咲 オーラスの向こう側 作:影法師
「…という訳で連れてきました。えっと妹がごめんなさい」
そう言いながら私を抱きしめてあの部室に連れてきた咲を見て、私は諦めた様にぐったりとする。
…抱きしめる力が何時もより強くてどうしようもないしね。
「…わ、私はほら…この後用事もあるし帰ろうかなって…」
「へぇ?私聞いてないんだけど?どうして?」
「ごめんなさい嘘です」
適当に嘘を吐いてみるが、それを物ともしない咲。
私は溜め息を吐きつつ、じっと学生議会長の方へ助けを求めた。
…って、あれ?
「部長なら眠ってますよ。という訳で…麻雀をしましょうか?」
「あ、陰。彼女は和ちゃんって言うの。しっかり覚えてね?」
「…えっと…ほら、其処の…きょ?」
「京ちゃんは帰っても良いよ?寧ろ四人の状況を作りたいから帰ってほしいなって」
「お…おう」
そう言って外に押し出されていく彼を見て、私は今度こそ冷や汗が出た。
これ、どうすれば良いのだろうか?
「…じゃあ早速、麻雀しよ?」
「咲は麻雀が嫌いだった筈だよね?麻雀したくないんじゃ…」
「え?私は泣き言言うお姉ちゃんが嫌だっただけだよ?」
「…あ、さいですか…」
☆{白}☆{■}☆
元気少女が東で和って人が南、後咲が西。
ドラは{北}。
私はラス親である北家だから自風がドラではある。
{西}{東}{三} {五}{七}{七} {①}{⑦}{⑧} {6}{6}{7} {7}
適当に並べた配牌がこんな感じだった訳で、私からすればどうすれば…というより、この状況で初手の捨て牌をどう選ぶかが疑問だ。
{①}は安全に見えて、多分だけど咲の槓材だろうから最後まで持っておきたい。
{西}、{東}はどっちかを捨てて様子を見たいかな。
後は…北が来ない所を見ると誰かにもたれているのが一番可能性が高いかな。
{西}{東}{三} {五}{七}{七} {①}{⑦}{⑧} {6}{6}{7} {7}{四}
{東}は重ならないのと、後誰かが次に引きそうという気がするからさっさと捨てる。
西は別に良い。
何なら咲は±0目指してるだろうから自風が乗るこの場所では使わないでしょ。
{西}{三}{四} {五}{七}{七} {①}{⑦}{⑧} {6}{6}{7} {7}
和
{白}
咲{白} {3}元気少女
{東}
元気少女は{3}を捨てている事と、先程戦った感じからして…速くて重い一撃だろう。
二人の{白}捨ては…正直分からない。
{西}{三}{四} {五}{七}{七} {①}{⑦}{⑧} {6}{6}{7} {7}{8}
迷わず{西}捨て。
此処までは迷う訳ないけど…そうだなぁ…次に来るのがあれだった終わりかな。
{東}{西}
{三}{四}{五} {七}{七}{①} {⑦}{⑧}{6} {6}{7}{7} {8}
後数手は正直何も考えなくて良い様な面子そうだし私はさっさと次の牌を待ち続ける。
元気少女は後数手で出来るだろうけど…混一色かな。
{三}{四}{五} {七}{七}{①} {⑦}{⑧}{6} {6}{7}{7} {8}{⑥}
{三}{四}{五} {七}{七}{①} {⑥}{⑦}{⑧} {6}{7}{7} {8}{六}
{三}{四}{五} {六}{七}{七} {①}{⑥}{⑦} {⑧}{6}{7} {8}{八}
この辺りまでだろうか?
取り敢えず私は綺麗に三色を作れた事を嬉しく思いつつ、それでも警戒はしておく。
{東}{西}{6}{7}{七}
{三}{四}{五} {六}{七}{八} {①}{⑥}{⑦} {⑧}{6}{7} {8}
一盃口が作れなかったのは…ああ、誰かが{8}を抱えて…いや…
私は一応、咲の顔を見つながらも彼女の癖を見抜いて手牌を考える。
{白}{西}{③}{③}{5}
{6}{7} {■}{■}{■} {■}{■}{■} {①}{①}{①} {■}{■}
考え方的にはこんな感じだろうか?
頭を字牌にして平和と断么九を放棄して嶺上開花のみだろうか?
後は後々の符計算を考えて頭を何も関係ない風牌にしている事、後は私に北が来ない事を考えて…こんな感じだろう。
{6}{7} {■}{■}{■} {■}{■}{■} {①}{①}{①} {北}{北}
後は{①}を大明槓しようとしている事から、残りの手牌は符を少なくしたいが為に順子をするだろう。
…という訳で、残りは適当な順子だ。
だからこそ和ちゃんには頑張ってそこら辺を絞ってほしい所だけど…
「チー」
{白}{西}{③}{③}{5}{北}
{6}{7} {■}{■}{■} {①}{①}{①} {北}{北} {横1}{2}{3}
駄目だ気付いてないっぽい。
そして切った牌を見て、私は彼女が聴牌(嶺上開花)した事に気付く。
…どうするべきか。
{三}{四}{五} {六}{七}{八} {①}{⑥}{⑦} {⑧}{6}{7} {8} {②}
こちらは空聴だから上がれるのは無い。
兎に角此処は適当に自模切りをしつつ時間を稼いで、私は時間を…
「槓」
{6}{7} {②}{②}{②} {①}{①}{①} {北}{北} {横1}{2}{3}
謀られた。
私は点を減らす為に彼女はギリギリまで符を削っているって思った。
…だけどそれは違くて…
{6}{7} {①}{①}{①} {北}
「自模。嶺上ドラ“4”…8000の責任払いよろしくね?陰」
「…分かった」
ドラは乗っていた。
という事は…咲は本気を出しているらしい。
ああ…北を考慮してた時点で考えるべきだったかな。
…靴下、履いてなかった事。
元気少女 25000
和 25000
咲 33000
陰 17000
「第二局、行きましょう」
その言葉と共に、私は意識をゆっくりと覚醒させた。