「天津風、何を考えているんだ!ここは戦場じゃないんだぞ!」
俺は天津風を怒鳴りつける。
「はい........すみません........」
天津風は泣きじゃくる。
そんな顔しても、俺は怒鳴る。
俺に砲撃するなら、まだしも........、イズハの鎮守府で砲撃するなんて........。
下手をすれば、解体だ。
「イズハ。今回のことは俺の不備だ。どうか天津風の解体だけは........!」
「解体?する必要ないだろ」
やっぱり解体か........。
え?
「そんなに怒るな、説明していなかった俺も悪い。別に気にする事じゃない」
イズハは笑っている。
イズハも知っているはずだ。
提督に刃向かった艦娘がどうなるか........。
多分。
「俺は今回の事は、事故として報告書を作ったし、天津風も分かってくればそれでいい」
コーヒーを天津風の前に出す。
「本当に申し訳ありませんでした........」
「気にするな。ただし、次同じような事をしたら、俺は許さない」
イズハの目が据わる。
怖い........。
イズハの後ろにいる不知火が特に。
めっちゃ、睨んでる。
「それより、傷は........?」
「ああ、何ともない。そうだ、不知火、厨房を手伝って来てくれ」
「分かりました........」
不知火が退室すると、鍵を閉める。
何されるんだ........?
「京谷には説明しておこう。天津風もな」
イズハは、ナイフを取り出して、指を切り落とした。
「は!?何してんだ!お前........!あれ?」
ゆ、指が........!
再生した!?
「俺は人間じゃない。頭を吹き飛ばされようが、心臓を貫かれようが死なない」
死なないって........。
「俺にムカついたら、いつでも殺しに来い。それだけだ」
イズハは笑顔を浮かべる。
いや待って........。
笑えないんだけど........!
マジで!!
俺は、艦娘達を集め、改めて深海棲艦達について説明した。
敵ではないこと。
艦娘の記憶があること。
これからは、仲間であることを。
納得のいかない様子だが、ここの鎮守府は俺が任されている。
勝手なことはさせない。
「争わなければ良いのですが........」
「不知火、彼女達を信じるしかないだろう」
そう。
受け入れるかは、彼女達次第だ。
敵だった深海棲艦が味方となれば、複雑な気持ちだろう。
「そうだ。不知火、この資料なんだが........」
「失礼するわね」
「どうした?三春」
俺は資料を机に置き、三春に目を向ける。
「夕飯の関係なんだけど........」
「あ、不知火、この資料」
「ちょっ........!聞きなさいよ!」
「たかが夕飯だろ?こっちの方が優先だ」
この資料は、資材調達のリストだ。
夕飯よりもこっちが優先的だ。
「だったらいい!!」
扉を勢い良く閉めて、出ていった。
「何であんなに怒ってるんだ?」
「司令は、木川司令の話をよく聞いてあげた方が良いと思います」
今度、話を聞いてみるか........。
「それで、俺のところに来たと........」
俺は木川提督が怒った様子だったので、躊躇いを覚えている。
何で俺のところに........。
「夕飯の方が大事じゃない!」
その意見には、賛同しかねるが、相槌だけ打っておこう。
可愛いけど、面倒くさそうだし。
「ここの鎮守府は、当番制なんだけど、今日の夕飯は比叡なのよ........」
俺は、口に含んでいたお茶を吹き出してしまった。
「ひ、比叡!?」
料理が絶望的な、あの比叡か!?
「イズハは、平等に艦娘達に機会を設けたんだけど、比叡の料理は........もう........」
ガタガタと震えだしている。
「イズハは、比叡の料理食べられるの?」
「食べてるわよ。恐ろしいくらいに........」
うわぁ。
もう手遅れじゃん。
「じゃあ、比叡の料理の手伝いとして、俺の秘書艦、鳳翔を参加させるのはどうかな?」
「あ、それはいい案ね!」
佐世保鎮守府の夕飯の行く末は!?
壊滅的な比叡の料理とは…。