夜天宿した太陽の娘   作:吉良/飛鳥

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50話まで来たぞ!Byアインス      お~~!50話か~~!Byエステル    一区切りだけど、マダマダこれからだねByヨシュア


奇跡50『事件発生!?孤児院完全焼失!』

Side:アインス

 

 

ナイアルと同じ部屋に泊る事になり、更にナイアルの奢りで夕餉を頂く事になった。

ナイアルは、カジノバー『ラヴェンタル』を予定してたらしいんだが、ヨシュアが『僕達とナイアルさんは兎も角、明らかに子供のレヴィがカジノバーにって言うのは、少し如何かと……』と言った事により、ホテルのレストランで食事をする事になった。

まぁ、ホテルのレストランも幾つか種類があるので、最も庶民向けな『定額食べ放題』が可能なビュッフェ形式のレストランをナイアルが選んだのは当然と言えば当然だな――此れなら、私達に奢ってもそんなにミラは逃げて行かないだろうしね。

 

エステルが選んだのは、トマトとアボカドのサラダ、サーモンのカルパッチョ、ズッキーニのグリル、そして私の好物の骨付きラム肉の香草焼きか。

ヨシュアがチョイスしたのは、コールスローサラダ、スズキのムニエル、色んなキノコの網焼きに、ローストビーフ……ローストビーフに添えられてるのがホースラディッシュじゃなくてワサビバターだと言う所に、ヨシュアの拘りを感じるな。

 

其れでだ、自分の分を取ったエステルは今度はレヴィを連れて少し大きな皿を持って行ったが、何をする心算だ?

 

 

 

「えすてる~、僕にピッタリのゴハンをとってくれるの?」

 

「そうよ、任せておいて!

 先ずは、目の前で焼いてくれるオムライスを貰って、其のオムライスに皆大好きビーフカレーをたっぷり掛けて、ハンバーグ、エビフライ、マカロニサラダとフライドポテトを同じ皿に乗せて、そしてオムライスにデコレーション用の楊枝で作った旗を刺せば、特製お子様ランチの完成!」

 

「わ~~~!おーさまが作ってくれたおこさまランチのさらにすごいバージョンだ!!」

 

 

 

成程、特製のお子様ランチとは考えたなエステル。ビュッフェ形式ならではの良いアイディアで、レヴィも大喜びだからね。

そんな訳で、夕食は美味しく頂いた――レヴィがおかわりする度に、エステルが形の違うお子様ランチを作ったのには少し驚いたがな?……合計で五種ものお子様ランチを作り上げるとは思わなかったよ。

意外と、盛り付けのセンスあるんだなエステルって。

 

其れでだ、ナイアルはと言うと食事よりも酒を楽しんでいたらしく……目出度く酔いつぶれていた。そして、酔いつぶれたナイアルは、レヴィが部屋まで担ぎ上げて行った。

レヴィみたいな子供が、ナイアルの様な大の大人の男を担ぎ上げて行くと言うのは物凄い光景だった――人格交代した私が、ヨシュアを抱えて行くよりも衝撃度は上だったかもな。……いや、『かも』ではなく、確実に上だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天宿した太陽の娘 軌跡50

『事件発生!?孤児院完全焼失!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ナイアルは案の定二日酔いになっていたな……エステルも言っていたが、大して強くないのに飲み過ぎなんだよお前は。酒と言うのは美味ではあるが、飲み過ぎて二日酔いになるようではマダマダだ。

酒の味を楽しみ、程よく酔って翌日には残さないのが酒の正しい楽しみ方だよ……エステルに憑依しているこの身では、酒を嗜む事が出来ないと言うのが少しアレだな。……エステルが成人するまで待つとするか。

未だ辛そうだが、ナイアルはこのまま取材に向かうらしい……ドレだけ身体が辛くとも仕事は確り熟すか。ジャーナリストの鑑だな。

 

 

 

「昨日は泊めてくれてありがとね。」

 

「其れから、御馳走様でした。」

 

「ありがとー!とってもおいしかったぞ~~!!」

 

「ま、精々面白いネタを掴んだら教えてくれや……俺もしばらくはルーアンに滞在するからよ……んじゃ、またな~……」

 

 

 

……未だフラフラしているみたいだが、頭の方は大分働いてるみたいだから、仕事をしている内に酔いも醒めるだろうさ――其れよりもエステル、そろそろギルドに行った方が良いんじゃないか?

