夜天宿した太陽の娘   作:吉良/飛鳥

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一見すると大した情報で無いように見えるが……Byアインス      実は、隠れた重要情報があったりする訳ね?Byエステル     情報は、上辺だけで判断しては駄目だって事だねByヨシュア


軌跡33『もたらされた重要っぽい情報』

Side:アインス

 

 

掲示板の依頼を熟しながら、飛行艇消失事件の手掛かりを集めていたんだが、正直有力な情報を得る事は出来なかったな……掲示板の依頼を熟した事で、大分懐は潤ったがな。

だが、懐が潤っても、事件の情報が無いのでは動きようもない……さて、如何したモノか。

 

 

 

「そう言えばさ、さっき市長邸の前でナイアル達を見かけたよね?

 記事のネタには困ってたみたいだけど……何か知ってる可能性はないかな?」

 

 

 

そう言えば、ナイアルとドロシーが居たな?……リラには危険人物と認識されてしまったみたいだから、メイベル市長への取材は略不可能だけれども、記者と言う職業を考えれば何か知ってる可能性は高いだろうね。

 

 

 

「確かに、僕達よりも一足先にボース入りしてる筈だからね――聞いてみる価値はあると思うよ。」

 

 

 

だな。

だが問題は、ナイアルとドロシーが何処に居るかと言う事だ……私が孫悟空の様な瞬間移動を使う事が出来れば一瞬で移動する事が出来るのだが、残念な事に私にそんな力はないから、歩いて探すしかないだろうな。

捜査の基本『足を使え』だね。

 

 

 

《アインス、あの二人何処に行ったのかな?》

 

《其れは流石に分からないが、ある程度の目星をつける事は出来るかな?

 ドロシーの方は分からないが、ナイアルの方はドロシーのせいで記事のネタを潰されたのだから相当に腐ってる筈だ……となると考えられるのは憂さ晴らしだろう。》

 

《憂さ晴らしって……若しかして酒場!?こんな真昼間から!?……って、憂さ晴らしじゃないけどシェラ姉も昼間から飲んでる時あるか。》

 

《そう言う事だ。》

 

時にはアイナも一緒にな。

そう言えば、シェラザードが酔っぱらった所は何度も見ているが、アイナは只の一度も酔っぱらった所を見た事が無いな?大体シェラザードと同じ位飲んでいる筈なのに何故だろうか?

……ウワバミと言うのは、アイナの様な酒飲みの事を言うのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天宿した太陽の娘 軌跡33

『もたらされた重要っぽい情報』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『若しかしたら居るかも知れない』程度に考えて居酒屋まで足を運んだ訳なんだが……本当に居た。其れも、可成り酔っぱらってるみたいだ……深酒は身体によくないぞマッタク。

 

 

 

「ういー……チクショウ……ったく、冗談じゃねーぞぅ……うーん……ヒック……」

 

「見つけはしたけど、ベロンベロンに酔ってるわね~~。アインスの予想通り、取材拒否された事が相当堪えてるのかな?」

 

「男のくせにだらしないわね。

 酒は呑むモノであって呑まれるモノじゃないのに。」

 

「底なしのシェラ姉に言われてもねぇ。」

 

「失礼ね、底なしって言うのはアイナみたいな女を言うのよ。あの女、いくら飲んでも顔色変わらず平然としてるしね。

 アタシみたいに気持ちよく酔っぱらう酒飲みと一緒にしないでちょうだい。」

 

 

 

どの口が言うか。

ドレだけ酔っても潰れずに、周囲を巻き込むと言うのに……お前が気持ちよく酔っぱらうのは勝手だが、周囲を巻き込むな。絡み酒程性質の悪いモノはこの世に存在しないと思うからな。

 

 

 

「アインスが『どの口が言うか』だって。アタシも同じ事思ったけど。」

 

「シェラさんがザルだとしたら、アイナさんはタガって感じかな。何方も底なしには違いないと思いますけど……」

 

 

 

巧い事言うなヨシュア?座布団二枚進呈したい位だが……アイナの場合はタガが外れてるのかも知れないんだよなぁアレは。――アイナの細胞を遺伝子レベルで調べれば、酒で身体を悪くした人への特効薬が出来るかもしれないな。

 

 

 

「……うーん……あー……此処は?」

 

「目、覚めたみたいですね。飲み過ぎは身体に良くないですよ?」

 

「く……頭がズキズキしやがる……って、なんだぁ?新米遊撃士どもじゃねぇか。

 おいおい、何で俺がロレントなんかに居るんだ?確か、俺はボースまで歩いて……」

 

 

 

オイオイ、ドレだけ飲んだんだお前は?

