イズハ提督が着任しました。   作:DELUHI

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佐世保鎮守府へ、新たな提督達が着任する。
しかし、そこには三春の因縁の相手が……。


犬猿の仲

 佐世保鎮守府も大所帯となった。

 

 イズハ艦隊

 暁、電、雷、響、曙、叢雲、秋雲、青葉、皐月、陽炎、不知火、時雨、夕立、阿武隈、時津風、雪風、浜風、黒潮、天龍、龍田、高雄、熊野、鈴谷、あきつ丸、伊401、まるゆ、加賀、瑞鶴、翔鶴、龍驤、祥鳳、長門、陸奥、夕張、レ級、軽巡棲鬼、那智(野田)。

 

 木川艦隊

 武蔵、比叡、愛宕、摩耶、鳥海、瑞鳳、朝風、春風、松風、旗風、明石、菊月(亮介)。

 

 京谷艦隊

 鳳翔、天津風、島風、神通、摩耶、神風、利根、筑摩。

 

 各鎮守府には、このように提督達が増員され、戦力も大幅にアップした。

 

 しかし、佐世保鎮守府はまだまだ人員が少ない。

 

 いつ、戦闘になっても備えられるという訳だ。

 

 停戦協定を結んでから二週間が経過し、大本営に出張していた野田が帰還する。

 

 三春達も顔を合わせるのは初めてだ。

 

 今日はその挨拶である。

 

「舞鶴鎮守府所属、木川少尉以下2名は、佐世保鎮守府に転属となりました」

 

 三春と亮介は、野田に敬礼する。

 

「呉鎮守府所属、京谷少佐、佐世保鎮守府に転属となりました」

 

 大も敬礼する。

 

「佐世保鎮守府総司令、野田大佐だ。よろしく頼む」

 

 話せない野田の言葉を秘書艦である那智が代弁する。

 

 3人は敬礼し、執務室を後にする。

 

『暫くは出撃がないから、通常業務で』

 

 野田がイズハに紙を提示する。

 

「了解です」

 

 イズハも執務室を後にした。

 

「ようやく転属かー…」

 

 大は色んな鎮守府を転々としていた。

 

「初配置は、呉鎮守府だったか」

 

 亮介がそう言うと、大は引き攣った表情を浮かべる。

 

「そうだけど、あいつがいたから、すぐに異動申請したんだよな…」

 

 亮介もそれは納得した。

 

「あいつ?」

 

 イズハが首を傾げる。

 

「ちっ」

 

 三春は舌打ちする。

 

 すると、不意に声が聞こえる。

 

「おいおい、誰かと思えば、京谷じゃないか」

 

「げ…」

 

 三春の表情が剣幕になる。

 

 廊下の壁にもたれ掛かり、鼻で笑い飛ばす、提督がいた。

 

「誰だ?」

 

 イズハが尋ねると、その提督は呆れたように、肩を竦めて近付いて来る。

 

「俺を知らないのか? とんだモグリもいたもんだ」

 

 イズハの眉がピクリと動く。

 

 話さなくても分かる。

 

 絶対に関わりたくない相手だと。

 

「俺の名前は……」

 

 提督が名乗ろうとすると、三春が言葉を遮る。

 

「訓練もあるし、早く行こ?」

 

「ちょっと待てぇぇい!! 俺が話してるだろうが!!」

 

「聞きたかないわよ。滑川中・尉」

 

 三春がその提督の名前を呼びながら、上から目線で睨む。

 

「相変わらずだなぁ! このチビ……!! 俺は中尉じゃなくて、少佐だ!!」

 

「あら、昇進したのね。お得意の媚び売り?」

 

 と、三春が馬鹿にすると、滑川は顔を近付けて怒鳴る。

 

「いいか? 俺は少佐だ。つまり、貴様らより階級が上! 上なんだぞ!」

 

「あっそ、お飾りの階級で偉そうにしないで」

 

「貴様ぁ…!!」

 

「いい加減にするんだ、滑川」

 

 亮介が仲裁に入るが、滑川の暴言は止まらない。

 

「上官にその態度、そりゃあ降格するよな! 所詮はお子様だよな!!」

 

「何ですって!! こんのぉ!!」

 

 三春が殴りかかろうとしたため、流石にイズハが止める。

 三春は舞鶴鎮守府防衛戦の責任を取り、降格していた。

 落ち着けるわけがない。

 

「三春、落ち着け」

 

「離してイズハ! こいつはぶっ飛ばす!!」

 

 これは、イズハが後から聞いた話だ。

 

 木川三春と、滑川明汰(なめかわあきた)は、出会ってはいけない犬猿の仲という事だった。

 

 三春は、海軍将校を16歳という若さでスピード卒業。

 

 滑川は、性格に目を瞑れば、喉から手が出るほどの逸材。

 

 この2人が犬猿の仲になったのは、新人だった頃の演習がきっかけである。

 それは、三春が将校を卒業したての頃で、呉鎮守府の演習に舞鶴鎮守府が参加した時の事だ。

 

 呉鎮守府では、逸材として迎え入れられた滑川は、調子に乗っていた。

 

 滑川の性格を知らない当時の上司に気に入られ、練度が高い艦娘をそのまま譲り受けたのである。

 

 当然ながら、指揮官としての才能があった滑川は、2年間ほど戦績はトップだった。

 

 片や三春は、戦艦武蔵と血の滲むような思いの努力で舞鶴鎮守府の戦績トップに躍り出た。

 

 舞鶴鎮守府、呉鎮守府の若きエースとして期待され、互いの能力向上のため、演習が組まれた。

 

「舞鶴鎮守府所属の木川中尉です。よろしくお願いします」

 

 新人としての初々しさがあった三春は、微笑みながら、演習の挨拶を込めて手を差し出す。

 

「…………」

 

 滑川は三春をマジマジと観察する。

 

「あ、あのー…。わたしの顔に何か?」

 

「いや、噂通りのガキだと思ってさ」

 

 開口一番、滑川から出たのが、三春に対しての侮辱だった。

 

 さらに…。

 

「戦績がトップねぇ…戦艦武蔵がいるんだから当然だろ。そんな奴と比べられたくねぇよ」

 

 滑川は勘違いをしていた。

 自身の指揮能力を。

 

 これまで、戦績トップでいられたのは、前任者が築き上げた艦娘のおかげだ。

 

 それを棚に上げて、三春を侮辱したのだ。

 

「武蔵も大変だろうよ。お前みたいなガキのお守りを任せられてんだからな」

 

 滑川は、三春に対して触れてはならない事に触れた。

 

 三春は当然、冷静さを失い、言葉よりも先に…

 

 バキィ…! 

 

 手が出ていた。

 

 三春の拳が滑川の顔面にめり込むと、滑川は鼻血を噴き出して倒れた。

 

 もちろん、演習は中止。

 

 滑川が悪いのだが、手を出した三春にも責任があったため、喧嘩両成敗となった。

 

 それから、顔を見合わせる度に喧嘩が耐えないと言う。

 

 そして、再び。

 

 バキィ…! 

 

 イズハの制止を振り切り、三春は滑川の顔面を殴っていた。

 

 滑川は鼻血を出して倒れる。

 

「いっぺん死ね!!!」

 




三春の拳が炸裂……。
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