【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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もうすぐ1000件いきそうなので、流れに乗って投稿しました。



20話『初任務』

 「北北西!!北北西ニ向カウノデスヨ、主人!!」

 

 バタバタと僕の前を飛びながら叫ぶ真っ白な鎹鴉、コユキ。初任務だからか、なんだか張り切ってるっぽい。

 

 それにしても、北北西か。確か、この先にはそこそこ大きい街があった気がするな。

 

 「コユキ、詳しい情報を頼むよ」

 

 「ソノ街で最近、奇妙ナ死体ガ発見サレテルノデス!!」

 

 「奇妙な死体?」

 

 「ソウ!!最近、ソノ街デ両腕ダケガ無クナッテイル死体ガ見ツカッテイルノデス!!昨日ハ三体、一昨日は二体、その前の日は四体、両腕ノ無い死体ガ発見サレテイルノデス!!コレハ、間違イナク鬼ノ仕業デスヨ、主人!!」

 

 「両腕だけが無い死体?それまた、悪趣味な鬼だな」

 

 胡蝶さん曰く、鬼の中には何かしらの拘りを持っている鬼がいるという。例えば、今回みたいに人間の特定の部位しか食べない鬼とか、女しか喰いたくない鬼とか、15歳以下しか食わない鬼とか。どれも、悪趣味な話ではあるが。

 

 「よし、街についた。」

 

 しばらくして、目的地である街に到着した。確か、この街は人が溢れる楽しい場所だと評判が良かったはずなのだが、今では人はあんまりおらず、殺風景に感じてしまう。

 

 とりあえず、情報を集めなければならない。………とは言っても、周りに人がいないので、とりあえず近くにあった定食屋に入ることにした。お腹も減ってきたし丁度いい。

 

 「こんにちはー」

 

 「いらっしゃいませ〜。」

 

 店内に入ると、店員さんと何人かのお客さんがいた。しかし、やはり活気が感じられない。

 

 「何にしましょう?」

 

 席に座ると、お冷とおしぼりを持った店員さんがやって来て注文を尋ねる。

 

 「そうですね、とりあえず天丼1つとお茶をください。」

 

 「はいよー。」

 

 メニュー表に、指をさしながら注文をした後、何気に懐に紛れていたコユキの頭を優しく撫でて時間を潰す。

 

 「へい、天丼ね。」

 

 「ありがとうございます」

 

 10分後ぐらいに、ホカホカの天丼とお茶を持った店員さんが戻ってきた僕の目の前に、天丼を置いた。めっちゃ、美味しそう。

 

 「いただきます」

 

 手を合わせながら、そう言った僕はエビの天ぷらを1口かじる。ジュワー、とエビの旨みが口の中に広がる。言わずもがな、凄く美味い。これ以外に他の言葉が思いつかない。エビの旨みを味わいながら、一緒に米もかき込んだ。

 

 あっという間にペロリと完食した僕は満足そうにお茶を飲んでいたら、先程の店員さんが僕に話しかけてきた。

 

 「お客さん、いい食いっぷりだったねぇ。見てて何だか作ったかいがあったよ」

 

 「ここの料理が美味しくて、つい……」

 

 「そう言って貰えると嬉しいよ。けどなぁ………」

 

 店員さんは何だか悲しそうな表情を浮かべる。これは鬼の情報を手に入れるチャンスかもしれない。思い切って、聞いてみよう

 

 「何か……あったんですか?」

 

 「それがな、最近、この街で両腕だけが無くなってる不気味な死体が度々発見されるようになったのよ」

 

 ふむふむ。コユキが言っていたのと同じだ。

 

 「だからな、最近は皆、それに不気味がって外出を控えるようになったんだよ。全く、困ったもんだぜ。こっちは商売あがったりだ。」

 

 「そんなことが………。」

 

 まぁ、地元でそんな不気味な事件があったら怖くて誰も外には出たがらないよな。

 

 「それに、亡くなっちまった人の中にはこの店の常連さんもいたからよぉ。しかも、この店に通った次の日に死体になって発見されてな。それがまた、悲しくてよ。」

 

 店の帰り道に多分、運悪く鬼に襲われてしまったのだろう。確かに、それは辛いな。

 

 「それはお気の毒に…………」

 

 「あぁ。もし、殺人事件ならば早く犯人が捕まってくれることを祈るぜ。一応、今日の夜から警察官が辺り一帯を徘徊してくれるらしいが。」

 

 「……………へぇ。」

 

 「ま、だから事件が解決するのは時間の問題だと俺は信じてる。………なんだか悪ぃな、食事の後だったのに、こんな気分を害するような話しちまって。」

 

 「そんなことありませんよ。聞いてしまったのは自分なので。」

 

 「それでも、俺が許せねぇんだ。………そうだ、良かったら蕎麦でも食ってってくれ!!」

 

 「そんな、大丈夫ですよ!!」

 

 「いいから、いいから!!すぐに作って持ってくるから待ってろよ!!」

 

