もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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こんにちは、次でようやく100話になります。

100話を記念して少し特別な幕間の章を設けようと思うので、このバミューダ海域編は一旦お休みになります。

記念の幕間は2、3話程度を想定していますのでお楽しみくださいm(_ _)m


今度こそは

 

 むかしむかし、ある所に1人の男がいました。

 

 男は世界を渡る為に船を作り、大海原を渡ろうとしました。

 

 しかし男の周りの人達は男を止めに入ったり、笑ったりしていました。

 

 危険だ、出来るわけが無い。皆は男に向けてそう言いました。

 

 ですが男は笑い、まるで人の手から離れる鳥の様に自由に、空を見上げて海へと出ました。

 

 人々は呆れました。彼は馬鹿者だと。

 

 人々は嘆きました。彼無しでどう生きていくのかと。

 

 しかし人々は驚愕しました。人の力を、人の可能性を。

 

 そして男は、世界を繋ぎました。

 

 ですがしかし、男は世界の為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人を死に至らしました

 

 

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 絶海の海域である【バミューダ海域】の中、俺達は目の前にいる男の言う事に戸惑っていた。

 

 男は目に見えて巨大な嵐に指を指し、いざゆかんと言ってるような真っ直ぐな目と指をしていた。嵐は天を貫く程巨大であり、物凄く離れている筈なのにここまで風圧が少しだが感じるからすげぇ強い嵐なのは間違い無い。そんな嵐に目の前の奴はなんて言った? 

 

 嵐に向かうと? 何言ってんだこいつ。って思ったのは俺だけじゃないはずだ。

 

 現にKAN-SEN達も嵐に向かうと言い放たれて困惑しており、当の本人の父親であるロドンもこれには少々困惑こそしているが、落ち着いている様子だ。どうやら事前に話は聞かれたんだろうな。

 

「……あー、確認良いか? 嵐ってあの嵐か? 」

 

 俺は雲を貫き、海を回しているかのような黒い竜巻を指を指した。

 

「あぁ。大丈夫だって心配すんな! 俺も昔これよりもボロくて小さな船で嵐を超えたからさ! これなら行ける行ける! 」

 

「ふざけるな! 指揮官を危険な目に合わせるつもりなのか! 」

 

 エンタープライズがセイドに掴みかかるぐらいの勢いの眼光を飛ばし、セイドは両手を上げてまぁそうなるよなと言ってるような顔をしていた。

 

「まぁまぁ待て待て落ち着け落ち着け。大丈夫だって! 何とかするから! それにさ、お前達にも悪い話では無いからさ! 」

 

「どういう事だ? 」

 

「あの嵐の中には結構やべぇもんが眠ってるんだ。その中には……強力すぎて開発中止になった武器の設計図や、KAN-SEN達の改装図もあるって話だ。俺らに協力すればそれをやる。どうだ? 悪い話じゃねぇだろ? 」

 

「それが嘘だという可能性もある 」

 

「うへ〜信用ねぇ〜。俺一応ロイヤルの英雄よ? 称えられてるのよ? 」

 

「昔の事だ。というより、それはロイヤルの話でユニオンには関係ない 」

 

「ま、そうだよな〜! まぁ別にお前らが強くなっても俺らには勝てねぇしいっか! 」

 

 煽るように言葉を吐いたセイドは無防備にも後ろを向いてそのまま横たわった。

 

 見るからに隙だらけの体勢だが、セイドが持っている自立兵装のビットの銃口はこっちに向けている。迂闊には手を出せないどころか手を出す暇も与えないつもりだ。

 

「しかし、貴殿達には拒否権は無い。あの竜巻こそバミューダ海域が魔の海域を言われる源……先程の霧もあそこにいるセイレーンが生み出したものだからな 」

 

「やはりここはセイレーンの基地がある海域なのか……お前達はどこまで知ってるんだ? 」

 

「俺の協力を飲めねぇ奴に喋るかよばーか 」

 

 なんかこいつの行動いちいち腹立つな……だけど確信突いてるから何も言い返せねぇ……意外と頭回るタイプ何だな……

 

 黙ること数分、このまま黙っていても嵐による激しい海流の流れで徐々に嵐にゆっくりと向かって言ってる。戻ると言われてもこの荒れてる海流じゃ船を反転させるのは無理だし、舵を切ってもここから出れるかも分からない。道はある様で、1つしか無い状況に歯ぎしりしながらも、俺は決断する。

