【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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お久しぶりです。リアルが忙しくて執筆出来なかった。

14話、少しだけ内容変えてるので、それを読んでから最新話を見ることをおすすめします。(2020/01/21)


15話「再開」

 1年ぶりに僕は炭治郎に再開を果たした。少しだけ最悪な状況ではあるが………。

 

 僕は安堵の息を吐きながらも懐から1本の注射器を取り出して、

 

 「ほい」

 

 「がっーーー」

 

 炭治郎の首元に刺した。そして、容器の中に入っている液体をこいつの体内へと注入させていく。

 

 「鈴蘭!?何をーーー」

 

 「こら、注入してる途中に喋るんじゃねぇよ。僕特製の鎮痛剤だ。効果は先生のお墨付きだから安心しろ」

 

 何かあった時のために、調合しておいた鎮痛剤を持ってきておいて良かった。これで、すぐに一時的ではあるが炭治郎は動くことが出来るはずだ。

 

 因みに、そんな余裕を目の前にいる巨体の鬼は与えてくれるのか?と疑問に思うかもしれないが、そこも配慮済みだ。

 

 「ガァァァーーーー!?」

 

 巨体の鬼は、ドシン!!と膝を地に着けて苦しそうな表情を浮かべていた。

 

 「どうして、鬼が………」

 

 注入した鎮痛剤が全身を回ったおかげか、ゆっくりと立ち上がった炭治郎は不思議そうに苦しむ鬼を見て言葉を呟いた。

 

 「"毒"だよ。」

 

 「"毒"?」

 

 炭治郎は頭の上に『?』を浮かばせながら首を傾げる。

 

 「あぁ。僕が奴の腕を斬り落とす際に、さり気なく毒を注入しておいたんだ。」

 

 「そうなのか………。でも、鬼は日光か日輪刀でしかーーー」

 

 「そこら辺はまた後でゆっくりと教えてやるよ。だから、構えろ、炭治郎!!」

 

 それについては詳しく説明したいところではあるが、どうやら時間切れらしい。

 

 毒の効果が切れたのか、巨体の鬼は再び立ち上がって、僕たちのことを睨みつける。巨体だけあって、注入した毒の量が足りなかったか…………。

 

 僕の言葉によって、炭治郎はすぐに鬼を認識し日輪刀を構える。当然、僕も同じく構える。

 

 「このガキがぁぁぁ!!俺に何しやがったぁぁぁぁ!!!」

 

 鬼はブチ切れながら僕に向かって何本もの拳を伸ばして突き出す。

 

 早い攻撃ではあるがーーーー

 

 「栗花落やアオイ先輩ほどじゃない!!」

 

 この1年間の中で、僕は機能回復訓練という治療によって訛ってしまった身体を戦闘に慣らせるのを目的とした訓練のお手伝いを修行の一寛としてやらされたことがある。

 

 その時に、僕は何人かの鬼殺隊の人と薬湯をかけ合ったり、鬼ごっこをしたりとした。もちろん、負けたら胡蝶さんによる罰があったので本気で挑ませていただいた。

 

 それ故に、ほとんど僕は勝利してきたのだが、栗花落とアオイ先輩には勝つことが出来なかった。

 

 "全集中"常中を身につけた際には、何とかアオイ先輩に勝つことは出来たのだが、栗花落とは五分五分って感じだった。化け物かよ、アイツ。

 

 だからこそ、僕は2人をずっと相手にしていたからか、動体視力が以前と比べて上昇していた。

 

 僕は鬼の拳を見極めながら、全ての攻撃を刀を振ることなく全て躱した。

 

 「なっーーー!?」

 

 「水の呼吸 肆の型 "打ち潮"!!」

 

 「ぐあぁあーーー!!!」

 

 鬼が動揺している間に、炭治郎が攻撃を仕掛ける。見事に技は決まり、鬼の身体からは血飛沫が上がる。まぁ、すぐに再生されてしまったが。

 

 「鈴蘭、頼みがある」

 

 隣に並んだ炭治郎が僕に声をかける。

 

 「なんだ?」

 

 「こいつの頸は俺に斬らせてくれ」

 

