天災科学者「これが超次元ISサッカーだよ!」   作:エルゴ

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試合編・後編

「……で、どうすんのよこれ」

「まだ2点とはいえ、差をつけられてしまったな……」

 

 ハーフタイム。本来ならば後半への作戦会議などを行う場だが、俺達の士気は下がっていた。

 覚悟はしていたがかなりの強敵。それもまだ全力は出していない。こちらもまだ全てを見せたわけではないが、それが及ぶかもわからない。

 

「……すまない。私がもっと止められていれば……」

「ラウラのせいじゃない……私たちがしっかり守れてないから……」

 

 全員が落ち込んでしまっている。このまま後半戦に出られる状態じゃない。

 どうすればいい? 後半有利に立ち回るには、いやその前に皆が……

 

「織斑」

「千冬姉?」

「今こそ、『キャプテン』が必要な時だ」

「……!」

 

 そうか、わかったよ監督!

 

「……皆! 聞いてくれ!」

「え?」

「ん?」

 

 キャプテン()の役目、今何をするべきか。それはきっとこれだ!

 

「試合はまだ終わってない! 前半でダメでも後半がある。絶対に勝てない勝負なんてないんだ。諦めなければ、絶対に勝てる!」

 

 落ち込んでいる場合じゃない。気持ちで負けたらおしまいなんだ!

 

「最後まで試合がどうなるなんてわからない。全力で戦って、勝利の女神を微笑ませてやろうぜ!!」

「「「!!!」」」

 

 ……やべ、ちょっと恥ずかしい。

 

「……ああ、やろう!」

「わたくしは諦めるつもりなど毛頭ありませんわ」

「そうね、まだまだ行けるわよ!」

「箒! セシリア! 鈴!」

「うん! 絶対に勝とうね!」

「当然だ。勝利を掴むぞ!」

「勝って学園を、皆を守りましょう!」

「……諦めたら、そこで試合終了……」

「シャル! ラウラ! 楯無さん! 簪! ……皆、ありがとう!」

 

 よかった、みんな諦めてなんかいなかった。

 

「皆、勝つぞ!」

「「「おう!!」」」

「……気合いは入った様だな。では作戦を伝えよう」

「「「はい!」」」

 

 ……そしてハーフタイム終了。後半戦が幕を開ける。

 

◇◇◇

 

 フィールドへ戻り、各自ポジションへ、亡国機業側は変化なし。こちらは……。

 

『さあ後半開始ですが……おーーとぉ? IS学園イレブン、箒をミッドフィルダーに下げている! これはどういうことだぁー!?』

「……」

 

 こちらは箒をミッドフィルダーに。これが千冬姉の作戦の一つ。

 『紅椿』が持つ第四世代機特有の対応力。それを狙ってのポジション変更。

 最も理由はそれだけではないみたいだが……。

 

「さて、もう1点いただこうかしら……」

「させるかっ!!」

 

 もう一つの作戦はスコールのマーク。相手のキャプテンはマドカだが、司令塔はスコールだ。こいつを自由にしておくとどんどん不利になる。

 だからこちらは全力で動きを封じる。

 

「うおおおっ! 『雪羅・霞衣(せつら・かすみごろも)』!!」

 

 

 左足の雪羅から光の膜を展開、炎をかき消しながら相手を吹き飛ばす。零落白夜のエネルギーを防御に転用した技だ。

 

「くっ……」

『織斑の新必殺技がスコールからボールを奪う! ここから反撃できるかぁー!?』

「鈴っ!」

「はいっ!」

 

 そのまま鈴にパス。このまま繋いでいこう。

 

「……『ディフェンスコマンド06(マグネットドロー)』」

「渡さないっ! 『昇り龍』!!」

 

ディフェンスコマンド06

昇 り 龍

 

「うおりゃあっ!!」

 

『ゴーレムⅢを吹き飛ばしたぁー!! しかし先には『イージス』コンビが控えているぞー!?』

「あいつⅢなのか!?」

「Ⅱはどこ行った?」

 

