夜天宿した太陽の娘   作:吉良/飛鳥

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エレベーターにエスカレーター……ハイテクだなByアインス      工房都市の名は伊達じゃないわByエステル


軌跡61『次なる目的地は工房都市ツァイス!』

Side:アインス

 

 

ルーアンでの一件も少しばかり不可解な事はあるが、ダルモアが逮捕された事で、ひと先ずは決着した――ので、私達は次の目的地であるツァイスに向かうべく、クローゼと共にエア=レッテンにやって来ていた。まぁ、クローゼは見送りだけれどね。

掲示板の依頼で此処に来た事は会ったが、その時は景色を堪能している暇がなかったから、改めて見ると実に壮観な景色だな。

クローゼの説明によると、中世の頃の遺跡を利用して設けられた関所で、元々はローツェ水道と言うヴァレリア湖の水を運ぶ為の水道橋との事。

目の前の大瀑布は水路から流れ落ちる水で出来ているのか……人工の滝と言う事か此れは。

そしてその奥に見えるのが、ルーアンとツァイスを繋ぐカルデア隧道――クローゼとも、しばしのお別れだな。

 

 

 

《そうなのよね……だから、ちゃんとお別れの挨拶して来なさい!》

 

《え?》

 

 

 

――シュン!

 

 

 

「アインスさん?」

 

「如何したのさイキナリ?」

 

「どしたの、クロハネ?」

 

「いや、エステルにちゃんとクローゼにお別れの挨拶して来いと、強制的に交代されてね。

 ……まぁ、ルーアン滞在中はエステル、ヨシュア、レヴィ共々世話になったな?今回の事件の事でも、随分と助けられたしな。」

 

「そんな、トンデモナイです。」

 

「ううん!くろーぜにはすっごくたすけられたから!」

 

「僕達も、君から学ぶ事が沢山あったしね。」

 

 

 

本当にな。

学園の生徒として過ごすと言うのもとても新鮮だったし、学園祭もとても楽しかったからね……何よりもお前からは、エステルとは違う『諦めない意思』を学ぶ事が出来たからね。

決して長いとは言えない期間だったが、十年ぶりにお前と再会出来た事は、私にとっても嬉しい事だった――十年前の約束も、果たせたしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天宿した太陽の娘 軌跡61

『次なる目的地は工房都市ツァイス!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな……私は人に物事を教えられるような立派な人間じゃないんですよ。」

 

「ふ、そんなに謙遜するな。実際、お前は良くやっていると思うよ。」

 

「アインスさん……でも私は、只学園や孤児院に逃げ込んでいるだけで――そう、逃げてるだけなんです私は。自分の立場から。

 ……す、すみません。私の方こそ皆さんには助けて頂いて……「完全に逃げてしまえば、いっそ楽なのだがな。」……アインスさん?」

 

 

 

逃げると言うのは大きく二つのパターンがある。

一つは今の状態があまりにも辛くて、だが自分ではどうやっても改善する事が出来ないから投げ出して逃げるパターン。そしてもう一つは、自分にとって大切な事なのだが、大切であるが故に向き合う為の覚悟が必要で、その覚悟がまだないから苦しくて逃げたくなるパターンだ。

私は圧倒的に前者だが、お前は後者だろうクローゼ?

 

 

 

「アインスさん……」

 

「だがお前は逃げていると口にしつつも、本当の意味では逃げ出さずに必死で向き合おうと頑張っている……少なくとも、私にはそう見える。」

 

だからクローゼ、苦しい時は迷わずに私達を呼べ。

お前に危機が訪れたその時は、必ず助けに行くよ。エイドスの名に誓おう。いっそ、エイドスだけじゃなくブッダにキリスト、マホメットにも誓ってやろうじゃないか!

