よろしくお願いします。
「おい、禰豆子ちゃん!!大丈夫か!?」
僕、成矢 鈴蘭は勘を頼りに竈門家に来たら炭治郎以外の竈門家の家族が血塗れになって倒れていた。
今まで襲ってきた睡魔が一気に無くなり、すぐ様、目の前に倒れていた禰豆子ちゃんに声を掛けるが反応はない。
「葵枝さん!!花子ちゃん!!武雄!!茂!!」
家の中で無残に倒れている竈門家の人達に声を掛けるが禰豆子ちゃんと同じく反応はない。肌を触っても、冷たく、脈や胸部に耳を当てても音はしなかった。
「くそっ!!くそっ!!一体、何があったんだ!!」
僕は彼女達の血で肌や服が赤く染まりながら涙を流し、目の前に倒れている茂の切口を見る。見た感じ、明らかに猛獣とかに襲われたような傷では無かった。
つまり、人為的な殺人だと考えられる。
「どうした!!どっ、どうしたんだ!?」
外から、聞き覚えのある声が聞こえてくる。聞き間違えるはずがない。
「炭治郎!!」
「鈴蘭!?」
鈴蘭と同じく顔を青くして涙を流していた炭治郎が立っていた。すぐ様、炭治郎は俺の両肩を掴む。
「鈴蘭!!一体、何があったんだ!!どうして家族がーーー」
「分からない!!だけど、竈門家が危ないと勘づいたから急いで来てみたらこうなっていたんだ!!」
「そうなのか!!」
本来なら、状況だけを見てみれば炭治郎は僕が竈門家の殺人の犯人だと思うのだろう。しかし、炭治郎は鼻がとても利く。僕の今の感情を匂いで理解したに違いない。
「鈴蘭!!禰豆子だけ、まだ温もりがある!!」
「何だって!?」
炭治郎の言葉に、僕は禰豆子ちゃんの傍まで近づき肌を触れる。確かに、ほんの僅かだかまだ温かい。
「街の医者に診てもらえば、もしかしたら助かるかもしれない!!」
本当に微かにだか見えてきた小さな希望。僕は袋の中から薬草の成分が染みている包帯を取り出して禰豆子ちゃんの傷口に目掛けて巻いていく。
「よし!!炭治郎!!今すぐ山を下りるぞ!!」
「分かった!!」
炭治郎が禰豆子を背中に抱えて街に向かって走り出す。葵枝さん達をこのままにしておくのは嫌だが、今は禰豆子ちゃん優先だ!!直ぐに医者に診てもらったら戻ってちゃんと、弔おう。
「炭治郎!!早く!!」
「分かってる………けど………息が………苦しいんだ!!」
「くそっ!!こんな時に限って!!」
こんな時に限って、空からは雪が降り始め、気温が更に下がり始めているのかが分かる。ただでさえ、禰豆子ちゃんが弱っているというのにも関わらずにだ。
それによって、凍てついた空気を吸うと肺が痛くなってしまい、足が遅くなってしまう。
僕は街まで近いルートを炭治郎に教えながら、彼に背負われている禰豆子ちゃんに言葉を投げかける。
「死ぬな、禰豆子ちゃん!!頑張れ!!街まであと少しだから!!」
「そうだ!!禰豆子!!絶対に兄ちゃん達が助けてやるからからな!!」
と、2人で走りながら禰豆子ちゃんに声を必死に掛けるが……
「え?」
禰豆子ちゃんの様子がおかしi……………
「グオォォォォォォ!!!」
「「ーーーーーーーーッッ!?」」
突然、今まで気を失っていた禰豆子ちゃんがまるで獣のように咆哮を上げる。それによって、驚いた炭治郎は思わずに足を滑らせてしまう。
「しまっーーーー」
「炭治郎!?」
炭治郎と禰豆子ちゃんはそのまま、崖へと転がり落ちてしまった。僕はすぐに追うように近くに生えていた何本かの大木の丈夫そうな枝を土台にして飛び降りながら崖の下へと降りていった。
降りると、炭治郎は無事だった。恐らく、積もっていた雪がクッションとなってくれたのだろう。僕は安心して安堵の息を吐く。
しかし、あの子がいない。
「禰豆子ちゃんは!?」
「ハッ!!禰豆子!!」
禰豆子ちゃんが背中にいないことを理解した炭治郎もすぐに起き上がり周りを見回す。
すると、案外、近くに禰豆子ちゃんが立っていた。
それを見た僕達はすぐに彼女の傍まで駆けつける。
「禰豆子、大丈夫か!?歩かなくていい!!街まで兄ちゃん達が運んでやるから!!」
「そうだぞ!!だから、禰豆子ちゃんは安静にして…………」
僕達は気が付いた禰豆子ちゃんに声を掛けながら表情を伺うと…………
過去に1度も見たことがない、豹変した禰豆子ちゃんの顔があった。
「グァー!!」
そして、禰豆子ちゃんは目の前にいた炭治郎を襲い掛かる。唐突の彼女の行動に炭治郎は動揺しながらも、手に持っていた斧の棒部分を彼女の口の中に目掛けて押し出し、噛ませた。
「禰豆子ちゃん!?一体、どうしたんだ!?」
僕は禰豆子ちゃんを炭治郎から引き剥がそうとするが、力がとても強くビクともしなかった。おかしい!!か弱い女の子が出せる力じゃない!!