 

「……分かった。分かったから、協力すれば良いんだろ 」

 

「指揮官! 」

 

「良いのか? 指揮官 」

 

「じゃあお前らこれ以外良い方法考えてるのか? ここは素直に協力するしかねぇだろ…… 」

 

 危険であろうとも、これが今最善な選択なら俺はそれに従うしかない。寝転んでいるセイドはそのまま転がって俺達の方に体を向け、計画通りと言わんばかりの笑みを浮かべた。

 

「よっしゃ、んじゃ共闘って事でよろしくな! 」

 

 セイドは体を起こし、俺に右手を伸ばしてきた。曲がりなりにも敵だが、俺の憧れの人と手を繋げるという嬉しさが心のどこかにあったせいか、俺はズボンで海の潮風でベタついている手を少し吹き、そのままセイドの手を握った。

 

「……冷てぇ」

 

 死んだはずの英雄の手を握った感想は……とても冷たかった。完全に血が通って無い冷たさだが、筋肉は固まっていなかった。

 

 人肌の柔らかさは確かにあり、言うなれば寒い冬の日に他人の手を握ったかのような感触だ。不思議で慣れない感触でつい俺は自分から手を離し、まだ冷たさが残る手をじっと見つめた。

 

「あぁ、すまねぇな。こればっかりはどうしようもねぇんだ。俺らは死人……ゾンビみてぇなもんだからな 」

 

「前々から気になっていたんだが……お前達はどうやってこの世に蘇ったんだ? マーレがセイレーンによって改造されたと聞いたが、お前達もその類なのか? 」

 

「あ〜ちょっと違うな。俺らは他人や海のここで現世に来たんだよ 」

 

 エンタープライスの質問にセイドは自分のこめかみを人差し指で叩いた。

 

「記憶……かしら? 」

 

「おぉ、正解! 頭良いなお前! 」

 

 ヨークタウンがいきなり正解を出したとセイドは拍手したが、記憶ってどういう事だ? 

 

「お前ら、オロチって覚えてるか? 」

 

 その言葉を聞いて俺やエンタープライス達はオロチの事を思い出したが、数人は分からないように首を傾げていた。

 

「……すまない、私はその作戦にいなかったから知らないが…… 」

 

「私も…… 」

 

「そうか、イントレピッドとバンカーヒルはあまりオロチには関わってなかったな。オロチは今となっては私達の仲間……なのかは分からないが、元々はセイレーンによって生み出された艦だ。指揮官がいなければ私達はどうなった事か…… 」

 

 エンタープライスが言っている指揮官とは優海の事だ。オロチには散々苦労をかけさせられ、重桜を引っ掻き回したらしいが、今ではアズールレーンに協力している。たしか今は優海と一緒で北方連合に行ってたな……

 

「んで、そのオロチとなんの関係があるんだ? 」

 

「オロチは起動するのに10個の専用のキューブが必要だったんだよ。うちの一つは赤城に、うちの一つは優海に、うちの一つはマーレが持っていて、残りの7つは既にセイレーンによってオロチに組み込まれていた。まぁ、その7つもマーレによってデータは回収されて、殆どはマーレによってオロチは完成したけどな 」

 

「データだ? 」

 

「お前達KAN-SENのメンタルキューブは、元々存在していた戦艦や空母の記憶を元にして作られ、産まれたのがお前達KAN-SENだ。でも俺らは違う。俺らは大地や物に刻まれた記憶を元に産まれたんだよ 」

 

「物の……記憶? 」

 

「そそ、マーレはオロチを起動する際に俺達が生前行ってた土地や遺品からデータを抽出して、あの日俺達が生まれた。いや〜不思議なもんだなぁ〜 」

 

「そ、そんな事が有り得るんですか!? 」

 

「有り得るから今こうして居るんだよ。人の思い出なめんなよ? 」

 

 まぁ、エセックスの気持ちも分かる。というより、話を聞いて信じられない部分がいくつもあったが、俺達が思っている疑問は目の前の存在によって全て否定されていた。

 

「という事は、あんたらの馬鹿げた力はそのオロチのキューブのおかげって訳か? 」

 

「まぁ若干そうじゃねぇか? オロチのメンタルキューブって無尽蔵に周りからデータを解析するから、それが相まってるんだろうな 」

 

