【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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19話『刀』

 蝶屋敷に戻ってから、早くも15日が経過した。最終選別にいた子曰く、今日に日輪刀が届くはずだ。

 

 戻ってきてからは、以前と変わらず医学の勉強をしたり、調合したり、鍛錬したり、機能回復訓練の手伝いなどをして過ごしていた。

 

 そして、現在。僕はいつも通りに機能回復訓練の手伝いを行っていた。内容としては鬼ごっこだ。

 

 参加する隊員の先輩方が鬼で、僕は捕まらないようにひたすら時間内の間、逃げまくる。ただ、それだけ。

 

 「たぁぁぁ!!」

 

 男性の隊員さんが叫びながら僕を捕まえようと追うが、余裕で躱して逃げる。"全集中"常中を身につけてない限りは、誰でも逃げ切れる自信がある。まぁ、たまに身につけてなくても馬鹿みたいに高い身体能力のある隊員には捕まってしまう時はあるけどね。

 

 「それまで!」

 

 アオイ先輩の言葉で、鬼ごっこは終了となる。男性の隊員は大量の汗をかきながら悔しそうにする。まぁ、隊員になったばったかりの新米に負けるとなれば悔しくて当然か。何か言葉をかけたら、それはそれでこの人のプライドに傷が付きそうだから何も言わないでおこう。

 

 「成矢さん!!お客様です!!」

 

 タオルで汗を吹き、水を飲んでいると、きよちゃんが僕に声をかける。僕宛てのお客様となれば…………

 

 「はい。届きましたよ、君の刀。」

 

 「こ、胡蝶さん!?」

 

 いつの間にか僕の背後にいた胡蝶さんが僕の肩に手を置いて言葉を出す。あまりにも唐突だったので、僕はバタン!と尻餅ついてしまった。

 

 「あれ?いつもの勘??とかで気づきませんでした?」

 

 「何でもかんでも、僕の勘が反応する訳じゃないですよ。痛たた……」

 

 アオイ先輩が差し出してくれた手を掴んで、なんとか立ち上がる。当たったところが悪かったのか結構、尻が痛い。

 

 胡蝶さんとアオイ先輩に肩を借りながら客室に赴くと、そこにはちょこんと正座して座っている栗花落と………

 

 

 ひょっとこのお面被った小柄の変態がいた。

 

 

 「誰が変態ですか!!」

 

 おっと。どうやら、声に出していたらしい。変態という単語を聞いて、ひょっとこのお面を被った………………声的に女性かな?女性がむきーっと反論の言葉を投げかけた。

 

 「いや、だってどっからどう見ても変態にしか………」

 

 「また言った!!こいつ、また言ったよ!!歳下のくせに!!」

 

 「歳下!?ちなみに歳は??」

 

 「聞いて驚け、15だよ!!」

 

 「バリバリ僕と同い年じゃねぇか!!違う意味で驚いたわ!!」

 

 「同い年!?そうなの!?」

 

 よく、その見た目のくせに歳下って断言したな、こいつ。てか、15歳の少女に僕の相棒となる刀を造らせたの?普通に大丈夫なのか?

 

 「成矢くんが不安になるのは分かりますが、彼女………銀花 瑞稀(ぎんか みずき)さんは刀鍛冶の里では稀に見る天才少女と言われるほどの実力の持ち主らしいですよ?」

 

 僕の心情を察した胡蝶さんは、目の前にいる変態………じゃなかった。銀花について話してくれた。

 

 「"蟲柱"様の言う通り!!私の名前は銀花 瑞稀!!15歳にして、あなた達2人の刀を作るのを任された、凄い人なのです!!刀も凄いの作れるし、顔も可愛いし、何より胸が大きい!!」ドヤッ

 

 銀花はそうドヤっと効果音がつきそうなぐらいに嬉しそうに言葉を出しながら胸を張る。確かに、そこまで気にしてはいなかったが意外と胸があった。多分、そこそこ胸が大きい分類に入る栗花落やアオイ先輩より大きいと思う。