お前がロレントに居るんじゃない、私達がボースまで来ただけの事だ……記憶が混濁するまで飲むだなんて、最悪の場合、急性アルコール中毒で天に召されてしまうぞ。

 

 

 

「何寝ぼけてんのよ。アタシ達もボースまで来たの。其れからアインスが『飲み過ぎると死ぬぞ』だってさ。」

 

「マッタク、驚かせやがるぜ……んで、アインスってのはストレートに言いやがるな。

 おっと、こらまた色っぽい姉ちゃんと一緒だな?」

 

「初めまして記者さん。シェラザード・ハーヴェイよ。この子達の先輩にあたるわ。」

 

「シェラザード……オイ、もしかして『銀閃のシェラザード』か?」

 

「あら光栄ね。アタシの名前を知っているの?」

 

「あぁ、噂くらいだがな。若手遊撃士の中じゃ、一、二を争うらしいじゃねぇか――となると、お前さん達も例の事件を調べに来た訳だな?」

 

「まぁ、ね。」

 

 

 

『銀閃のシェラザード』は、矢張り結構知られた名の様だな?まぁ、二つ名がある時点で可成りのネームバリューがある証拠でもあるのだけれどね。

私達も二つ名が付くように頑張らねばだな。『陽光のエステル』『夜天のアインス』『琥珀眼のヨシュア』と言った感じでな。

ヨシュアに関しては『黒髪の貴公子』でも良いかも知れないけれどね。

 

 

 

「其れはアリね……っと、今のは気にしないで。それよりも、そっちは何か情報集まった?

 市長さんちの前で見かけたけど、何だか困ってたみたいじゃない。」

 

「くそ、アレを見られてたのか……あぁ、そうだよ!ネタが無くて困ってたところさ!」

 

「あ、やっぱり?」

 

「なにせ、軍による情報規制のせいで事故かどうかも判らない状況なんだ。

 直接、モルガン将軍に会いにハーケン門に行こうとしたら検問に引っ掛かるし……ならせめて、噂の美人市長にインタビューしようと思ったらメイドに門前払いを喰らうし……おまけに、あのトンチキ娘は事有るごとにヘマをしでかすし……おぉ、エイドスよ!俺が何をしたって言うんですか!」

 

「追い詰められているわね~~……そんなに情報が知りたければ教えてあげないでもないけど……」

 

「へ……?」

 

「アタシ達、メイベル市長に協力する形で事件を調べてるの。

 市長さんの紹介があったから、一応モルガン将軍にも会ったわよ。」

 

「……………マジで?」

 

「うん、マジで。」

 

「おおおおおおお!これぞ女神の助けだぜっ!

 如何か頼む!その話、俺にも教えてくれ!」

 

 

 

うわ、思った以上に喰いついて来たな……其れだけネタに困ってると言う事なのだろうが……エステル、少し代わってくれ。

 

 

 

《うん、OK。》

 

 

 

――シュン

 

 

 

「其れは構わないが、こう言う時のルールを忘れてないかナイアル?」

 

「アインスの言う通りだね……こう言う時のルールは分かってますよねナイアルさん?」

 

「人格交代しやがったのか?……と言うか、ルールだと?」

 

 

 

情報はタダではないと言う事だ。

私達が得ている情報は、労を割いたものだから無償で提供できるものではないのでな……私達が得ている情報を知りたいのならば、お前も見合った何かを私達に提供して貰うぞ。

 

 

 

「ミ、ミラを取る心算かよ?自慢じゃねぇが、取材費なんざとっくに使い切っちまったんだ!」

 

「情報屋じゃないのだからミラを取ったりはせん……お前は、事件直後にボース入りしてただろう?なら、色々と面白そうな話を知ってるんじゃないかと思うんだが?」

 

「ち……お前さんが相手だと調子狂うぜアインス。

 言っておくが、こっちのネタはそれ程大したモンじゃねぇぞ?」

 

「事件に関係ある事だったら、どんな些細な情報でも構いません。――ただし、出し惜しみは止めて下さいね?」

 

「分かった。分かりましたよ!此方が出せるネタは二つ。そいつで手を打ってくれ!」

 

 

 