「そうか、ならオロチに頼めば私は強くなれる可能性が……? 」

 

「……? 」

 

 エンタープライスが何か考え込んでいるが、俺には良く聞こえなかった。

 

 だが、この時のエンタープライスの目はまるで……何かを欲する獣の様に鋭く、目に光が点っていなかった。

 

「……おい、少し喋りすぎじゃないのか 」

 

「おっと、いや〜ダチの末代見たからついな 」

 

「末代……? 」

 

 それって俺の事か? 誰の末代だ? そういえば……カービス家の祖先って……誰だっけ。

 誰も何も教えられてないというか、俺が疑問に思ってなかったから知らなかったが、何だか途端に気になり始めた。

 

 セイドの様子からして何か知ってそうだからそれについても聞こうとしたが、突如としてまた霧がこの船を包むようにして周りに表れた。

 

「指揮官! またセイレーン反応です! しかもこれ……未登録の反応があります! 」

 

「未登録!? 」

 

 それってつまり……俺達がまだ見た事のないセイレーンが近づいてるって事じゃねえか! 流石セイレーンの基地と言ったところか、油断ならない場面だ。

 

「数の反応は? 」

 

「測定は……ダメです! 測定不可です! 」

 

 やっぱこの霧で通信機器の機能は死んでるのか……! 初見のセイレーンも居るっていうのに厄介だな……

 

「うし、じゃあ始めるか! んじゃ指揮よろしくな〜 」

 

「はっ!? 」

 

「え? いやだから、俺らは共闘してんだろ? んでお前は今の指揮官だ。だからお前の言うことを聞いてやるよ。な? 親父 」

 

「当方は己の心に従う。他人……ましてや当方より弱い者の言う事など聞けん 」

 

 そう言ってセイドは左側から向かってきているセイレーンの艦隊に突撃をかけた。

 

「あの野郎好き放題言いやがって……! 」

 

 怒りで拳を着きだそうと震える拳をあげたが、セイドは笑いながら俺の突き出した右拳を抑えた。

 

「あぁすまねぇな。まぁ親父はあんなやつだからよ、多めに見てくれや。俺は言う事聞くからさ! な? 」

 

 そう言うが、KAN-SEN達はどうやら煮えきれない様子だ。まぁ無理もない。いきなり共闘をもちかけて俺の指揮下に入るって言うんだ。気持ちの整理が出来てないのもあるが、暴風の様な性格でこっちも色々疲れてきた。

 

「……はぁ、分かった。だったらKAN-SEN達の援護を中心に動いてくれ 」

 

「あいよ! じゃあよろしくな! 皆 」

 

「悪いがあまり触れないでくれ 」

 

 エンタープライスが冷たくセイドをあしらうと、セイドはガーンという文字が頭にぶつけられたかのようにショックを受け、そのまま床に膝をつき、手を置いた。

 

「ど、ドライな態度だぜ…… 」

 

「ほら、落ち込んでる暇無いでしょ! さっさと援護して! あと絶対変な事しないでよね! 」

 

 KAN-SEN達も素早く艦から飛び降り、戦闘体勢に入った。

 

「んじゃ、援護ならこの場にいるわ。お前は早く船内にいろ、カービス 」

 

「あぁ、頼んだ 」

 

 ここに居ても俺は邪魔になるだけか……非力な人間という事実だが恥じることはせず、俺は俺の出来ることをやる為に船内に入った。

 

「……やべ、俺カービスって言っちまった。まだ未練とかあるせいか? まぁ良いや。そんじゃ、援護を始めますかね! 」

 

 船内から見える窓越しからセイドは2丁のスナイパーライフルのスコープをそれぞれの目で覗き、腰を落として弾を撃つ体制に入った。

 

 まさかとは思うが、2つのスナイパーライフルを同時に使うって言うんじゃないだろうな……? そんな馬鹿な。

 自身の身長よりも高いスナイパーで、ましてや反動も小さくは無い物だぞ……撃てば体幹がいかれてぶっ飛ばされるのは当たり前で、そもそも両目でそれぞれの標的を狙うなんてそれこそ人がやる所業じゃない。

 

 そう思った矢先にセイドはすかさず2丁のスナイパーライフルをリズム良く撃つと、撃った先にいるセイレーン艦載機を1発も外す事無く命中させ、体幹も安定していた。

 

