【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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しのぶさん視点です。言葉遣いが難しぃ……


10話『胡蝶しのぶ』

 これは、まだ成矢 鈴蘭くんが蝶屋敷に来る前のこと。

 

 「胡蝶………話がある。」

 

 合同任務で"水柱"である冨岡と一緒に行動していた時、彼から話しかけられる。珍しいですね、あの冨岡さんから話しかけられるなんて。

 

 「はい、何でしょうか?」

 

 「早くて1年後ぐらいに子供を1人蝶屋敷に送る。だから、世話をしてやって欲しい」

 

 「はい?ちょっと待ってください。話が全然分かりません」

 

 唐突に何を言い出すんでしょうか、この人は。子供?誰の?………まさか冨岡さんの!?……………なわけありませんよね。だって、冨岡さんですもの。

 

 しかも、世話って………。犬猫みたいな感覚で言われても困るのですが。

 

 「ちゃんと説明してください。」

 

 「………分からないのか?」

 

 「分かりませんよ」

 

 私の事馬鹿にしてるでしょ、この男!!だから、他の皆から嫌わr………コホンコホン、失礼しました。つい思ったことを素で心の中で叫んでしまいました。平常心平常心………。

 

 それにしても、相変わらず大事な部分を省いて話されますね。聞かされるこっちの身にもなって欲しいです。

 

 「………3日ほど前に、任務先で医学の道に進みたいと言っていた子供に会った。」

 

 冨岡さんはボソボソと小さな声で私に詳細を話す。へぇ、つまりその子はお医者さんになりたいということですよね。それは大変興味深く、とても良い事だと思いますが…………。

 

 それが私に何の関係があるのでしょうか?

 

 「そいつは"とある事情"で鬼殺隊を志願した。今は俺が世話になった"育手"の所に向かわせているが、どうせならお前の所で世話になった方が将来的に為になると思ったからだ。そいつにとっても、胡蝶にとっても。」

 

 なるほど、大体の話が見えてきました。

 

 簡単に言えば、医学や薬剤に精通している私にその会った子供に医学について教えてあげて欲しいということですね。どうして、そのたった一言を素直に言えないのでしょうか。

 

 本音を言ってしまえば断りたい所です。なぜなら、私は"柱"でもあるため、その子に教える時間があまり取れません。それに、剣士として育てるとしても、私にはもう栗花落カナヲという"継子"がいます。カナヲの稽古もあるので尚更、無理だと思います。

 

 しかし、ここでその子を手放すのが惜しいと思ってしまうのも事実なんですよね。

 

 正直な話、現在の蝶屋敷は人手不足へと陥っています。

 

 理由としては負傷した鬼殺隊の隊員は毎日のように診療所である蝶屋敷へと足を運んで来ているからですね。アオイ達も看護師として頑張ってくれていますが、隊員達を診療することができるほどまでには、まだ至っていません。

 

 だから、隊員達を1人1人診療しているのは、蝶屋敷で私だけなのです。

 

 約300名以上いる鬼殺隊の隊員を蝶屋敷で全員診ることは流石の私にも不可能なこと。

 

 なので、医学の道に進みたいという気持ちがありながらも鬼殺隊へと志望している子がいるならば是非、蝶屋敷の元に来て欲しいです。そうすれば、少なくとも隊員を診療することができる人が増え、私の負担も減らせれますしね。

 

 きっと、冨岡さんの最後の言葉にあった『胡蝶にとっても』というのはこのことを指しているのでしょうね。普段はボケーッとしている癖に周りをよく見ています。

 

 

 ………よし、決めました。

 

 

 「分かりました。その子を蝶屋敷で引き取りましょう」

 

 将来の蝶屋敷のことを考えて彼を蝶屋敷に引き取ることを決意しました。

 

 私が………………いなくなったあとにも、蝶屋敷には人を診れる人間を置いておいた方が良いと判断しました。

 

 「………助かる。また近いうちに"育手"の方から報せが来ると思うからその時になったら頼む。」

 

 「はい。」

 