 赤い方の無人機(ゴーレムⅢっていうらしい)を吹き飛ばして更に進む。

 

「行かせるかっ!」

「残念、一夏っ!」

「おうっ!」

 

 ダリル先輩を躱して再び俺へ。これでゴール前、シュートチャンスだ。

 

「『零落白夜』ぁっ!!!」

 

零落白夜

 

「無駄無駄っ!」

「アーリィさん!?」

 

 もうここまで戻ってやがる!そして空気を裂くような蹴りを繰り出し──

 

「『真空魔』!!」

 

真 空 魔

 

『出たぁー!! アリーシャのシュートブロックだぁ! 勢いが弱まったぞぉ!!』

「こんだけ弱まれば楽勝だぜ!」

「くっそぉ……」

 

 真空の裂け目によって勢いを失ったシュートは軽々とキャッチされ相手ボールへ。

 急いで取り返さないと。

 

「ゴーレムⅢ!!!」

「…………」

 

 ゴーレムⅢへのパス。ここでカットだ。

 

「『オフェンスコマンド02(リニアドライブ)』」

 

オフェンスコマンド02

 

「何っ!?」

 

 磁石状のオーラが具現化、その磁力を利用した高速移動でこちらのディフェンスを抜けていく。

 

「止めろっ!」

「無駄だっ!!」

「しまった!!」

 

 接触する前にマドカへパス。既にシュート態勢に入っている。

 

「『オーガブレー──」

「『スピニングカット』!!」

 

 

 右足をふるって放つ衝撃波でパスをカット。何とか止められたな。

 

「楯無さん!!」

「はいっ!!」

 

 もう一度パスで繋いでいく。次こそ決めるんだ。

 

 しかし……

 

「『ウォーターベール』!!」

「『ディフェンスコマンド06』」

「『ディフェンス方程式』っ!!」

「『イグナイトスティール』」

 

『必殺技の応酬! しかし得点は動かないっ膠着状態だぁー!』

 

 どうにかあちらの攻撃を凌げてはいるが、こちらも攻め切れていない。そして。

 

「っ!?」

「エネルギーが………」

 

 こちらはガス欠が近い。相手の攻撃を凌ぐためには必殺技を使わざるを得ず、消費が大きすぎるんだ。

 対してあちらはまだ余力を残している。

 

「……もう終わりか?」

「このっ……」

 

 

 

 

(……だめだ、このままじゃ皆がやられてしまう)

 

(一夏は私たちを励ましてくれた、なら私には何ができる?)

 

(……そうだ、私には、『紅椿』にはこれがある!)

 

「応えろ!! 『紅椿』っ!!!」

「何だ!?」

「この光は……」

 

 箒を中心に広がる光、これをオレは知っている。この光は……

 

「『絢爛舞踏』!!」

 

 シールドエネルギーの高速回復。本来手を触れなければ発動できないそれは、全身から迸る光によってオレ達に届けられる。

 

「……全回復!」

「これでいけるかっ!? 皆ぁ!!」

「「「ああっ!」」」

 

 心配だったエネリルギーの問題もこれで解決。全力出し放題だ。

 

「ぜぇぇいっ!!」

「うおっ!」

「楯無さんナイススティール!!」

 

 やっとボールを奪えた。今度こそ反撃だ!!

 

「簪ちゃん! 私たちもいくわよ!!」

「うん、お姉ちゃん!!」

 

 楯無さんが《ミストルテインの槍》を準備、簪も《山嵐》をセットしている。

 

「『ハイドロ──」

「──ストーム』!!!」

 

 

 山嵐をミサイル48発と、ミストルテインの槍を全く同時にボールへ浴びせる必殺シュート。水流と爆発が威力を高め合い。ゴールへ飛んでいく。

 

『これは姉妹の合体技!! 『ファイアブリザード』にも劣らない凄いシュートだぁーー!!』

 

「まだよっ!!」

「鈴!」

 

 ゴール前に駆け込んできた鈴もシュートの構え、これは……合体技にチェインか!?

