夜天宿した太陽の娘   作:吉良/飛鳥

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畑荒らしとは、分かり易い名前の魔獣だByアインス      名は体を表すだっけか?Byエステル     うん、其れで合ってるよエステルByヨシュア


軌跡18『新米遊撃士MissionComplete!』

Side:アインス

 

 

さてと、夜のバーゼル農場に出て来た訳だが、此処は街道の外灯も届かない場所だから、殆ど真っ暗だな――私が炎属性のアーツを応用してエステルの掌に炎を発生させていなかったら、本当に真っ暗闇だったろうね。

 

 

 

「エステル、其れって熱くないの?」

 

「不思議な事に熱くないのよヨシュア……多分、アインスがコントロールしてくれてるんだと思うわ。

 まぁ、其れは其れとして何処から見回りを始めましょうか?ヨシュアは、どんな順番で回るの良いと思う?」

 

「……そうだね、家の周り、畑、牧舎、其れから温室を一通り回ってみるのが良いかも知れない。此れなら、農園全体をカバーできるしね。」

 

「ん、分かった。其れじゃあレッツゴー!」

 

 

 

ヨシュアが言っていたのは、カシウスの言葉を受けての事だろうな――ありとあらゆる事を想定して、その場で最適な行動を取れるようにしておけと言うのは、耳に胼胝ができるほど聞かされたからね。

ヨシュアは其れに習って農場の全体を把握しようとしている訳だな。

それにしても、夜の農場に魔獣が現れて作物を荒らして行くとは、如何にも地方都市ロレント付近独特の事件と言った感じだな……きっと王都ならば、防犯灯や導力を利用しての、其れこそ電気ワイヤーみたいなガードもあるのだろうが、そんな高価なモノは地方都市の農場で使うのは少し無理だろうからね。

 

《この件が一段落したら、畑に魔獣避けの電磁ネットでも設置するか?

 金属製のネットにプラズマウェイブやスパークダインが使えるようにクォーツをセットすれば多分出来るぞ?》

 

《……魔獣が触れるとどうなる訳?》

 

《10万ボルトでヤな感じ~~!だな。》

 

《ティオ達が危険に晒されそうだから止めといた方が良くない其れ?》

 

《言われて見れば、この方法だと電磁バリアのオンオフが出来なかったな……危険極まりないし止めておくか。》

 

 

 

「エステル、如何かした?」

 

「あ~~、ごめんごめん。ちょっとアインスと話してたのよ。」

 

「アインスと?何かあったの?」

 

「いや~、アインスが画期的なんだけど危険なモノを農場に設置する計画を立ててたから、其れをちょっと止める方向で話をね……」

 

「アインスは何をしようとしてたのさ?」

 

「魔獣避けの電磁ネットを設置するって言ってたわ。」

 

「……どうやって作るのか分からないけど、其れは止めた方が賢明だね。魔獣じゃなくて人が引っ掛かったら大惨事だし。」

 

 

 

はい、スイッチが作れない事を忘れて物騒なモノを設置する事を提案した事は猛省しています。

……取り敢えず、農場の見回りを始めるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天宿した太陽の娘 軌跡18

『新米遊撃士MissionComplete!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず、ヨシュアが提案したように、家の周り、畑、牧舎、温室を一回りしてみたが、特別怪しい事は無かったな?……若しかして、今日に限って魔獣が来てないのだろうか?

作物の食害は毎日のように起きるモノだと言う事を考えると、今日に限って空振りと言う事は無いと思うんだがな……

 

 

 

「結局見回りでは何も出なかったわね?……若しかして、今日は魔獣もお休みなのかしら?」

 

「だとしたら逆に厄介だよ?

 魔獣が現れなかったら、現れるまで僕達は寝る事が出来ないからね……寝てる間に魔獣が現れて畑を荒らされました、何て事になったらギルドにも迷惑が掛かる訳だし。」

 

「そうよねぇ……こんな事を言ったらアレだけど、出てくるならさっさと出て来なさいってのよ!」

 

 

 

ハハ、その気持ちは良く分かるよエステル。

仕事と言うのは、スマートにそして迅速に終わらせたい物だからね……だがまぁ、其れも相手が何時現れるか分からない魔獣では儘ならないモノでもある。

野生動物同様、魔獣を相手にする場合でも大事なのは根気――!!エステル、ヨシュア、ちょっと止まれ!

 

 

 

「!!ヨシュア、アインスがちょっと止まれって!」

 

「え?如何したの?」

 

 

 

畑に何か居る。

夜の闇に紛れて、更に作物の陰に隠れて分かり辛いが、明らかに人ではないモノが居るぞ?……ヨシュアなら、集中すれば気配を察知出来るんじゃないか?

 

 

 

「ヨシュアなら集中すれば分かるだろって。」

 

「集中すれば?…………成程、確かに畑の中に何か居るね?

