そして不知火は........
イズハは不知火とともに、射撃場へと足を運ぶ。
不知火は、驚いた様子だった。
「戦うなとは言っていない。身を守る術は必要だろ?」
イズハはハンドガンを不知火に差し出す。
「不知火。君は人を殺した事はあるか?」
「いえ、ありません........」
「深海棲艦には、通常の武器では歯が立たない。これは、人を殺す道具だ」
「........!」
「自分や誰かを守る時、誰かを殺す事になるかもしれない。その覚悟は君にあるか?」
イズハの目を不知火は見つめる。
不知火の脳裏には、沈んで行った艦娘達が過ぎる。
「誰かを守るために........不知火は、強くなりたいです」
不知火は、イズハからハンドガンを受け取る。
「そこに的がある。距離は15メートルだ」
イズハが的を指示すると、不知火は引き金を引く。
バン。
という乾いた音が鳴り響く。
不知火は、涙を浮かべていた。
あの的が皆の命を奪ったあの男だったらどれほど良かったか。
そう思ってしまったのだ。
イズハは静かに不知火の頭を撫でた。
数日後。
今日の資料は........
俺は執務をするため、資料を整理していると指を紙で切ってしまう。
傷口から血が流れ出た。
深く切ったせいか、血が止まらない。
この程度なら、怪我に入らないか。
生傷なんてもっとあるしな。
大怪我なんて出来ない。
執務が滞るからな。
「包帯は........と」
俺は救急箱を開けると、包帯が無かった。
全く。
傷なんて........。
俺は指に違和感を感じる。
痛みが消えたからだ。
指を確認すると、傷が塞がっている。
俺は上着を脱いで、叢雲から受けた傷も確認する。
目を疑った。
傷が完全に消えていたのだ。
どういう事だ........。
確かにあの時、パンドラを数本打ち込んだが、適合したのか........。
パンドラ。
変種という化け物から生成された薬品だが、適合すれば絶大な力を得る。
頭と心臓を潰されない限り死なない化け物。
たった4人で5万の戦力を壊滅させるほどの力。
試してみるか........。
俺は、ナイフを机から取り出し、腕に切り込みを入れる。
痛みは感じるし、血が流れ出るが、傷はすぐに塞がった。
どうやら、化け物になったらしい。
今、こうして適合しているのも奇跡に近いだろうな。
ということは........だ。
俺は、射撃場に行き、ハンドガンを自分の頭に突き付け、引き金を引く。
「し、司令........!」
俺は倒れ込み、意識が遠のくと思いきや、目が覚めたようにすっきりとした感覚に襲われる。
「本当に死なないんだな........」
血や肉片は残ったままだけど。
「し、司令.......」
不知火........。
「大丈夫だ。すぐに片付けるから」
「そ、そういう訳にはいきません!血が流れてるじゃないですか!」
不知火は、駆け寄り、ハンカチで俺の血を拭う。
「大丈夫だって。ほら」
俺は傷が無いことを確認させる。
不知火は安心したようだ。
「もう........やめてください。こんなこと」
不知火は、心配そうな表情だ。
だろうな。
自分の頭を撃ち抜くなんて、どうかしてる。
それは、人しては........だ。
俺は、人ではないのだから。
お疲れ様です。
お暇がありましたらどうぞ!
パンドラ
イズハのいた世界にあった物で、適合した者は不死身になりあらゆる能力に目覚める。
軍隊を壊滅させるほどの力を持つ。