「うっし命中! じゃあどんどん行くか! 」

 

 当の本人は涼しい顔をしているが……やってる事はとんでもないほどイカれているぞあれ……どう考えても昔活躍した英雄だからと説明つけるものではなく、確実に何かカラクリがある。それが何なのかはまだわかんないがな……

 

「おらおらおら! どんどん撃ちまくるぞ! 」

 

「アイツ、あんなにバンバン撃ってるのに1つも外してない! 」

 

「それ以前に私達の援護を徹底しているのか、動きやすいまでもありますね……どう思いますか、先輩? 」

 

「それほど私達の動きを把握してるのだろう。なんて観察眼だ…… 」

 

「どうだー! お前らー! 俺に惚れた〜!? 」

 

「……性格は本当にどうしようも無いがな 」

 

 セイドの猛烈なアピールにKAN-SEN達は無視を続け、セイドは置いてけぼりな心境でその場で崩れ落ちるも、泣く泣く援護を続けた。

 

 まるでサーカスにいるピエロみたいな奴だな……自分勝手でマイペース。だけどやる事はしっかりやる仕事人見たいな一面もある。ほんと何がしたいんだあの英雄さんは……

 

「……!? 皆さん大変です! またさらに大きな反応が2つ接近中! 」

 

 ヘレナのレーダーが何かの異常を察知したのか、ヘレナ自身も大きな反応に戸惑いを隠せない様子だった。

 

「な……何これ? しかもこの反応…… 」

 

「どうしたヘレナ!? 何があったんだ!? 」

 

「い、今出た反応は……KAN-SENの反応です!」

 

「KAN-SEN!? 」

 

 そんな馬鹿な事がある訳ねぇだろ……だって今いるKAN-SENはここにいる全員だけだし、しかもこの海域の近くに哨戒しているKAN-SENも聞いた事無い。

 

「間違いないのか? 」

 

「は、はい……間違いありません…… 」

 

「そいつは誰だ? 」

 

「それが……不明です。ですがこの反応は間違いなくKAN-SENです! 」

 

「援軍? にしちゃあちょっと…… 」

 

「おいバカ! 今戦闘中だろ!? 動き止めんな! 」

 

 謎の反応に困惑する中、敵は待ってはくれない。動きをとめたKAN-SEN達に容赦なくセイレーンの攻撃が開始し、謎の反応に困惑しているKAN-SEN達は次々と被弾し、陣形が早くも崩れてしまった。

 

「しまっ……! 」

 

「ちっ!」

 

 エセックスとイントレピッドが敵艦載機と人型のセイレーンの集中砲火に遭ったのを目撃したセイドは2丁のスナイパーライフルを分解し、KAN-SEN達の援護に使っていたビットがセイドの周りに集まり出すと、分解したスナイパーライフルとビットが変形し、やがて1つの巨大なライフルが完成した。

 

 全長はさっきのスナイパーライフルとほぼ同じだが、ビットと組み合わさったせいか遠くから見ても分かる重量感は、まさに大砲と言っても大差なかった。

 

 巨大なライフルを支える為にセイドは腰を落としては右膝を付け、ライフルを脇で抱えるようにして持った。

 

「おいカービス! あの2人に今すぐ飛べと言え! あと、ちょっとこの船の甲板壊すわ! 」

 

「はぁ!? ちょ……何言って! 」

 

「頼んだぞ! 」

 

 俺の有無を言わさずセイドは巨大ライフルのエネルギーを収束し、青白い光がどんどん銃口から溢れるばかりにでかくなっていた。

 

「イントレピッド! エセックス! 今からセイドのやばい攻撃がそっちに来る! 飛べ! 」

 

「無理です! 上空も包囲されてもう……! 」

 

「マジか……くそっ! 」

 

「2人とも私に掴まれ! 」

 

 エセックス達の元に颯爽と一機の艦載機がセイレーンを倒しながら進み、霧の中でも真っ直ぐイントレピッド達に向かっている艦載機の上にはエンタープライズがいた。

 

 艦載機の激しい動きをまるで自分の手足のようにまた別の艦載機へと飛び移り、自前の弓から放たれる光の矢がセイレーン達を貫き、2人の道を作った。

 

 エンタープライズは乗っている艦載機の速度を上げて2人の元へ向かうと、エンタープライズは弓を格納し、両手を2人に向けて伸ばした。チャンスは1回、一瞬で起こった出来事はスローモーションにも見え始めた。