 

 「むぅ………」

 

 隣に座っていたアオイ先輩が頬をふくらませながら僕の足を突然、つねってきた。しかも、結構強めにつねっているのでそこそこ痛い。

 

 「あの〜………アオイ先輩。何で僕の足をつねってるんですかね??痛いんすけど。」

 

 「貴方が女性の胸を見すぎだからです。いくらなんでも失礼ですよ!!破廉恥です!!」ムーッ

 

 失礼も何も、相手から胸を張られて見せてきたんですけど!?どうしろと!?あ、さらにつねる力が強くなったんですけど!?

 

 って、こんな下らいことで時間を潰している暇はない。さっさと本題に入らなければ。

 

 何とか、アオイ先輩が抓ってくる手を振り払い、咳払いをする。

 

 「コホン、じゃあ銀花。君が僕達の為に造ってくれた刀を見してもらってもいいか?」

 

 「もちろんです!!どうぞ!!」

 

 僕の言葉に、銀花は自分の隣に置いてあった刀二本を手に取り、それぞれ僕と栗花落の前に置いた。

 

 「これが………僕の刀。」

 

 差し出された刀を僕はゆっくりと手にする。刀の見た目は栗花落と同じで花が刻印されている鍔が印象的な造りであった。

 

 「ささ、ではお二人共。刀を抜いてみてください。何色に変わるか見てみましょう!!」

 

 銀花の言葉通り、僕と栗花落は刀をゆっくりと抜く。抜くと、太陽の光で綺麗に光り輝く銀色の刃先が露わになる。

 

 「さぁ、何色に変わるんですかねぇ!!運命的な瞬間ですよ!!」

 

 ひょっとこが外れてしまうんじゃないか、と少し心配してしまうぐらいまでに気持ちを高ぶらせる銀花。落ち着けって

 

 因みに、日輪刀は別名"色変わりの刀"と言われており、持ち主によって色が変わると胡蝶さんから学んだが、実際にどんなものかは自分の目で見たことがなかった。

 

 変わった色によって、自分の適正の呼吸が分かるんだとか。逆に、何も色に変化が見られなかった場合は呼吸法が出来ないという意味を示す。まぁ、僕の場合は水と蟲の呼吸を使えるからそれは無いと思うが。

 

 刀を抜いて、少し経つと…………

 

 「おぉ………、本当に変わった」

 

 ズズズ、と僕の刀が先端から次第に銀色から"黒色"に変化した。こんな風に色が変わるんだな。ちょっと感動したかも。

 

 隣を見ると、栗花落の刀は桃色に変化していた。花の呼吸を使う栗花落にとってはピッタリな色だ。

 

 「黒!!黒!!黒だ!!」

 

 「カナヲはなんとなく予想通りですが………、成矢くんの色は意外な結果になりましたね。」

 

 黒色になった僕の日輪刀を見て、銀花はとにかく黒と連呼し、胡蝶さんは言葉を投げ掛ける。胡蝶さん曰く、僕の場合、"青"系か"紫"系な色が出ると思っていたらしい。

 

 「黒だと何か不味いんですか??」

 

 「黒色の刀は前例が少なくて、どの流派に対して適性があるのか分からないんです。だから、黒色の刀を持つ隊員は出世出来ないと言われていますね。」

 

 「嘘でしょ!?」

 

 何それ!?黒色の刀を持てて少し男的に浮ついていた僕の気持ちを返して欲しいんですけど!!?