 大き目の魔獣が1匹、小さめの魔獣が2匹……此れは、魔獣の親子かな?……子育て中の魔獣が、餌の確保の為にこの農場を利用してるって訳か。」

 

「マジで?……でも、だからと言って畑を荒らして良い理由にはならないわ。

 さてと、如何してくれようかしらね?」

 

「真正面から行くのは止めておいた方が良いと思う……逃げられたら面倒だからね。

 此処は気付かれないように後ろから近づいて、不意打ちで仕留めるのが上策だと思うんだけど如何かな?」

 

「そうね、それで行きましょ。」

 

 

 

うん、良い判断だヨシュア。確かに其れが最もベターな方法だが、ちょっと異議あり。

代わるぞエステル。

 

 

 

「え?うん。」

 

 

 

――シュン

 

 

 

「アインス?」

 

「ヨシュア、お前の案は確かに良いが、此処はより確実な方法で行こう。

 此れから私がアイツ等を不可視の拘束魔法で地面に縫い付けて動けなくする――やられた方は何も感じないから自分が動けなくなった事には気付かないから、其処をお前とエステルで魔獣を捕まえてくれ。」

 

「不可視の拘束魔法って、そんな事が可能なの?」

 

「可能だ、私ならばな。」

 

 

 

《まぁ、アインスなら其れ位出来てもおかしくないわよね。……本気で出来ない事って何があるのよアインスは?》

 

《……細かい魔法で狭い範囲を攻撃するのは苦手だな。

 魔法攻撃は広域殲滅魔法が得意でね……射撃魔法にしても魔力弾は可能な限り生成しておかないと満足出来ないんだ……格闘に関して言うならば、パンチ一発で山を吹き飛ばせるくらいでないとね?》

 

《人外決戦は、父さんとやってね?》

 

《私とカシウスがガチで戦ったらロレントは吹っ飛ぶだろうな。》

 

《ゴメン、絶対にやらないで。》

 

《心得た。》

 

取り敢えず、拘束はしたから、後は任せるぞエステル。

 

 

 

――シュン

 

 

 

「……既に拘束は出来てるらしいから、行くわよヨシュア!」

 

「OK、一気に終わらせよう!」

 

 

 

で、エステルと交代したらあっと言う間に下手人はお縄にだ……まぁ、気付いて逃げようとしたら身体が動かなかったとなれば、大人しくお縄になるしかないからな。

畑を荒らしていた魔獣はめでたく御用となった訳だ。

此れでミッションコンプリートだな。

取り敢えず農場主達に報告だね。

 

 

 

 

 

「いやはや、流石は遊撃士だ。このすばしっこい連中を見事捕まえてしまうとはね。」

 

「えへへ、それ程でもないかな?アインスのサポートがあったからこそ出来た事だと思うしね。

 ――所で、コイツ等如何しよう?……退治しなくちゃダメかな?」

 

 

 

……で、いざ件の魔獣の処遇を如何しようかと言う所で、エステルの優しさが出て来たか――確かに農場の作物を荒らすと言うのは許せる事ではないが、だからと言って命を無暗に散らして良い理由はない。

まして、人が己の都合だけで他者の命を奪うのは言語道断だからね。

 

 

 

「当たり前だよエステル。僕達は魔獣退治に来たんだから。

 ブレイサーの使命は、人を守り正義を貫く事……魔獣に情けを掛けるのは筋違いだよ。」

 

「まぁ、そうなんだけどさ……」

 

 

 

だが一方でヨシュアの言う事も一理あるな。

此処で魔獣を見逃して、新たな被害が出たとなったら本末転倒だからね……エステルもヨシュアも何方も正しい訳だからこそ悩むな――果てさて一体如何したモノか。

 

 

 

「…………ま、実際に被害に遭ったのはウチの野菜だけなんだし、見逃しても良いんじゃない?」

 

「そうだねぇ……痛い目を見たみたいだから流石に懲りるってモンだろう。」

 

 

 

だが、此処で農場のティオとハンナがある意味での助け舟だな……農場主が見逃すと言ってるのならば、其れを無視して退治するって言うのはどうかと思うからね。

……で、エスエルは素直に有り難いと思ってるが、ヨシュアの方は納得できてないみたいだな?……ヨシュアは生真面目で頼りになるんだが、ちょっとばかり融通が利かない所があるのが珠に瑕だ。

まぁ、エステルが相方である事を考えると、其れ位の方がバランスが取れているのかも知れないけどな。

 

 

 

「私も殺すのは反対だ。

 私達も彼等も同じ土地で暮らしている存在だ――ある程度折り合いをつけて暮らしていく必要があると思う……ヨシュア君、今回は見逃してくれないかな?」

 

「…………分かりました。被害に遭われた皆さんがそう仰るのならば反対はしません。」

 

「すまないね、折角来てもらったのに。

 私達も柵を強化したりして被害が起こらないように工夫しよう。」

 

「其れじゃあ決まりね!」

 

 

 

あぁ、今回は見逃す方向でだな。

だが、二度とこんな事をさせないようにする仏用があるのもまた事実だから、すまないがまた代わってくれるかなエステル?

