もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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結構前の話ですが天井で武蔵当てました。新しいママをありがとうございます。

最新仮面ライダーやガンダムの水星の魔女が一日の楽しみになって過ごしやすい毎日です。特にガンダムが何年ぶりかの新作なのでもう同じ話を何度も見ています。

さて、今回のお話は3つの視点に別れて物語が進み、バミューダ海域編はこんな感じで進めていくつもりです。交差する3つの視点が果たしてどのような展開になるか……お楽しみ下さい



霧の中の交差

 

呪われた海域であるバミューダ海域の霧に隠れた街、その名もバミューダシティ。ここには人の姿は無く、あるのは捨てられたビルや物、子供のぬいぐるみが無惨に転がっている不気味な街になっていた。

 

だが目の前にいる男、セイド・テネリタスの話によると、ここは未来からこの時代に来た街と言っており、挙句の果てにはここはセイレーンを造っている街でもあるらしい。正確にはセイレーンのプロトタイプらしいが、それが今、俺達を襲っていた。

 

「だぁぁぁ!本当に何なんだここ!!よくこんな所で人

が住めたな! 」

 

「言った筈だぜ!?セイレーンは元々人類が造った物で、KAN-SEN達と一緒に戦っていたってな! 」

 

「それが信じられねぇんだよ! 」

 

「良いからまずはこいつらどうにかする!隠れてろ! 」

 

「何言ってんだ、俺も戦か」

 

「良いから! 」

 

セイドは必死に俺の事を戦いに参加させようとはせず、わざと俺の邪魔をするような戦い方で思うように動けず、挙句の果てにはそのまま物陰の所まで俺を蹴り飛ばした。

 

腹痛てぇ……だが俺だってやれると言いたいが、正直セイレーン相手では相手にならない納得の気持ちもあり、歯を食いしばりながらセイドの言うことを聞いた。

 

鳴り響く銃声や光学兵器の発射音が耳を通る度、何も出来ない自分が嫌になる。蹴られた腹の所を握りしめ、俯いて所で銃撃が止み、敵を倒したセイドがこっちに来た。

 

顔を上げて見たセイドは爽やかな笑顔で顔に付いた返り血を拭い、座っていた俺に目線を合わせるように膝を曲げた。

 

「よっ、いきなり蹴っ飛ばしてすまねぇな。そうじゃないとお前も守れなかったんだ。お詫びに1発ぶん殴っても良いぜ 」

 

セイドは顔を突き出し、本気で殴られる覚悟をしていた。だが、そんな気にはならなかった。曲がりなりにも助けてくれたんだ。殴る理由も無ければ資格も無い。

 

「……あんたみたいになれたらな 」

 

殴る代わりにボソリと言い放ち、立ち上がって外に出ると、そこには無惨に転がっているセイレーンの残骸があった。

 

装備されている装甲や武器は焼け、胸や頭に撃たれた穴から赤い血が流れ出て血の水たまりができていた。

その光景は、戦場で死んだ兵士……いや、紛争で無惨に攻撃を受けた民間人の様だった。

 

むせかえる血の匂いは鼻を付き、目を開いて助けを求め、死に様さえ選べない姿は下手なホラー映画よりも恐ろしかった。

 

「あんまり見るもんじゃ無いぜ? 」

 

「士官学校の時、セイレーンの攻撃を受けた所の救助に行ったことがあるんだよ。そん時こういうのを死ぬほど見てきたから慣れてるんだよ 」

 

この光景はまさにそれと同じだ。圧倒的な力の前に捻り潰された表情は、同時に隣にいる男の圧倒的な力の裏付けもされていた。

 

「それに無性に無力感が込み上げるんだよ。俺にもっと力があれば助けられんじゃねえかって。だからさっきみたいな事を呟いたんだよ 」

 

その点に置いては優海の事が羨ましいと思っている。と言っても、あいつは元が元だから最初から俺とは違う。それを分かっているから俺は影ながらあいつやKAN-SEN達をサポートする。だけど、どうしてもコレを見るとそんな気持ちが込み上げてくる。例えそれが、絶対に叶えねぇ事だとしてもだ。