 

 「大丈夫ですよ、鈴蘭さん!私はカッコイイと思いますから!!」

 

 「その優しさから出た労いの言葉も今は辛いっす、先輩。」

 

 肩をガックシと落とした僕を見て、「あ」と何かを思い出したかのように銀花は口を開いた。

 

 「そういえば、成矢は毒を使うということなので、"蟲"柱様の刀同様に刃の中に毒を染み込ませれるような仕組みにしておきましたよ!!詳細はこの紙に書いておいたんでよく読んでおいて下さいね!!」

 

 「え!?マジ!?」

 

 さっきまで落ち込んでいたのが嘘だったように、僕は起き上がって銀花が差し出した紙を受け取る。

 

 当たり前だが、本来なら普通の刀で毒を鬼に注入させることは無理な話だ。そう出来るように胡蝶さんは鍛冶屋に依頼して打ってもらえるという。

 

 最終選別の時に使ったのは、胡蝶さんのお古な刀だったので毒が注入できる刀だったが、今回、特に要望とかを伝えていなかったので、毒が注入できない刀が来るんじゃないか……と内心ヒヤヒヤとしていたが、心配する必要は無かったらしい。

 

 そして、色々と銀花から刀について話を聞いたところ、彼女がそろそろ帰らなければならない時間だということなので、みんなで玄関先までお見送りをすることになった。

 

 「何かあれば鴉を飛ばして連絡して下さい!!私、マジで何でも作っちゃうんで!!」

 

 「はいはい、分かったよ」

 

 「……………」コクリ

 

 「お2人が活躍することを心からお祈りしますね!!それでは!!」

 

 ペコリと、頭を下げた銀花は蝶屋敷から去っていった。なんか……嵐みたいなやつだったな。

 

 その後、胡蝶さんから改めて話があるという事だったので、僕と栗花落は先程までいた客室へと移動し、最終選別に行く前のような形で胡蝶さんの前で栗花落と並んで正座して座っていた。

 

 「さて。刀を手にした貴方達はこうして本格的に鬼殺隊の隊員となりました。いつ任務が来てもおかしくはありません。」

 

 そっか。日にちが空いてたから忘れがちになっていたが、もう刀を手に入れたということは、鬼と戦えるようになったということ。つまり、ここからが本当の僕達の戦いが始まったと言っても過言ではないということになる。

 

 「私は貴方達を、簡単に鬼に殺されてしまうような貧弱な剣士に育てたつもりはありません。1匹でも多くの鬼を滅し、1人でも多くの人の命を救えるような剣士に育ててきたつもりです。」

 

 「はい」

 

 「…………はい」

 

 「ですが、これから先、何が起こるか分からない世界となります。雑魚鬼と連絡が来たのにも関わらず異能な鬼だったり、血鬼術を使わない鬼だと連絡が来たのに、強力な血鬼術を使う鬼だったり、なんなら雑魚鬼を討伐しに向かった先には十二鬼月が待ち受けているかもしれない。これらが理由で命を絶つ隊員は後を絶たないです。」

 

 「だから………」と付け加えた胡蝶さんは、今までに見たことがない真剣な眼差しを僕達に向けながら言葉を出した。

 

 

 「死なないでください。カナヲ、成矢くん。例え何があっても生き延びて下さい。ここだけの話、無理だと思ったら、すぐに逃げなさい。それも1つの戦略です。任務先で何か怪我を負ってしまった場合は、必ず私達が治します。治しますから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絶対にここに帰ってきて下さい。」

 

 

 「「ーーーーーッッ」」

 

 

 胡蝶さんは僕達にそう言って、頭を深く下げた。

 

 すぐに、そんな姿を見て動揺した栗花落が胡蝶さんに頭を上げるように声をかける。

 

 「…………………」

 

 しかし、そんな栗花落に対して僕は何一つ胡蝶さんに声をかけることは無かった。むしろ、先程の胡蝶さんの激励に対して何か引っ掛かりを感じて、違和感を覚えた。なんなんだ、これは。

 

 この違和感はただの思い違いなのか。それとも、いつもの様に僕の勘の影響なのかは分からない。分からないのだが…………

 

 

 

 まるで、胡蝶さんはその言葉を僕達に送ったことに対して何か後悔している様な……………気がする。

 

 

 

 胡蝶さんは僕達に何か隠している?いや、そんなことはないはずだ。一応、1年間は彼女と一緒に暮らしてきたのだ。そのような素振りは1度も見たことがなかった。

 