 

 イントレピッドとエセックスは急接近するエンタープライズの艦載機に向かってジャンプし、すれ違いざまにエンタープライズは2人の手を握り、そのまま艦載機を急上昇させた。

 

 あまりの急上昇に3人の体にGがのしかかり、多分腕がちぎれそうな程の衝撃を受けているはずだ。それでもエンタープライズは2人の手を離さず、霧にまみれたこの空へと何とか羽ばたいた。

 

「今だっ! 」

 

「オーライ! いいタイミングだぜエンタープライズ! 」

 

 3人の離脱を確認したセイドはエネルギーが溜まったライフルの引き金に指を置き、同時に余ったビットが連結してセイドの右肩から甲板まで連結し、甲板にビットの先が引っかかった。

 

「行くぜ……! 吹っ飛び……やがれぇぇ!! 」

 

 ライフルの引き金を引いた瞬間、この船が浮くほどの超火力のライフルが放たれ、あまりの衝撃でこの船の周りの海が大飛沫を上げ、船はその飛沫の上に飲み込まれ、暴れるように揺れた。

 

 そして撃った本人であるセイドも強力な反動に耐えきれず、そのまま青白いビームが撃たれた方向とは反対の方向に吹き飛ばされていく。

 

 しかし、直前に支柱のような役割をしているビットが船の甲板を削りながらセイドの体を支え、セイドは何とか吹き飛ばされずにすんだ。

 

 青白い光はまだ銃口から離れず、巨大な照射ビームが向こうにいるセイレーン艦隊を飲み飲んだ。推定5部隊はいるセイレーンの艦隊を飲み込んだ光はそのまま海を割り、この海を覆う霧さえも吹き飛ばし、バミューダ海域の外の空と海が見えた。

 

「ついでに……上のやつらもくらえぇぇぇ!! 」

 

 セイドが歯を食いしばってライフルを持ち上げるように銃口を上げると、照射ビームもそれに合わせて上へと移動し、空を埋めつくしていたセイレーンの艦載機も光からは逃れられずそのまま爆散していく。

 

「こ、これ……1人でやってるんですか? 」

 

「……なんて力なの 」

 

 通信越しからエセックスとイントレピッドの驚愕した声が耳に入り、俺も目の前でセイドの力を目の当たりにした。

 

 やがて照射ビームは徐々に細くなり、数十秒にも及ぶ超火力砲撃がようやく終わった。海の波飛沫はまだ消えず、甲板はビームの衝撃でボロボロな所と熱量で溶けてまだ赤く熱を帯びている場所もあった。

 

「あ"あ"あ"……肩いっっったぁぁ! これやるのやっぱしんどいわ…… 」

 

 セイドが撃ったライフルは急にバラバラになり、元のスナイパーライフルとビットに戻ったが、ライフルの銃口とビットの先がオレンジ色になっており、そこから煙が立ち上っていた。

 

 おそらくはあまりの光熱でオーバーヒートを起こし、大半の武器は一時使用不能になっているんだろう。

 まぁあんな超火力の武器をポンポン出せれちゃ困るんだけどな……チートだチート。

 

 だがセイド本人の反動も凄まじいのかセイドは脱力しながら甲板に腰を落とし、深呼吸してその場で座り込んでしまった。

 

「あ〜無理! ちょっと休憩! 」

 

「な、アイツ何やってんだ! 」

 

 いくらなんでもここでの休憩って無いだろ……! 思わず船の外へ出ようと続くドアを開けようとするが、ドアノブが信じられないほど熱くなっており、すかさず俺は手を離した。

 

 火傷こそはしてないが、まるで溶岩のような暑さだ。ここまで熱伝導で暑さが伝わっているということは、あそこはいま摂氏数百度の灼熱地獄のようなもんだぞ……それを平気でいられるって……ますます人間離れしていて言葉も出ない。

 

「おーい親父! 多分アイツらが来る! ちょっとこっち来てくれ! 」

 

「残念だが、そっちに手が回らない。それ程の敵が目の前にいるからな 」

 

「あぁ〜!? 」

 

 ロドンの言い草にセイドは意外なりに驚き、ビームで少しボロボロの体を起き上がらせ、左舷方面の海を見渡すと、ロドンの周りのセイレーンが炎を立ち上らせながら沈んでいく鉄の残骸となり、辺り一面は炎の海と化していた。