 

「『ドラゴンインパクト』!!」

 

 

 2門の衝撃砲を全開、強烈な衝撃波と龍のオーラをシュートに追加。

 龍、ミサイル、水流。3つが混ざった凄まじい一撃と鳴ってオータムに迫る。

 

「「「いっけぇぇーーーーっ!!!」」」

「うおおおっ! 『ビッグスパイダー』!! ……うわああっ!!」

 

『ゴォォーーール!! IS学園一点を返しました!! 三対四!』

 

「「「やったぁ!!」」」

 

 笑顔でハイタッチを決める3人。凄いシュートだった、皆の士気も上がっている。

 オレも負けていられないっ!

 

『さて試合再開……おおーーーっとぉ!?』

「今度は俺だぁっ!!」

「ぐっ!!」

『一夏ボールを奪ったぁ! 連続得点なるかぁ!?』

 

 瞬時加速でどんどん駆け上がっていく。エネルギーは箒が回復してくれる。今は全力で点を取る!!

 

『さあ一夏はゴール前! 再びシュートチャンスだぁ!』

「絶対に決めるっ! 『零落白夜』!!」

 

零落白夜

 

 先ほどよりも遙かに大きな光の刃を纏った右足でボールを蹴り抜く。

 今度は誰にも邪魔させない。最大威力で叩き込む!!!

 

「うぉ──」

『ゴォォォーーーーーーール!!!!!  また素晴らしいシュートが決まったぁっ!! 同点ですっ!!』

「いよっしゃぁ!!」

 

 再び同点!! これで振り出しに戻った、後は逆転だ!!

 

『勢いの出てきたIS学園!! このまま逆転かぁー!?』

「巫山戯るな! 私が負けるなどあるはずがない!」

「いいや、勝つのは俺達だ!!」

 

 これ以上相手には攻めさせない。このまま試合の主導権を握り続けてやる。

 

「もう一回いくぞ! 『零落白夜』!!」

 

零落白夜

 

『再び一夏の『零落白夜』炸裂ーー!!』

「今度こそっ!」

「止めてやるぜっ!!」

「「『凍てつく炎(アイス・イン・ザ・ファイア)』」!!」

 

 

 氷に包まれた炎の壁。その亀裂から勢いよく炎が吹き出し、ボールを弾き飛ばす。

 本来は反発装甲(リアクティブ・アーマー)として使うものをブロックに利用した大技だ。

 

『弾いたぁ! 『イージス』コンビの新必殺技だぁ!』

「まだだっ!!」

 

 弾かれ高く上げられたボールに箒が飛びつく。

 

「この高さなら防げないっ!」

 

 肩部ユニットをブラスターライフルに変形。真紅のエネルギーを放出する。

 一発でも十分な威力のそれを、六連続で。

 

「『穿千(うがち)・六連』!!」

 

穿千六連

 

「ぶち抜けっ!!」

「くそがぁっ……」

 

 大出力のエネルギーを纏ったボールを待ち受けるオータム。その顔には連続で得点を許した怒りと憎しみで満ちている。

 

「ざっけんなよ……そう何度も入れさせるなんて私のプライドが許さねえ!!」

「な、なんだ!?」

 

 オータムの背から溢れる黒いオーラ。それが徐々に形を成し……幾つもの手になった。

 

「『ムゲン・ザ・ハンド』!!!」

 

 

「うおおあああ!!!!」

 

 背後から伸びる腕はシュートに群がり、完全にボールを覆い尽くして止めた。

 

『止めたぁーー!! キーパーオータム、ここに来て新必殺技でゴールを守ったぁ!!』

 

「おいクソガキッッ!!」

「!?」

「ボサッとしてんな! お前が点を取れ!!」

「……了解!」

 

 オータムからマドカへのロングパス。ここでマドカにボールが渡るのはまずい。

 

「待ちなさいっ!」

「……どけっ!!!」

「きゃああーーーっ!」

 

 焦りに満ちた顔から一転、勢いを取り戻したマドカがフィールドを駆け上がる。

 

「『スピニングカット』!!」

「『清き熱情』!!」

「邪魔だっ!!」

「「うわあああーーーっ!」」

 

 二人のディフェンスも突破された。これでフリー。チャンスを渡してしまった。

 

「貴様らが何点取ろうと、無駄な足掻きだっ!!」

「何っ!?」

「うおおおおおおおおっ!!!」

 

 『オーガブレード』の時より更に巨大な、黒いオーラが全身から溢れ出し、蹴り上げたボールと共に上昇。

 そして装甲を部分解除した右手を咥えて…咥えて?