 

 

 

「うん、分かったわ。」

 

 

 

――シュン

 

 

 

「髪の色が変わった……若しかしてアインス?」

 

「あぁ、久しいなティオ・パーゼル……農場が二度と被害に遭わないようにする為に、少しばかりエステルと変わって貰ったよ。」

 

「農場が二度と被害に遭わない為にって、如何するのさアインス?」

 

 

 

其れはだなぁ、簡単な事だよヨシュア……こうする!!

 

 

 

――ギュオォォォォォォォォン!!

 

 

 

『『『!?きゅぴ~~~~~!!!!』』』

 

 

「そんな、魔獣が一気に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った?一体何をしたのアインス?」

 

 

 

なに、奴等にちょっとした暗示をかけてやったんだ。

掛けてやった暗示は極めてシンプルなモノさ――其れは即ち、この農場の作物を喰らったら、食あたり起こして腹下して死に掛けたと言う恐ろしい事この上ない暗示をな。

そんな経験を記憶に刻まれたら、二度とこの畑の作物には手を出しはしないだろう――畑を荒らして死に掛けましただなんて、シャレにもならないだろうからね。

 

 

 

「其れは確かに効果的だけど、ある意味で殺すよりも残酷じゃないかな?」

 

「だが其れでも生きていればこの畑以外の糧を見つける事も出来るだろう?死んでしまったら其れで終わりだが、生きていれば新たな可能性を探る事も出来るからな。

 殺しは本当に最後の手段だよ。」

 

「……確かに、そうかも知れないね。」

 

 

 

納得できない部分があるかも知れないが、年寄りの助言として聞いておいた方が良い。――相手の命を奪うと言うのは、本当に最後の手段として取っておかないと、命を奪うのが当たり前になってしまうからな。

 

 

 

「……肝に銘じておくよ。」

 

「……さて、此れで一件落着だ。今夜はもう遅いから寝るとしよう。君達も是非泊って言ってくれ。」

 

 

 

《ハーイ♪》

 

「では、お言葉に甘えるとしよう。」

 

「お世話になります。」

 

 

 

魔獣退治は討伐には行かなかったが大成功と言って良いだろうね。

なんにせよ、大分夜も更けたから、割り当てられた部屋でゆっくりと休むとしようか……疲労が蓄積して、大事な時に最高のパフォーマンスが発揮出来ないと言うのはプロとして如何かと思うからな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

で、ベッドに入った訳だが、眠れないかエステル?

 

 

 

《うん、やっぱりちょっとヨシュアの言った事が気になっちゃって……》

 

《可哀想と言う気持ちが湧かない、心のどこかが壊れてるのかも知れないと言うアレか?》

 

《うん……》

 

 

 

まぁ、お前が気になるのは無理もないが、私達とヨシュアでは生きてきた世界が違うから、そもそもの価値観が違うと言う事なんじゃないかな?

5年前、カシウスが連れてきたヨシュアはどんな状態だったか覚えてるか?

 

 

 

《其れは覚えてるわよ……傷だらけで、今にも死んじゃいそうだった。》

 

《そう、傷だらけだった……お前と大して歳の変わらない子供がだ。

 つまりそれは、大凡真面な人生を送っていたとは言い難いだろう?……其れこそその日の命を繋ぐのに、魔獣を狩って己の糧としていた可能性は充分に考えられる。

 だとしたら、ヨシュアにとっては魔獣の命を奪うのは、自分が生きる為に必要な事で日常になっていた可能性は充分にある――其れならば、ヨシュアの言った事も納得できる。

 ライオンが生きる為にスイギュウを狩る事に、罪悪感や可哀想と言う事を思う事など先ず無いからな。》

 

《アタシ達の想像を絶する世界に居たのかしらヨシュアは?》

 

 

 

あくまでも私の憶測に過ぎないが、その可能性は充分にあるんじゃないかな?

余程の環境で生きて来なかった限り、あの目は出来ない……あの目は、絶望を知ったモノでなければ出来ない冷たい炎が宿っていたからね。

果たしてヨシュアは一体どんな経験をして来たのか……何れ、聞かせて貰いたいものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:???

 

 

ふっふふんふ~ん♪

此れはまたいい情報を貰っちゃったね?……近くロレントの市長邸に大きなセプチウムの結晶が運び込まれるとは、其れを盗む事が出来たら一攫千金間違いなしだ!

 

 

 

「おい、何処に行くんだよジョゼット?」

 

「キール兄、ちょっとロレントまで行ってくる。市長邸に運び込まれるセプチウムの結晶は見過ごせないでしょ?」

 

「そいつは確かに見過ごせねぇ……つまりは、其れが次のターゲットって訳か。」

 

 

 

ま、そう言う事になるよ。

なんにしても、市長邸に運び込まれたセプチウムの結晶は必ず手に入れて見せる――あれさえ手に入れる事が出来れば、僕達の未来は明るくなるからね。

 

だから、セプチウムの結晶は必ず僕が貰い受ける――この、ジョゼット・カプアがね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

新作は何が良い?

  • IS:楯無逆行モノ
  • IS:ハーレム無しヴィシュヌヒロインモノ
  • ガンダムSEEDとISのクロス
  • 作者初の小説である遊戯王小説の再構成モノ
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