イズハ提督が着任しました。   作:DELUHI

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イズハが率いる佐世保鎮守府は、舞鶴鎮守府との合同演習をする事に。

果たして勝つことは出来るのか。


強敵、舞鶴鎮守府!

 イズハは上着を脱いで、今日済ませた資料を整理する。

 

「司令。お手紙が来てます」

 

 不知火が執務室へと入り、一枚の封筒を差し出す。

 

「ありがとう」

 

 イズハは、差出人を確認すると、舞鶴鎮守府と書かれていた。

 

 封を切り、内容を確認する。

 

「司令、内容は........」

 

「ん?合同演習のお誘いだ」

 

「舞鶴鎮守府........とですか?」

 

「何か問題があるのか?」

 

「え........」

 

 すると、扉が開く。

 

「今の私達じゃ、絶対に勝てない相手よ」

 

 叢雲が入って来る。

 イズハが思ったよりも、実力者揃いらしい。

 叢雲から軽く説明を受ける。

 艦娘総勢40名。

 

 岡田中将が率いる艦隊である。

 そして、前線を指揮されいるのが、木川三春。

 16歳という最年少で、海軍将校を卒業した天才。

 

 

 舞鶴鎮守府において、真っ白な長髪を靡かせた小柄な少女、木川三春は深い溜め息をつく。

 

「いくら、演習相手がいないからって、新設されたばかりの鎮守府が相手なんて........」

 

 最近の演習成績では敵なし。

 全戦全勝という戦績だ。

 

「そうでもないみたいだよ。佐世保鎮守府を立て直したそうだからね」

 

 小太りの青年は、資料をまとめる。

 

「亮介........。戦場も経験してない人に負けると思う?」

 

 彼の名は、三浦亮介。

 駆逐艦での戦闘を得意としており、舞鶴鎮守府の頭脳的な存在である。

 

「どうだろうね?」

 

 亮介は意味ありげな口調で話す。

 

「あっそう」

 

 三春はさらに深い溜め息をこぼす。

 

 

 佐世保鎮守府では、大本営から送られてきた艦娘の手続きを行っていた。

 新たに着任した艦娘は、

 

 時雨、夕立、龍田、阿武隈、長門の5名。

 これはまだ第一陣だそうだ。

 

 軽い挨拶を済ませて、イズハは不知火と共に作戦を練っていた。

 

 今回の編成は、駆逐艦を主体とした編成になっている。

 

「骨が折れそうだな........」

 

 イズハは、叢雲から提供されたデータを確認する。

 

 大和型二番艦武蔵を主体とし、駆逐艦による魚雷攻撃。

 待ち構える戦法では、敗北は時間の問題となるからだ。

 

「試してみるか........」

 

 イズハは、左目の眼帯を外す。

 

 不知火を見る。

 

 身長、体重、利き腕が数字化されて表示される。

 あえて、イズハは口に出さない。

 

 イズハの能力である把握は、味方や敵の位置を把握できるだけでなく、見た相手をデータ化して分析する事ができる。

 

「イズハ、作戦は順調?」

 

 叢雲が執務室へと入って来たため、ついでに見るとイズハの頭に激痛が走る。

 

「司令!?」

 

 不知火が苦しむイズハに駆け寄る。

 

 叢雲を見た瞬間、有り得ないほどのデータ量が流れ込んで来たため、処理できなかった。

 

「大丈夫だ」

 

 イズハはひと息つく。

 

「それで、作戦は?」

 

「やってみないと、何とも言えないな」

 

 イズハの初めての演習相手が、クソ野郎だったせいで何の経験にもなっていない。

 

「経験になるなら、俺は大歓迎だけどな」

 

 イズハがそう言うと、叢雲は肩をすくめる。

 

 

 不知火は、イズハから貰ったハンドガンを台座に置く。

 自主的に射撃訓練をしており、今も撃ち終えたところだった。

 

 ひと休憩して、弾倉に弾を込めて、的を狙って撃とうとすると、引き金が空回りする。

 

 不知火は、自分で直そうとするが、勝手が分からないため、イズハの元へと持っていく。

 

「申し訳ありません........司令」

 

 不知火は、せっかく貰ったハンドガンを壊した事を気にしている様子だった。

 

「だいぶ使い込んだようだな」

 

 イズハは、壊れたハンドガンの手入れする。

 

「そんな申し訳無さそうにするな。それだけ努力した事なんだから」

 

 イズハは怒るどころか褒める。

 

「これでいいな」

 

 手入れを終えて、不知火に渡す。

 

「ありがとうございます」

 

「また壊れたら持ってきてくれ。いくらでも直すから」

 

「今度は壊しません」

 

 不知火はその晩、ハンドガンをいつも以上に手入れした。

 

 

 舞鶴鎮守府所属、木川三春と三浦亮介は佐世保鎮守府へとやって来た。

 叢雲が出迎え、執務室へと案内する。

 

「わざわざ御足労いただき、ありがとうございます」

 