 炭治郎はジッ、と真剣な目線を俺に送る。きっと、この鬼はこいつにとって何かがあるのだろうと分かる。僕の勘だが。

 

 それに、もうそろそろ炭治郎に打った鎮痛剤の効果が切れる頃のはずだ。攻撃は出来てあと1発。それも本人は分かっているからこその発言なのだろう。

 

 「分かった。援護してやるから思いっ切り行きな」

 

 「ーーーーッッ!!ありがとう!!」

 

 「行くぞ!!」

 

 ダッ、と僕達は刀を構えて同時に鬼に目掛けて走り出した。

 

 

 「調子に乗るなぁぁぁあああ!!!」

 

 

 鬼は咆哮を上げながら腕を伸ばして拳を突き出す。

 

 こいつ……このワンパターンしか攻撃してこないじゃないか。その攻撃はもう見切ってるから無駄だということが分かっていないのか?

 

 …………ッッ!?違う!!この攻撃は本命じゃない!!これは…………囮だ!!

 

 本命は………………下からか!?そんな気がするぞ!!!

 

 「鈴蘭!!地面から匂いがする!!下から攻撃が来るぞ!!」

 

 炭治郎の叫び声を聞いて、僕はその場から跳び上がる。すると、案の定、地面からは鬼の腕が現れた。

 

 あと、少し跳ぶのが遅れていたらこの攻撃の犠牲になっていただろう。

 

 まさか、躱されるとは思ってもいなかったのか、鬼は驚きの表情を浮かべる。

 

 僕は空中に浮いていたが、重力によって落下していくのを確認しながらスゥゥゥゥゥゥと思いっ切り息を吸う。

 

 

 「蟲の呼吸 蜻蛉の舞い "複眼六角"!!」

 

 

 地面から突き出された拳に目掛けて、僕は高速で色んな箇所に刀を撃ち込み、大量の毒を注入していく。

 

 「がァァァァ!!!」

 

 毒を注入しても、やはり巨体であるため毒が回るのに時間がかかる。

 

 その間は、僕は目の前に迫ってくる腕を次々と斬り落として、炭治郎が行動しやすいような状況へと作っていく。

 

 そして、遂にーーー

 

 「グオォォー!?身体がーーー!?」

 

 毒が全身を回り、鬼は身動きすることが出来なくなった。あとは奴の頸を炭治郎が斬るだけだ。

 

 「うおぉぉぉおおおおおおお!!!」

 

 身動きが取れないうちに、炭治郎は鬼の腕に乗ってスゥゥゥ、と息を吸う。

 

 「行けぇぇぇ!!炭治郎!!」

 

 

 「水の呼吸 壱の型 "水面斬り"!!」

 

 

 「ーーーーッッ!?」

 

 スパァァン!!と炭治郎の振るった刀が巨体の鬼の頸を斬り落とした。

 

 

 

 

 

 「炭治郎……………」

 

 鬼の頸を斬り落としたあと、炭治郎はとても悲しそうな表情を浮かべたあと、崩れつつある巨体の鬼の手を優しく包み込む。

 

 

 「神様どうか。この人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんように。」

 

 

 炭治郎が優しくそう言うと、鬼は涙をポロポロと流しながら崩れていった。

 

 1年前と…………ほとんど変わってないな、炭治郎は。相変わらず、優しい。

 

 少しの間、炭治郎は空を向いて立っていたがーーー

 

 

 「もう………無理………」

 

 

 鎮痛剤の効果がきれたのか、炭治郎は口から泡を拭きながらバタン!と倒れてしまった。

 

 

 僕は苦笑いしながら、炭治郎に近づいて様子を診る。………うん、普通に重症。てか、気絶してるじゃねぇか。

 

 

 多分だけど、試験の残りの日数の間はこいつは身体を動かすことは出来ないだろう。

 

 

 だけど、もうすぐ夜が明ける。明けたら、鬼は現れないから休息の時間ができるから安心だ。

 

 

 もし、炭治郎が起きたらこの1年間、何があったのかを話し合おうと僕は決意した。

 

 

 話したい内容は互いに山ほどあるだろうからな。




次回もよろしくお願いします。

キメツ学園編読みたいか、どうか。

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