 

 まさに戦いの神が体に宿ってあるかのような戦闘力だ。モニター越しから見えるロドンには傷一つ無く、呼吸も乱れてない。

 

 そしてそんな炎の海の向こうに、1人の人影が海の上に立ち、ゆっくりとロドンに向かっていた。炎の揺らめきで姿もよく見えず、わかるのは白い服に黒いジャケットと黒い長髪をなびかせ、腰に刀を持っている事と……黒い艤装に長い刀を背負っているKAN-SENという事だけだ。

 

 明らかに風貌からして重桜のKAN-SENだが、あんなKAN-SEN見た事が無い。だが、明らかにロドンに敵意があるのは間違いなかった。直で見ている訳では無いのに殺気がモニター越しからでも伝わるのは何なんだ……もし目の前にこいつがいたら、みっともないが足を震えさせて動けなくなる自信がある。

 

「……貴殿、もしや 」

 

 ロドンが言葉を発したその瞬間、謎のKAN-SENがいきなりロドンに接近し、腰にかけている刀を振り下ろした。

 居合いというものか? 鞘にあった刀が一瞬にして振り下ろされ、その間僅か1秒足らずだ。

 

 その速さにロドンは涼しい目で対応し、振り下ろされた刀を右手の親指と人差し指と中指で刀を掴み止めていた。

 

「いきなり斬り掛かるのは武士としてどうかと思われるが…… 」

 

「戦場においてその志は無駄だ。拙者は貴様を斬る……! 」

 

 謎のKAN-SENは艤装に掛かっている黒い太刀を左手で持ち、今度は左側からロドンを切り伏せてきた。

 

 ロドンも左手で刀を受け止めようとしたが、黒い刀は青い電磁パルスの様な物を帯び、手で止めるのは危険と直ぐに判断したロドンはすぐ様刀を掴んでいる手の力を緩め、謎のKAN-SENのバランスを崩し、逃げる隙を生み出しては謎のKAN-SENと距離を置いた。

 

「おぉ〜やるね、あのKAN-SEN。親父を下がらせるなんて相当だぞ。親父ー! 手伝おうか? 」

 

「余計な事だ。それよりもそっちが心配だ 」

 

「は? ……ってあぶねっ! 」

 

 突然セイドの上空に黒い矢の雨が降り注ぎ、座り込んでいたセイドは体を転ばせて黒い矢の雨を交わし、黒い矢は甲板に突き刺さるとその直後に爆発を起こし、もう甲板は滅茶苦茶になった。

 

 だが甲板が破壊されただけでこの艦はまだまだ健在だ。誘爆の恐れも無ければぶっ壊れる心配も全然無い。

 

「おぉ……この艦すげぇな。まぁんな事より……誰だ俺のくつろぎを邪魔した奴は!?」

 

 自分の攻撃した奴を探そうとしたがこの霧の中では流石にセイドも標的を捉えられず、セイドは思わず舌打ちをした。

 

 黒い矢はセイドだけでは無くKAN-SEN達にも打ち下ろし続け、霧の向こうの見てない敵に全員防戦一方だ。

 

 攻撃を仕掛けられた方角に銃口を狙おうにも、姿が見えない敵には流石に手をつけようが無いのか、銃を下ろし、セイドは帽子を深く被り、そのまま膝をついた状態になった。

 

 そうなれば姿の見えない敵の餌食となるのは明白。セイドは霧の向こうの黒い矢の餌食となり、ギリギリの所で避けるのに精一杯だった。

 

「何やってんだバカ! 早くそこから逃げろっ! 」

 

 しかしここからだと艦の装甲が邪魔で声が聞こえない。急いでドアに触れようとするとまだビームの熱が残っており、ドアノブに触れると焼けただれそうだ。

 

 通信でKAN-SEN達に指示を出そうとしたが、こんな肝心な所に通信に異常が生じ、ノイズだらけの通信機器はゴミと化した。あまりの苛立ちで通信機器を投げ飛ばし、こうなればガラスを破ろうとしたが俺の持っている銃や力ではガラスはヒビすら入らない。

 

 ここから出られる出口はまだまだあるが、今セイドに声をかけられるのはこのドアしか無い。熱を帯びているドアノブを見つめ、息を飲んでドアノブに手をかける。

 