 

 

ピュイーーーーッ!!

 

「何だぁ!?」

「指笛!?」

 

 指笛の音に反応したのか、徐々にオーラが変形し、水族館でよく見るあの鳥の姿に変わる。

 

「あれはペンギン!?」

「しかも6匹!? 何考えてんの!?」

「油断するな! 来るぞ!!」

 

 現れた漆黒の鳥はマドカの右足に食らいつき、赤い目を禍々しく光らせる。

 

「喰らえ……! 『ダークネスペンギン』!!」

 

 

 空中で大きく一回転し右足を踵落とし。放たれたシュートは1匹の巨大なペンギンに変わり、空中を泳いで突き進む。

 

「何だこのシュートはっ!? くそっ……ぐ、ぐあああーーーーっ!!!」

『ゴォォォォーーーーーール!!!! 今度はマドカの新必殺技炸裂ーーー! 再び亡国機業のリードだぁぁ---っ!』

「くっそぉぉ……」

 

 ペンギンの見た目に反してなんて強力なシュートなんだ。今日一番、いや記録で見たどのシュートよりも強く、凄まじい必殺技だった。

 

「……でも、だからって負けられない。そうだよな? 皆ぁ!!」

「「「おおーーっ!!」」」

 

 sロ売りを求める皆の気持ちが一つになり、超次元エネルギーの高まりを感じる。今ならできる気がする。『ダークネスペンギン』を超える必殺技が!!

 

『さあ再びピンチのIS学園! ここからどう返すかぁーーっ!?』

「俺がやるっ! パスを繋いでくれ!」

「了解!!」

 

 皆を信じて敵陣を駆け抜ける。大丈夫。必ずボールは来る。

 

「行かせねえ!」

「押し通るっ! 『雪羅・月穿(せつら・つきうがち)』!!」

「うああーーっ!?」

 

 ディフェンスに捕まっている暇はない。何故なら──

 

「一夏っ!! 今だっ!」

「サンキュー箒!! タイミングバッチリだ!!」

 

 ボールが来たからだ!!

 

 ……全身に満ちる超次元エネルギーを右足に一点集中。零落白夜と混ぜ合わせて刃とし、飛んできたパスにダイレクトシュート。

 これが俺の、最強の必殺技!!

 

「『最強IS波動』!!!!」

 

IS

 

 巨大な光の刃が地を抉り、立ちはだかる全てを薙ぎ払いながらゴールへ飛ぶ。

 この一撃、止められるものなら止めてみやがれ!!!

 

「『ムゲン・ザ・ハンド』!! ……ぐううう……」

「いっけぇぇぇーーーーっっっ!!!!」

「ぐうあああああーーーっ!!」

 

『……は、入ったぁーーー!! ミラクルシュート炸裂!! またも同点へと返しましたっ!!』

「よっしゃあ!!」

 

 これでまた振り出し。次で逆転だ!!!

 

「まだだっ! まだ負けてないっ! 勝つのは()()()亡国機業だ!!」」

「エム……!」

「うおおおおっ!! 『ダークネスペンギン』!!!」

 

 

『出たぁーー! マドカの『ダークネスペンギン』が襲いかかるぅーーっ!! 止められなければもう後がないぞーーっ!?』

「せめて勢いだけでもっ! 『山嵐』っ!!」

「少しでも弱めるんだっ! 『盾殺し』!!」

「吹き飛べぇ!!」

「「うわああっ!!」」

 

 全力のシュートブロックも僅かに勢いを落とすのみ。漆黒のペンギンは目の前のゴールを破らんと襲い来る。

 だが、それでも俺は。

 

「ラウラーーーっ!!!」

「嫁!?」

「絶対に止められる! 俺は信じてるぞっ!」

「……任せろ!!」

 

 ラウラなら絶対に止められる。これは予感じゃない、確信だ。

 

(……そうだ、私ならできる)

 

オータム(あの女)も土壇場で必殺技を編み出した。ならば私にできないはずがない)

 

(ここを守って、勝利へ繋ぐ! そして、嫁に褒めて貰うのだ!!