豹変した彼女の姿を見て、思い当たる部分があるのか炭治郎が口を開く
「鈴蘭!!鬼だ!!」
「は!?鬼!?」
「あぁ!!三郎爺さんが言っていた!!人喰い鬼がいるって!!」
「何、こんな時にふざけたこと言ってんだよ!!禰豆子ちゃんが鬼!?そんなこと、ある訳ないのがお前が1番によく知ってるだろうが!!」
もし、本当に禰豆子ちゃんが鬼なら家族を殺したのは彼女だということになる。だけど、そんなことはありえないというのはお互いに知っている。
「当然だ!!禰豆子は人間だ!!生まれた時から!!」
「じゃあ、どうしてーーー」
「匂いがいつもの禰豆子じゃないんだ!!それに、分かっていると思うけど母ちゃん達を殺したのも禰豆子じゃない!!六太を庇うように倒れてたし、口や手にも血は付いていなかった!!それに………」
「もう1つ。違う匂いがあった!!きっと、そいつだ!!俺の家族を殺したのは!!」
炭治郎は禰豆子に襲われないように力を入れながら大声で言葉を出す。炭治郎が言うなら、それは本当のことなのだろう。炭治郎は真面目故に嘘はつかない。
ーーーズズズ
「「ーーーーーーーーッッ!?」」
禰豆子ちゃんが急に大きくなり始めた。どういう原理なのか、気になるところではあるがそれどころではない。
とにかく、まずい。大きくなったということは力が更に大きくなるということ。
今まではギリギリ、俺たちの力で耐えてきたがここまで来たらどうすることも出来ない。
どうしたらーーー
「頑張れ、禰豆子!!堪えろ、頑張ってくれ!!」
「炭治郎!?」
涙を流しながら、禰豆子ちゃんに声を掛け始める炭治郎。
「鬼なんかになるな!!しっかりするんだ!!頑張れ!!頑張れ!!頑張れ!!」
「………炭治郎の言う通りだ!!頑張れよ、禰豆子ちゃん!!負けるな!!」
炭治郎に続いて僕も禰豆子ちゃんに声を掛ける。こんなことでどうにかできるのかは分からないが、こうした方が良いと、僕の勘が告げている。なので、必死に彼女に言葉を投げかけた。
頑張れ!!頑張れ!!頑張れ!!
すると、僕達の言葉が彼女に届いたのか……
「ガァ……ガァ」ボロボロ
禰豆子ちゃんが大粒の涙を流していた。落ちた涙が炭治郎の頬に垂れる。
伝わったんだ………。禰豆子ちゃんに僕達の想いが。
そう思い、安心したところで………
"背後、危険!!"
「ーーーーーーーーッッ!!」
唐突に、僕の勘がそう告げる。すぐに後ろを見ると、何かが凄い勢いで俺達の方に向かって来ていた。
そして、その何かは刀らしきものを抜いて禰豆子ちゃん達にに目掛けて振り下ろそうとした。
僕はすぐに懐からナイフを取り出し………
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ーーーガキン!!
「……………ッッ」
振り下ろされた刀をナイフで弾いた。
刀を振り下ろした何かはすぐに後方に退いて距離を取り始める。僕はその何かに目掛けてナイフを構えた。
「誰だ!!」
「……………」
ナイフを構えた僕達の先には、1人の男が立っていて、冷たい目線で僕達を見つめていた。
もう1話、投稿できたらします。
キメツ学園編読みたいか、どうか。
-
読みたい
-
読みたくない