァイムロスになります。

 

 それでは平らな場所を見付け、ここをキャンプ地とする(動詞)してからリリスの残り三日の寿命を肴にジュースを入れたコップを掲げます。

 

 卍解(かんぱい)~(KBTIT)

 

 某三國志のように「我らハマったジャンルは違えど性癖は同じ」とコップを当てます。ただしNTR好きは……お前を殺す(デデッ!)

 

 

 ──おにく(天野浩成)を焼いたりウガルルを止めたりミカンママを止めたり酔って()になろうとしたリリスを止めたりしていると、時間経過でシャミ子がリリスを川に連れて行きます。

 

 するとうっかり瓶を川に落としてす、しまったのですが! したシャミ子は山のヌシ……山そのもの? な大蛇に魂を持っていかれます。

 冗談でもなくやべー状況になり、魂が抜けたシャミ子ボディを連れて帰ってきたリリスから話を聞いて臨戦態勢を取る桃を嗜めつつ、更に時間経過でイベントが進むのを待ちましょう。

 

 

 あと音量下げた方がいいです。私はヘッドンホホを外すのが間に合いませんでした。

 

 ヌッ! ヘッ! ヘッ!(予備動作)

 

 

 ────んがあああああああああああああああああああああああああああ!!!!??? 

 

 ヘッドンホホ越しに目力シャミ子のくそでかテレパシーが響き渡り、私の耳に重大な被害をもたらしました。はえーすっごい耳鳴り……。

 

 くそでかテレパシーによって祠に行けばいいことがわかったので、リリスと桃(E:丸太)が向かうことになりました。杏里ちゃんはシャミ子を暖めないといけないし、ウガルルと楓くんは爆音に耳をやられてます。

 

 ミカンママは二人を放っておけないので待機すると言い、一応狙撃の体勢は取っておくとのことです。申し訳ないがビーコンを取り付けた相手が疲れてから誘導弾を叩き込んだり、さそり座方面の衛星軌道に猛毒の矢を待機させて自由落下の運動エネルギーで爆撃して仕留める文字通りの必殺技を披露するのはNG

 

 流石に楓くんでもドン引きするだろう""ガチ""さがあるんだよなぁこの人。

 敵に対する容赦が無いというかなんというか、このあと登場する魔法少女相手でも「()れるけどどうする?」って聞いてきますし。

 

 根本的な話になるけど、ミカンママって『桃の知り合いの魔法少女で一番マシな奴』なので、逆に言うと桃とミカンより強かったりヤバい奴はゴロゴロ居ます。でも好きなの(NYN)

 

 

 ──桃たちがシャミ子奪還の為に動いている時はあまりやること無いんですよね。

 一応はシャミ子の体を暖めておいた方がいいですが、杏里ちゃんが毛布やらなにやらを使ってくれるので放っておいていいです。

 

 それ以前に、ステータスを確認したところ楓くんがバッドステータスの『難聴』を患ってるので(動け)ないです。三流ラノベ主人公の事ではなく、先の目力シャミ子に耳をやられて音が聞こえなくなってるんですね。

 

 脳裏に直接響く感じだったので、鼓膜やらがダメージを負ったと言うよりは耳鳴りの酷さと痛みで声が聞こえづらくなってるのかと。また病院沙汰になったらマジで監禁されちゃ^~う。

 

 

 ……これ、私はフルボイスが聞こえなくてもテキストを読めば何を言ってるのか分かるからいいんですが、楓くんはどうやって会話してる事になってるんですかね? 実は読唇術が堪能な可能性も微粒子レベルで存在している……? 

 

 というか耳鳴りの演出でずっと『キーン』って音がしてるのわりと鬱陶しいっすね。

 ちなみに楓くんと同様にテレパシーの爆音にやられたウガルルは、シャミ子と同じ布団につうずるっこんでおきましょう。子供体温で暖められるのでうまフレーバー。

 

 ──あ、画面がぐにゃってきた。頭にダメージが入ったときの演出ですね。

 真面目に楓くんのダメージが心配なので、少しでも休ませておいたほうがいいですね。手持ち無沙汰なミカンママの肩をお借りして、イベントが進展するまで休息とします。

 

 ──おや、肩を借りようとしたらミカンママに膝枕を提案されました。

 お前ぇ……ええやんかぁ……(茜ちゃん)

 

 最終的に友愛度を10/7にしておきたいので、そろそろ10/6になるだろう今のうちにもう少し稼いでおきたいんですよね。

 余談ですが、友愛度の数値は画面上では最大で10/10です。

 しかしデータ上では愛情度5で10から動かなくなる友情度もきちんと増えています。

 

 なので、実際は友/20に愛/10が正しい数値になるんですよね。キリが悪いから10/10になるように表示しているんでしょうけど。んまぁそう、この辺りは気にしなくていいです。

 

 

 ──では早速、ミカンママのお膝をお借りします。なんだこの柔らかい感触は~? 証拠物件として家に押収するからな~? 