 

行き場のない気持ち拳に向けて握りつぶすと急にセイドは俺の背中を思い切り引っぱたいた。乾いた音が響き、背中から激痛が走った。

 

「っっって!!何すんだこの野郎っ! 」

 

英雄に暴言を吐くというとんでもないことを無意識にし、文句の1つを言おうとして振り返ると、セイドの目は何かを諭す様な目になっていた。その目を見た俺は、文句の1つ言おうとする気もなれず、セイドの言葉を待った。

 

「あんまりそういうの欲しがっちゃダメだぜ。出ないと、本当に大事な物が守れなくなるからな 」

 

「はぁ……?」

 

「確かに強くなれば多くの物を守れる。お前自身、お前の大切な人。お前の知ってる奴、そしてお前が知らない奴もな 」

 

「だったら良いんじゃないのか? 」

 

「だけど力のない奴は必ずその力に縋る。ヒーロー物でよくあるだろ?必ず正義のヒーローが助けてくれるってセリフ、聞いた事あるだろ? 」

 

確かに、そう言ったお決まりのシーンはある。子供が大きな声を上げて助けを求めると、どこからともなくカッコイイヒーローが颯爽と現れて悪を倒す物語をガキの頃読んだ記憶はあった。

 

「それが答えだ。弱い奴は他人に縋るしか無い。そして、力を持った自分はそんな奴らを助けないと行けないんだよ。本当に守りたいものを捨ててでもな…… 」

 

セイドは帽子を深く被ると、見えなくなった顔から静かながら激しい怒りを感じた。やっぱりこいつ、生前何かあったのか?

 

「……お前、何かあったのか? 」

 

好奇心からかそう聞いたが、セイドは何も言わずにいつも通り笑った。

 

「ちょっとな。まぁとにかく、お前はそのままでも良いって事さ。人間てのは、好きな奴1人守れるくらいの力があれば十分なのさ。お前にも好きな奴の1人や2人いるだろ? 」

 

そう言われて思う浮かぶのは……やっぱりアイツらだな。

 

「まぁな 」

 

俺はニカッと笑い、セイドもそれにつられて笑った。

 

「うし、じゃあ行くぞ。お前の事は絶対守ってやるからな 」

 

「本気で危ない目にあったら俺の方でも何とかするさ 」

 

「お、頼りになるな 」

 

セイドにやられたセイレーンの残骸を避けつつ、俺たちはこの霧に囲まれた街にある塔を目指し続けた。

 

それにしても、結構なセイレーンがいるな。KAN-SEN達は大丈夫か?

 

 

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一方その頃、ジンと離れたKAN-SEN達は不幸の幸いと言うべきかKAN-SEN達全員は揃っていた。

 

エンタープライズ、ホーネット、ヨークタウン、バンカー・ヒル、エセックス、イントレピッド、シャングリラ、ヘレナ、ヴェスタルの10人は霧に囲まれたこの街、バミューダシティに戸惑いつつあった。

 

「うわぁ〜何ここ、かなり不気味だね 」

 

「用心に越したことはないけど、やっぱり代理指揮官さんが心配ね 」

 

「ヨークタウン姉さんの言う通りだ。ここは代理指揮官の捜索を優先するぞ 」

 

「ですがエンタープライズ先輩、一体どうやって…… 」

 

エセックスの言う通り、この霧の中では思うように偵察機を飛ばせずにいた。ヘレナもレーダーを起動してはいるものの、この霧のせいなのか、はたまた外部的要因なのかは分からないがレーダーは機能していなかった。

 

「ダメです。やはりレーダーは使えません 」

 

「どうする?ここで動かないにしろ、代理指揮官の危機は変わらない 」

 

「だけど2手に別れて探すのにも反対ですがね 」

 

不気味かつ異色な街にKAN-SEN達の心境は不安定となり、所々意見が噛み合わない者まで現れて来た。エンタープライズは大いに悩み、答えを出すのに苦しんでいた。

 