 

 

 

「そうね。

 アインスが、『ギルドに行った方が良いんじゃないか』って。」

 

「そうだね。ジャンさんに仕事を紹介して貰おうか。」

 

「む、おしごとか?

 それなら僕もてつだうぞ!僕のパワーはむげんだいだから、どんなおしごとだってきっと役にたてるはず!!おーさまだって、僕のパワーがあれば、エルトリアのモンスターだってぜんめつできるって言ってた!!」

 

 

 

手配魔獣の駆除の様な依頼ならばレヴィは確かに頼りになるんだが、物探しとかの依頼では全く役に立たないだろうな――アホの子に頭脳が要求される依頼は無理ゲーだからね。

 

そんなこんなで先ずはギルドにだ。

 

 

 

「ジャンさん、おっはよー!」

 

「おはようございます。」

 

「おっはー!!」

 

「やあ、おはよう。早速来てくれたみたいだな。」

 

 

 

約束したからな。

其れで、早速なんだが、仕事を紹介して貰えるか?

 

 

 

「アインスが、『仕事を紹介して貰えるか?』って。」

 

「あぁ、勿論さ。

 色々と頼みたい事があるけど、うーん、ドレにしようかな……」

 

「お、お手柔らかに……」

 

 

 

ジャンの奴、完全にエステルがどんな反応をするか楽しんでいるな?――ボースの空賊事件解決に一役かったとは言え、エステルもヨシュアも未だ準遊撃なのだから、無茶振りだけは勘弁してくれよ。

 

 

 

――ジリリリリリリリ

 

 

 

と思っていたら、ギルドの通信機が……何かあったのか?

通信相手は、如何やらマノリア村の『白の木蓮亭』のマスターだったみたいだが……何やらただならぬ事が起きたみたいだな?ジャンの顔が、とても険しくなっていたからね。

 

 

 

「如何したの?何か事件でもあった?」

 

「事件か事故かは、ちょっと判らないんだが……昨夜、街道沿いにある孤児院が火事に遭ったそうだ。」

 

「う、嘘……」

 

「其れ、確かなんですか?」

 

 

 

街道沿いの孤児院って……テレサ先生の孤児院じゃないか!そこが火事になっただと!?テレサ先生は、子供達は無事なのか?……何だって家事に――火の気も何もない所じゃないか!!

ジャンが口にしたのは『マーシア孤児院』……此れはもう間違いないな。

『場所は知ってるか?』と言われたが、知ってるも何も、昨日の昼に尋ねたばかりだよ!

ヨシュアが、『院長先生と子供達は無事なのか?』と聞いたが、『その確認は取れてない』か……其れも含めて一通り調べて来て欲しいとの事だったが、断る理由は何処にも無い。

あの優しい場所を焼いた凶炎が何であるのか、先ずは其れを突き止めるとしようか。

 

 

 

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そんな訳で孤児院にやって来たんだが……此れは酷いな?

建物はほぼ全焼で、ハーブ畑も滅茶苦茶だ……此処までボロボロになってしまっては、今年の収穫は絶望的だろう。土より上の部分が折れたり燃えたりしただけではなく、土そのものも荒らされているから、根も生きてはいまい……畑は一から作り直しだな。

 

 

 

「ひ、酷い……」

 

「完全に焼け落ちているね。」

 

「まっくろ……なにものこってないぞ~?」

 

 

 

此れだけの火災、テレサ先生と子供達は大丈夫だったのか?……考えたくないが、マノリア村からもルーアンからも離れている孤児院での火事に人が気付く可能性は可成り低いから、最悪の場合は……いや、最悪の可能性を考えるのは調査をしてからだな。

直ぐに調査を開始しようと思ったのだが、瓦礫の片付けをしている人達が私達に気付いて話し掛けて来た……この人達はマノリア村の住人で、昨日の夜中に火事に気付いて、慌てて消火に来たらしい。

エステルがテレサ先生と子供達の安否を聞くと、如何やら無事みたいだ――今はマノリアの宿屋で休んでいるらしい。しかも、此れだけの家事だったと言うのに奇跡的に全員大した怪我はなかったとの事……其れを聞いてほっとしたよ。

 

 

 

「よ、よかった~~……」

 

「不幸中の幸いだね。」

 

「きっと、あのせんせーがかじにすぐに気づいて、いえがボーボーに燃えるまえにみんなをつれてだっしゅつしたんだな!」

 