 頭の痛みが限界だったのか、楓くんはあっさりと眠りつきました。んだらば今のうちに、大蛇とシャミ子の会話について……お話しします。

 

 シャミ子が大蛇に聞いた『そもそも闇の一族ってなんぞや』という質問ですが、『闇の一族』というのは『光の一族』が「こいつらはワイらとはちゃうわ」と定めてハブった存在の総称です。

 

 このルールは遥か昔の古代の時に決められた事なので、『そういうもの』として概念のように根付いています。仮令(たとい)本人に悪意が無くても、異形であったり、異能を持っていたり、まつろわぬ者は例外無く世界の(じょう)(ちゅう)されます。

 

 大蛇くんですら「くだらぬ」と吐き捨てている辺り、当時このルールを定めたモノの事をあまり好く思っていないようですね。でもシャミ子を閉じ込めて自分のものにするのは許しませーん。シャミ子は桃と楓くんのものでーす。

 

 

 ──などと話していると、シャミ子が目を覚ましました。どうせ三日後には土に還るからと自分を対価に差し出したリリスが、シャミ子を大蛇くんから解放させたんですね。やるやん(HND△)

 

 まあ死なないんですけどね、初見さん。

 

 それでは難聴の楓くんがミカンママと手を繋いで帰路を歩く辺りで今partはここまで。

 ……ミカンママがこっそり楓くんに耳打ちしていますが、だからテキストでは見えても楓くんには聞こえてねえっつってんじゃねーかよ(棒)

 

 

 ◆

 

 シャミ子の声が脳裏に凄まじい大きさで聞こえてきた事はわかるが、酷い耳鳴りと頭痛を合図に辺りの音が聞こえなくなった。

 

 視界の端では眠ったように動かないシャミ子の横にウガルルがダウンしている。

 

「──! ──?」

「────。──!」

 

 キーンという耳鳴りと殴られたような頭痛は、周りの声を届かせない。リリスさんと桃がどこかに走っていくのを見送って、自分もまたシャミ子とウガルルの横に座り込む。

 

「……ミカン、杏里?」

「──! ────!」

 

 気配を頼りに、隣に座ってきた相手を見る。どうやらミカンだったようで、シャミ子を挟んで向かいに杏里が居た。

 自分の難聴を伝えて、ミカンの顔──というよりは口を見る。動きを見れば、なんとなくだが言いたいことは分かるからだ。

 

「ごめん、さっきのテレパシーで耳をやられた。ウガルルも同じだろうから、シャミ子の布団に入れてあげてくれ」

 

「大丈夫なの!? ……って、この言葉も伝わらないのよね」

 

「いや……なんとなく、わかる。ただ……頭の痛みが酷くて、動けない」

 

 どちらにしても、自分ではシャミ子を助けることは出来ない。無力感を覚えながらも、自分への憤りは頭痛に掻き消された。

 偏頭痛の圧迫感と耳鳴りが酷く、すがるようにミカンの肩に額を預ける。

 

「っ、ぐ……ぅう」

「──? ──!」

「少し、肩を、貸してくれ」

 

 ミカンから漂う柑橘類の香りがわずかに頭痛を和らげる。ふと、ミカンが自分の肩を叩いて顔を合わせた。ぎこちなく、おずおずといった様子でこう問い掛けてくる。

 

「──楓くん、横になって?」

「……なに?」

「その……膝、使っても、いいのよ」

 

 恥ずかしいなら提案しなければいいのに、口許をもごもごさせながらそんなことを言ってくる。不意に湧いた気まずさから、ちらりと杏里を見ると──携帯を横向きに構えていた。

 

 ──撮るな、と暗に含んで軽く睨む。

 とはいっても、横になれるのなら助かった。自分も自分で、拒否する余裕が無い。

 

「……じゃあ、頼むよ」

「──ど、どうぞ?」

 

 レジャーシートの上で正座したミカンが、ズボンの埃を払う。この寒いなかでどうしてああも短い丈のズボンを履いているんだと思ったが、そもそも魔法少女は身体構造が違うのを思い出す。

 

 ──ゆっくりと体を倒して、膝に頭を置く。横を向いて太ももに頬が当たり、一際柑橘類の香りが鼻腔をくすぐった。

 

 ……膝枕なんて、いったい何時振りだったか。それこそまるで魔法のように頭痛が(やわ)らぎ、自分の意識は一瞬で黒く塗り潰された。

 

 

 

 ──膝を枕に眠る男の子は、普段の頼りになる顔立ちが鳴りを潜めていた。

 年相応に少年の顔をしていて、何処と無く、胸の奥の何かを刺激する

 

「……楓くん、よっぽど頭が痛かったのね。あっさり眠っちゃったわ」

 

「んー、でもなんで私やミカンは平気なのに、楓だけこんな酷かったんだろ」

 

 楓くんの額に滲んだ汗を、持ってきたハンカチで拭う。顔色は穏やかで、心配するほどではなさそうだった。

 杏里の言葉に確かにと言って考える。

 