(確かにここで動かなければジンは危険に晒される。だがここで下手に動けば部隊を危機に晒す……となるとここは……私一人で探すのが1番だ。そうすれば、皆を危険に晒すことは無い )

 

エンタープライズは決意を新たに決め、自分の意見を出そうとしたその時、ヨークタウンに肩を捕まれて口を出すのを止めた。

 

「ヨークタウン姉さん? 」

 

「ダメよエンタープライズ、何のために私達がいると思っているの? 」

 

ヨークタウンはエンタープライズの考えている事が分かっていた。自分の心が見透かされた事にエンタープライズは気づき、戸惑いながらもヨークタウンに反論した。

 

「なっ、だけどこれが1番だ。皆を危機に晒す事が無くなる唯一の…… 」

 

「エンタープライズ、この任務の目的は何? 」

 

「目的?それは勿論、バミューダ海域の調査だ 」

 

「いいえ違うわ。必ず指揮官の元に帰る。それが何よりの目的よ 」

 

「……あっ 」

 

「そう、私達の無事が何より指揮官が求めている物なの。だから自分だけが犠牲になってもいいなんてもう思わないで 」

 

1年ほど前のエンタープライズならこう言われても一人で向かおうとしただろう。だが、今のエンタープライズは違った。周りのKAN-SEN達の眼差しを見たエンタープライズは帽子を深く被り、自分の考えた事が如何に指揮官、優海が望まない事を理解した。

 

「……すまない姉さん。そうだったな。全員で帰る……これが私達が絶対こなす任務だったな 」

 

「そうよエンタープライズちゃん。ここにいる皆と、代理指揮官さんと一緒ね 」

 

「そうと決まれば、全員で一緒に調査!ですよね、エンタープライズ先輩! 」

 

「そうだな。とにかく一定間隔での調査をしてそれから…… 」

 

ようやく意見がまとまった時、無人のビルの崩壊音が鳴り響き、KAN-SEN達は直ぐに崩れ去ったビルの方角に目を向けた。

 

「何!?何が起こったの!? 」

 

「レーダーに熱源確認!数は……3つ?こちらに向かっていますが、方角や速度がそれぞれ違います!」

 

ヘレナのレーダーは3つの熱源を探知し、ひとつはこちらに向かうと分かるとKAN-SEN達は艤装を展開し、戦闘に備えた。

 

ヘレナが秒読みでの接敵を知らせ、熱源がビルを突っ切るように移動し、空に何かが近づいているのが全員確認した。空から落ちてくる物体は徐々に無人の交差点に落ちていき、上手く着地するも慣性が残って地面をえぐりながらKAN-SEN達がいる所まで来た所で力は止まり、KAN-SEN達は空から降ってきた物体……いや、人を目視した。

 

「ロドン……テネリタス? 」

 

エンタープライズが飛んできた人物の名前を呼ぶと、名前を呼ばれたロドンはエンタープライズの方に顔を向けた。

 

「むっ、貴様達か 」

 

ロドンが起き上がろうとするとKAN-SEN達は一斉に武器を構え、ロドンに照準を向けた。

 

「待て、当方は貴様達と手合わせするつもりは無い 」

 

「信じろって言うの?ちょっとそれは無理があると思うけど 」

 

「いえ、ちょっと待ってホーネットちゃん。この人……確かに戦意は感じられない。それよりも、誰かと戦ったような痕があるわ 」

 

警戒しているホーネットをヴェスタルはなだめ、戦闘した形跡があるロドンにヴェスタルは疑問を投げつけた。投げつけられた疑問にロドンは自分にある傷を見ると、立ち上がって言葉を続けた。

 

「時間が無い。手短に話す。貴様らの指揮官はセイドと一緒にあの塔に向かっている 」

 

ロドンは、この街の中心の女神像がある塔に指を指した。

 

「もし会いたければあの塔を目指せ。セイドが隣にいるから身の安全は保証する 」

 

「塔だって?あの塔に一体何があるんだ? 」

 

「この街から出る方法や、全てを知る物が眠っている。当方達がこの街に来たのもそれが理由だ 」

 