 

 

……そうであれば良いんだが、その可能性は可成り低いだろうな。

こんな火の気のない場所で此れだけの火災が起きたと言うだけでも充分事件性を感じるんだが、この現場はエステルの視点を通じてみただけでも、不審な点が多過ぎる。

 

 

 

「ヨシュア、アインスが『この現場は不審な点が多すぎる』って言うんだけど……」

 

「うん、其れは僕も同感だ。確かに、ざっと見ただけでも妙なことが多過ぎる――そして、そう言う手掛かりは時間が経つと失われてしまうんだ。

 院長先生や子供達の事も気になるけど、安否の確認が出来た今は現場検証を優先しよう。」

 

「……ま、確かに其の通りね。アタシ達遊撃士だし。何があったのか突き止めないと。」

 

「げんばけんしょーって、しもんとったり、ショーコひんさがすやつだな!」

 

 

 

今回は指紋は取らないと言うか取れないが、まぁ間違ってはいないなレヴィ。

主の居た世界の科学技術ならば、表面が焼け焦げた建材からでも指紋を取る事が出来るかも知れないが、この世界では其れは出来ないだろうからね。

私が闇の書であった頃に使えた、『対象の記憶』を読む魔法が使えれば、建物の燃え残りや、ハーブ畑の植物の記憶を見る事で犯人も特定出来るのだが……無い物ねだりをしても仕方ないな。

取り敢えず先ずは、敷地内を調べてみるか。

 

 

 

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さて、敷地内を一通り調べてみた訳なんだが、此れは如何考えても火の不始末とかで起きた火災ではなさそうだな?きっとヨシュアもそう考えているだろうね。

 

 

 

「さてと、色々な事が見えて来たね……この辺りで一旦整理してみようか?」

 

「うん、分かったわ。」

 

「すいりはしないの?」

 

「……まぁ、似たような感じだよレヴィ。

 気を取り直して……まず、出火場所なんだけど……どうやら建物の中じゃなさそうだ。屋外の可能性が高いと思う。」

 

「屋外?」

 

「きょーれつなかみなりでも落ちたのかな?」

 

 

 

レヴィよ、確かに可能性として落雷による火災が無いとは言わないけど、少なくとも昨日の夜はここ等辺一体に雷雲は発生してなかったから、ソレは原因として除外だろう?

其れに、建物の周囲には建物よりも高い気が何本もあるから、建物に直接雷が落ちる事はあるまい。

そうなると別の原因がある事になるのだが……ヨシュアがエステルとレヴィを案内したのは、建物の入り口の向かって右側の場所――矢張り気付いたか。

恐らくこの辺りから、建物全体に火が回ったのだろうな。

 

 

 

「あ……石壁が崩れ落ちちゃった場所ね。」

 

「でもよしゅあ~、どーしてここがしゅっか場所ってわかるの~~?」

 

「地面の焦げ方が他の場所よりも激しいからだよ。周りと見比べれば分かる筈さ。」

 

「あ、ホントだ。」

 

「たしかにつちがまっくろになってる!」

 

「建物外部の、此の場所から火が広がったと言う事実……此れが何を意味するか分かるかい?」

 

「そ、其れって……何者かによって放火されたって事?」

 

「そうか!誰かが火をつけたんだ!」

 

「うん、僕もそう思う。」

 

 

 

エステル、レヴィ、共に正解だ。

ヨシュアの言う様に、この辺りに僅かに漂っている臭いは、可燃性の高い油……灯油か、或いはガソリンの類だろうな。おそらく、この辺りにタップリとぶちまけてから火を点けたのだろう。

如何に壁は石で出来ているとは言え、建物の基礎は木製だからね……基礎部分に火が点いてしまえば爆発的に燃え広がった筈さ。

 

 

 

《そ、そんな……》

 

《それから、建物の敷地が散らかり過ぎているのも不自然だ。》

 

 

 

「アインスが、『敷地が散らかり過ぎてるのも不自然だ』って。」

 

「うん、不自然なんだ。

 放火が目的なら、建物に火を点ければ良い筈なのに、敷地内が荒らされ過ぎてるんだ……消火を妨げる為に井戸を壊すって言うのなら未だ判るんだけど、全く関係ないハーブ畑まで荒らされてるって言うのは、如何考えてもおかしいんだ。此れも、何者かの仕業だと思う。」