 イズハと不知火が敬礼すると、三春と亮介も敬礼する。

 

「佐世保鎮守府所属、イズハ中尉です」

 

「舞鶴鎮守府所属、木川大尉よ」

 

「同じく、三浦中尉だ」

 

 と、軽く挨拶を済ませる。

 

 3人はソファーに腰掛け、不知火はコーヒーを差し出す。

 

「ところで、わたし達の演習申請を受ける気になったわね」

 

 三春は素朴な疑問を口にする。

 

「と、言いますと?」

 

「言いたくないけど、実力差が随分開いているようだけど?」

 

 三春は佐世保鎮守府を格下に見ているからだ。

 不知火はムッとした表情を浮かべる。

 馬鹿にされて、気分がいいものではないからだ。

 

「演習ですからね。それに........」

 

 イズハはどんなに差が開いていようとも、演習だからという理由で引き受けている。

 これが、戦場であれば話は別だ。

 やり直しが出来ないからである。

 

「経験が積めますからね」

 

「経験........ねぇ」

 

「相手を格下に見てるなら、その心構えは自重したほうが良いですよ?」

 

 イズハが視線を向けると、三春は睨み返す。

 

「戦場に出てもいない奴が」

 

 三春の言葉をイズハが遮る。

 

「嘗めてかかって、痛い目に見てきた人は何人も見て来たので」

 

「言うじゃない。完膚なきまでに叩き潰す........」

 

 三春は立ち上がり、執務室を後にした。

 

「すまない。ああ言う子なんだが、根は良い子なんだ」

 

 亮介がフォローする。

 

「こちらこそ、すまない。挑発してしまって」

 

 イズハも言い過ぎたとは思っていた。

 

「木川大尉は、あの若さで肝は座っているんだな」

 

 イズハは、三春の目には闘志が宿っている事に気付いていた。

 

「色々あったからね。演習、よろしく頼む」

 

 亮介は手を差し出し、イズハは手を握る。

 

「お手柔らかに」

 

 いよいよ、舞鶴鎮守府との演習が始まる。

 

 

 イズハと三春が訓練場で、最後のミーティングを済ませて、それぞれの艦娘が海に入る。

 

 佐世保鎮守府

 

 旗艦叢雲、暁、雷、電、長門。

 

 舞鶴鎮守府

 

 旗艦武蔵、朝風、春風、松風、摩耶。

 

 フィールドは、障害物となる岩が数箇所配置されている。

 

「長門、負担をかけるが頼んだぞ」

 

「ああ。任せておけ」

 

 長門は拳を握り固める。

 

 作戦自体は、駆逐艦主体だが、接近するためには長門の力が不可欠だ。

 

「皆、いつも通りよ」

 

 三春が指示すると、艦娘達は返事する。

 

「これより、佐世保鎮守府と舞鶴鎮守府の合同演習を開始します」

 

 不知火がアナウンスを流し、開始のブザーを鳴らす。

 

「な!?」

 

 三春は驚きの声を上げる。

 

 長門を戦闘に単縦陣で攻めてきたからだ。

 

「武蔵!」

 

 三春が無線で叫ぶと、武蔵が迎撃する。

 

「フッ。面白い........」

 

 武蔵の46cm三連装砲が火を吹く。

 

 長門は、防御したまま武蔵の攻撃を受ける。

 

「く........」

 

「どこまで耐えれるかな」

 

 武蔵は容赦なく、攻撃を開始する。

 

 すると、叢雲と雷が横から飛び出し、武蔵の砲撃を撃ち落とす。

 

「中々やる........!」

 

 武蔵が砲撃したまま前進する。

 

「各自、攻撃を開始!近付けないで!」

 

 他の艦娘達も攻撃を開始すると、長門も砲撃を開始する。

 

「ビック7の力、侮るなよ!」

 

 長門の砲撃は、艦娘ではなく、海面に豪快に撃つ。

 海面が激しく波を立てるため、艦娘達が迎撃しようとするが狙いが定まらない。

 

 その隙に叢雲達が接近する。

 

「まず........!?」

 

 雷が至近距離で朝風に砲撃を浴びせる。

 

「朝風大破」

 

 アナウンスが流れる。

 

「いやぁーっ!こんなのって….!」

 

 朝風は悔しそうな表情だ。

 

「よくも........!」

 

 春風が体勢を整えて、雷に砲撃しようとすると、叢雲と電が火力を集中させる。

 

「春風!下がれ!!」

 

 摩耶が叫んだ時には遅く、春風が撃破される。

 

「春風大破」

 

 アナウンスが流れる。

 

「ああっ! どうして…....」

 

 春風は涙を浮かべる。

 

「クソが!」

 

 摩耶が砲撃開始。

 

 叢雲はかわし、雷と電は武蔵に向かって魚雷を発射。

 

 爆発が起こるが、武蔵は無傷。

 

「そんなのアリ!?」

 

 叢雲も魚雷を放つ。

 直撃するが、無傷。

 