 

「うおおおおっ!!!!」

「な、なんだ!?」

「絶対に止めるっ! 『タマシイ・ザ・ハンド』!!!」

 

 

 ラウラの胸元──心臓から赤いオーラが飛び出し、巨大な手を形成。

 魂そのものが形となった手はイナズマと共にシュートを受け止める。

 

「そんなっ……」

『止めたぁーーーーっ!!! ラウラも新必殺技を発動! ゴールを守りました!!!』

「よし!!」

 

 やった! これでボールは俺達の手、いや足に。この勢いで逆転だ!!

 

『しかし残り時間はあと僅か。このまま延長戦か!? それとも決着なるかぁーーっ!?』

「当然決着だ! シャルロット! 楯無!!」

「「了解!!」」

 

 ラウラからディフェンダーの二人へそれも半端なパスの勢いではなく、シュートと見紛うほどの威力で。

 

「「セシリア! 鈴! 簪!」ちゃん!!」

「「「はいっ!!!」」」

 

 今度は三人。更に威力は増し、ボールは光を帯び始める。

 

「「「箒っ!!」さんっ!!」」

「応っ!!!」

 

 二度の加速を重ねたボールはイナズマと共に箒の下へ。

 ここで箒がやることはただ一つ。俺はそれを待つべく一気に敵陣ゴール前まで上がっていく。

 

「受け取れ一夏! これが私たちの想いだっ!」

 

「『少女たちの展翅(ガールズ・オーバー)』!!!」

 

 

『これは何というパス、いやシュートだぁぁーー!? ゴールから七人で繋がれたボールが七色に輝いているーーーっっ!!!』

 

「これが俺たちの全てだっ!!」

 

 このボールから皆の熱い想いを感じる。このチャンスを、想いは決して無駄にはしない。

 絶対に決めてやる!!

 

「『最強IS波動』!!!!」

 

IS

 

「オータム!!」

「『ムゲン・ザ・ハンド』!! うおおお……」

 

 七色のイナズマを纏い、全員の想いをのせたボール。誰にも止められやしない!

 

「いっっっけぇぇぇぇーーーーっっ!!!」

「ぐっ……ぐぁああああ!!!」

 

『ゴォォーーール!!』

 

『逆転! ついにIS学園が勝ち越しぃーーっ!!!』

 

ピッピピィィーーッ!

 

『そしてここで試合終了のホイッスル! 世紀の一戦! 勝ったのはIS学園! 大逆転勝利ぃぃーーーっ!!』

 

「勝った……」

「やった……」

「うん……」

「「「やったぁーー!!」」」

 

 ついに、ついにやったんだ!

 

『この歓声を聞いてください! 皆がこの試合を讃えています! かくいう私も泣けてきちゃったよおりむー!

「あっ戻った」

「逆に違和感出てきたわね……」

 

 ともあれIS学園と亡国機業+束さんの試合は終わった。互いが全力を出し切った、いい戦いだったと思う。

 そして俺たちはスタジアムに響く歓声を全身に感じながら、勝利の喜びを噛み締めるのだった。

 

◇◇◇

 

「……どこへ行くつもりだ? 束」

「……ちーちゃん」

 

 スタジアム入口。大盛り上がりの試合結果をよそに二人。

 

「べっつにー。私は負けた、敗者は去るのみだよ」

「そうか。ではな」

「止めに来たんじゃないの? 別にいいけど」

「そんなことしたって嫌みにしかならんだろう」

「そうだけどさぁ……」

 

 じゃあ何で呼び止めたんだこいつ。学生時代からの友人とはいえ、時々ちーちゃんのことがわからなくなる。

 

「約束通りもう学園にちょっかいは出さないよ。じゃあね」

「待て、一つ聞きたいことがある」

「今度は何? スタジアム(ここ)なら後で自動着陸するよ」

「今日の試合は楽しかったか?」

 

 ……!