 これまた珍しく、冨岡さんから感謝のお言葉を聞いたあと、私達の目の前に目的である鬼が数体現れました。

 

 なので……………

 

 「蟲の呼吸 蝶の舞 "戯れ"」

 

 「水の呼吸 肆の型 "打ち潮"」

 

 冨岡さんと協力して、その場にいた鬼を全滅させました。

 

 

 

 

 

 それから、もうすぐ1年が経とうとした時の頃でしょうか。

 

 私の元に見たことの無い風格のある1匹の鴉がやって来ました。送り主は冨岡さんの"育手"である鱗滝左近次からでした。

 

 

 そして、その鴉から医学の道に進もうとする例の子供…………成矢 鈴蘭くんについての報せを聞きました。

 

 

 あと、3日ほどで蝶屋敷に向かわせるそうです。なので、私は蝶屋敷にいる彼女たちを集め成矢くんのことを話しました。

 

 なほ、きよ、すみの3人はとても喜んでいました。まぁ、彼女たちは人懐っこいからですね。新しい人が来ると嬉しいのでしょう。

 

 アオイは「そうですか。」と一言だけ呟いていました。アオイは少し固いところがありますからね。彼と上手くやっていけれるか心配になります。

 

 カナヲは分かっていたことですが、成矢くんのことを聞いても特に表情を変えることはありませんでした。特に気にしていないのでしょう。"継子"仲間として仲良くやって欲しいところではありますが…………。

 

 隠の人達にも成矢くんのことを話して、彼の部屋なり着ていく衣服なりを用意していると、あっという間に3日が経ってしまいました。

 

 はて…………、どんな子が来るんだろうと内心、少しだけ楽しみにしながら蝶屋敷の屋根の上で待っていました。

 

 しばらくしたあと、鱗滝さんの鴉がやって来ました。そして、そのあとを追う1人の藍色の髪型が特徴的な男の子。

 

 恐らく、この子が成矢 鈴蘭くんなのでしょう。見た感じ…………やんちゃそうなタイプに見えますね。本当に医学の道に進むの?と失礼ながら疑問に思ってしまいます。

 

 しかし、そんな気持ちは彼の態度で180°変わりました。

 

 「冨岡 義勇殿、鱗滝 左近次殿の両方のご厚意によりこの度は参上させていただきました、成矢 鈴蘭といいます。今日からよろしくお願いします!!」

 

 成矢くんは私の姿を見たあと、深く頭を下げて言葉を出していました。見た目に反して、礼儀はしっかりと弁えている子だと分かります。

 

 人は見た目で判断してはいけないというのはこのことを言うんですね。ごめんなさいね、成矢くん。

 

 そして、彼を蝶屋敷へと案内しようと中へ入って貰いました。

 

 すると、恐らく薬品の匂いを嗅いだのか、とても嬉しそうな表情を浮かべていました。ふふ、本当に医者になりたいんですね。

 

 彼に蝶屋敷を案内したあと、今度はカナヲ達に会わせました。各々、どんな反応を見せるのでしょうか。ちょっと楽しみです。

 

 結果としては…………特に何か起こることなく想像通りって感じでしたかね。ただ、カナヲが銅貨を弾いた時に、反対の目が出た為に何もしなかったのを見て、成矢くんが悲しそうな顔をしていたのは面白かったです。

 

 自己紹介を終えたあと、最後に私は彼を診療室へと連れて行き、気になっていた質問をしました。

 

 それは、どうして成矢くんは鬼殺隊に入ろうとしたのか……、ということ。

 

 冨岡さんは"とある事情"と言っていた時から気になっていましたが、何があったのでしょうか。できれば教えて頂きたいところではあります。

 

 しかし、彼は答えられないと言いました。その時の彼は複雑な表情を浮かべていました。きっと、辛い過去があったのでしょう。私達みたいに両親が親に殺されてしまったように。

 

 なので、そこまで深追いはしませんでした。そのうち、互いに打ち解けた後にまた、教えてくれるかもしれません。その時が来るまで、私は待つことにしました。

 

