青年Aのカルデア録   作:向柑

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鏡の向こうには自分

今も船の中


ありふれた1日

目が覚める

 

時刻を確認すると朝にあたる時間だ

 

ミーティングまで約40分

起きて支度をした方が良いだろう

 

 

 

顔を洗いタオルから顔をあげると鏡に青年が映る

 

明るい髪色と赤みがかった瞳の自分だ

 

今日も自分は自分でしか無いことに安心と失望を感じながら髪を整える

 

制服を一通り着てから左太腿に筆記用具一式入った小さなポーチをベルトで固定する

 

 

レンズの大きい眼鏡と右手薬指のリングを確認してから部屋を出る

 

 

 

 

 

 

 

ミーティングに集まり今日進めるべき仕事を分担する

自分は基本的にレイシフト用コフィンの調整をしている

 

個人個人でレイシフトの適正が異なるのでそのため調整が必要になる

 

 

時計塔では「自分自身がここに居るという絶対の証明」について研究していた

だからレイシフトの存在証明は自分の研究の延長線上にあたる

 

 

何度も本人と共にコフィンの調整をするのでマスター候補とすれ違えば手を振る程度の関係が築かれている職員もいる

 

 

 

 

 

 

自分は関係の構築と会話が面倒で機械的に済ませてしまうが

 

 

 

 

 

「…なるほど、ここに調整が必要になりますね。協力ありがとうこざいました。こちらで調整を進めますので訓練に戻って頂いて大丈夫です。」

 

魔術師の相手というのは大変だ

こちらが問えば答えてくれるのだが聞かなければ全く答えない

 

自分の素質や技術について秘匿しようとするので答え方が曖昧だったりして本当に厄介だ

 

自分も魔術師ではあるが基本的には腹の探り合いをしてまで関わらず、1人で居た方が楽だ

 

他の人間に対して遠慮することも見栄を張らなくていいから

 

 

 

 

質問の答え方については他のコフィン調整係も苦労しているそうだ

 

だから聞き出す為に仲良くしようと考える職員がいるのだろう

 

 

昼の補給は適当にとり作業を続ける

ただ黙々と手を動かす

 

 

 

気づけば定められた作業時間もあと僅かとなった

 

まだ作業を続けている人もいるが自分はキリが良いのでそろそろ片付けをしてしまおう

 

散らかしていた機材と道具を片付けて部屋へ戻る

 

「お疲れー、お前◯◯番の担当だろ?大変だろーな」

「そちらこそ△△番の担当じゃありませんでした?僕だったらあそこまで会話続きませんよ」

 

 

同僚と話しながら部屋へ戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居ない自室にについた事で少し力が抜ける

 

 

「ほんと聞かれた事だけしか話さないのやめて欲しいな…レイシフトで失敗して痛い目に遭うの僕じゃ無くてあっちなんだけどな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

己を繕っていて窮屈じゃないか?

 

 

 

 

咄嗟に振り返る

 

この部屋には自分しか居ないことがわかっていてもだ

 

鏡の自分と目が合う

 

 

黄色い瞳を輝かせた自分と目が合う

 

無表情にこちらを見つめて

 

 

 自分

 

 

     が

 

 

 

          笑

 

 

 

 

 

 

 

               ?

 

 

「いつまで茶番を続ける気だ」

 

 

 

瞬き1つで赤みがかった瞳が戻ってくる

いつの間にか緊張していたようで強ばった体から力を抜く

 

 

 

頭が痛い

さっさと寝てしまおう

 

 

 

不満そうな表情をした自分を見ながら歯磨きをして寝た

 

 

 





誤字脱字無いか心配…
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