 

「……うん。まあまあね」

「そうか、()()()もっと楽しませてやる」

「期待しとくよ。今度こそ、またね」

 

 負けたのに何故か清々しい。こんないい気分は久しぶりだろう。

 さあ、帰って次の試合はどうするか考えなくっちゃ!

 

◇◇◇

 

 ワァァァァ……

 

「……やったな一夏」

「……ああ、ついに勝ったんだ」

「それで……だな、ちょっと話が……」

「あ、ちょっと待ってくれ」

「?」

 

 放棄の話を遮って少し離れる。後で聞くから勘弁してくれ。

 そして向かう先には対戦相手のキャプテン。

 

「マドカ、ちょっと待ってくれ」

「何の用だ、私を嘲笑いに来たのか?」

「まさか、いい試合だった。ありがとう」

()()()()だと? ……巫山戯るな!」

「はっ? どうしたんだよ!?」

 

 そんなに酷いこと言ったか? 普通に褒めたつもりなんだが……。

 

「貴様にはわかるまい、この試合にかけた私の思いを! それなのに……無様に敗北のどこがいい試合なのだ!?」

「そんなことない!  お互い全力を出した! 最後までどちらが勝つかわからない、熱い試合だったじゃないか!」

「黙れ黙れ! 究極の人類の失敗作と呼ばれても生き続け、遂に力を手に入れたと思えばISサッカーなどというわけのわからんスポーツをやらされ! そのスポーツですら無様に敗北したこの気持ちが!」

「え? ……うん? んん!?!!??!?」

 

 お前もISサッカー知らなかった(こっち側だった)のかよ!?

 やべえ驚愕の事実に話が全然入ってこねえ。

 ……どうしようこれ。……うん。

 

「……わからねえよ、お前の気持ちは」

「……っ」

「でも、この試合は楽しかった。それは本当だ。だから……」

 

「また、ISサッカーやろうぜ!」

「!!」

 

 今の俺が言えるのはこれしかない。またこいつとISサッカーがやりたいんだ。

 

「……()()()私たちが勝つ」

「! ……今度も俺たちが勝つ!」

 

 そしてマドカと亡国機業は去り、スタジアムには俺たちと観客だけが残る。

 

「……話は終わったか?」

「ああ。で、何て言おうとしてたんだ?」

「……さあな、忘れたよ」

「?」

 

 変なの。まあいいか。

 

 

 

 

 

 

「……なあ」

「どうした?」

「なれたかな? 俺たち。伝説の『イナズマイレブン』に!」

「……いや、伝説は……これからだ!!」

 

 

 

 

スキになったキモチ 誰にも隠せない

このトキメキ どうしたら伝えられる

おでんボーイ おでんガール

レトロモダンな食べ物 人気者

スキなんだもの

 

ハンペン食べてるのに 大根の誘惑

青のりスパンコール 心乱れる私

 

メインディッシュはおでん 別腹でもう一本

いつも近くにいたのに 気付かなかったよ

 

牛筋一筋噛みしめて つゆの香りにつつまれて

スキだってこと わかってしまったから

青春おでん

 

 

 

 

 

次回予告

 

 ついに勝利だぁ! さあ皆でもっとISサッカーしようぜ!

 ……え!? IS学園に襲撃!? 一体何が!?

 

 次回、イナズマイレブンIS

 

絶対天敵(イマージュ・オリジス)が来た!

 

 これが超次元ISサッカーだ!!

 

 

 

 

 キャプテン! 今日の格言!

 

IS

 

 以上!

 

 




特殊タグの設定やら歌詞使用の確認やら何やらで地獄みたいに手間がかかったので二度とやりません。

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