岸波白野のヒーローアカデミア   作:sahala

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 以前、一発ネタのつもりで書いた内容をここに載せておきます。これが正式なプロローグになるかはまだ未定です。


僕のヒーローアカデミア×Fate/EXTRA(仮)

 国立雄英高等学校。

 世界の総人口八割以上が何らかの超能力―――“個性”を持ち、“個性”を悪用する犯罪者(ヴィラン)に対抗するプロヒーローを育成する教育機関として最高峰に位置する学校。

 オールマイト、エンデヴァー、ベストジーニストなどのトップヒーローを排出した名門校であり、例年の倍率は300を超える。

 

「ついに………ついに来たんだ」

 

 そんなトップヒーロー達の登竜門とも言える雄英高校を前に、緑色のくせっ毛が特徴的な少年が立っていた。

 彼の名前は緑谷出久。ほんの数ヶ月前までは“無個性”だった彼はひょんなことからNo.1ヒーローのオールマイトに見初められ、彼の個性“ワン・フォー・オール”を継承したのだ。

 色々とあったが、彼は目出度く今年度の雄英高校の入学試験に合格した。幼い頃から憧れて見ているだけだったプロヒーローへの第一歩に、出久は感動に打ち震えていた。

 

「っ~~。さあ、行くぞ!」

 

 目頭からこみ上げてくるものを堪え、彼は校門をくぐる。出久のヒーローアカデミア(物語)が、いま始まりを告げた。

 

 ***

 

「ど、どうしよう………」

 

 ―――十分後。先の決意を込めた表情は何処にやら。出久は挙動不審にキョロキョロと辺りを見回していた。彼のプロヒーローへの道は第一歩目から迷走していた。

 

「迷った………雄英舐めてた」

 

 端的に言うと迷子である。雄英高校は最高峰のヒーロー養成機関として、広大な敷地にいくつもの施設を有していた。出久も入学試験の時に訓練場として用意された市街地を見ていたから、雄英高校の広大さは知っている。

 しかし、受験者(お客様)として入るのと生徒として入るのは勝手が違った。校舎と呼ぶには大き過ぎるビルの中は教室の他に様々な“個性”を鍛える為のトレーニングルームが幾つもあり、入学案内に同封された校舎内の案内図を見ても出久には何処を歩いているのか分からなくなってきている。

 

「マズいぞ。初日から遅刻なんて雄英の生徒として大問題だ。いや雄英じゃなくても団体行動の基本だから遅刻は問題だけど。とにかく誰かに道を聞いて、ああ、でも周りには誰もいないし、もう集合時間まで時間が無い。でもここでウロウロしているくらいならいっそ校門にあった守衛室まで行った方が………」

 

 ブツブツと無意識に独り言を言い始める出久。これは出久の悪癖と言うべきか、オタク気質なところがある彼は考え事を始めると独り言が言い出す癖があった。傍目から見ると不審者にしか見えないが、そんな事を気にしている余裕は無い。時計を見れば、集合時間までの猶予はあまり無い。出久には迷子になってしまったという事実で周りが見えなくなっていた。

 

「―――あのさ。君、ひょっとして新入生?」

 

 唐突に出久は声をかけられて振り向いた。そこには自分と同年代くらいで茶色の髪の毛をした男子が立っていた。

 

「え!? ええと、その、僕は今日からヒーロー科に入学して、」

「ああ、やっぱりそうなんだ。俺も新入生だよ」

 

 突然話しかけられて慌てる出久に対し、茶髪の男子は安心させる様に微笑んだ。落ち着き払った様子に出久もホッと一息つけた。

 

「そ、そうなんだ。ひょっとして君も……?」

「ヒーロー科だよ。1年A組になるそうだけど」

「本当!? 僕もA組なんだ!」

 

 出久は驚きながらも、目の前の優しそうな男子がクラスメイトになる事に喜んだ。中学までクラスメイトや唯一の幼なじみから“無個性”である事を馬鹿にされ続けた彼からすれば、茶髪の男子の様な物腰柔らかな対応はありがたかった。

 

「そうか。うん、これからよろしくな。それでさ、早速聞きたいんだけど………」

「うんうん、何でも聞いて!」

「………教室の場所、知らない?」

「………へ?」

 

 恥ずかしそうに頬をかく茶髪の男子の一言に、出久は固まる。

 

「ええと、君もひょっとして迷子だったり………?」

「………君も、と言う事は、ひょっとして………?」

「うん、僕“も”………」

 

 まじまじと互いに見つめ合い―――二人仲良く溜息をついた。

 

「ああ、うん。そうだよね。初日なのに道を知ってるわけないよね」

「あ、あはは。ごめんね、役に立たないで」

「いや、気にしないでくれ。雄英の広さを舐めてた俺が悪い」

「いや、それ言ったら僕も……って、こんな事してる場合じゃないよ!」

 

 出久は腕時計を見て慌てだした。集合時間まであと十分しかない。急がなければ初日から二人仲良く遅刻という、悪い意味でクラスの噂になってしまう。

 

「どうしよう、今から入口の守衛室まで戻って、ああでもそんな時間は―――」

「ちょっと待ってくれ。本当はこんな事に“個性”を使うのは駄目だとは思うけど………今は緊急事態という事で」

 

 あわあわとパニックになりかけた出久に茶髪の男子が待ったをかける。

 彼はスッと右手を前に差し出す。すると―――ブン、という音とともにホログラムのキーボードが現れた。彼の右手が滑らかにキーボードをタイピングしていく。

 

「code―――view_map」

 

 茶髪の男子が一言呟くと同時に、出久の目の前に新しい画面が現れる。

 

「これって………!?」

「うん。ここの地図。それで、俺達が今いるのはここ」

 

 画面に映されたのは校舎内の地図だった。しかもご丁寧に自分達を示すマーカーや目的地までの道程まで描かれている。

 

「1-A教室は………ああ、ここか。方向は合っていたんだな。って、どうかした?」

 

 ホログラムの様に宙に映し出されたマップを前に、口をあんぐりと開けた出久に茶髪の男子は首を傾げる。出久はフルフルと震え、そして。

 

「す………すごいよ、これ! これって、君の“個性”!?」

「あ、ああ。一応……… 」

「初めて来た場所でもここでも精密な地図を作れる………災害救助や避難誘導にうってつけだ。今は僕たちしか地図に出されていないけど映せる対象はもっと拡大できるのかな? それなら隠れた(ヴィラン)達も見つけられるから犯罪捜査にも役立つよ。それに………」

 

 初めて見る“個性”を前に興奮して出久のヒーローオタクの血が騒ぐ。“個性”の分析をブツブツと言い始めた出久に茶髪の男子が待ったをかける。

 

「わ、分かった、分かったから。今は急ごう」

「あ、ごめん!」

 

 廊下を急いで歩く二人。出久は、ふと大切な事を聞き忘れた事を思い出した。

 

「僕は緑谷出久。君の名前、聞いていいかな?」

「ああ」

 

 茶髪の男子が出久へと振り向く。茶髪以外にこれといった特徴の無い面立ちはヒーロー科に所属しているとは思えない程に一般人(普通)だった。しかし———。

 

「岸波白野。これからよろしく、緑谷」

 

一般人には無い強い意志が込められた目をした男子———岸波白野は、改めて名乗った。

 

 

 

 

 

 




 ヒロアカに(今更)ハマって書いてみました。自分が一番好きなのは耳郎ちゃんです。そしてヒロアカのSSを書くのに主人公にはくのんを選ぶあたり、自分ははくのんが好きなんだなあ………としみじみ思います。
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