夜天宿した太陽の娘   作:吉良/飛鳥

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遂に王都到着だなByアインス      さて、気合入れて行きましょうか?Byエステル      そうだね、気を引き締めて行こうByヨシュア


軌跡68『なんやかんやで王都到着!そして…』

Side:アインス

 

 

教授の咄嗟のアドリブで関所を通過する事が出来たのだが、考えてみると教授とは王都以外の全ての都市で出会った事になるな?……偶然にしては出来過ぎている気がするが、だからと言って狙って出来るモノでもないか。

狙ってやるとなったら、私達の行動の全てをとは言わずとも、『何時、何処に居る』は最低でも把握しておかねば不可能だからね。

 

 

 

「しかし、結局君達には王都以外の全ての地方で会った事になりますねぇ?何か深いご縁があるのでしょうか?」

 

「ごえん?まちがって飲むこと?」

 

「違うわよレヴィ……ってか、レヴィがそんな難しい言葉を知ってる事に驚いたわ。」

 

「そうだね……って、全ての地方で?」

 

「あ、そっか。ヨシュアはルーアンの時は居なかったっけ。教授ってばね、ジェニスの学園祭にちゃっかり来てたのよ。」

 

「そうそう、その時エステルさんに言ったんですよ、ヨシュア君と――「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

……如何やら教授もそう思っていたみたいだが、深い縁ねぇ?何となく、本当に何となくだが教授とはこれから先も長い付き合いになりそうな気がするな。良いか悪いかは別として。

で、教授が余計な事を言おうとしたのを、エステルが大声を出して阻止した事で、巡回してる王国軍の兵士がやって来てしまい、其れ自体はエステルが何でもなかった事を説明して謝罪したのだが、其れとは別に『街道をウロウロしててはダメだ』とお叱りを受けてしまった。

如何やら『グランセル市街から出ないように』との布告があったらしい……『テロリストがこの辺に潜伏しているかも知れないんだぞ』とも言っていたのだが、実際にはテロリストなど居ないのだがな。リシャールが情報部を使って、正規軍とは指揮系統の異なる王室親衛隊以外の軍全体にそう言う情報を流したのだろう。

リシャール、お前は一体何を考えているんだ……

 

 

 

「テロリストですか……こんな平和な国にそう言う人が居るだなんて。

 案外、こう言う森に隠れてるのかも知れませんねぇ……」

 

「教授、其れはちょっと洒落にならないわよ?」

 

「こう言う森に隠れているのは、テロリストよりもゲリラ兵のイメージが強いですけどね。」

 

 

 

教授も教授だが、ヨシュアも其れは如何なんだ?……確かに森はゲリラ兵のイメージがあると言えばあるけれども。

まぁ、仮に何か出て来たとしても私達ならば大丈夫だ、相手がカシウス以上でない限りはな――この先は『エルベ離宮』、女王様の小宮殿か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜天宿した太陽の娘 軌跡68

『なんやかんやで王都到着!そして…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中でも街道の道は整備されているのだが、石畳の道がある以外は殆ど森には手が付けられていないらしく、道端には可成り古い時代の物と思われる石柱なんかが其のまま残されている……其れは別に良いのだが、問題は其れ等を見付ける度に教授の意識が其方に向いてしまう事だな。

今もエステルに、『いい加減にしないと置いてっちゃうわよ!ほら、さっさと来なさい』と言われて渋々来たくらいだからね……棒術具で石畳を少し強く叩いて一喝したのが効果抜群だったみたいだ。流石に棒術具で殴られたら痛いからね。

 

そんなこんなで大分奥まで進んで来たのだが……如何にもこの森は妙な感じがするな?

 

 

 

《アインスも?アタシもそう思ってたの。

 仮にも女王様の別荘が近くに有るって言うのに、重苦しいって言うか、嫌な気配がするって言うか……》

 

《恐らくは魔獣の気配だろうが、ツァイスまでに出会った魔獣とは質が異なる……言うなれば、紅蓮の塔で出会った魔獣に近いか。》

 

《其れって、誰かに訓練された魔獣って事?》

 

《確証はないがな。》

 

だが、もしもそうだとしたら、そんな魔獣がなぜ女王の別荘がある森に存在しているのか……エルベ離宮の護衛の為に放っている可能性がないとは言い切れないが、あのアリシア女王がそんな事を命じるとは思えん。

だとしたら……

 

 

 

――ブブブブブブブブブ!!

