【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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キリが良いので短め。


6話『鱗滝左近次による訓練』

 "鬼殺隊"

 

 その数、およそ数百名。政府から正式に認められていない組織。だが、古より存在していて今日も鬼を狩る。

 

 しかし、鬼殺隊を誰が率いているかは、謎に包まれていた。

 

 

 "鬼"

 

 主食・人間。人間を殺して喰べる。いつ、どこから現れたのかは不明。

 

 身体能力が高く、傷などもたちどころに治る。斬り落とされた肉も繋がり、手足を新たに生やすことも可能。

 

 体の形を変えたり、異能を持つ鬼もいる。太陽の光か特別な刀で頸を切り落とさない限り殺せない。

 

 

 "鬼殺隊"は、生身の体で鬼に立ち向かう。人であるから傷の治りと遅く、失った手足が元に戻ることもない。

 

 それでも鬼に立ち向かう。

 

 ーーー人を守るために。

 

 

 「儂は"育手"だ。文字通り、剣士を育てる。"育手"は山程いてそれぞれの場所、それぞれのやり方で剣士を育てている」

 

 鱗滝さんは鬼殺隊や、鬼、そして育手について説明してくれた。鬼殺隊や鬼については炭治郎が気絶している間に、冨岡さんから聞いていたから分かっていたけど、育手については知らなかった。

 

 冨岡さんも、鱗滝さんに剣を教えて貰っていたのだろうか。

 

 「鬼殺隊に入るためには"藤襲山"で行われる"最終選別"で生き残らなければならない。"最終選別"を受けていいのかどうかは儂が決める。」

 

 「えぇ…………」

 

 修行をつけてもらえるかどうかの試験があったのにも関わらず、今度はその鬼殺隊の最終選別に受けていいかの試験もあるのかよ。この人、試験好きすぎないか??

 

 こうして、僕と炭治郎は鱗滝さんによる修行が始まった。

 

 因みに、現在。禰豆子ちゃんは何故か、鱗滝さんの家に到着してからは、ずっと眠ってしまっている。脈や心臓は動いているから生きてはいるが、ずっと眠っているのはおかしい。

 

 それにちなんで、炭治郎は日記を付けることにした。なので、同乗して僕も日記をつける。何か、得ることがあるかもしれないからな。

 

 「「うおぉぉぉぉぉ!!!」」

 

 僕と炭治郎は相変わらず、鱗滝さんの指示で狭霧山を下りていた。最終選別で生き残るために、鍛えなければならない。

 

 最初の頃は、罠によって痛い目を見てきたが、下っていくうちに回避できるようになっていた。

 

 体力がさらに上がっていったのと、僕の勘が鋭くなったからかもしれない。炭治郎は鼻がさらに利くようになったそうだ。

 

 しかし、鱗滝さんは甘い男ではない。

 

 今まで仕掛けてあった罠が回避できるようになったと分かれば、さらに難易度の高い罠を仕掛けてくる。

 

 もう、本当に凄い。なんなら、僕達を殺しにかかってくるんじゃないかと思わせるぐらいまでに。落とし穴に刃物なんて設置するとか、どんな発想してんだよ。

 

 数日後、鱗滝さんの新たな指示で今日からは刀を持って山に下るように言われた。剣士だし、常に刀持って動かなければならないから、その訓練だと思う。

 

 なーんだ、刀持つだけでそんな変わらんだろ………、と数分前まで思っていた自分をぶち殺したい。

 

 とにかく邪魔!!刀が邪魔!!木とかに当たるし、片手が使い物にならないから罠に引っ掛かる回数が増えてしまった。なので、口に咥えて下ってたら鱗滝さんに殴られた。ズルしてごめんなさい。

 

 そんな訓練を続け、慣れてきたところで新しい訓練が始まった。

 

 刀の素振りだ。

 

 ここ最近は、山を下ったあとは、日が暮れるまでひたすら素振りをさせられてる。え、腕がもげそうなんですけど。

 

 そういえば、素振りを始める前に鱗滝さんは刀について教えてくれてたっけな。

 

