踏み外せば奈落
たった一歩の違いで結末が違ったんだ
本日は初めて
つまりはファースト・オーダー。
総勢48名のマスターによる特異点の修復が始まるのだ。
これは元々、2016年の人類滅亡が証明されたことがきっかけだった。
ラプラスとトリスメギストスを用いて未来消失の原因調査。
結果として、これまでの歴史には存在しなかった‘観測できない領域’である過去の特異点事象を発見した。
僕達カルデアはこの特異点が未来消失の原因だと仮定して、これに介入と破壊をする事により未来の修正を試みている。
国連に提案、承認されている辺り大掛かりな内容だなぁと思う。
データの向こうで見る人類の絶滅に実感が湧かない。
そんなレイシフト当日だというのに、今日に限って僕の仕事は現場に無い。
仕上げだとかは僕より上の人間がやったからだ。
レイシフト本番にはこの人達が立ち会う。
中途半端な歴史しかない東洋のガキに任せるよりはマスター候補達も安心するだろう。
一応仕組みだとかは頭に叩き込んでいるので、最初から最後まで単独で仕上げる事もできるのに横取りされた様で少し不満ではある。
今日の僕の仕事は‘才能ある一般人枠のマスターの面談’である。
なんでも1人遅れてやって来たマスター候補がいるらしい。
その人物と話し合い、素質を見て大体の術式決めておけと言われた。
今は所長の説明中だろうと思うから、本人と会うのはAチームのレイシフトが終わって落ち着いてからになりそうだ。
という訳で自室。ではなく図書室にいる。
英雄の逸話等に目を通しておこうと思ったからだ。
時間的にはあと2分もしない内にレイシフトが行われるだろう。
そろそろ例のマスター候補を探しに行くべきか。
広げた資料や文房具とメモをしたノートを片付け廊下にでる。
「さて、遅刻したマスター君はどこに…ッ⁈」
轟 音
前方から何かが吹き飛んで来た
爆破用の宝石
駄目だ破片が刺さる確率が上がる
斬り刻む
却下鋭利な断面が不自然だ
炎が無い所なので上に同じく不自然
万能属性ぶっぱなんて無しに決まってる不自然の極みだ!
僅か0.1秒にも満たない思考
「…ッチ!」
回避一択
飛んで来たものを見るとこの施設の扉として使われているものだった…
は?
ちょっと待ってくれ、判断遅かったら僕血溜まりか肉塊になっていたぞ
形状から見て内部で爆発でも起こったかと思わせるひしゃげ方をしている。
というか耐えきれなくて千切れたなこれ。
あの調整担当の魔術師の誰かが妬みからマスター候補殺そうとでもして失敗したのか?
どうしだんだ国連公認、人物の思想調査とか細かくやった方が良かったんじゃないのか。
というかここまで飛んでくる威力なら中心地だと思われるコフィンは…
今まで自分を見下していたからバチが当たったと思わなくもないが
挽き肉にでもなっていそうだな。 ざまぁ
どうしようか、今行っても
怪我人が大量に出ているだろうから医務室にでも行って指示を仰ぐべきか?
…ガガッ
所持していた通信機からノイズが走った。
「こちらレオナルド・ダヴィンチ、全職員の端末に対して一斉に発信しているよ」
「先程レイシフトルームにてレイシフトが行われた瞬間に爆発が起きた」
「47人のマスター候補達は所長の指示で冷凍保存したが、2名特異点に転移してしまっている」
「マシュ・キリエライトとマスター候補、藤丸立花だ」
「爆発によって彼等の存在証明が危うくなっている、管制室はギリギリ使えるから無事かつ手の空いている職員はサポートしてくれ」
一方的に告げられた指示。
これは向かうべきかな
というか藤丸立花って最後に来たマスターか。
噂の適正100%恐るべし
コフィンの細かい調整無しでよく特異点に飛ぶことができたなと思いながら管制室へ走る。
年末年始にPQ2クリアしたい