 

 

 

っと、考えていたら羽音……此れは、魔獣だな。

 

 

 

「ヨシュア!」

 

「恐らく虫型魔獣の羽音だね。」

 

「むしがたまじゅー……かくごしろよ、このむしヤロー!」

 

 

 

レヴィよ、其れは合ってるけど間違ってる。此れから来るのは卑劣な蟲野郎じゃなくて、本物の虫だ。それも、スズメバチが可愛く見える程の凶悪な虫型の魔獣だ。

教授は驚いていたが、エステルが『教授は後ろに下がって』と言って教授を下がらせ、自分とヨシュアそしてレヴィが前に出るように構える。

ヨシュアの見立てでは、『大型で可成りの数』らしい――確かに凄い羽音だったからね。……ならば、此れは必須だな。

 

 

 

――ボッ!!

 

 

 

「炎?……あ、そっか!虫には炎よね!」

 

 

 

そう言う事だ。虫に炎は効果抜群だからな。

炎を使った体術と棒術の二本柱で行けば、数が居る大型でも何とかなるだろう……仮に何とかならなくても、ヨシュアがフォローしてくれるだろうし、レヴィがフルパワーで一撃叩き込めば、電気を吸収する相手でない限りは大概一撃で滅殺出来るだろうからね。

で、警戒していたのだが……現れたのは魔獣ではなく、何とも可憐な修道女だった。――が、ヨシュアの予想が間違っていた訳でなく、如何やら彼女は魔獣から逃げて来たらしい。私達にも、『魔獣が直ぐ其処まで来て居るから逃げてください』と言って来たからね。

だがしかし、そう言われて逃げる事は出来ん……私達は遊撃士だからな。

 

 

 

「大丈夫よシスター。アタシ達遊撃士なの!」

 

「魔獣は僕達が引き受けます。」

 

「ふっふっふ、この僕にいどむとはいーどきょーだとほめてやる!だがおまえたちはとんで火にいるなつの虫!虫はころすぞさっちゅーざい!!」

 

 

 

レヴィ、何を言いたいのか良く分からん。そもそも虫型の魔獣に殺虫剤が効くのか不明だからな……家の中にホウ酸団子を仕掛けておいて、G型の巨大な魔獣が死んでいたら、其れは其れでトラウマモノだが。

シスターは『あなた方でもあの数は……』と言ってるのだが、正直負けるヴィジョンが見えんから大丈夫だろう――と思っていたのだが、イキナリ目の前の茂みが盛り上がったかと思うと、中から巨大な影が!まさか、コイツが魔獣?

 

 

 

「此れは……魔獣って言うか、クマ!?」

 

「クマって……俺はジン・ヴァセック。こう見えても一応分類上は人間だぞ?」

 

 

 

ではなく、現れたのは身長2m近い大男だった。

この男、ジンはシスターが落とした薬草籠を届けに来てくれたらしい……其れを見たエステルは『魔獣はシスターの見間違いだったのね』と言うが、シスターは其れを否定し、『中型の魔獣が群れを成して此方に向かってきているんです』と言っていたから、見間違いや勘違いではないだろう。

『とても太刀打ちできる数ではない』との事だったが、如何やらその魔獣はジンが倒してしまったらしい……だとするならば、この男は只者ではないだろう……恐らく実力はアガットと同等かそれ以上かもしれんな。

しかし、『この森の魔獣は数も質も異常』と来たか……ならば、シスターの言う様に早くこの森から離れた方が良いな――そして、ジンが現れた時に反射的に攻撃しなかったレヴィの事は褒めても良いかも知れん。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンとはその場で分かれる事になったが、シスターは王都まで一緒に行く事になった……まぁ、今更護衛対象が一人増えたからと言って如何って事はないからな。

……それにしてもこのシスター、何処かで見た気がするのだが気のせいだろうか?