 

 

 

「アインス、其れはちょっと節操なくないかな?」

 

「何を言うかヨシュア、我が主の国は八百万の神が居るのだ……それこそ台所からトイレにまで神様が居るからな。

 大体にして、生まれれば神式、死んだら仏式、クリスマスに教会で賛美歌を歌った一週間後には神社で柏手を打つような国なんだからね。」

 

「其れって良いのかなぁ?」

 

「だいじょーぶ!もんだいない!!」

 

 

 

一神教の国からしたら問題しかないがな日本は。

 

 

 

「アインスさん、エステルさん、ヨシュアさん、レヴィちゃん……ありがとう。

 皆さんのおかげで私……少しだけ勇気が出せそうです。今度はもう少し強くなった自分を見せられるように頑張ります!」

 

「あぁ、その時を楽しみにしているよ。」

 

 

 

――チュ

 

 

 

「へ?あ、アインスさん?」

 

「十年前のお返しだ。私も結構驚いたからなあの時は。」

 

「……今にして思えば、随分と大胆な事をしたモノだと思います。と言うか、当時の私は六歳だったんですよね?……大分マセた子供だったんですね私って。」

 

 

 

まぁ、アレがあったからこそ今の私達があるのだけれどな。

其れではなクローゼ。次に会うその日まで、息災でな。

 

 

 

「はい。さようなら。また会う日まで。」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

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・・・・・・

 

・・・

 

 

 

クローゼとの別れを済ませ、エステルと代わって、いざカルデア隧道に……この先のツァイスに、あの黒いオーブメントの手掛かりがある訳なんだが――随分歩いてるんだが、誰も通らないな?

昔ならいざ知らず、定期便がある今の時代は、此処を態々使う人は居ないと言う事か……あの変態教授ならば、路銀節約の為に使いそうだけどな――今度遺跡の探索に行くときは、是非とも遊撃士を雇ってくれよ本気でな。

まぁ、殆ど誰も使わなくなったとは言え、導力灯が設置されているから道中で魔獣とエンカウントする事は少ないだろう……エンカウントしたらエンカウントしたで速攻で撃滅するだけだけどな。

 

 

 

「そう言えばヨシュア……劇の時、クローゼとキスしたのよね?……其の、どんな感じだった?」

 

「アインスがクローゼにキスしたんだから君も分かるんじゃないの?って言うか、劇のアレはフリだよ?」

 

「へ、そうだったの?」

 

「巧く角度をずらしてしたように見せただけ。若しかして気付いてなかった?」

 

「全然分からなかった。」

 

「うん、きづいてなかったーー!」

 

 

 

《って言うかアインスは気付いてたの?》

 

《あぁ、気付いてたよ。》

 

《何で教えてくれなかったのよ!》

 

《さて、何故だろうな?》

 

だが、実際にしてないと言う事を知ってエステルはホッとしたのは間違いない……此れは、大分意識し始めているのかも知れないな。お互いに好き合ってるのにお互いに気持ちを伝える事が出来ないとは、何とももどかしいモノだね。

 

さて、隧道に置かれていた宝箱からアイテムを入手しながら(誰が此処に置いたのか謎だ)進んでいるのだが……今、向こうの方からなにやら声が聞こえたみたいだが……?

 

 

 

「いっけー!!」

 

 

――ドッガーン!

 

――バッコーン!!

 

――ドンガタガッチョンチョン!!!

 

 

 

如何やら空耳ではないみたいだな。

何事かと思って、声のした方に行ってみると、魔導砲を手にした子供が魔獣と対峙していた……如何やら導力灯に近寄ろうとしている魔獣を牽制しているみたいだが、魔獣の方はこの子の事を単純に邪魔だとしか思ってないみたいだ。

なので、普通に襲い掛かるのだが、私達に見つかったのが運の尽きだ。

 

 

 

「どっせい!!」

 

「あ……」

 

「其のまま動いちゃダメ!ヨシュア、レヴィ!!」

 

「大した敵じゃない。適度にあしらって追い払おう。」

 

「りょーかい!いっくぞ~~!!雷神滅殺極光斬!!」

 

 

 

待て待て待て、お前絶対分かってないだろレヴィ?何処に適当にあしらって追い払う為に超必ぶちかます奴が居るんだ?其れはもう、追い払わずにぶち殺してるからな?