ふふ、ナイスだヨシュア。

一見すると爽やかな笑顔だが、その笑顔の裏には恐ろしいモノを感じ取らせるものが仕込まれているからね……『人を殺す笑顔』と言うのは此れの事かも知れないな。

 

 

 

《アインスだけじゃなくて、ヨシュアもノリノリね?》

 

《こう言う駆け引きは、中々向いているのかも知れないな。》

 

ヨシュアは営業マンとか向いているかもしれないな。

この駆け引きを武器に、社内でも物凄い数の契約を結んでしまう気がする……営業の成績では毎月トップになるだろうなきっと。――逆にエステルは、この素直な性格が災いしてな中々契約が取れなくて苦労するタイプかも知れないな。

 

 

それはさておき、席を代えて情報交換だね。

 

 

 

「先ずは、最初のネタは西の方にあるラヴェンヌ村での目撃情報でな。

 ちょうどボースを訪れてた村人から聞いた話なんだが……事件があった夜、空飛ぶ大きな影がある村人によって目撃されたらしいんだ。」

 

 

《空飛ぶ大きな影って、其れってもしかして……》

 

《例の定期船だと思うが……》

 

「其れは、例の定期船か?」

 

「あぁ、誰が聞いたってそう思うだろ?――だが実際、軍の部隊が行っても何も見つけられなかったらしい……」

 

「つまり、只の見間違い?」

 

「だから言っただろうが!大したネタじゃないって!こんなネタでも、情報規制下じゃ集めるのに苦労したんだからな!」

 

 

 

其れはお疲れ様だが……此れは大したネタじゃないなんて事はないと思うぞ?軍が行っても見つけられなかったと言うのは、裏を返せば軍の調査が浅いと言う事も出来るからね。

軍が見逃した所に何かヒントが隠されているかもしれないからな。

 

 

 

「そうだね……アインスの言ってる事にも一理はある。

 其れで、もう一つのネタは?」

 

 

 

お前、この流れで二つ目のネタの提供を求めるとか、結構アレだなヨシュアよ?其れは、イケメンだから許される事であって、イケメンじゃなかったら顔面パンチで即退場間違いなしだから。

 

 

 

「く……もう一つは、軍の情報部が動き始めているらしいって事だ。」

 

「情報部、だと?」

 

「噂は聞いた事があるわね。

 最近、王国軍に新設されたばかりの情報収集・分析を行う集団だって。」

 

「あぁ、王室親衛隊と並ぶ程のエリート集団だって触れ込みだぜ。

 司令を任されてるリシャール大佐と言う人物が、これまたキレ者って噂でな。今回の事件も、彼に掛かったら解決確実と囁かれているらしい。」

 

「「え?」」

 

 

っと、思わずエステルとハモってしまったが、リシャール大佐と言うのは、アラン・リシャールの事か?

 

 

 

「あぁ、そうだが……お前さん、リシャール大佐と知り合いなのか?」

 

「知り合い所か十年来の友だよ。

 十年前にカシウスの仕事について行って訪れたグランセルで知り合ったのが、其れから十年間文通を続けている間柄だ……しかし、彼が情報部の司令なのなら、私達も調査がしやすくなるかも知れん。

 彼は軍の規律を守りながらも義を重んじる所があるからね。」

 

「マジか?……まぁ、こっちの情報は提供したんだ。今度はそっちに喋って貰うからな!」

 

「あぁ、其れは心配するな。私は約束は守る性質なのでな。」

 

先ず、翡翠の塔でお前が言っていた強盗事件だが、その犯人一味はロレントでもやらかしてくれてな、そいつ等と一戦交える事になったんだが、お前の予想通り連中は空を移動する手段を持って居たよ。

でだ、連中は例の定期船消失事件にも関わっているらしい――一味の名は『カプア一家』で、乗客を人質に王家と飛行船公社に身代金を要求して来たとモルガン将軍は言っていたよ。

説明お終い、私は引っ込むよエステル。

 

 

 

《OK。ところで何で交代したの?》

 

《お前は、説明とか苦手だからね。ヨシュアに全部押し付けるのも悪いしな。……此れからは、説明も練習して行こうな?》

 

《あはは……頑張るわ。》

 

 

 

――シュン

 

 

 

「っと、元の人格に戻ったのか?忙しい奴だねお前さんも……にしても、空賊団『カプア一家』……王家と飛行船公社に身代金要求……

 それだ!そーいう決定的なネタが死ぬほど欲しかったんだよ!」

 

「気に入って貰えましたか?」

 

「おうよ!此れで記事が書けるってもんだ。

 こうしちゃいられねぇ……ドロシーの奴を見つけないと!それじゃあ、またな!!」

 

「す、すっごい勢い……」

 

「よっぽどネタに困って追い詰められてたんだろうね。協力できてよかったよ。」

 

 

 

の割には、私と一緒に割とノリノリで交渉していたように思うんだが……フフ、ヨシュアも中々人が悪いな?