「つまり、あの塔に行けば指揮官にも合流出来るかつあんた達の邪魔も出来るって訳? 」

 

「そうしたければ好きにするといい。だが、そんな暇は無いと思うが…… 」

 

ロドンは何かを察知するとKAN-SEN達に目を配り、何かを考えついたのかある事を言い出した。

 

「すまないが少々手強い者が表れた。1人こっちに向かっているからそいつを頼む。我はもう一方に向かう 」

 

「ちょ!?そんな勝手に……」

 

「新たな熱源、こちらに来ます!」

 

「では頼む 」

 

エセックスの言葉を待たずにロドンはこの場から立ち去り、以前としてレーダーが補足している1つの熱源はこちらに向かっていた。

 

「あぁもう!やるしか無いって事!? 」

 

「熱源、来ます! 」

 

ヘレナが叫ぶと全員が艤装を展開し、それぞれ武器を構えて敵との対峙に備えた。

わずか数秒で接近してきた者は地面に降り立ち、漆黒に濁った艤装を背負い、KAN-SEN達に激しい目付きを見せた。

 

KAN-SEN達は戦慄したが、その目に気圧された訳では無かった。KAN-SEN達が驚き、信じられないような目を向けたの理由は、その顔であった。

その姿……エンタープライズと瓜二つであった。

 

「姉……ちゃん? 」

 

ホーネットがそう呟くとエンタープライズに似た謎のKAN-SENがピクっと反応し、ホーネットの方に顔を向けた。ホーネットはその顔を見つめ、後からエンタープライズの顔を交互に見ると、やはりエンタープライズと似ている……いや、同じ顔だった。

 

姉妹だから見間違えるはずが無い。ましてやヨークタウンも同じ顔だと確信し、それ故に戸惑いを見せた。だがこの場で1番驚愕しているのはエンタープライズ本人だった。

 

「お前は……誰だ? 」

 

誰しもが武器を構えることすら忘れ、エンタープライズの質問の答えを期待する中、謎のKAN-SENはその質問に答えた。

 

「私は亡霊だ。海を彷徨い、海の恐ろしさといつも隣合わせの亡霊だ 」

 

「何を言ってるんですか貴方は!その艤装や顔、エンタープライズ先輩と同じタイプのようですが、何が目的なんですか! 」

 

「目的か……私の目的はたった1つ。あの人を守ることだ 」

 

「あの人?それは誰だ 」

 

しかし謎のKAN-SENは答えようとはせず、やはりエンタープライズと同じ弓をエンタープライズに構え、今度はあっちから質問を投げかけた。

 

「教えてくれ。今あの人はどこにいる?私はあの人を止めなくてはならない 」

 

「だから一体誰の事…… 」

 

瞬間、エンタープライズは目の前の謎のKAN-SENの目を見ると、直感で【あの人】というのが誰か理解した。何故なら、目の前にいるKAN-SENは、自分がその人を守ると誓った目と同じ目をしていたのだから。

 

「気をつけろ!コイツの狙いは指揮官だ! 」

 

「え?なんで分かるの!? 」

 

「分からない。だが私の心がそう理解したんだ。そして、コイツは止めなければならないというのも! 」

 

互いに同じ弓を構え、どちらかが光の弦を話せば矢が放たれる状況に置いて、2人は一歩も引かずに負けんじと睨み合っていた。二人の間には見えない火花が激しく散り、周りのKAN-SEN達は本能で手を出しては行けないと思う程だった。

 

「指揮官はどこだ 」

 

「答えるつもりは無い 」

 

「あの人を守るためだ 」

 

「指揮官を守るのは私の使命だ 」

 

一歩も引かず、言葉でのぶつかり合いに終止符を打つかのように2人は同時に弦を離し、光と闇の矢が互いの頬を掠め、戦闘が始まった。

 

謎のKAN-SENはすかさず黒い矢を3本同時に生成し、同時に発射するとエンタープライズはビルとビルの間を交互に蹴って高度をとって回避しようしたが、黒い矢はそれぞれに意志を持つかのようにエンタープライズへと追尾していった。

