【仮名】必ず僕達がお前を治す。   作:紅の覇者

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オリジナル展開です。最後にみんな大好きなあのキャラが出ます。


7話『鈴蘭。狭霧山を下りる』

 「鱗滝さん!!どういうことですか!!どうして鈴蘭がここから出ていかなくちゃ行けないんですか!!」

 

 破門らしき発言を聞いて、真っ先に反応を見せる炭治郎。本当にこいつ、良い奴だな。

 

 それにしても、どうして僕がここを出ていかなくちゃいけないんだ??修行はちゃんとこれまでにやってきたというのに。

 

 出ていかなくちゃいけない理由なんて、これっぽっちも……………あるわ。全然あるわ。

 

 修行が辛すぎて、たまに鱗滝さんに向かって口ごたえしてしまったり、保管していた珍しい薬草を多少パチッて調合したり、なんなら、折るなと言われていた刀を普通に折ってしまったりしてたわ。

 

 思い返すだけで、バリバリあるじゃねぇか。これは、破門されて当然ですわ。

 

 しかし、僕がここを出ていく理由は想像していたのとは全く違うものであった。

 

 「鈴蘭には、とある場所に向かって、そこで修行をしてもらう」

 

 「とある場所?」

 

 

 「"蝶屋敷"という場所だ」

 

 

 蝶屋敷…………。どっかで聞き覚えのある単語だな。どこで聞いたっけ??

 

 …………あ、思い出した。冨岡さんだ。あの人がそんなようなことを言ってたような気がする。

 

 「蝶屋敷とは一体、どんな場所なんですか??」

 

 「負傷した鬼殺隊の剣士の治療所として解放している施設だ。」

 

 「ーーーーーーッッ………」

 

 治療所という単語を聞いて僕は思わず反応してしまう。

 

 「将来、医療の道に進むと決めている鈴蘭にとっても良い環境のはずだ。しかも、そこには医学・薬学に精通している現"柱"もいると聞くしその人に修行を付けてもらうといい。既に許可はとってある」

 

 "柱"。確か冨岡さん曰く鬼殺隊の最高位にいる剣士達のことのはずだ。そんな、凄い人がいるのか。

 

 「どうする?決めるのはお主だ。どうしてもここに残りたいというのならば、強制はしない」

 

 「鈴蘭…………」

 

 炭治郎は不安そうに俺の名を呼ぶ。こいつは、ここ1年間、厳しい修行を共に乗り越えてきた大切な親友なんだ。ここまで来て別れるとか考えたくない。

 

 それに、鱗滝さんの家には未だに眠り続けている禰豆子ちゃんもいる。不安の気持ちがすごく混み上がってくる。出来れば、彼女からも離れたくない。

 

 

 だけど……………

 

 

 それでも僕は…………

 

 

 

 「蝶屋敷に………行きます!!」

 

 

 

 蝶屋敷に向かうことを決意する。禰豆子ちゃんを治すとしても僕が持っている医療に関する知識や調合には限界がある。

 

 なら、ちゃんとした人の元で僕は医学を学びたい。

 

 「………ごめんな、炭治郎。自分勝手な判断で」

 

 「そんなことない!!それで、鈴蘭が成長できるなら俺も禰豆子も嬉しい!!だから、そんなこと言わないでくれ!!」

 

 「…………ありがとう」

 

 

 こいつが………、竈門 炭治郎が親友で良かったと僕は心の底から思う。思わず、泣いてしまいそうになった。

 

 

 「よし、では鈴蘭よ。荷物をまとめて出発する準備をしろ」

 

 「分かりました」

 

 僕はすぐに鱗滝さんの家に入り、自分の荷物をまとめる。今までに採取した薬草やら調合した薬やらとかも荷物に詰め込む。

 

 詰め終わったあとは、隣で寝ている禰豆子ちゃんの傍まで近づく。

 

 

 「禰豆子ちゃん………、絶対に死なないでくれよ」

 

 

 そう言って、彼女の頭を優しく撫でてから家へと出る。

 

 「この鴉が、道案内をしてくれる。こいつのあとを付いていくと良い」

 

 鴉が案内してくれるのか。すごいな、今の鴉は。

 

 「分かりました。鱗滝さん、この1年間。お世話になりました!!あと、色々と迷惑かけてごめんなさい」

 

 僕は頭を下げて彼にお礼の言葉を贈る。思い返しても、本当に地獄のような日々だったが、この人のおかげで強くなったというのも事実だ。感謝してもしきれない。

 

 すると、鱗滝さんは僕を優しく抱き締め

 

 「立派な剣士になって、また顔を見せに来い。お前も立派な儂の弟子だ。」

 

 と、お面からポタポタと滴を落としながら言葉を出してくれた。こんなことされたら………、あ、もう無理。これ泣くわ。

 

 結局、僕も涙を流して泣いてしまった。

 

 一通り泣いて、顔を強引に腕で拭ったあと、最後に僕は炭治郎の方へと向かう

 

 「炭治郎………」

 

 「鈴蘭…………」

 

 僕達は向かい合ったあと、まるで分かっていたかのように拳を差し出して突き合わせる。

 

 「次、多分会うのは最終選別の時だな」

 

 「あぁ!!」

 

 「炭治郎………禰豆子ちゃんのこと、よろしくな」

 

 「任せてくれ!!」

 

 炭治郎のその言葉さえ聞ければ、もう大丈夫だ。僕は手を振りながら飛んでいく鴉のあとを追うように歩いていく。その姿を見て、炭治郎は手を振り、鱗滝さんはまるで親が子を送り出すように立って見守っていた。

 

 

 

 さぁ、行こう。蝶屋敷へ。

 

 

 

 

 鴉のあとを追ってどれくらいの時間が経過しただろうか。半日ぐらい走ってる気がする。え、遠ない??

 

 すると、鴉はとある場所で止まった。

 

 そこは、とても大きな屋敷で周りには野生の綺麗な蝶々が何匹も飛び回っていた。

 

 ここが………蝶屋敷??

 

 「君が、成矢 鈴蘭くんですね」

 

 「え?」

 

 どこからか、声が聞こえてきた。周りを見ても誰もいない。

 

 …………まさか、上からか?

 

 上を見ると、屋敷の屋根に1人の女性がニコニコとしながら立っていて僕を見つめていた。

 

 容姿は、顔だけで食べていけそうなぐらいまでの美人で…………恐らくだが『作り笑い』をしている。髪には蝶の羽を模している髪飾りを付けており、冨岡さんが着ていたのと同じ黒い制服の上に蝶の羽を模した雅な柄の羽織を羽織っていることによって、さらに可憐な雰囲気を漂わせている。

 

 

 ………誰なんだ、この人は?

 

 

 俺の表情を見て、察したのか女性は胸に手を添えて自己紹介を行った。

 

 

 「初めまして。私の名前は胡蝶 しのぶといいます。……………鬼殺隊"蟲柱"と言えばお分かりでしょうか?」

 

 

 

 

 




鈴蘭の第2の師匠降臨です。
暫くは、蝶屋敷メンバーとのやり取りを楽しんでもらえたらな……、と思います。執筆が捗るんじゃあ(*´ ∨`)

キメツ学園編読みたいか、どうか。

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