レ級の前に立ちはだかる。
昨日、佐世保鎮守府において
「これより佐世保艦隊は、舞鶴鎮守府に向かう」
イズハがそう言うと、他の艦娘達が顔を見合わせる。
「あくまで俺の予測に過ぎないが、手遅れになる前に救援に向かう」
イズハは不知火を舞鶴鎮守府に向かわせたところ、舞鶴鎮守府防衛作戦に伴い、道路が封鎖されているとの事だ。
「でもよ、皆連れて行くわけにいかねぇだろ?」
天龍の言う通り、佐世保鎮守府を空にする事はできない。
「今回の編成は、旗艦天龍、叢雲、暁、雷、電、長門で行く」
「「了解!」」
「明朝には出発する!各員準備急げ!」
そして、現在に至る。
「やはり主力艦隊が待機しているのですか?」
不知火がただの地図を見る。
「ああ、ここにいる。だが........」
イズハは腕を組み考え込む。
中くらいの丸が2つ。
第二防衛ラインで交戦しているレ級だ。
待機しているであろう主力艦隊には、大きな丸が一つ。
それだけが気がかりだった。
第二防衛ライン。
「陸奥さん!雷が!」
望月が大破した雷を抱き寄せる。
「撤退して!ここは私が........!?」
陸奥が左肩に被弾する。
「陸奥さん!」
「ニガサナイ!」
レ級が砲撃。
それを陸奥が庇う。
「くっ........」
「ジャマ!」
陸奥が殴り飛ばされると、レ級に砲撃が直撃する。
「ナ、ナニ!?」
「舞鶴鎮守府の力を思い知らせてやれ!」
「「おう!」」
第三防衛ラインが合流。
「た、助かったわ........」
陸奥が気を失う。
「戦闘不能な者は後方へ下がれ!」
武蔵が指示を出し、レ級と対峙する。
「オマエハ........アノトキノ........」
レ級が武蔵の顔に心当たりがあるようだった。
「ほう?覚えているか」
武蔵は関心する。
横須賀鎮守府襲撃事件。
レ級が苦戦した唯一の相手、それが武蔵だった。
「あの時の借りを返してやる」
武蔵は拳を握り締めた。
イズハ率いる佐世保艦隊も援護のため、高速艇から出撃。
艦載機はないため、イズハが地図を見て艦載機の役割を担う。
「天龍、レ級一隻が向かってくるぞ」
「了解だ」
どうやら、第三防衛ラインの猛攻を振り切って来たらしい。
「魚雷来るぞ!」
射程に入った瞬間に、レ級から魚雷が発射される。
開幕雷撃だ。
舞鶴鎮守府の武蔵達が相手にしているレ級は砲撃重視型。
このレ級は雷撃型だ。
それならやりようはある。
「各員、雷撃をかわした後、砲撃開始!」
長門は砲撃。
叢雲達は魚雷を発射。
しかし、命中せず、レ級は距離を詰めてくる。
「速い!?」
叢雲は砲塔を構えると、レ級は不敵な笑みを浮かべる。
「オソイナ」
叢雲は仰け反り、レ級の拳をかわす。
威力は戦艦級。
まともに当たれば、駆逐艦の装甲は簡単に抜かれる。
「距離を取れ!接近戦では勝ち目がないぞ」
イズハが無線で叫ぶ。
叢雲は距離を取ろうとするが、レ級は執拗に追いかけて来る。
援護しようにも、叢雲も射線上に入ってしまう。
「くらえ!」
天龍は後ろからレ級に斬撃を繰り出すと、レ級は斬撃を受け止め振り返る。
「なに!?」
天龍は刀を手放し距離を取ろうとすると、レ級は刀を投げ付ける。
天龍の右肩を貫く。
「ぐは!」
天龍の右肩から血が流れ落ちる。
援護しようと、雷が砲塔を構えた瞬間だった。
「バァ」
「うわ!?」
レ級に殴り飛ばされて、海面に突っ伏してしまう。
「よくも!」
叢雲が装備しているマストを翻して、殴り付けようとするがレ級は腹部に一撃を入れる。
叢雲は血を吐き出して、海面に倒れた。
マストを拾い上げて、長門に向かっていく。
長門は防御の姿勢を取るがその横を通り過ぎて行く。
「しまっ........!?」
後方で待機していた暁に一直線。
マストを突き出すと、暁は高速艇に激突する。
方向転換して、長門へと向かっていく。
「司令!このままでは........司令?」
不知火はイズハの顔色を伺う。
目をレ級に向けたまま逸らさないのだ。
イズハの脳裏には今の光景が、前の世界の出来事と繋がっていた。
作戦が通じない相手。
全てを無に帰す力、覚醒者と同じだ。
奴らの前ではあらゆる作戦も無意味。
そして、イズハの前から何もかも奪っていく。
「やめろ........」
イズハは過信していた。
自分の力を。
作戦さえあれば、どんな強敵でも倒せると。
しかし、目の前の光景はイズハは嘲笑っているようだった。
またしても無力なのかと........。
またしても無力。
イズハはかつて失った仲間達が脳裏によぎる。