 

それに気づいたエンタープライズは体を回転させて黒い矢を回避し、すかさず矢を撃ち落としたと同時に攻撃に移行した。エンタープライズは矢を放ち、矢は蒼い鳥へと形を変えて謎のKAN-SENの方に飛ぶと、謎のKAN-SENも同じように矢を黒い鳥へと変貌させ、ぶつかり合わせた。

 

同じ武器に同じ戦法に本人も驚きを隠しつつ、冷静に次の行動に移した。

 

「ヨークタウン姉ちゃん!私達も行こう! 」

 

「ええ。エンタープライズだけに戦わせる訳には行かない! 」

 

ホーネットはヨークタウンは先行してエンタープライズの援護に行き、他のKAN-SEN達もそれに続こうとしたが、その瞬間ヨークタウンとホーネット除くKAN-SEN達は霧に囲まれてしまった。

 

「何だ?この霧は? 」

 

「離れない方が良さそうですね……ホーネットさん、ヨークタウンさん。2人はエンタープライズさんの援護に行ってください 」

 

「でも皆が! 」

 

「私達の事は大丈夫!行ってあげて! 」

 

仲間の叫びにホーネットは戻ろうとしたが、ヨークタウンはホーネットの肩を掴み、首を横に振った。

 

「ここは皆に任せましょう。大丈夫、彼女達もユニオンのKAN-SEN……信じましょう 」

 

ヨークタウンの力強い目にホーネットは意志を変え、霧に囲まれたKAN-SEN達に背中を向けて走った。

 

「皆!絶ッ対に無事で居てね! 」

 

姿は見えずとも声は届き、KAN-SEN達はそれぞれを信じて背中を預けた。

 

霧に囲まれたKAN-SEN達の向こうには、ジン達が出会ったプロトタイプのセイレーンが囲むように表れ、KAN-SEN達は戦闘体制に移行した。

 

「これって……セイレーン?でも何だか違うような…… 」

 

「どんな敵が来ても撃ってくるなら立ち向かうだけよ! 」

 

「そうですね私達なら乗り越えられます 」

 

1人のセイレーンが攻撃を開始すると、霧に囲まれた中の戦いも今、火蓋が切られた。

 

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そしてもう一方で刀と刀が混じり合う戦いも起こっていた。鉄と鉄がぶつかり合い、火花が散る中で鍔迫り合いが置き、海の上でどちらも1歩も引かなった。

 

戦っているのはロドン・テネリタスとあと一人、これもまた謎のKAN-SENだったが、先程とは違う艤装て黒髪のポニーテールだった。

 

「ほぅ……中々やるが、まだ当方には敵わないな 」

 

「くっ…… 」

 

ロドンは力の入れ方を変えて受け流すように鍔迫り合いをやめると、バランスを崩したKAN-SENは前のめりになり、その隙を逃さないロドンはKAN-SENの腹を斬ろうとしたが、KAN-SENはもう一方の小刀を構えてロドンの攻撃を防ぎ、すかさず艤装の砲塔を至近距離でロドンを撃とうとしたが、ロドンは刀から一瞬手を離し、KAN-SENの腕を掴み、柔道の背負い投げでKAN-SENを海に叩きつけた。

 

「かはっ……! 」

 

勢いよく叩きつけられた衝撃はまるでコンクリートの地面に叩きつけられたのと同じであり、謎のKAあるN-SENはあまりの衝撃で動けなくなり、動けたとしてもロドンの体術でどちらにしろ動けなかったであろう。

 

「当方は武術に関しても多少の心得はある。さて質問だ。貴様……いや、貴様ら達は一体どの未来から来た 」

 

「答えるつもりは無い……! 」

 

「そうか、ならば当方の刀の贄となれ 」

動けないKAN-SENにトドメを刺そうと刀を振り下ろし、セイドはこの瞬間これから命が落とそうとしている者の目では無い物を見た瞬間、心の奥底で何かあると踏んでいた。

 