まぁ、新たなセピスが手に入ったのは嬉し事だがな。

 

で、私達が私達が助けた少女の名はティータ。ティータ・ラッセルか……いい名だな。

何でこんな所に居るのかと思ったら、整備不良のまま設置されていた街道灯の修理に来たらしい――まだ子供だが、ツァイス中央工房の見習いをしているとの事で、街道灯の修理程度ならばお手の物と来た。

まぁ、脚立を使っても街道灯には届かなかったので、エステルに肩車してもらって修理をする事になったのだがな。

だがその修理もあっと言う間に終えてしまったのだから、ティータの腕前は可成りのモノだな……子供の頃でこのレベルとは、大人になったらドレ程のモノになるのか想像出来んな。

 

 

 

「こんな所にもオーブメントは使われてるのよね……てか、オーブメントってそもそも何?」

 

「うん、それは僕もしりたい!!」

 

 

 

レヴィは兎も角エステルよ、お前は其れくらい知ってないとダメだろうに……日曜学校だけじゃなく、シェラザードの授業でも習った事だぞ?ドレだけ座学が苦手なんだお前は……ヨシュアが呆れるのも致し方ないぞ?

 

 

 

「…………」

 

「だ、だって!

 じゃあ、改めて何かって聞かれたら説明できる!?」

 

「当然だよね、ティータちゃん?」

 

「あ、はい!

 オーブメントって言うのは、七耀暦一一五〇年ごろに『アーティファクト』を元にエプスタイン博士が発明した、セプチウムに秘められた『導力』と言うエネルギーを取り出す機械ユニットの総称です。

 アーティファクトの特性を引き継いで、半永久的に導力を得る事が出来る上に、セットするセプチウムのクォーツによって様々な現象を引き起こす事が出来るんです。」

 

 

 

見ろ、お前よりも遥かに年下のティータの方が、専門家とは言え詳しいじゃないか。

まぁ、エステルの方は朧げに覚えている部分があったのか、時折頷いているが、レヴィの方は頭の上を『?』が編隊飛行をしているな……此れは脳ミソから煙が出るのも近いかもな。

 

 

 

「その応用力の高さから、飛行船などのエンジンをはじめとし、戦術オーブメントみたいな特殊なモノから、お家の中にある照明や調理器具と言っ

 た極普通の家庭用品まで、ありとあらゆる略全ての製品にオーブメントが使われているんですよ!」

 

「う~んと……つまりオーブメントっていろんなことができる、とってもすごいきかいってことでOK?」

 

「ザックリしてるけど、大体その認識で良いんじゃないかなレヴィは。」

 

 

 

まぁ、レヴィならそれ位の認識で理解出来ていれば上等だろう……もしもこの場にシュテルが居たら、オーブメントについての疑問点をティータにぶつけて物凄い議論が巻き起こりそうだがな。

さて、ティータの説明を聞いている間に、目的地であるツァイスに到着だ。

カルデア隧道は、ツァイスの中央工房に続いていたらしいが……外に出ると、中央工房の建物の大きさに圧倒されるな?エステルですら驚いているからね。

しかも其れだけじゃなく、街中にはエスカレーターも存在している……ツァイスはリベール王国随一のハイテク都市と言った感じだな。

そのハイテクさに驚きながらも、ティータに案内されて遊撃士協会までやって来たのだが、其れで終わりではないよなエステル?

 

 

 

《当然でしょアインス。》

 

「悪いんだけど、あと一ヶ所だけ案内してもらえないかしら?

 このおも~い荷物……ティータちゃんのお家まで運ばせてもらいたいの。」

 

「そんなにおもいかな?僕だったらマダマダよゆうだけど。」

 

 

 

だろうな。お前はやろうと思えば巨大な空母だって持ち上げる事だって出来るだろうしね。……尤も、全盛期の私は、その空母を一撃で粉砕する黒槍を片手でぶん投げれた訳だけどな。

さてさて、ティータの案内でティータの家までやって来たのだが……

 

 

 

「できたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

――ガッシャーン!!

 

 

 

扉を開けた途端に凄まじい声と音が……何事だ?

 

 

 

「お爺ちゃん?」

 

「おぉ、ティータ!良い所に戻って来たのう!今から起動テストをするから手伝ってくれ!」

 

「え?」

 

「今度の発明は何と、生体感知器を無効化するオーブメントじゃ!」

 

「ほ、ほんとー!?」

 

「ほれほれ!早くデータ収集をせんか!」

 

「うん!!」

 

 

 

ティータの祖父の声だったのか……何やら新しい発明品が出来たらしく、その起動テストか。ティータもノリノリで、エステルも『邪魔かな?』と言っていたので、お暇しようと思ったのだが、そこでティータの祖父から色々と言い付けられてしまったぞ?