 武蔵は海面を拳で叩き付けて、魚雷を誘爆させたのだ。

 

「でも、この距離なら!」

 

 雷が至近距離で砲撃するが、武蔵は片手で防ぎ、雷を殴り飛ばす。

 雷は宙を舞って、叢雲に激突する。

 

「雷大破」

 

 アナウンスが流れる。

 雷は目を回していた。

 

「遅いよ、キミ。貰った!」

 

「あわわ!?」

 

 松風に電が撃破されてしまう。

 

「電大破」

 

 アナウンスが流れる。

 

「はにゃあーっ!?」

 

 電は叫ぶ。

 

「僕にかかれば、こんな!?」

 

 松風が格好付けていると、長門の砲撃が直撃してしまう。

 

「松風大破」

 

 アナウンスが流れる。

 

「余所見とはな」

 

 長門も距離を詰めていく。

 

「ぐっ!ちぃ……!」

 

 松風は歯を食いしばる。

 

 これで2対2。

 

 しかし、火力だけ見ると、イズハ達が不利だ。

 

「叢雲、長門」

 

 イズハが無線で摩耶に火力を集中させるよう指示を流す。

 

「酸素魚雷をくらわせるわよ!」

 

 叢雲は摩耶に魚雷を発射。

 

 摩耶は耐えて、叢雲へ砲撃。

 

 叢雲はかわしながら砲撃を浴びせる。

 

「嘗めるな!」

 

 摩耶の意識が叢雲に向く。

 

 そこへ長門の砲撃が摩耶に直撃。

 

「摩耶大破」

 

 アナウンスが流れる。

 

「げっ!」

 

 してやられたと言わんばかりの表情だ。

 これで2対1。

 有利ではあるが油断出来ない。

 叢雲が砲塔を構えようとする間もなく、殴り飛ばされた。

 寸前で直撃は割けられたが、力が入らない。

 

「叢雲、大丈夫か!?」

 

 イズハが動けなくなっている叢雲に無線を流す。

 

「大丈夫........。だけど、力が........」

 

 大破にはならなかったものの中破だ。

 流石戦艦と言われるだけあって、威力が高い。

 

「長門。頼んだぞ!」

 

「武蔵!ぶっ飛ばせ!」

 

 武蔵と長門が組み合う。

 

「ビック7とはこんなものか?」

 

「まだまだ........!」

 

 長門が押し返そうとするも、ビクともしない。

 

「フッ」

 

 武蔵が鼻で笑うと、長門の腹に拳が決まる。

 

「がはっ!」

 

 長門は血を吐くが、踏ん張ったまま殴り返すと、受け流されて顔面に肘打ちを受けて、鼻血が飛び散る。

 

「これで終わりだ」

 

 武蔵が拳を固めて、殴り付けると長門は頭突き。

 そのまま顔面に拳を叩き込んだ。

 武蔵の唇が切れて、血が流れ落ちる。

 

「ほう?」

 

 武蔵は唇から流れ落ちた血を拭いながら、蹴りを繰り出す。

 長門は海面に転がる。

 長門が撃破されれば、動けない叢雲を撃破するだけだ。

 

「少しは楽しめたぞ」

 

 武蔵の砲塔が長門に向けられる。

 

 すると、長門はニヤリと笑う。

 

「今だ!撃て!!」

 

 武蔵は振り向く。

 後ろには誰もいない。

 その直後、叢雲の魚雷が直撃する。

 

「魚雷!?」

 

「これでッ!!」

 

 長門はゼロ距離で武蔵へ砲撃。

 

「武蔵大破」

 

 アナウンスが流れると同時に終了のブザーが鳴り響く。

 長門はニヤけたまま、海面に倒れた。

 

 

 佐世保鎮守府と舞鶴鎮守府の合同演習は、佐世保鎮守府が勝利を収めた。

 

「まさか........負けるなんて」

 

 三春は悔しそうに拳を握り締める。

 

「何とかなったな........」

 

 イズハは胸を撫で下ろす。

 

 長門の機転が上手く機能した。

 あれで、武蔵に耐えられたのなら、負けていたのは佐世保鎮守府だ。

 

「今日はありがとうございました」

 

 イズハが手を差し出す。

 

「次は負けないから」

 

 三春はイズハの手を握る。

 

 こうして、舞鶴鎮守府との合同演習が終了した。

 

 その帰り道では、三春は後部座席を蹴り付けていた。

 

「よほど、悔しかったみたいだね」

 

 すると、三春はさらに座席を蹴り付ける。

 

「当然でしょ!?あーもう!!」

 

 久々の敗北。

 しかも、新設されたばかりの鎮守府に負ける。

 相当悔しかったのだ。

 

「でも........楽しかったわよ」

 

 意味のある演習だったことに変わりはない。

 湧き上がる高揚感というものがあった。

 

「イズハ........か。次は絶対に負けない」

 

 と、さらに闘志を燃やす、三春なのであった、

 

 




あくまでも、自己解釈ですので、御容赦願います。

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