まぁ、其れは其れとして、シスターがあんな場所に居たのは『エルベ離宮の近くに質のいい薬草が生えているので其れを採りに行っていた』からか。

だが、シスターが言うにはあの森には魔獣は殆どいなかったのに、最近になって増えたのだとか――まるで、エルベ離宮への道を阻んでいるかの様にか……だとしたら、可成りクサいが、その辺は王都に着いてから改めて調査だな。

……シスターの凛々しい横顔にエステルが見入ってしまい、シスターは照れていたが、いよいよ見えてきたかグランセル城が――!十年ぶりの王都だな。

 

荘厳な門を通って王都に到着だ。

 

 

 

「ヤレヤレ、やっと王都に着きましたか。

 では、私は此処で失礼します。良かったらこの先の歴史資料館に遊びに来てくださいね?私の輝かしい研究の成果を、じっくりみっちり御教授して差し上げますから。」

 

「……うん、其の内ね。」

 

「待ってますよー♡」

 

 

 

此処で教授とはお別れなのだが……出来れば歴史資料館とやらには行かない方がいと思ったのは私だけではあるまい。教授の研究成果を延々と聞かされるとか、どんな拷問だ其れだからね。

其れは其れとして、シスターとも此処でお別れなのだが、別れ際にエステルが『森に行かなきゃならなくなった時はアタシ達を呼んでね?一人なんかで行くよりは絶対良いと思うから』と言っていた……ふ、お前は無自覚でやったのだろうが、其れは大事な事だ。

遊撃士が仕事を得るには自己アピールも必要な事だからね……自分を売り込む事が出来て、クライアントに気に入って貰えれば下位の遊撃士でも仕事が貰えるのが此の世界だからな……考え様によっては何ともアコギな世界だがね。

シスターの方も、『心強いです。ありがとうございます。』と言っていたから、中々好印象を持ってもらえたみたいだな。

 

さて、此れからどうするか……グランセル城に向かうか、それとも先にギルドか。

 

 

 

「ねーねー、えすてる~、むこーに見えるあのでっかいたてものがぐらんせる城?」

 

「そうよレヴィ、あそこに女王様が居るの。」

 

「よっしゃー!それじゃー、さっそくらっせる博士にたのまれたことすましちゃおー!」

 

「レヴィ、気持ちは分かるけど……」

 

「……レヴィの言う様に、早速博士からの依頼をと思う気持ちもあるんだけど、でもお城に行ってすぐに会えるほど単純な問題じゃないわよね?

 ごめんねレヴィ、悪いんだけどお城はちょっと我慢して、先にギルドに行っても良いかな?王都が今どんな事になってるか、知っておいた方が良いと思うの。」

 

「むむむ……なるほど、まずはじょーほーしゅーしゅーってやつだな!シュテルンも、『先ずは情報を集める事が大事です』っていってたし!」

 

 

 

如何やら先にギルドに向かう事になったようだ……ロレントを出発したばかりの頃のエステルだったら、間違いなくいの一番でグランセル城に直行していただろうが、先ずは現在王都がどのような状況になっているかを知るのを優先するとは、大分冷静に物事を見れるようになったみたいだな。

心なしか、ヨシュアも感心……と言うか、何処か『頼り甲斐が出て来たね』と言った感じで見ているしね。

 

そして、ギルドにやって来て、受け付けでエルナンに王都への所属変更手続きをして貰った後で、今の王都の現状を教えて貰った。

何でも、この数ヶ月の間にリベールで起きた数々の事件が全て同一のテロリストの仕業だと軍からの発表があったらしい……飛行船事件や、ルーアンでの一件もそうらしいが、アレは既に犯人が逮捕されている筈なのだが――なんと、アリシア女王に対する反逆罪の容疑で、王室親衛隊が一斉に検挙されたと来た。

……冗談にしても笑えないぞ其れは――!

 

 

 

「反逆者!?ユリアさんが!?如何言う事なのエルナンさん!」

 

「事件を担当した情報部の報告や、住民の目撃情報から真犯人の親衛隊が浮かび上がったそうです。」

 

「情報部……!!」

 

 

 

と言う事は、リシャールが手を回したか。

エルナンの話では、飛行船事件で逮捕された空賊が『軍のある組織と繋がっていた』と証言しており、ルーアンでの一件では『協会がレイストン要塞に要請した支援要請を不正に入手し、要塞からの援軍が到着する前に市長の逃亡を手助けしようとした疑惑が掛けられている』と来た。

更に悪い事に、ドロシーが撮ったであろう、ルーアン港に現れたアルセイユや、中央工房から逃亡する親衛隊員の姿が情報部から提出されている事だ……事実を知らない人間からしたら、どう見ても此れが真実に映るだろう。

そして、偽物とは言え、偽物と証明する事が出来ないゆるぎない証拠が存在してはアリシア女王でも庇いきれないか……エステルも心底悔しいだろう。私だって悔しいからな。

 

 

 

「ただ……あまりにも証拠が揺るぎなさすぎる……いえ、この完璧な仕事こそがリシャール大佐の有能さを示しているのでしょう。」

 

 

 

だが、その証拠の揺るぎなさにエルナンは違和感を感じたみたいだな?……此れは若しかしたら行けるかも知れんぞ?エステル、私達が知っている事をエルナンに話してやれ!

