イズハ提督が着任しました。   作:DELUHI

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演習開始

 3 演習開始

 

 イズハは、武装した艦娘達に無線で指示を飛ばす。

 

「無線感度はどうだ?暁から回信頼む」

 

「暁よ。感度良好!」

 

「雷。感度良好!」

 

「電です........。か、感度良好なのです!」

 

「叢雲。感度良好よ」

 

「龍驤や。感度良好やで」

 

「祥鳳です。感度良好です」

 

「よし。作戦開始だ」

 

 イズハの読み通り、相手の提督が出撃させたのは、長門、陸奥、高雄、加賀、瑞鶴。

 

 火力としては、十分だがバランスが悪い。

 

「提督!抜錨します」

 

 祥鳳が弓を構えると、イズハが制止する。

 

「必要ない。数十秒もすれば、あっちから撃って来るからな」

 

 すると、砲撃音とともに水しぶきが舞う。

 

「あわわ!撃ってきたのです!!」

 

 電は慌てふためく。

 

「でたらめに撃ってるだけだ。駆逐艦、合図があるまで体制を乱すな」

 

「「了解!!」」

 

「龍驤、祥鳳、出番だぞ」

 

 イズハが、指示を出すと、龍驤と祥鳳は上空を向けて艦載機を放つ。

 

 小さな飛行機が出現する。

 

「撃って来た?」

 

 陸奥は驚いている。

 

 射程圏内ではないからだ。

 

「馬鹿め。当たるわけないだろ!?」

 

 相手提督は、椅子から転げ落ちそうになる。

 

 投下されたのは、煙幕だからだ。

 

 煙幕を放ちながら、接近する。

 

「目くらましのつもりか!構わず撃ちまくれ!!」

 

 相手提督が命令し、艦娘達は、砲撃開始。

 

 当然、当たるわけがない。

 

「ジグザグに動け!煙幕から出るなよ!」

 

 イズハの指示通り、駆逐艦はゆっくりと近付く。

 

「これじゃあたし達も見えないわよ!」

 

 叢雲が叫ぶが、イズハは笑みを浮かべる。

 

「大丈夫だ。俺には見えている」

 

 イズハは、眼帯を外し、演習場の地図を見る。

 

 把握。

 

 敵と味方の位置が地図に現れる。

 

 射程は十分だ。

 

「10時方向........撃てェ!!」

 

 イズハが合図を出す。

 

「「酸素魚雷一斉発射!!」」

 

 駆逐艦には全員、魚雷を装備させている。

 

 戦闘不能にするには十分な威力だ。

 

 ブザーが鳴り響く。

 

「佐賀鎮守府全艦大破、行動不能。よって、佐世保鎮守府の勝利です」

 

 アナウンスが流れる。

 

「や.......」

 

「「やったぁーー!!」」

 

 艦娘達は歓喜に満ち溢れる。

 

 イズハはひと息ついて、椅子にもたれた。

 

 相手の提督は腰を抜かしていた。

 

「ば、馬鹿な........私の........私の........!」

 

「さて........どうするかな」

 

 

「認めないぞ!認めないぞ!」

 

 やっぱりそう来るか。

 

「勝ちは勝ちだ。約束は守ってもらうぞ」

 

 何でも言うことを聞いてもらう条件だが........。

 

「お前たちが使えないからだぞ!」

 

 長門を殴ろうとした瞬間に、俺は右肩を掴み、思いっきり外してやった。

 

「ぐあ........き、貴様ぁ........!!」

 

「痛いだろ?お前が虐げて来た艦娘達の痛みに比べれば、大したことないだろ」

 

 俺は必要のない権力乱用を嫌う。

 

「ここで、死んだほうが楽になるか?」

 

 俺はハンドガンを眉間に突き付ける。

 

「ふ、ふざけるな........!俺にこれ以上何かしてみろ!上が黙っていないぞ」

 

「そうか。別に構わないが?」

 

 俺は引き金に指を入れる。

 

「正気か!?お、おい、お前ら助けろ!」

 

 相手提督は、艦娘に助けを求めるが、誰も動こうとしない。

 