「あっっっつ……がぁぁぁっっっ!! 」

 

 熱い通り越して痛い感覚が手から溢れ出し、今すぐにでも手を離したいほどだ。皮膚が焼け、筋肉も溶けそうな獄熱の暑さはこの世のものとは思えない程だ。

 

 ドアノブを引き、ドアを開くいつもやっている行動が遠く感じる。熱さを堪えながらドアノブを引き、次はドアを押すだけだ。

 

 だけど腕に力が入らない。神経もイカれたのか何故か右手の感覚が無い。だが今の俺には関係ない。歯を食いしばり、重いドアを体全体を使って押し出し、何とか甲板へと俺は足を運んだ。

 

 勢い余って甲板には滑り出すように不格好ながらも何とか外に出た。

 

「何してんだセイド! 」

 

「んぁ!? お前っバカっ! 何で外に出てるんだよ!? 」

 

「お前が立ち止まったりするからだろ! 」

 

「いやこれ作戦だ馬鹿野郎っ! 」

 

「立ち止まって置いて何が作戦だ! 」

 

「だーかーら! これは……っ、伏せろ! 」

 

 急にセイドが俺の頭を掴んでは甲板に叩きつけ、強制的に体を伏せられた。

 

 すると黒い矢は俺の体を掠め急に寒気が体を走った。

 

「……ん? 今の攻撃……なんか怪しいな 」

 

 セイドは何かを気づいたのか、セイドは俺に話しかけてきた。

 

「おい、少し良いか? 」

 

「何だ? 」

 

「……俺に命預けられるか? 」

 

「どういう事だ 」

 

「今の攻撃で少し引っかかっる事があってな。まぁざっくり言うと盾になれって訳だ。嫌なら良いし、ふざけるなと言ってぶん殴ってもいい。お前が決めろ 」

 

 帽子の向こうの空色の瞳が力強く俺を見つめ、改めてこいつは物語の英雄であると体の奥底にある心がようやく理解した。

 

「もしお前が命を俺に預けてくれると言うなら、俺はお前を全力で守る 」

 

「あー……それは良い。あんましなめんなよ 」

 

 その力強い言葉と目に、俺は火傷した右手をセイドの胸にゆっくりと拳を突き出した。

 

「俺は俺の意思でアンタに命をかけるんだ。この状況を打破出来るなら肉壁人質上等!」

 

「……はは、あっはっは! イカれてるなお前! オッケー、んじゃあイカれてる者同士、いっちょやりますか! 」

 

 そう言ってセイドはすかさず俺を盾にするように俺の背後でしゃがみ、謎の敵の攻撃に備えた。

 

「ま、あぁ言ったが絶対に守ってやる。アイツの子孫だからな…… 」

 

「アイツ……? 」

 

「そんな事よりお前も気をつけろ。俺の考えが当たっているとは限らないからな 」

 

 セイドに言われ、霧の空を見上げたが全然敵が見えないどころかKAN-SEN達も見えない。霧のせいなのかレーダーも反応ねぇし、心配だ……

 

「さぁ、来るなら来やがれ……!」

 

 どこからか攻撃が来るのか分からない恐怖で体がピリつき、セイドも息を止めてその瞬間を待つ獲物のようにじっとしていた。

 

 潮のベタついた風と匂い、嵐が渦巻く暴風音の中、セイドは耳をすませ……その時は一瞬にして来た。

 

 霧の向こうから黒い矢が一本稲妻のように空を走り、矢は俺を避けてセイドだけを狙う射線だった。

 

「やっぱりな、こいつを避けて俺だけを狙うならここしか無いよな! 」

 

 予測していた射線を見事的中したセイドはそのまま向かってくる矢を撃ち落とし、そのまま俺の腕を掴んでは後ろの方に投げ飛ばした。

 

「はぁぁぁ!? 」

 

「盾の役割あんがとよ! あとは任せろ! 」

 

「おまっだからといって扱いが雑……ごはっ! 」

 

 投げ飛ばされた先は艦の壁であり、受け身も取れずにモロに頭をぶつけた俺は涙が出るような痛みを抱えながらセイドの行く末を見た。

 

 セイドが俺を投げ飛ばした瞬間黒い矢と銃弾がセイドに襲いかかり、ほぼ全方位から攻撃が仕掛けられた。明らかに1人では無い弾幕にセイドは困惑もしなければ驚きもせず、二カッと明るく笑った。