「シャミ子は楓をちよももと同じくらい頼りにしてるし、無意識に声が大きくなったのかね~」

 

「……シャミ子にはこの事、言わない方がいいわね。罪悪感を覚えるだろうし」

 

「まあ、違う問題が起きそうだけどね」

「えっ、なにが?」

「こっちはこっちで自覚無いもんなぁ」

 

 杏里が呆れた顔をしながら、シャミ子とウガルルが寝ている布団を一枚追加で重ねている。

 

「……こういうの、敵に塩を送るって言うんだっけ。あーあ、やだねぇ」

 

 ふぅとため息をついて、杏里は穏やかな寝息を立てる楓くんを見ながら言う。

 

「ミカンさあ、楓のことどう思ってる?」

「えーっと……急にどうしたの?」

「好き? 嫌い? そもそも、嫌いな人にそんな事やらないよね」

 

 ちらりと私を見て楓くんに視線を戻す。

 私の片方の手を握って膝を丸めて眠る楓くんは、あまり男の子に言うべきでは無いだろうけど可愛いと思う。

 

 急に好きか嫌いかと言われても──気恥ずかしくて、言いづらい。嫌いなわけがないけれど、いざ問われると、この気持ちを答えられない。

 

「それは、そう、だけど……」

「要らないんなら、貰ってもいいよね」

「──え?」

 

 ──口角が痙攣する。話しながらなんとか笑みを作ろうとして、頬がひくつく。

 

「楓。私にちょうだい?」

「っ────駄目!」

 

 自分でもビックリするぐらいの大きな声。杏里が人差し指を唇に当てて、「しー」と言った。

 

「楓が起きるよ」

「あっ……」

 

 慌てて口を押さえる私の顔を見て、杏里はくつくつと声を漏らすように笑う。

 

「もう答え出てるじゃん」

「…………うん」

 

 ……そういえば、楓くんは耳が聞こえてないんだから、叫んだって起きやしないじゃない。でもうるさくするのは悪い……わね。

 

「で、どうすんのさ。さくっと告る?」

 

「それは……でも、今はそんなことで悩んでる暇が無いし……」

 

「そしたら私が貰うだけだよ。取られたくないならさ、ガンガン行こうぜ?」

 

 杏里の言葉は矛盾している。もしかして、応援してくれてるの? 

 

 そうやって悩んでいるうちに、気付けば問題が解決したのか、不意にシャミ子が起き上がってきて驚いた。桃とごせんぞ様も戻ってきて、事の顛末を語ってくれる。

 

 どうやら、寿命僅かなごせんぞ様が自分を対価にシャミ子を救ったらしい。

 

 シャミ子はウガルルと楓くんの様子を心配していたけど、テレパシーにやられて気絶したとだけ伝えておいて、裏で桃たちには真実を伝える。

 

 あれよあれよと話が進んで、私たちはキャンプ道具を纏めて帰路を歩くことになった。とてもじゃないけど、大蛇が住まう山で1日を過ごす気分にはなれなかったからだ。

 

「楓くん、大丈夫? 頭はどう?」

「……ああ、平気だ。ありがとう」

 

 最後尾を歩く私の横で、楓くんは一拍遅れて返答する。私の口許を見ないと言葉を読めないというのは不便だけど──今、私だけが楓くんを独占しているような気がして、優越感を覚えた。

 

 ──心音が聞かれないことが、これ以上無い幸いだった。ウガルルが体から出たことでこうして存分にドキドキ出来るのも、楓くんが力になると言ってくれたことが救いになったから。

 

 感謝をしてもしきれない。杏里に言われて、膨れていた感情が形を得て、嫌でも自覚する。

 

 とっくの昔に、私は……楓くんの事が──。

 

 ……楓くんに立ち止まってもらって、顔を見られないように横に立つ。聞こえないのをいいことに、耳元で囁くように小さく言った。

 

 

「──貴方が好き」

 

 

 過熱した吐息を吹き掛けるように言って、そのまま耳たぶに口を付けたくなるくらいに気持ちが昂る。私の心臓は爆発しそうなくらい、ドクドクと鼓動を打っていた。

 

「……ミカン、耳鳴りが酷いから、顔を合わせてくれないと何を言ったのかわからないんだけど」

 

「知ってるわよ。だから、また今度……ね?」

 

 ふにっ、と人差し指で楓くんの口を押さえる。今はまだ、これでいい。

 手を繋いで、指を絡めて、私が傷つけてしまった左腕に──肩に頬を擦り寄せる。

 

 ──好き。ただそう思うだけで、頬が熱くなって燃え尽きそうになる。冷えた山の空気が体の熱を冷まして、堪らなく心地好かった。




ヒロインの楓くんへの友愛度

・シャミ子
友/10
愛/5

・杏里ちゃん
友/10
愛/5

・ちよもも
友/8
愛/3

・ミカンママ
友/10
愛/6

・ウガルル
友/6
愛/1
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