 では、やはり今回ばかりは僕のただの思い違いか?だけど、何かが引っかかる。これを見逃してしまえば僕自身が後悔してしまう気がする。

 

 

 「あの、胡蝶さ「主人ー!!主人!!!任務デスヨーー!!!」ってコユキ!?」

 

 

 思い切って、胡蝶さんに言葉をかけようとしたら僕の鎹鴉のコユキが部屋に乱入し声をさえぎって飛び回りながら声を上げる。

 

 「チッ、このタイミングでかよ。」

 

 しかし、任務となれば仕方がない。また改めて彼女から話を聞くとしよう。

 

 僕は隊員服に着替え、胡蝶さんから頂いた白衣っぽい羽織りを羽織ったあと、銀花が打ってくれた刀を腰に装着する。

 

 準備が終わったあと、屋敷の入口で胡蝶さんと栗花落となほちゃん、きよちゃん、すみちゃんが見送りに来てくれた。アオイ先輩はどうやら洗濯物で忙しいらしくいなかった。

 

 「では、胡蝶さん、栗花落。任務に行ってきます」

 

 「はい、頑張って来てください。貴方なら大丈夫です」

 

 「……………頑張れ」

 

 「「「頑張って下さい!!!!」」」

 

 

 「はい!!それじゃあ、行ってきます!!」

 

 

 僕は皆に手を振りながらコユキが案外する場所へと歩き出す。すると背後からーーー

 

 

 「鈴蘭さーん!!」ハァハァ

 

 

 「あ、アオイ先輩。」

 

 アオイ先輩が息を荒げながら僕の方に走ってきた。

 

 「洗濯物終わったんすか?」

 

 「鈴蘭さんが任務に向かわれるということなので、急いで終わらせてきました。」

 

 「そうですか。別にそこまで急がなくてもよかったのに。」

 

 「あの………!!」

 

 「はい?」

 

 「絶対に………帰って来てくださいね。鈴蘭さんが死んだら私…………」

 

 アオイ先輩は目に涙を浮かばせ少し寂しそうな表情を浮かべて言葉をかける。そりゃあ、そうだよな。誰だって、一緒に過ごしてきた人が死んでしまえば悲しいに決まってる。

 

 だけど、この場合どうすればいいのだろうか。

 

 …………そうだ。

 

 「アオイ先輩」

 

 

 ーーーガバッ

 

 

 「きゃ!?ちょ、鈴蘭さん!?」

 

 僕は目の前にいるアオイ先輩を包み込むかのように抱き締めた。彼女同様に寂しそうにしていた禰豆子ちゃんや花子ちゃん達にこうしてあげていたのを思い出したからだ。

 

 とは言っても、相手は子供とは違って大人の1人。なんなら、僕の2つ上の女性だ。むしろ、歳下の男にこんなことされたら逆効果なのかもしれない。

 

 けど、それでも僕はアオイ先輩を抱き締めて安心させたいと思った。例え、これで嫌われたとしても。

 

 「僕は生きて帰ってきますよ。医師になるまでは絶対に死なないって決めてるんで」

 

 「……………鈴蘭さんらしいですね。」

 

 アオイ先輩はそう言って、可愛らしく微笑んでくれた。どうやら、もう大丈夫らしい。僕は彼女を離した。

 

 

 「それじゃあ、先輩。行ってきます」

 

 「…………はい。」

 

 

 こうして、僕はアオイ先輩とも別れて初任務へと向かった。

 

 

 さぁ、ここからだ。

 

 

 禰豆子ちゃんを人間に戻すきっかけを探しに行こうではないか。




禰豆子「ムー?(何か………アオイ先輩ルートに突入してない?)」

炭治郎「禰豆子?どうした?」

大正コソコソ噂話
成矢鈴蘭は別にそこまで女性の裸に関しては興味はない。1度だけアオイは鈴蘭にわざと胸を押し付けるような行為をしたが特に反応を示さなかった。その日の夜は涙を濡らしたとか。

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