 刀は折れやすい。縦の力には強いけど、横の力には弱い。

 

 力を真っ直ぐに乗せること。刃の向きと刀を振る時、込める力の方向は全く同じでなければならない、みたいなこと言ってたな。

 

 それに加えて、刀をもし折ったら僕達の骨も折るとか言って軽く脅しきた。ふざけんなよ。そんなこと言われたらめちゃくちゃ気をつけるしかねぇじゃねぇか。

 

 さらにそこから、どんな体勢になっても受け身を取って素早く立ち上がる訓練も追加された。これもこれで地獄ですわ。

 

 僕と炭治郎は刀、鱗滝さんは素手という状況の中、僕達は鱗滝さんに立ち向かうんだけど、この爺さんめちゃくちゃ強い。いや、これマジで。

 

 僕達はいつもすぐに投げらて地面に転がされた。

 

 悔しかったので、唐辛子を粉末上にした塊をさり気なくぶん投げてやったら、それを躱されて説教喰らったあと、素振り1万回追加された。解せぬ…………。

 

 さらにさらに、今日からは"呼吸法"についてと、その"呼吸法"の型らしきものを鱗滝さんから直々に習う。

 

 鱗滝さんが見本で見せてくれたのを、俺たちは見様見真似でやっていくが、思ったより上手くいかないな。炭治郎の親父さんの神楽を見様見真似で覚えた時もこんな感じだったっけ。

 

 腹に力が入ってないって怒られて、鱗滝さんにお腹をバンバン叩かれる。このクソジジイ………、覚えてろよ。

 

 そんな感じの訓練をやって半年が経過した。それでも、禰豆子ちゃんが起きる気配はない。念の為、鱗滝さんは町から医者を呼び診てもらったが異常はないということ。その時のやり取りを僕は1秒たりとも見逃さず、メモをとった。ふむふむ。

 

 ついでに、しつこく医療について、その医師に質問してたら鱗滝さんにいい加減にしろと叩かれた。ふざけんなよ、マジで。将来のためにこっちは少しでも知識を身につけたいんだよ。

 

 その次の日。狭霧山の中でも、最も空気の薄い場所まで鱗滝さんに連れてかれ、そこで訓練を行うようになった。その日だけで、何度も気絶しました。空気がないんだもん。

 

 ある日のこと。珍しく鱗滝さんから今日は訓練は無しということを言わされたので、僕は籠を背負い狭霧山で薬草集めに取り掛かった。

 

 今まで採取していた山には生えていなかった薬草がこの山には多くあったので採取して調合がしたい。新たな薬が出来るかもしれない。

 

  数時間後、籠パンパンに詰められた薬草を背負って鱗滝さんの家へと戻る。それをみて、鱗滝さんは多少なり驚いていた。

 

 ん……、そういえば、僕達が訓練で怪我を負った時、鱗滝さんが塗ってくれた薬があったな。あれは、鱗滝さんが調合したやつなのだろうか。

 

 聞いてみたら、案の定そうだった。作り方を教えて欲しいとお願いしたら、難なく教えてくれた。この人、厳しいけど優しいよな。

 

 作り方は案外簡単で、僕でもすぐに出来た。これは、凄いぞ。これをベースにほかの薬と合わせたらさらに良いのが出来るかもしれない。これは気分が上がってきたぞ。

 

 部屋の片隅で、薬の調合をしている僕をずっと眺める鱗滝さん。その時、何を考えていたのかは、僕は知るもしなかった。

 

 そして、鱗滝さんによる修行が始まって1年が経過したとき、鱗滝さんは僕に向かって言葉を出した。

 

 

 

 「鈴蘭には…………ここを出て行ってもらう。」

 

 

 

 「…………はい??」

 

 

 どうやら、僕だけ破門になってしまったらしい。

 

 




次回から、少しの間、オリ展開です。

大正コソコソ噂話。

鈴蘭は炭治郎より少し早く水の呼吸をマスターしたが、彼は三半規管が弱いせいか弐の型である"水車"だけどうしても上手く繰り出せれないし、やろうとも思わないらしい。

キメツ学園編読みたいか、どうか。

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