 

 

 

「アインスが『人が悪いな』って。」

 

「心外だな。

 ギブ&テイクを前提にしたネゴシエーションってやつさ。」

 

 

 

物は言いようだが、一理はあるな。

遊撃士が相手にするのは善良な人間ばかりではない……腹に一物抱えてるようなクセのある相手との交渉には、駆け引きやしたたかさも必要になって来る訳だからね。

 

 

 

《う~~……アタシには向いてないような気がする。》

 

《お前は基本的に真っ直ぐな光属性だからな……練習しても、限界はあるだろうね。

 だが、如何してもダメな時は私が居るから安心しろ……お前が光属性なら、私は正真正銘の闇属性だから搦め手や駆け引きは任せておけ。

 まぁ、どうしてもダメそうな時は、全力全壊でブッ飛ばせば何とかなる……世の中には話をする為に先ずデカい力でブッ飛ばす奴だっているから問題ない。》

 

《いや、問題しかないから其れ。

 って、それよりもさ、空飛ぶ大きな影の話、なんだか気にならなかった?」

 

 

 

ラヴェンヌ村の目撃情報だな?……其れとエステル、途中から声に出てるから気をつけろよ。

 

 

 

「あ……またやっちゃった。」

 

「まぁ、染み付いた癖は仕方ないよ……其れは兎も角、ラヴェンヌ村の目撃情報だね。

 軍の調査が入ったって事は、何もない可能性が高いと思うけど。」

 

「でも、その調査が完璧とは限らないじゃない?

 モルガン将軍じゃないけど、軍人って頭堅そうだから見落としてる事もありそうだし。」

 

「確かに……ダメもとで調べてみる価値はあるかも知れないね。」

 

 

 

ダメもとで調べてみて、何か見つかったらラッキーと言う所だな……にしても、今日は何だか何時もよりも数段鋭いんじゃないかエステルは?いつもだったら、こんな事は気付かない事が多いのにな。

……何だかんだ言って、カシウスの事が心配で、心配する気持ちが普段以上の力を発揮させているのかも知れないな。

 

 

 

「ふふふ、アンタ達も色々身について来たじゃない。

 ラヴェンヌ村は、西にある果樹栽培が盛んな小さな村よ――西ボース街道の途中から、北に向かう山道の先にあるわ。

 早速行ってみるとしますか。」

 

「うん!」

 

 

 

定期船消失事件の調査は、一時ボースを離れてラヴェンヌ村に調査地を変更だな――それにしても山道の先と言うのは結構な道のりになりそうなんだが、人格交代してシェラザードの鞭で、身体にヨシュアとシェラザードを括りつけて空飛んでいくのは駄目なのだろうか?

 

 

 

《いや、其れ普通に危ないし、ナイアルに見つかったらどんな記事にされるか分からないから止めた方が良くない?》

 

《それじゃあ、適当な木をブチ折って、皆で一緒に桃白白は如何だろう?》

 

《それはそれで面白そうだけど、直線にしか進めないんでしょそれって?やっぱ止めた方が良いと思うわ。》

 

《そうか、それはとっても残念だ。》

 

まぁ、操作の基本の『足を使え』で歩いて行くとするか。

果たしてラヴェンヌ村でどんな情報を得る事が出来るのか……村人が目撃した空の大きな影がタダの見間違いでなく、もしも軍の見落としであったとしたら、予想外の何かが出てくるかもしれないな?

エステルの直感で決定されたラヴェンヌ村の調査は、果たして吉と出るか凶と出るか……今日の獅子座の運勢は割と良かった筈だから、大吉があるかもしれないなこれは。

 

それから、道中に出てくるであろう魔獣を狩って、セピス稼ぎも忘れずに行わねばだな。より強力なクォーツを合成出来れば、私ももっと強くなる事が出来るからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

新作は何が良い?

  • IS:楯無逆行モノ
  • IS:ハーレム無しヴィシュヌヒロインモノ
  • ガンダムSEEDとISのクロス
  • 作者初の小説である遊戯王小説の再構成モノ
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