 こうして、我が蝶屋敷に新しい住人が出来ました。……………よくよく思い返してみれば、蝶屋敷に男の子が住むのは初めてですね。

 

 

 

 

 成矢くんが蝶屋敷に来て数ヶ月が経ちました。

 

 なんとか時間を作って、成矢くんに医学に関する授業をしているのですが………

 

 驚くことに猛威的なスピードで教えた内容を吸収しているんですよね。元々、独学でやっていたこともあり、最低限の基礎知識はあると聞いていましたが、たった数ヶ月でここまで来るとは思ってもみなかったです。

 

 しかも、私が作った仮試験用紙と嘘をついて去年の医師の国家試験のプリントを彼に渡してやらしてみたら、合格点数には届かなかったとはいえ、かなり惜しいところまではいっていました。

 

 

 しかも、驚くのはそれだけじゃありません。

 

 

 彼は薬とかも独学で調合して作っていたらしいので、いくつか見させてもらいました。

 

 しかし、どれも見たことがないものがばっかりだったので、最新の治療器具で詳しく調べてみた結果………

 

 (嘘でしょ………!?)

 

 まだ、治療薬が見つかっていない病気を………………治すことが出来るかもしれない薬がほとんどでした。

 

 これは世紀の発見と言っても過言ではないほどの出来事です。

 

 私はすぐに彼にどうやって調合したのか、聞いてみると成矢くんは平然とした表情で

 

 「え、全部勘で作りましたけど………。あ、ちゃんと薬の効果は自分で試していますよ!!」

 

 と、その日の夕飯を作りながら答えていました。

 

 

 本当に何なのか、この子は…………。

 

 

 その言葉を聞いて、真っ先にそう思ってしまいました。勘だけでやっていけれるほど、医学の道は甘くはありません。なのに、この子は成し遂げてしまっている。

 

 

 稀に見る天才…………なのでしょうね。成矢くんは。

 

 

 しかも、それに成矢くん自身は気付いていない。これに関しては教えない方がいいでしょう。気付いていないからこそ、それが成矢くんの力へとなっている気がします。

 

 恐らく………、あと数年経てば、きっと彼は凄い存在となっていると思います。

 

 成矢くん………普通に逸材ですよ、冨岡さん。紹介してくださって本当にありがとうございます。初めてかもしれませんね、貴方に感謝するのは。

 

 剣士としては………まぁ、発展途上って感じですね。とは言っても、まだ剣を握って1年しか経っていないらしいので仕方が無いのかもしれません。

 

 ですが数日前に、あんだけやるのを嫌がっていた"全集中"常中をいつの間にか出来るようにしていたので、少なくとも才能はあると思います。

 

 あと、これは少し余談なのですが成矢くんは冨岡さんの"育手"である鱗滝さんという方から"全集中"の呼吸法は教わったそうなので、冨岡さんと同じ水の呼吸の型を使っているのをよく見かけます。

 

 その光景をみる度にですね………その………

 

 なんか………妬いてしまいます。

 

 今は私が彼の"育手"なんですよ?それなのに、冨岡さんと同じ呼吸を使っているのは癪です。あ、別に水の呼吸を使っている人たちを馬鹿にしているわけではありませんからね。誤解しないでください。ただ、冨岡さんと同じなのが嫌なだけですから。

 

 

 

 ………あ、いい事を思いつきました。

 

 

 

 「成矢くん。頸を刎ねなくても鬼を殺せる呼吸法があると言ったら………君はどうしますか??」

 

 この一言をさりげなく言ったら彼はすぐ反応して食いつき、土下座して私に教えて下さい!!とお願いしてきた。その時の顔が本当に嬉しそうで興味津々な顔でしたね。

 

 

 残念ながら冨岡さん及び鱗滝さん。

 

 

 彼は今日から水の呼吸法の使い手では無くなるのでご了承を♪

 




というわけで鈴蘭の呼吸法はアレになりますので皆さんもご了承ください。これは、前々から考えていたことなので。

キメツ学園編読みたいか、どうか。

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