 

 

 

《モチのロンよ!》

「エルナンさん、落ち着いて聞いてね?アタシ達、そのリシャール大佐の裏事情を知ってるの!」

 

「そーそー、僕達はたいさのうらじじょーをしってる!とりあえず、金髪オールバックはたいていらすぼす!ばいおのうぇすかーとか、がろうのぎーすとか、けーおーえふのげーにっつとか!」

 

 

 

レヴィよ、確かに金髪オールバックにはラスボスが多いけれど少し黙っていようね?お前が喋ると色々ややしくなるからな。

で、エステルとヨシュアの話を聞いたエルナンは『とても信じられない』と言った顔をしていたようだが、逆に情報部の証拠の揺るぎなさに納得が出来たようだ……それでも『情報部の優位を引っ繰り返す事は出来ない』と言うのは、ギルドの性格上軍に介入する事が出来ないからだな。

更に、親衛隊が情報部によって故意に失脚させられたのならば、此れまで親衛隊が守って来たグランセル城もリシャールに掌握されている可能性が高く、そうなれば面会どころか門をくぐる事すら難しいか。

此れは、ラッセル博士の依頼を達成するのは可成り難しいかも知れん。

 

 

 

「正直問題は色々ありますが、其処は頑張って何とかしてみましょう。

 博士からのご依頼は、遊撃士協会グランセル支部が承りました。

 サポートは全て私にお任せ下さい!この件の遂行担当は、引き続きあなた達にお願いしてもよろしいですね?」

 

「「はい!!」」

 

「よっしゃー、まかせとけ!!」

 

 

 

だが、エルナンが『全てサポートするので、この件は引き続きお願いします』と言ってくれた……ならば、どんな方法を使ってでもアリシア女王と面会して博士の依頼を達成しなくてはな。

正直、十年前の一件を使えば面会は意外と容易なのかも知れんが、其れを使ったら名前から素性がバレるかも知れないから使う事は出来ないか……使う事が出来ない切り札と言うのは、何とも歯痒いモノだな。

取り敢えず今日はもう日も暮れたので、エルナンが手配してくれたホテルで夕食を摂って、シャワーを浴びて休む事にした……まぁ、今日は色々あって疲れたから充分に休んで、本格的に動くのは明日からだな。

だが、エルナンが手配してくれた部屋にはベッドが二つしかなかったので、エステルとレヴィが一緒に寝る事になった……まぁ、レヴィは起きてる時からは想像出来ない位に寝相が良いから、寝ている間にエステルがボコボコにされると言う事はないだろうから、其処は安心だがな。

私としては、エステルとヨシュアが一緒のベッドでも良いと思うのだけれどね。

 

 

 

《アインス、何言ってるのよ!?》

 

《若い男女が寝間着で一緒のベッド……妄想が蔓延るな。》

 

《思考がエロ親父か!》

 

《いや、思考がエロ親父なのは私ではなく、我が主だ……若干九歳にして、思考形態が完全にエロ親父だったからな彼女は……》

 

《其の子、将来に不安しかないんだけど……》

 

《否定出来んのが悲しいな……》

 

とまぁ、馬鹿話をしている内に眠ってしまったのだが、何だって今日の夢での私は将の衣装だったのだろうか?私の記憶では、アレを着た事は無いと思うのだが……まぁ、夢だからと言う事にしておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

キャラクター設定

 

 

・エルナン

 

グランセル支部の受付の物腰が柔らかく礼儀正しい青年。リベール国内の遊撃士協会支部の受付では尤も若いが、情報収集・分析能力に優れ、その能力を買われて王都支部の受付になっている。

 

 

新作は何が良い?

  • IS:楯無逆行モノ
  • IS:ハーレム無しヴィシュヌヒロインモノ
  • ガンダムSEEDとISのクロス
  • 作者初の小説である遊戯王小説の再構成モノ
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