ヨシュアは二階から何やらノートを持ってくるように言われていたし、エステルとレヴィは『コーヒーでも淹れろ』と言われた……と言うか、『触覚髪』と言うのは些か酷くないだろうか?

ツインテールは、確かに見ようによっては昆虫の触覚に見えるかもしれないが、少なくとも女の子に言う事ではないな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

「わっはっは!ワシャてっきり、中央工房の新人が来たのかと思ってなー!

 お前さん達が、あのエステルとヨシュアか。」

 

 

 

結局あの後、滅茶苦茶こき使われて、気付けば夕食時になっていましたとさ……ティータはティータで起動実験の方に意識が集中してしまい、私達の事をスッカリ忘れていた事を申し訳なく思ってるみたいだが、其れはまぁ仕方ないさ。新たな発明品の起動実験ともなればワクワクするものだからね。

それに、此処に来たのはただこき使われるだけではなく収穫もあった……ティータの祖父は、カシウスと二十年以上の付き合いがある人物で、リベールに於ける導力革命の父とも言える『アルバート・ラッセル』、その人だったのだからね。

 

 

 

《あ~~……なんか、シェラ姉の授業で聞いた気が……》

 

《気がするだけじゃなくて聞いてるからな?習った事は覚えておこうな?》

 

《身体で覚えるのは得意なんだけど、頭で覚えるのは苦手なのよね。》

 

《うん、知ってる。》

 

そう言う意味ではだからこそ私とお前は相性が良いのかも知れんな……ありとあらゆる知識と技術を記憶している私と、カシウスの教えを身体で覚えてるお前が力を合わせれば最強かもだからね。

 

 

 

「でも、盲点だった……まさか、ラッセル博士が父さんと知り合いだったなんて……でも、此れで謎が一つ解けたねエステル?」

 

「なぞはとけたー!はんにんはおまえだー!!」

 

「レヴィ、ちょっと黙ってね?

 ヨシュア、其れって……」

 

「あのメモ。頭文字が『R』で父さんの知り合いの。」

 

「あ!それじゃあ貴方が、『R博士』!?」

 

 

 

其れは間違いないだろうさ。

それで、夕食後に件の黒いオーブメントをラッセル博士に見せたのだが……

 

 

 

「ほう、此れはなかなか興味深いのう?

 そうでなくとも、態々カシウス経由でワシに調査を依頼するとは、よっぽどのモノなんじゃろうて……さて、一体何が出てくるかの?」

 

 

 

博士でも此れが何かなのは見ただけは分からないみたいだな。

果たして此れは一体何なのか……ダルモアのアーティファクトの効果すら無効にしてしまうこの黒いオーブメントは、アーティファクトすら超えたア―ティファクト……ロストロギア級の代物であるのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:リシャール

 

 

事は全て順調に進んでいるようだ……よもやアルセイユが出張ってくるとは思わなかったが、逆に其れが誰が王国親衛隊を手引きしたのか分かったからね――手引きしたのは、矢張り彼女か。

次期女王たる彼女に対して無礼を働かなければならないと言うのは心苦しいが、全てはこの国の未来のため……エステル君、アインス君、次に会う時はきっと私は逆賊となっているだろう。

だからその時は遠慮せずに私を叩き伏せてくれ……君達が私を――クーデターで国の全権を掌握しようとしたテロリストを制圧する事で、私の計画は完遂するのだから。

逆賊たる私を制圧した君達は、カシウス大佐の後継者たる英雄となるだろうからな……その存在はリベールにとって近隣の国に対しての強力な切り札になる筈だ。

軍事力と導力技術ならば、ある程度何とか出来るが、英雄の存在だけは如何にも出来ないからね――何よりもエステル君とアインス君は、創造されたのではない、真の英雄の気質がある。

私はこの国の為に、彼女達が英雄になる為の、最後の関門としてその役目を果たす……其れだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

新作は何が良い?

  • IS:楯無逆行モノ
  • IS:ハーレム無しヴィシュヌヒロインモノ
  • ガンダムSEEDとISのクロス
  • 作者初の小説である遊戯王小説の再構成モノ
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