「不知火に聞いても…いまいち分からなかったわ」
三春は戻るなり、2人に伝える。
不知火に関しては、怖いまである。
イズハを見すぎていて。
「私も聞いておいたよ」
亮介なりに、イズハの様子について探っていた。
「艦娘一人一人に、今の生活について聞いて回ってるらしいよ」
「今更って感じが……」
今の生活に不安があるなら、とっくに文句でも零している。
それがないのは、日頃のイズハ達のおかげだからだ。
「もしかしたら、業務改善の指示でも出たんじゃないか?」
「業務改善であれば、相談くらいしてくれれば良いのに……」
三春は、何一つ相談しないイズハに腹を立て、頬を膨らませる。
「よし! こうなったら……」
三春は拳を握り締めて、再び司令室を後にした。
※※※※※
「不安等はないが…要望はあるか……」
イズハは胸を撫で下ろす思いで、椅子に深く腰をかける。
艦娘達の要望を書き込んだ手帳を開き、内容を整理する。
聞いた要望の中で多かったのは、
・入渠室の改善
・食事レシピの増量
・兵装の増強
だった。
入渠室は、他の鎮守府に比べて古くはないのだが、温泉施設にあるような大浴場ではないため、非常に効率が悪い。
食事レシピの増量は、鳳翔だけでは手が足りないため、艦ごとの食事当番を設けて、運用している状態だ。
そのため、艦娘達への負担が掛かるだろう。
兵装の増強は、艦娘達の運用費だけで手一杯なのが現状である。
増強に手を出してしまえば、万が一に備えた資材も使い切ってしまう可能性がある。
共通点は、資材が足りないという事だ。
バァァァン!!
司令室の扉が壊れそうなほど、勢いよく開く。
「どうした三春?」
イズハは溜め息を零しながら、三春に問い掛ける。
「何か困り事でもあるの?」
「困り事か…ないな」
イズハがそう答えると、三春は差し迫る勢いで顔を近付ける。
「最近変よ!? いつもと違う事して…」
「別に大した事じゃない。気にするな」
イズハは手帳に目を向ける。
「ちゃんと聞きなさい!!」
三春の怒鳴り声で、イズハは驚いたような表情を浮かべる。
「なんでもっと周りを頼らないわけ? 何のための仲間なのよ!」
三春の眼差しに気圧され、イズハは肩を落とす。
「別に…君らが頼りないわけじゃない…ただ、これは俺がしなければならない問題なんだ」
「そういうとこよ! 助けあっていかないと何も出来ないでしょ? 頼る事は恥ずかしい事じゃないのよ」
三春に根負けし、イズハは頷く。
「そうだな…」
イズハは、紙に書き込んで三春に見せる。
「何これ?」
「佐世保鎮守府の改善費用だ」
「こ、こんなに!?」
大型建造が10回は出来る。
「……報告書。手伝ってくれ」
三春は少し後悔した。
資材支援の報告書がどれだけ苦痛を強いられるか知っているからだ。
こうして、三春はイズハの報告書の残業に付き合わされる事になった。
誰もが嫌う資材支援の報告書。
三春の寝不足間違いなし。