※以前のステータス表記を修正しました。
それでは本編をどうぞ。
「うーん……ウサギも狼も……まずいな」
『仕方ないですよ、魔物であることには変わりありませんから』
現在俺達は、拠点にしたポーション擬きのある穴の中でウサギと狼の肉を食べた。
熊を食べた結果上がったステータスによって既にこの階層では敵無しだ。
ウサギの方はもう少し美味しいのかと思っていたのだが、ブロードソードの言う通り所詮は魔物。普通に不味かった。
それでも貴重な食料には変わらないために食事ができることに感謝をしながら食べる。
胃酸強化を手に入れてから、いくらでも腹に入るようになった気がする。その代わり魔力に変換でもされているのか魔法を使えば使う程腹が減るようになった。傍から見れば大食感に見えるだろう。
「んで、ステータスは……」
如月優樹 十七歳 男 レベル十五
筋力:560(+α)
体力:600(+α)
耐性:450(+α)
敏瞬:550(+α)
魔力:1000(+α)
魔耐:1000(+α)
技能:言語理解・剣術・物理耐性・魔剣適性・魔剣契約・魔剣魔法・魔力解放・胃酸強化
「……ぶっ飛んでんな〜」
ウサギも狼も今回初めて食べたためにステータスが上昇している。やはり魔物を食べることによってステータスを伸ばすことができるのだろう。熊を小分けにして食べてもステータスは殆ど伸びなかった。これからステータスを更に伸ばすには、新しい魔物を食べる必要がある。
技能は増えなかったために"魔力解放"の技能の練習をすることにする。外を探索していた時は、ステータスが上がっても危険であることには変わらないので使うことは出来なかったが、余裕のある今なら使うことができるだろう。
以前試しに使った時は技能を使って、魔力が高まったと思ったら吹き飛ばされたのだ。上昇したステータスでさえかなりのダメージを受けたので使いこなせれば大きな武器になるだろう。
「ぐへあっ!? いっだぁ……」
『マスター……』
何故か呆れられている気がする。気付かないふりをして実験を続ける。先程は前方に魔力を貯め、解放したら後方に吹き飛んだ。つまりこの技能は魔力をその場で爆発させるようなものだろう。
「つまり……こうすれば…」
体を前に倒し、魔力を後ろから解放する。ゴバッと地面が削れた音がしたと思ったら体が前方に吹き飛ばされ……顔面からダイブした。
『…………』
「う、うるさいやい!」
『何も言ってませんよ』
「ぐっ」
これは一朝一夕でできるようにはならないだろう。迷宮から脱出を目指しつつゆっくりやっていこう。別に恥ずかしくなった訳では無い。断じてない。
◆
「……見つからないなぁ」
『ですねぇ〜』
あれから体感三日程、だろうか? 上層への道が一行に見つからない。
既にこの階層は殆ど探索が終わっているにも関わらず、魔物が大量に見つかるだけだ。
いや、正確には既に"下層"への階段を見つけていた。奈落に落ちる前でも下層への探索は階段を使用していたのだから上層への通路もあるはずなのだが……
「あれか? ここに来るには奈落に落ちる必要でもあるのか?」
もしそうならこの迷宮を作ったやつに一言文句を言ってやりたいのだが。
ついに全部の探索が終わってしまった。
「は〜、下層に行くしかないか……」
ブロードソードと共に大きくため息をつき、下層へ向かう。
そこは、階段とはまともに言えるものではなかった。
階段というよりも凸凹した、坂道の方が表現するには正しいだろう。その先は緑光石がないのか真っ暗であった。まるで巨大な怪物が口を開けているかのような気持ちにさせられる。
尻込みしそうになるのを抑え先に進む。いきなり襲いかかられても良いようにブロードソードを構えてだ。
この階層は入口から見た通り少し先も見えない、今までも薄暗いことはあったものの緑光石のおかげで最低限の視認性はあった。どうやら緑光石がないらしい。
「……ブロードソード」
『はいっ』
仕方なしに頼み込んで火をつけて進む。暗闇の中、火をつけるなど自殺行為に近しいが、真っ暗闇の中奇襲を受けるよりはマシであった。
しばらく進むと通路の奥の壁がキラリと光ったような気がして最大限まで警戒する。
『マスターッ!』
「ッ!」
警告と共に嫌な予感がして、飛び退きながら魔剣の先を向ける。そこには、金色の瞳で灰色のトカゲのような魔物が壁に張り付いてこちらを見ていた。
先手必勝とばかりに魔剣に魔力を回して燃やす。トカゲが「ギャァウ!」と叫びながら体が焼かれ悲鳴をあげながら壁からポトリと落ちた。
しばらく周りを警戒していたが襲いかかってくる魔物がいないので息をつく。
トカゲに近づき腰に差したナイフで剥ぎ取り早速食べる。熊の毛皮を使って風呂敷のようにした物のそこまで容量はないので食べれる時に食べなければならない。
その後も何時間と進み梟のような魔物と6本足の猫のような魔物も倒し喰らった。その結果がこれだ。
如月優樹 十七歳 レベル十七
筋力:750
体力:700
耐性:550
敏瞬:650
魔力:1100
魔耐:1050
技能:言語理解・剣術・物理耐性・魔剣適性・魔剣契約・魔剣魔法・魔力解放・胃酸強化・夜目・気配感知・石化耐性
予想通りステータスは上昇、技能も珍しく三つも増えたのだが、
「石化耐性……」
もしかしなくてもあのトカゲだろう。やばかった、もし1回でも食らっていたらそこで終わりだったろう。
あのポーション擬きがあれば石化も回復もできるだろうが生憎と持ち運ぶすべがなかった。
今になってドクドクと心臓が早鐘を打つ。これからもこんな初見殺しも増えていくかもしれない。
"夜目"のおかげで周りが見渡せるようになったので火を消す。奈落の魔物にしては弱いと思うが、今の自分にとっては大きなアドバンテージだ。
続いて、気配感知だが、読んで字のごとくだろう。先程から何となく敏感になっているのが分かる。どうやら自動のようらしい。
技能が増えたおかげで大分楽に探索ができるようになりそこからは急ピッチで探索が進めれ遂に階下への道を見つけることが出来た。
『マスター』
「あ? 何だ?」
あまり会話せずに探索していたために急に声をかけてきたブロードソードに驚く。
『その泥のようなものを持って一度戻ってくださいませんか? 嫌な予感がします』
「……そうか、分かった」
今まで何度も助けられたために疑問に思いながらの引き返す。
タール状になっていた何かを言われるがままに地面に起き離れる。
『火をあれに向けて使ってください』
「なぁ、どうしたんだ? 様子がおかしいぞ」
『すみません。気の所為ならいいんです。お願いします』
ブロードソードに魔力を流し火を放つ。
「ッ!」
ドガンッ! と音がしたと思えば目の前が煌々と燃えていた。すぐに炎は消えたがあの泥が原因ならば、少量であそこまで燃えるということになる。
「なるほど、こりゃブロードソードが言う訳だな」
『ええ、突然燃えやすくなるような感覚と言いますか……ええと』
「ああ、分かった。大丈夫だ。俺の為に言ってくれたんだろう」
これでは、あの階層の中では最大火力である魔剣魔法が使えないが仕方ないだろう。
俺は再度、大きく深呼吸をして階層に足を踏み入れるのであった。