唯一無二の魔剣使いで世界最強   作:モノノ怪

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今回かなり短め。

※「」は普通に話している時
『』は念話や、魔剣が剣状態の時に話す言葉です

ステータスの前の部分を変更しました。

それでは本編をどうぞ。



変異

 ぴちょん……ぴちょん……

 

 水滴が頬に当たる感覚にゆっくりと意識が浮上する。

 

「あ〜、痛つつ……」

『起きましたかマスター!』

「おう、大丈夫だ……俺はどんくらい寝てた?」

 

 どこかデジャヴを感じさせる会話をして、ブロードソードに確認をとる。どうやらあの熊を倒してぶっ倒れた後、そこまで時間は経っていないらしい。

 

『でも、こんなすぐに目覚めることができるとは思いませんでした』

「何だそれ? まるで起きて欲しくなかったみたいに……」

『いやいやいや! そういう訳じゃありませんよ!?』

 

 熊を倒した時に使ったブレイズドライブで、大雑把に魔力を使ったせいで、こんなすぐに魔力が回復するのはおかしいのだとかで、その異常なまでの回復は、

 

「この水……か」

 

 それが流れてくる方向にはまだ先が続いていた。僅かに光が見える。

 

 よっこいせと立ち上がり、先に進む。体はあの水のおかげなのか、奈落に落ちた時よりも体がスッキリしている。

 

「これは……」

 

 水源にあったのはバスケットボール程の大きさの青白く発光する鉱石が存在していた。

 

 その鉱石は周りの石壁に同化するように埋まっており、その下方から水滴を滴らせ、ちょっとした池ぐらいになっている。

 

『マスター、この鉱石から凄い力を感じます』

「だろうな、傷も魔力も回復する液体なんて物、トータスにはないからな」

 

 どっかりと腰を下ろしこれからを考える。

 

「まず第一優先は、食料の確保だ。ここまで来るのに食べれそうなものはなかったからな」

『魔剣は食事をしなくても生きていけますから、マスター一人分あれば大丈夫ですね』

「ああ、そうだな……そう言えばずっと気になってたんだが、どうしてトータスに魔剣であるお前がいるんだ?」

『それが、分からないんです……マスターに触れられる前の記憶が曖昧で……』

「……それじゃあ、お前以外の魔剣もいるのかどうかも分からないのか……」

 

 思考を断ち切り、立ち上がる。

 どちらにしろ動かなければ見える物も見えてこない。そのまま洞窟の外に出て、焼け焦げた熊の死体をずりずりと引きずる。

 

『まさか、それ食べるんですか?』

「最悪な、もう服が結構ボロボロだから毛皮を剥ごうかと思って」

 

 そこからしばらく身を隠しながら洞窟を探索したが、一切食べれそうなものを見つけることができなかった。

 

 

 

 穴の中に戻り、熊の毛皮を剥ぎ焼いてもらった後、現在。

 

「……食うか……」

 

 意を決してかぶりつく。

 

「……クッソまじぃ」

 

 肉は硬い筋でまともに噛めずに飲み込む。焼いたおかげで幾分かましなものの匂いも酷く、これではゴムを食べてるのとさして変わらない。だが、食える物と言ったらこれだけなのだ。腹にあたりそうだが、ポーション擬きの液体があるのでどうにかなると信じたい。

 

「ん? ……ぐぅぅっ!」

『マスター!?』

 

 体に違和感を感じたと思った瞬間に激痛が全身に走る。まるで神経に直接釘を打ち付けられたようだ。

 

『マスター! 異質な魔力が流れています! 私に移してください!』

「ぐぅぅあぁあっ!」

 

 ブロードソードに言われた通りに魔力を流しながら、液体をがぶ飲みする。液体の力を持ってしても痛みは簡単に引かなかったが、体の中を暴れていた魔力が流れて行くと共に痛みが消えていった。

 

