イズハ提督が着任しました。   作:DELUHI

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原因は色々ある。


それぞれの鎮守府
イズハの研修


 呉鎮守府。

 

 呉鎮守府総司令官、秋山 幸輝は深い溜め息を零す。

 

 停戦協定が結ばれたとはいえ、戦闘が急に無くなると違和感を覚えてしまう。

 

 秋山は、27歳にして階級は少将。

 

 優秀だった彼は、呉鎮守府を任せられる若き指揮官だ。

 

 しかし、彼には悩みがある。

 

 部下に恵まれないのだ。

 

 他の鎮守府では、有力な人材が派遣されるにも関わらず、呉鎮守府には全くと言っていいほど来ない。

 

「滑川めぇ……!!」

 

 原因のほとんどは、滑川のせいだ。

 

 滑川が新人達をいびるせいで、次の年には皆が離れていく。

 

 ここに来る提督達は第一志望を通らなかった余り者ばかり。

 

 毎日毎日、ストレスがかかる。

 

「滑川提督、佐世保鎮守府の那智からお電話です」

 

 秘書艦である妙高が、受話器を秋山に渡す。

 

 話し終えた後、この世が終わったかのような深い溜め息を零した。

 

「妙高…車を用意してくれ」

 

「分かりました。あ…」

 

「妙高…。何も聞くな」

 

 理由を尋ねようとした妙高の言葉を遮り、秋山は身支度を済ませた。

 

 用意された軍用車に乗り込むな否や、佐世保鎮守府へと向かったのだった。

 

 

 佐世保鎮守府執務室。

 

「大変……申し訳ありませんでした」

 

 階級が下である、野田に対して、秋山は深々と頭を下げた。

 

 事情を聞く限り、非があるのはこちらだと、言わんばかりの態度である。

 

 かと言って、佐世保鎮守府にも非がない訳では無い。

 

 いくら挑発されたからと言って、殴っていい理由にはならないのだ。

 

「大変申し訳ありません……。これはつまらない物ですが…」

 

 秋山は、野田に菓子折りを差し出した。

 

 野田は紙にメモを書き込み、那智に手渡す。

 

「相変わらずだね。君は…。顔を上げてください。今回の件は、こちらの不手際です。お詫びと言っては何ですが、可能な限り、御助力したいのですが」

 

 野田は提案する。

 

「野田さん、敬語はやめてください…」

 

 秋山は、部下が招いた非礼。

 野田の意を汲み取るには、躊躇いが生じる。

 かつて、野田の部下だったため、頭が上がらないものだ。

 

 現状、秋山が悩んでいる事もある。

 

「分かりました。そのお言葉に甘えさせて頂きます」

 

 秋山は、野田に協力を仰ぐ。

 

 

「それで……何で俺が呉鎮守府に……」

 

 呉鎮守府の待合室で、佐世保鎮守府所属のイズハが頭を抱えていた。

 

『色々と勉強して来ると良いよ』

 

 とは、野田に言われたものの、不安が募るばかりである。

 

「呉鎮守府は、ここ数年。戦績停滞がなく、他の鎮守府と比べてもバランスの取れた鎮守府ですので、不安にならなくても良いのでは?」

 

 不知火が説明すると、イズハは更に肩を落とす。

 

 不知火の言う通り、呉鎮守府は横須賀鎮守府に並ぶほどの鎮守府だ。

 戦績低下もなく安定した鎮守府である。

 

「だといいが……」

 

 待合室の扉が開くと、ソファーに腰掛けていたイズハは立ち上がる。

 

「待たせてすまない。佐世保鎮守府のイズハ君だね?」

 

 秋山が満面の笑みを浮かべている。

 

「あの時はすまなかった。停戦のきっかけを提案してくれたのに、処罰などと…」

 

「気にしないで下さい。大本営に連れて行ったのは、敵意が無いことを伝えるためですから」

 

「そうか…そうだな」

 

「改めまして、佐世保鎮守府所属、イズハ少佐です。本日から1週間。短い期間ではありますが、よろしくお願いいたします」

 

 イズハは敬礼する。

 

 名目上は研修である。

 

 何をするのか、まだ聞かされていないイズハにとっては、不安が拭い切れない。

 

「君には、新設艦隊を率いてもらう」

 

「新設艦隊?」

 

「そうだ。まだ、実戦も経験していない艦隊だ。いずれは、各艦隊に配属させる艦娘達だ。ぜひとも君に率いてもらいたいんだが、どうかね」

 

「それはよろしいのですが、訓練方法はどのように?」

 

「君のやり方に任せる。こちらは、一切口出しはしない」

 

 イズハは少し考えた後、承諾する。

 

「謹んでお受けします」

 

 こうして、呉鎮守府においてイズハの1週間という研修が幕を開けた。

 

 




イズハの研修開始!
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