 当然だ。

 

「それがお前の信頼ってやつだ。ここでお前を殺すのもいいが、裁くのは俺じゃない」

 

 俺はハンドガンをしまう。

 

「ほぇっほぇっほぇ。いい戦略を見せてもらったわい」

 

「さっきのおじいちゃん?」

 

 叢雲は驚く。

 

「何だ貴様........!」

 

「口の利き方がなってないな。お前、上がどうとか言ってるわりに、上官を知らないのか?」

 

 この老人は、俺が前任者の報告書とまとめて、本部に送り付けたら、来てくれた方だ。

 

「ほぇっほぇっほぇ。大本営所属鎮守府統括を任せられている有本恒星じゃ。ひとつよろしくな」

 

 有本の名前を聞くなり、相手提督の顔が青ざめていく。

 

 そう、この方は総司令官なのだから。

 

「イズハ君。君が送った報告書は間違いないようだね」

 

「はい。前任者もこうなる事を予見していたのでしょう」

 

「ど、どういうことだ!?」

 

「お前がこういう風に演習を仕掛けてくるって事だよ」

 

 俺は、報告書を見た時に目を疑った。

 

 自身の地位のために、前任者に嫌がらせ。

 

 最も大切にしていた艦娘。

 

 叢雲を盾にしていた事を。

 

 誰にも相談出来なかったわけだ。

 

 これ以上目立つ事をするなら、艦娘達に危害を加える........か。

 

 戦績は低下。

 

「ところで、前任者の提督はどこにいる?」

 

 俺は相手提督に尋ねると、相手提督は口を噤む。

 

「お前の鎮守府を調べさせもらう。よろしいですね?」

 

 俺は、有本総司令官に確認する。

 

「最初からそのつもりじゃよ。わざわざ部隊まで呼んだんじゃからな」

 

 すると、有本が率いる艦娘に武装した兵士が到着する。

 

 相手提督の鎮守府を調べたところ、酷いものだった。

 

 嗜虐を尽くされた艦娘の数々に、帳尻が合わない艦娘の在籍数。

 

 前任者が所有していた艦娘は、ほとんど轟沈していた。

 

 調査に来た艦娘に、泣き崩れる者もいた。

 

 名誉ある戦死........ならいいだろう。

 

 不知火の話では、弾除けのために駆逐艦を使われたのだと言う。

 

 不知火にとっては、生き地獄でしかない。

 

「お願いします!提督!こいつは私に殺させて下さい!」

 

 そう申し出たのは、有本の不知火だった。

 

 陽炎や黒潮をゴミのように使い捨てた、相手提督を許せないのだろう。

 

「辞めておけ。こいつの身はワシが預かる」

 

「しかし........しかし........!!」

 

 有本は、不知火の頭を撫でて、落ち着かせる。

 

 叢雲は、殺意に満ち溢れた表情になっている。

 

 前任者である提督は、無残にも拷問をされ、口も聞けない状態であった。

 

「イズハ。どいて........そいつは.......」

 

「怒る気持ちは分かるが、有本司令が身を預かるって言ってるだろ?」

 

 叢雲は、武装を構えるなり、容赦なく相手提督に振り下ろした。

 

 俺は立ちはだかり、斬撃を右肩に浴びる。

 

 血が滲み出て、激痛が走った。

 

「落ち着け........こいつには、死ぬよりも重い罰が待ってるさ」

 

「イズハ........!どうして.......」

 

「確かにこいつを殺せば、君達は納得するだろう。だが、こんな奴を殺したところで、君達の手が汚れるだけだ」

 

 そう。

 

 彼女達は染まらなくていい。

 

 もし、ここでこいつを殺したなら、後戻り出来なくなる。

 

 俺みたいに。

 

 一人を殺す、二人殺すのも大して変わらない。

 

 やがて、憎しみだけで動くようになる。

 

「イズハ君の言う通りじゃ。君達が手を汚す必要はない」

 

 こうして、後味の悪い一日は幕を閉じた。

 




こんな戦術あったらいいなー。

御容赦を........。
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