青年Aのカルデア録   作:向柑

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自己満足の現実になんか生きる価値は無い
 
 
 
 
 
高潔な正義はそう言った明智吾郎はそう言った

誰かに似て創られた現実で一生飼い殺されるのは僕も御免だ


走れ、駆けろ

結果だけ言えばサーヴァントを一騎煽った。

 

 

 

 

ー楽しかったと犯人は供述しておりー

 

 

 

…冗談だ。ちょっとしたジョークじゃないか。

僕がやったことを話そう。

 

まず僕はトイレへ向かった。

 

以前、レフ・ライノールの起こした爆発によって壊れたこのトイレの修復作業に関わった。その際に仕込みをした。

 

何てことは無い。

一台のスマートフォンをスイッチの配線に絡めて隠しただけだ。

あと乾電池式の充電器も。

 

ただの人間ならば通信機器としての意味しか無いが、(アケチゴロウ)という人間にスマートフォンを持たせると意味は違ってくる。

 

(アケチゴロウ)は"異世界に入るにはスマートフォンのアプリが必要である"という認識を持っている。

 

その認知と実績を利用して他の場所へ跳ぶ算段だ。

 

スマホの充電器をしながら、途中途中でシーツを剥ぎ取り結界を張っていく。

職員の彼を見送った際に張った物よりも更に簡易的な物だがこれは警報も兼ねている。

破られたらその結界の位置が僕に伝わる。

 

今の所三カ所位仕掛けたがどれも破られてはいない。

運が良いのか悪いのかわからないけども。

 

 

「あ」

 

 

言ったそばから。

1枚破られた。2回目に張った物だと思う。

半径50メートルも無い距離だった筈。

 

急いだ方が良さそうだ。

 

 

駆け足で道中の敵に精神暴走(デスパレード)をかけつつ次に向かったのは倉庫区画の奥にある大ホール。レクリエーションルームである。

 

様々な遊戯用の設備や機器が揃っており、入り浸るサーヴァントもいた。

 

 

電源のついたスマホで部屋の設備を遠隔操作しながら走る。

走り続ければ3分程で到着できるだろう。

考えながら設備を作動させる。

 

残り約3分。さて、間に合うか。

 

 

 

 

 

 

ふと、気づいたのだが、

 

 

「なんか…寒くないか…?」

 

 

呼吸しかしていなかったので意識に入らなかったが声に出して確信する。

 

息が白い。指先が冷える。

 

カルデアは雪山にある施設だ。

敵の攻撃によって壁が何箇所かブチ抜かれていたら、今の状況にも納得できるのだが…

 

(…スマホの上に時刻が表示されるタイプでよかった。

約3分か。今いる場所は割と施設の中心だから、冷え込むとしてもかなりの時間が必要だけど…まさ)

 

 

 

ぱきり、と自分が床を踏みしめる音がした。

 

 

 

思考が断ち切られる急激な温度変化。

少々呼吸が苦しくなる。

 

考えられる要素はいくつかあるが最もあり得るのは

 

 

「サーヴァントかッ!」

「よくわかったわね」

 

 

背後から聞こえた声に振り向けば白く、不気味な人形を抱えた少女。

 

 

(目立つ武器もない…バーサーカーやアサシンか?いや、それだけで決めつけるのは早い。浅上藤乃の様に異能使いでありながらキャスターではなくアーチャーだった例がある。でも見た目からしてとても肉弾戦をするサーヴァントとは思えないな…

あぁもう何てタイミングだ!あと2分半なのに!何でサーヴァントが!

…待て、サーヴァント(使い魔)がいるということは)

 

「マスター…契約者(呼び出した人間)が近くにいるな?」

「さて、それはどうかしら」

 

 

少なくとも自分の背後には居なそうだと感じた。

 

カルデアでマスターをしていた藤丸立花が異常事態の中で常識の外に居ただけで、基本的にサーヴァントのマスターは自身のサーヴァントの後ろで守られるし近くにいる。

 

例外として腕に覚えのあるマスターや大馬鹿者は自身が前線に立つが。

 

藤丸君の事を常識人と思っていたが、女神に特攻かけてた藤丸立花は大馬鹿者かもしれないな…

 

 

 

ここは廊下だ。

挟み撃ちにはぴったりだが殺戮猟兵が同士討ちをしている様子を見ているのならある程度の警戒を相手はしている。

 

左手に持つスマホを壊したくはない。

これは自分の生命線だ。

 

だから乱雑にポケットにしまう。

 

しまう動作と同時にあらかじめ引き抜いておき、右手に握っていた銀歯(宝石)に指先を食い込まさせ少量の血液を付着させる。

 

少女は警戒しているがまだこちらには仕掛けてこない様だ。

 

 

「同士討ちしていたのは、貴方の仕業?」

「僕みたいなただの人間にそんな芸当出来る訳が無いだろう」

「…そう。“ただの人間ね”」

 

人形を持っていた手に力が入った。

 

まずい。

 

 

反射的に左手の銃を相手の手に向け発砲。

 

 

「そんな薄い神秘でサーヴァントを攻撃できると思ったのかしか?」

 

 

 

多少の衝撃を与えただけで無傷。

 

 

 

「思ってないさ!」

 

 

 

右手に握ったものを投げつける。

相手が攻撃するよりこちらの方が早かった。

 

マハラギオン(全体火炎属性攻撃)!!!」

 

「…!!」

 

凍った周囲が溶け、気温が上がる

 

 

異形の血を受け継ぐ(比較的神秘濃いめ)の自分の血液とそんな僕が貯め続けた魔力による攻撃だ。サーヴァントといえども多少の足止めは出来る。

 

 

 

 

ブー

 

館内の皆様にお知らせ致します。

まもなく1番シアターにて映画が上映されます。

繰り返します…

 

 

 

「……映画………?」

 

 

 

し ま っ た

 

 

目の前のサーヴァントに気を取られすぎた。

 

さっきの銀歯(爆弾)で負傷しているサーヴァントに追い打ちをかける。

 

ネガティブパイル(物理攻撃+絶望)

 

「⁈…あ、」

 

 

サーヴァントが吹っ飛び、崩れ落ちる。

側まで近寄り、虚ろな瞳に視線を合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッハハハ!ざまぁねぇな!何だよサーヴァントつってもこんなもんかよ!

…三下なんて相手にするのも面倒なんだよ、邪魔すんな雑魚」

 

 

言い捨てて走る。

視線による洗脳及び音による思考誘導。

敢えて煽って正気に戻った時に真っ先に僕を追う様にする。

 

大体のサーヴァント相手にこの手のスキルは効きづらかったり、効果がすぐに切れてしまう。

 

僕が言ってすぐに伝わるのはサーヴァントでは無く、そのサーヴァント越しにこちらを見ているマスターだ。

 

 

 

既に予告の上映が始まっている。

 

 

 

正念場を迎える。

 




みんなあれで脱出方法察しますよね

P5Sスイッチで出てくれて良かった…

今思い出しましたがこの回の青年Aはカルデア制服で暴れてます。
ちょくちょく上っ面だけでも取り繕っておかないといけない事を思い出して敬語になったり、雑な話し方になったり。



走れ、賭けろ
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