 

 

 

問題は、一体誰が何が目的でこんな事をしたのかと言う事だ。

テレサ先生の人柄から、誰かの恨みを買うと言う事は先ず無いだろうから、孤児院に恨みを持つ者の犯行の可能性は低いと見て良いだろう。

次の可能性は、無差別殺人を目的とした通り魔的放火だが、そうであるのならば火を点ければ其れで良いので、敷地内が荒らされてる事の説明が出来ないので此れも可能性は低い。

となると一番高いのは、愉快犯が『ボヤ騒ぎ』を起こそうとして、大事になってしまったと言う可能性なんだが、何だかこれもシックリこないな。

 

 

 

「それ……本当ですか……?」

 

 

 

ん?この声は若しかして……

 

 

 

「クローゼ?」

 

「来ていたのか……」

 

「どうして……誰が、こんな事を……掛けがえのない思い出が一杯に詰まったこの場所を……どうして、こんな酷い事が出来るんですか!!」

 

「テメーらの血は、なにいろだーーーー!!」

 

 

 

レヴィよ、頼むからシリアスな雰囲気を壊さないでくれ?いや、お前はお前でこんな事をした犯人にブチ切れてるのかもしれないが、如何にもお前が怒っても、怒ってる気がしないんだ。

それにしても、クローゼが此処まで取り乱すとはな。

 

 

 

「御免なさい、取り乱してしまって……私……わたし……」

 

 

《クローゼ……アインス、代わるわ。》

 

《あい分かった。》

 

 

 

――シュン

 

 

 

「取り乱すのも致し方ない事だ……知り合ったばかりの私とエステルだって、少しキツイからな……信じられんよ、こんな事をする奴が居るとは。」

 

「エステルさん?……いえ、アインスさん。」

 

 

 

だが、テレサ先生とあの子供達は、全員無事だったみたいだから……だから、大丈夫だ。もう、安心して良いんだ。

 

 

 

「…………ありがとう。少しだけ落ち着きました。

 朝の授業を受けていたら、行き成り学園長がやって来て……孤児院で火事が起きたらしいって教えてくれて……此処に来るまで、生きた心地がしませんでした。」

 

「ふむ……つまり死んだここちだったんだな!」

 

「レヴィ、お前マジで黙れ。取り敢えず今から三分間口を開くな。……もしも呼吸以外で口を開いたその時は、ЯМИДОКОКУ(やみどうこく)を喰らわせるからな?」

 

「おわかれですは、みんなのトラウマ技!」

 

 

 

とは言っても、相手にアイアンクローをかました上でエアロストームを叩き込む疑似技だけどな。

取り敢えずレヴィは此れから三分間は静かにしているとして、テレサ先生と子供達はマノリア村の宿屋にいるそうだ――此処での調査も一段落したし、良かったら一緒にお見舞いに行かないか?

 

 

 

「あ、はい……そう言う事でしたら喜んで。」

 

「其れじゃあ、早速マノリアに行くとするか。」

 

「よっしゃー!レッツゴー!!」

 

 

 

レヴィよ……まぁ、今回はKY発言じゃないからノーカンにしておいてやるか。

其れにしても、テレサ先生の孤児院に放火した犯人は一体何者なんだ?――あの優しいテレサ先生と、悪戯小僧も居るが基本良い子な子供達を焼き殺そうとするとは絶対に許す事は出来ん。……私が闇の書であった頃なら、問答無用で夢の世界に閉じ込めて、果て無い責め苦を与えた上で殺している所だ。

今はそんな事は出来ないが、犯人が分かったその時は、己の愚行を骨の髄まで後悔させてやる――私がこの世で最も嫌いな事は、平穏で平和な日常をぶち壊す事だからね。

テレサ先生とあの子達から、平和で平穏な日常を奪った代償は、キッチリと犯人に償わせてやる……犯人が何処の誰かは知らないが、覚悟するんだな。

祝福の風、太陽の娘、琥珀眼の剣士、雷刃の襲撃者は理不尽な悪行を、絶対に許しはしないからな――精々、お祈りの準備でもしてるが良い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

新作は何が良い?

  • IS:楯無逆行モノ
  • IS:ハーレム無しヴィシュヌヒロインモノ
  • ガンダムSEEDとISのクロス
  • 作者初の小説である遊戯王小説の再構成モノ
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