 店員さんはそう言って、厨房の方へと向かってしまった。何だか申し訳ない気分だ。でもまぁ、あそこまで言われたならば、有難くいただくことにしよう。

 

 こうして、僕は店員さんから頂いた蕎麦も美味しく完食してからお金を払い店へと出た。

 

 早く…………、この街の平和を取り戻さなければ。この人含め、この街に住む人達の為にも。

 

 恐らくだが、奴は今日の夜も人を襲うと思われる。なにせ、今日は餌となる警察官がちらほらといる絶好の機会なのだから。

 

 僕は鬼が現れそうな場所を絞るために夕日が沈むまでこの街を歩き回ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、遂に、この街に住む住民からしたら恐怖でしかない夜がやってきた。

 

 民家の屋根を飛び映りながら、辺りを見回す。すると、店員さんが言っていたように何人かの警察官が徘徊を行っていた。

 

 今の時代、廃刀令が下されているので警察官に見つかると面倒臭い。できれば、あまり関わらずに鬼を倒したいな。

 

 「お?」

 

 何だか、南の方から怪しい気配を感じる。多分、あそこにいるな。

 

 いつでも、刀が抜ける状態にしながら屋根の上をダダダと駆ける。

 

 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 南に向かっていると、近くから男性の苦痛な叫び声が聞こえてきた。どこだ?……………あそこか!!

 

 声が聞こえてきた場所に急いで向かうと、そこには2つの影があった。

 

 1つは、両肩から先が無くなっており、そこから大量の血を流している警察官の男性と………

 

 もう1つは、恐らくその、警察官のものであろう千切れた両腕を手にした血まみれの鬼がいた。

 

 「はぁぁぁぉぁぁ!!!」

 

 屋根から飛び降り、同時に刀を抜いて鬼に目掛けて振り下ろす。しかし、僕の存在に早くも気が付いた鬼は後方に下がり僕の攻撃を躱した。

 

 「お前か。この街で人を襲ってんのは。」

 

 「チッ、鬼狩りか………。余計なことを」

 

 倒れている警察官の前に出て、僕は呼吸を整えながら刀を構える。早く、この人を応急処置しないと大量出血で命に危険が出てしまう。

 

 「鬼狩りの腕はまだ喰ってねぇな。どんな味がするのだろうか。」

 

 鬼はヨダレを垂らしながらニタァと笑う。

 

 「どうして、腕だけを狙う!!」

 

 「そんなの、ただ単に俺が好きな部位だからだよぉぉぉ!!!」

 

 

 ーーービキビキ

 

 

 鬼は肘から斬れ味のありそうな鎌のような骨を突出させ、俺に襲いかかる。きっと、これで襲った人の命と両腕を斬り落としたに違いない。

 

 「この外道が!!」

 

 「ヒャアァァァァ!!」

 

 

 ーーーガキン!!!

 

 

 鬼の鎌状の骨と僕の刀がぶつかり合う。すると、その間からは勢いよく火花が飛び散った。

 

 「オラオラオラオラァァ!!!」

 

 「くっ!」

 

 鬼の素早い連撃を、僕はなんとか見切り、刀で弾き続ける。しかし、相手の勢いは増していく一方で、このままだとジリ貧だ。

 

 僕はスゥゥ、と鬼の攻撃を弾きながら息を吸い相手の動きに注目する。

 

 この鬼の攻撃は確かに素早いものだが、それでも連撃をする際に一瞬の隙が生じる。だから、その隙を見逃さないようにタイミングを見計らって……………………

 

 

 ーーーーーーここだ!!

 

 

 「蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 "真靡き"!!!」

 

 

 「がはっ!!!」

 

 僕は鬼の連撃の隙を見計らって、鬼との距離を一瞬で詰め、鬼の目に目掛けて刃を突き刺した。勿論、大量の毒を注入しながら。

 

 僕の技をモロに喰らった鬼は右目から血を吹き出し、膝を地につける。毒を注入したため、この鬼が倒れるのも時間の問題。この勝負、僕の勝ちで間違いはない。

 

 しかし、ここで油断していけない。この鬼殺隊の世界では何があってもおかしくは無いのだ。だからこそ、確実に勝利を得るために追い討ちをしなくては。

 

 「蟲の呼吸ーーー」スゥゥゥ

 

 

 「おい、何をしている!!」

 

 

 「ーーーーーーッッ!?」

 

 鬼に追撃しようとしたら、バタバタと3人の警察官が僕達の目の前まで駆け寄ってきた。チッ、やっぱり何かが起きてしまった。しかも、僕からしたら悪い方の意味で。

 

 「腕ェェェェェェェェ!!!」

 

 突然の乱入者に僕が動揺したのを見逃さなかった鬼は、警察官の方へと素早く駆け付け襲いかかる。この人達を喰って回復する気か!!

 

 「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」

 

 何も事情を知らない警察官達は、自分達に襲いかかる鬼を見て、恐怖の叫びを上げる。彼らからしたら鬼は化物以外、何者でもないからだろう。実際、鬼は化物ではあるが。

 

 今からじゃ、どの技を使っても間に合わない。ーーーーなら!!