 

「やっぱな! 2人共これでもくらいなっ! 」

 

 セイドは二丁の拳銃を霧に向けて放つと、打ち出された弾丸はしばらくすると爆発し、弾丸の中に複数の弾丸が入っている散弾が飛び散った。

 

 しかもそれがセイドの早撃ちによって止めどなく発射され、数多の散弾がまるで波のように霧の向こうにいる敵に当たったのか、霧の向こうで爆発が起きた。

 

「うっっし! 当たった! 」

 

 セイドはガッツポーズをし、爆風によって霧は晴れた。

 

「うし、霧も晴れたな。じゃあこれで皆とごう……りゅう……って何だこれ…… 」

 

「あちゃ〜こりゃあ参ったな…… 」

 

 霧が晴れた先に俺達……いや、俺とセイドが居た場所は……嵐が蔓延る海域だった。

 

 霧が晴れた途端に嵐に遭遇し、いきなり雷雨と波の勢いが激しくなるという異常な切り替えについていけず、打ち付ける雨粒は強く、荒れ狂う波はこの甲板にいる俺達をひっくり返えそうとしていた。

 

「うおっ!? これどうなってんだ!? ……てか他の皆はどうしたんだよ!? 」

 

「どうやら目的の場所の近くだな! 危ねぇから中に入るぞ! 」

 

「言われなくても……ってうおっ!?」

 

 荒れ狂う波に飲まれた艦は転覆するギリギリに傾き、雨のせいで滑りやすくなった甲板の上で俺はバランスを崩し、そのまま甲板に転がり続け、やがては甲板に落とされてしまった。

 

「やばっ…… 」

 

 掴める場所は無い。このまま落ちれば波に飲まれて死ぬ。ここで……終わるのか? 

 

(.すまねぇ )

 

 誰への謝罪が分からないが、俺は誰かに謝りながら終わろうとしていたその時、俺の伸ばしていた右腕が何かに掴まれた感触が脳へと伝わり、瞑っていた目を開いた。

 

 開いた先には今まで余裕の笑みを浮かべていた奴がしそうにない、あまりにも必死な顔をしていたセイドだった。

 

「お前……! 」

 

「よし間に合った! 良いか、絶対離すなよ……! 今引き上げる……からなっ! がっ…… 」

 

「お前……右腕…… 」

 

 セイドが俺の腕を掴んでいるのは右手であり、そして右腕はさっきセイドがセイレーンの艦隊を一撃で全滅させた大技で多少の負傷をしていた。その腕で俺の腕を掴み、今頃激痛がセイドを襲っている筈だ。

 痛みに堪えるセイドの苦い表情が激痛を物語っており、震える腕がギリギリ限界に達していた。

 

「おい! 離せ! 」

 

「馬鹿野郎離せるか! 絶対にお前は……アイツの子孫だけは絶対に守ってやる! 」

 

 セイドの右手の掴む力は強くなり、こっちから離しても絶対に離さないようにしているが、右腕が上がらないのかずっとこの状態のままだった。

 

 だがこのままの状態が続けばどっちもこの嵐に巻き込まれてお陀仏だ。かと言って俺も手を伸ばせば艦に掴めるとかそんな距離でも無い。俺に出来ることは、セイドの手を離さない事だけだ。

 

「くっっそ……! このままじゃ…… 」

 

「っ……おい! もう嵐が…… 」

 

 そうこうしている内に小さな嵐がこっちに向かい、小さくてもこんな艦なんか簡単に飲み込む程だ。いくら人類が凄いものを作っても、自然の前ではちっぽけなもんだと思い知らせる。

 

 自然様の力に感服しても自然の機嫌が良くなるわけでも無く、嵐は無情にも俺達に向かい嵐に飲み込まれた瞬間俺の意識は途切れた。

 

 だがそれでも、俺の右手はセイドの手に掴まれたままだった。

どのテネリタスが好き?

  • ロリママ創造者の2代目 ラハム
  • 人類最強の天然3代目 アトラト
  • 食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
  • 武士道と極める騎士5代目 ロドン
  • 風のように自由なガンマン6代目 セイド
  • 完璧で究極のアイドル7代目 マリン
  • おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
  • 元人間のセイレーン 10代目マーレ
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