「ぐっ、はぁ……はぁ……」

 

 痛みが無くなった時には、その姿は今までとはっきり変わっていた。

 まず髪の毛の色、元々黒色だった毛は魔力の影響なのか、白色が混ざり灰色に、骨格や筋肉は文化部だったとは思えない程筋肉質になり背も大きくなっていた。

 

『すみません。マスター、私が気づかなかったばっかりに……』

「気にするな、俺も座学で言われてたことを忘れてたんだ。おあいこさ」

 

 魔物の肉は人間にとって猛毒。魔石という特殊な体内器官を持ち、魔力を体内に巡らせ驚異的な身体能力を発揮する魔物。体内に浸透した魔力は肉や骨に浸透して頑丈にする。

 

 とにかく、この変質した魔力が人間にとって致命的。人間がこれを取り込むと内側から細胞を破壊するのだ。

 

 過去、魔物の肉を喰った者は例外なく体をボロボロに砕けさせ死亡してらしい。もしブロードソードがいなかったらこのまま死ぬか痛みで発狂していただろう。

 

 立ち上がり、自分の状態を確認する。腕や腹を見ると自分の体では無いかのように筋肉が発達しており、身長などは10センチも大きくなっていた。

 

「うわっ顔も変わってやがる」

 

 ポーション擬きの池を覗き込むと、以前はどこにでもいるような顔だったのに対し、目は鋭くなり、他の部分もどことなく威圧感を与えそうだ。

 

「そうだ、ステータスプレート……」

 

自分の状態を表すプレートのことを思い出し、確認すると、

 

「はぁっ何だこのステータス!?」

 

 

 如月優樹 17歳 レベル9

 転職:魔剣使い

 筋力:360(+α)

 体力:400(+α)

 耐性:200(+α)

 敏瞬:350(+α)

 魔力:800(+α)

 魔耐:800(+α)

 技能:言語理解・剣術・物理耐性・魔剣適性・魔剣契約・魔剣魔法・魔力解放・胃酸強化

 

 ステータスが軒並み倍になっているにも関わらず、レベルは一切上がっていない。さらに本来増えないはずの技能が二つも増えているのだ。

 

『魔物を食べたことが原因……でしょうね』

「だろうな……しっかし、"魔力解放"か」

 

 先程の魔力操作が原因だろうか。

 

 意識を集中させて技能を発動させる。

 

「おお〜、──ぶべらっ!」

『だ、大丈夫ですか!?』

 

 いきなり吹き飛ばされ壁に激突する。どうやら文字通り高まった魔力が解放され、吹き飛ばされたらしい。

 

「これは慣れないと使えたもんじゃないな」

 

 だが、もし使えたなら普通の魔法を使えない以上、強力な力になるだろう。

 

「胃酸強化、ねぇ〜?」

『言葉通りの意味でしょうね』

 

 そうなら、とばかりに早速試す。残っている肉にかぶりついて飲み込む。

 

 十秒……

 

 一分……

 

 何も起きない。

 

 さらに肉を食べるが、やはりあの痛みが襲ってくることはなかった。これで次からは痛みに耐えながら、魔力を操作する必要が無くなる。

 

 残っていた熊の肉を支給されていたナイフで切り分け熊の毛皮の上に置いておく。さすがに熊の肉全てを食い切ることはできなかった。

 

「うっし、食料の目処は立ったし、次はここからの脱出を目指すぞ!」

『はいっ!』

 

 おーと手を突き上げ、洞窟を歩いていく。一人ならどうなっていたかと思うが、あくまでそれは想定。自分には心強い仲間がいてくれるのだ。

 

 そう思うとこの薄暗い迷宮などもう怖くなかった。

 




魔物を食べてる固有魔法が発現しなかったのは、メタ的に言うと魔剣魔法を使わせるためですね。その代わりに移動とか攻撃に使える技能として魔力解放を覚えさせました。
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