人は死が近づくと心が空になる物だ。死の恐怖を無くすためや、この世に未練を残さないようにか、それとも他の理由があるかは分からないが、ロドンに組み伏せられて刀を喉元に振り下ろされているKAN-SENからその空は感じられず、むしろここでは死なないという事を自覚している生きている目だった。

 

そしてロドンの直感は正しくなる。ロドンの意識外からの方角から白の斬撃がロドンの頬を掠め、その後銀色の狼が喉元に食い破るように襲いかかってきた。

 

ロドンは振り下ろそうとした刀をその狼に向けて振り上げ、狼は縦に真っ二つに斬られたがその背後に黒のコートを身に纏い、白髪で重桜のKAN-SENの証である獣耳が生えたKAN-SENがロドンの喉元にまるで飢えた獣の牙の如く刀を突きつけ、咄嗟にロドンはもう一方のKAN-SENの右腕を掴んでいた左手を離して左手で刀を人差し指と中指ど挟むようにして掴み、離したKAN-SENを蹴りあげた。

 

蹴られたKAN-SENは水飛沫を上げながら吹き飛び、刀を防がれたKAN-SENも刀を一旦離し、肉弾戦でロドンに対抗したが、体術でもやはりロドンが上なのか軽くあしらわれ、そのままロドンの右足の蹴りをされるものの刀で受け止め、致命傷にはならなかった。

 

「どうやらもう1人紛れ込んでいたか。……その艤装や姿を見るに重桜の者で間違い無いな」

 

吹き飛ばされた2人のKAN-SENは冷たい眼差しでロドンを睨み、黒いオーラが滲み出していた。ロドンはそのオーラに不穏さを感じ取り、力を強ばらせて己に緊張感を持たせた。

 

「なるほど、マーレが言ったというMETAという物か。そこまでして貴様達は何を求める? 」

 

「決まっている。あいつの幸せだ 」

 

黒髪の方のKAN-SENがようやく口を出し、ロドンはこの言葉で彼女達の真意や正体を悟り、滑稽だと鼻で笑った。

 

「下らん。そんな終点が破滅という呪われた……いや、愚かな力を持ってまで貴様らは彼の者を守りたいか?とんだ愚行だ 」

 

「お前に何が分かる……それに私達はとっくに破滅した。失う物は何も無い 」

 

「だからここでは今度こそあいつを守る。そして、何も知らず、平和に、昔のように穏やかに生きさせたい。それだけだ 」

 

ロドンは白髪のKAN-SENが言った事にある心当たりを思い出した。それはかつて自分が目指した世界の事であり、もう二度と叶うことが出来ない願いでもあった。

そんな昔の自分と今目の前にいるKAN-SENを重ねて見えてしまい、ロドンはそんな自分自身さえも嘲笑うかのように笑った。

 

「愚行というより滑稽だな。失う物が無いと言いながら貴様達は彼の者、指揮官を求めている。貴様達は所詮指揮官に縋りたいが為にこの世界に来ただけだ 」

 

「縋る?違う。あいつはもう戦わなくていい、何もしなくて良い!もう苦しむ事もしなくて良いようにする!その為には貴様達テネリタスが邪魔だ 」

 

「やはり言葉では通じ合わないか。……高雄と江風 」

 

もう、いやとっくに言葉では通じないとロドンは判断して刀を構え、2人のKAN-SENも同じように殺気を刀に込めて構えた。

 

「ならば証明しろ。刀は我が身を映す鏡。故に武こそ己の意志を証明する方法だ。貴様達の意志や真意を、刀を通し、当方に見せてみろ 」

 

霧の中で3人の武士は刀を混じえ、己の信念や意志を刀で通してぶつけた。

 

互いの命が尽きるまで……

 

 

どのテネリタスが好き?

  • ロリママ創造者の2代目 ラハム
  • 人類最強の天然3代目 アトラト
  • 食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
  • 武士道と極める騎士5代目 ロドン
  • 風のように自由なガンマン6代目 セイド
  • 完璧で究極のアイドル7代目 マリン
  • おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
  • 元人間のセイレーン 10代目マーレ
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