 

 「てぇい!!」

 

 僕は懐から注射器を三本ほど、取り出して鬼の方に向かって勢いよく投げる。ビュン!!と豪速で投げられた注射器は見事に鬼の背中へと刺さった。それと同時に、注射器の中に入っている容器が鬼の体内へと注入される。

 

 「ガァァァァーー!?」

 

 三本分の液体が鬼の体内に全て注入された際、鬼は警察官のすぐ目の前で倒れ込み、もがき苦しみ始める。

 

 注射器の中に入っていた液体の正体は、毒の回りを普段に比べて何倍にも促進させる薬だ。これは、元々胡蝶さんが開発したやつで毒が回りにくい鬼を相手に使うやつだそうだ。

 

 今回は別に使う必要は無かったが、毒の回りを早めないと警察官の人達が確実に殺られていたため、使わざるを得なかった。死を間近で、警察官しか目に行ってなかったのも不幸中の幸いだった。

 

 「腕ェ…………腕ェ………」

 

 苦しみながら、何度と"腕"と連呼する鬼。間もなく、こいつは全身に毒が回って死ぬ事になるだろう。

 

 結局、どうしてこいつが腕に拘るのか分からなかったな。さっきの質問に対しては美味さが理由だと言っていたが、きっとそれ以外にも理由があると思われる。だからといって、知りたいとは全く思わないが。

 

 「腕ェェェ…………、腕ェヲォ………」

 

 僕は苦しむ鬼の頸に刀の刃を当てる。次期に死ぬのでこいつの頸を斬る必要はないが、毒で殺ったとしても死体は残ってしまう。しかし、朝日が登るまで鬼の死体をここに放置しておくのも後先のことを考えて良い点は無い。だから、ここで頸を斬った方が良いと判断した。

 

 「腕ェ……………。腕ェ………………, 」

 

 

 

 「悪いな。僕の腕はお前の血肉になるためにあるんじゃない。人の命を守るためだ。」

 

 

 

 僕は鬼にそう言い残して、鬼の頸を斬った。すると、鬼は隅々と灰のように崩れていった。

 

 「ふぅ……」

 

 よし。これで初任務完了だ。無事に終わらせることが出来て良かったぁ。ぶっちゃけた話、かなり緊張してた。

 

 でも、これでこの街に次の鬼が来ない限りは平和が戻ってくるはずだ。きっと、さっきの飲食屋も客足が戻ってくるに違いない。その時はまた足を運ぶことにしよう。

 

 そして、僕は鬼に両手をやられてしまった警察官の元に行く。微かだが、まだ息があった。出血が酷いので、止血剤と鎮痛剤を範囲内で大量にぶち込み、傷口に包帯を巻いていく。

 

 「お、おい!!これは、どういうことだ!!」

 

 先程、襲われそうになった警察官達が顔を青ざめながら言葉を出していく。うーん、なんか面倒くさくなりそうだな。

 

 「詳しく話をーーー」

 

 警察官が話している所で、僕は素早くこの場にいる全員の警察官の鳩尾に目掛けて、拳を思いっきり突き出した。当然ながら、喰らった警察官は腹に手を当てながら蹲り、意識を失った。

 

 「夢だったと勘違いしてくれると嬉しいな」

 

 少ししたあと、後処理をしてくれる隠の人達が来てくれた。コユキが呼んできてくれたらしい。あとは、彼らに任せて僕は蝶屋敷に帰ろっと。

 

 

 「次ハ東京府浅草デスヨ、主人。」

 

 

 「……………え?」

 

 蝶屋敷に帰ろうとしたら、肩に止まったコユキが言葉を出した。今、なんて言ったこの子は。

 

 「ごめん、もう1回言って?」

 

 「東京府浅草ニ向カウノデスヨ」

 

 聞き間違いでは無かったらしい。

 

 「僕、さっき任務終えたばかりだよ?」

 

 しかも、浅草て。ここからだとめちゃくちゃ遠いんですけど。何里あると思ってんの?

 

 「煩イデスヨ、主人。鬼ガ潜ンデイル噂ガアルノデス。早ク行クノデスヨ!!」

 

 「分かった!!分かったらつつかないで!!」

 

 

 コユキにつつかれながら、僕は次の任務先となる浅草へと向かった。どうやら、この職場を選んだのは間違いだったのかもしれない。




大正コソコソ噂話。

鈴蘭が倒した鬼は生前、腕の良い大工職人でした。しかし、事故によって両手が切断され仕事が出来なくなってしまい、荒れ狂う日が続く毎日。それによって、妻や子供たちも離れていきました。職も家族も金も失い、この世を恨む形で過ごしたところ、上弦の陸である妓夫太郎と堕姫に目をかけられ、気に入られて鬼になりました。鬼になりたてだったので、そこまで強くなかったですが、1年ほど経っていれば下弦ぐらいには上り詰めていたでしょう。

キメツ学園編読みたいか、どうか。

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